広報ニュース

第49号インダストリオール・ウェブサイトニュース(2016年3月)

瀬戸際の英国鉄鋼業

2016-03-30

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 タタ・スチールは水曜日、14現場で約1万5,000人を雇用する英国事業をすべて売却する意向を発表し、イギリスの鉄鋼業は壊滅的な打撃を被った。

 英国最大の労働組合ユナイトは政府に対し、介入して危機に瀕している工場を再国有化するよう要求、別のインダストリオール・グローバルユニオン加盟組織であるコミュニティーは、責任を持って売却するという約束の遵守をタタに求めている。

 レン・マクラスキー・ユナイト書記長は次のように述べた。「今こそ政府は、国がタタの資産を安全に管理することを躊躇せずに断言しなければならない。これらの工場なしで英国経済の繁栄はないからだ。タタの先行きが不透明であるため、すでにサプライチェーンで雇用が減っている――心配なのは、鉄鋼部門全体に不安が広がるままに任せれば、事態が雪だるま式に悪化していくことだ」「一時的な国有化が進むべき道であるという実業界から政府への統一見解を無視してはならない。この方法でスコットランドの工場は救われた。国有化はイタリアのイルバ工場の存続を確保した――残りのタタ事業にも適用しなければならない」

 鉄鋼労組であるコミュニティーのロイ・リックス書記長は、インド・ムンバイの本社でタタ・スチールと協議したあと、イギリスに戻る予定である。同書記長は次のように述べた。「現在、イギリスは国家的危機に瀕している。タタ・スチールがイギリスから完全に撤退すれば、我が国の鉄鋼業全体が崩壊する恐れがある。そうなれば鉄鋼雇用に頼っている地域社会のみならず、イギリスの産業基盤全体が大損害を被るだろう」

 リックス書記長はタタ・スチールへの書簡で次のように付け加えた。「十分に時間をかけて新たな投資家を見つけることが不可欠です。タタはイギリス全国の鉄鋼業界に対して道徳的・社会的責任を負っており、組合ならびに英国政府と協力しなければなりません」

ユルキ・ライナ・インダストリオール書記長は次のように述べた。「英国政府に対し、手遅れにならないうちにイギリスの鉄鋼業を支援するために全力を尽くすよう促す。後退してはならない。難局に立たされた鉄鋼労働者とその家族を支援すべきときだ。政府が現在取っている行動方針は、鉄鋼業界と英国経済の運命を永久的に決定づける」

ライナはこう付け加える。「タタ・スチールは以前、資産整理にあたっては責任を持って売却すると約束した。タタが約束を守るかどうかに、数千人の労働者とその家族の生活がかかっている」

 

トリニダード・トバゴのアルセロール・ミッタル工場閉鎖で600人が失業

2016-03-30

 

トリニダードのアルセロール・ミッタルで600人以上が失業

トリニダードのアルセロール・ミッタルで600人以上が失業

アルセロール・ミッタルは過去4カ月間、トリニダード・トバゴで一時解雇方針を採用してきたが、このほど鉄鋼工場を閉鎖した。600人を超える労働者が失業し、解決策を見つけようと懸命に努力している。

 ここ数カ月間、トリニダード・トバゴのポイント・リサスのアルセロール・ミッタル労働者はめまぐるしい時期を過ごしてきた。何度も交渉が行われ、レイオフが実施され、大勢の労働者がデモに参加し、ポートオブスペイン労働裁判所が賃金紛争をめぐって労働側を支持する判決を下した。精力的な闘いもむなしく、644人の労働者が突然の工場閉鎖で職を失った。

「会社側は、実際に支払不能に陥る前に政府をはじめとする利害関係者と議論せず、国益を完全に無視・軽視している」と、インダストリオール・グローバルユニオン加盟組織のトリニダード・トバゴ鉄鋼労組(SWUTT)はプレスリリースで述べている。

 この多国籍企業は、もはやトリニダード・トバゴで操業できないと判断した理由として、世界鉄鋼価格の下落と同国のガス・電気料金値上げの見通しを挙げた。今回の閉鎖は、労働裁判所が同社に不利な判決を下し、多額の罰金の支払いを命じた翌日に実施された。

 ユルキ・ライナ・インダストリオール書記長とラクシュミ・ミッタル社長兼最高経営責任者との書簡の交換を経て、同社は次のように述べた。「すべての利害関係者にとって最善の結果をもたらすために、清算手続きの進行中もあらゆる選択肢を引き続き検討していく。したがって、アルセロール・ミッタルはSWUTTを支援し、同労組と協力する用意がある」

 SWUTTは差し当たり、労働者が仕事を確保できるようにする代替策を見つけようとしており、同社を購入して債務を肩代わりしてくれそうな投資家を探している。トリニダード・トバゴ政府にも、解決策を見つけるために可能な限り早く介入するよう要求した。

 フェルナンド・ロペス・インダストリオール書記次長は次のように述べた。「私は昨年末にこの工場を訪問したが、工場長は工場の近代化に投資せず無責任に振る舞っており、組合を罰するために工場を閉鎖するつもりであることは明らかだった。ポイント・リサスの労働者は非常に熟練しているので、アルセロール・ミッタルと政府はSWUTTと協力し、トリニダード・トバゴの鉄鋼業を守る方法を見つけなければならない」

 

ティッセンクルップ、オンライン違反報告システムを開始

2016-03-30

 

世界有数のリフト・メーカーもであるティッセンクルップ 写真:ティッセンクルップ

世界有数のリフト・メーカーもであるティッセンクルップ
写真:ティッセンクルップ

ドイツ系多国籍金属・技術会社ティッセンクルップは、2015年3月にインダストリオール・グローバルユニオンおよびIGメタルと締結したグローバル枠組み協定(GFA)の中で、労働関連の違反や侵害をオンラインで報告できる新しいシステムを開始した。

 協定によると、同社は国際労働機関の原則、特に第29号、第87号、第98号、第100号、第105号、第111号、第138号および第182号条約の遵守を約束した。

 このGFAを通して、ティッセンクルップは以下の原則にも従う。

  • 結社の自由
  • 平等な待遇と機会均等
  • 強制労働と児童労働の廃止
  • 最大労働時間
  • 合理的な報酬
  • 労働安全衛生の確保

合意された条項を実施して労働者にGFAのことを知らせるために、同社は協定を10カ国語に翻訳した。同社は協定違反の可能性があることを認識し、迅速な対応を促進する特別オンライン・システムを設けた。

 安全な電子メッセージ・システムによって実名または匿名で違反を報告することができる(https://www.bkms-system.net/frameworkagreement)。

全従業員と社内で活動する労働組合も、メールで協定違反を報告できる(frameworkagreement@thyssenkrupp.com)。

マティアス・ハートウィッチ・インダストリオール・グローバルユニオン担当部長は次のように述べた。

「ティッセンクルップとの協定は、同社が活動するさまざまな国々で同社の行動を監視し、違反が発生した場合に効果的に対処するための強力な基礎となる。私たちとしては、簡単に違反を報告できるシステムの創出を歓迎するばかりだ。さらに、いったん受理された苦情は、インダストリオール代表とティッセンクルップ代表で構成される国際委員会が承認しない限り、処理完了を宣言することができない」

ティッセンクルップは、ほぼ80カ国で約15万5,000人の従業員を雇用している。

 

 

レックスマーク労働者が労働権の要求を理由に解雇

2016-03-29

 メキシコ・チワワ州シウダードファレスのレックスマーク工場労働者は、低賃金と危険な職場という劣悪な労働条件に苦しんでいる。労働者たちは権利を求めて闘い、独立組合を組織化しようとしたために不当解雇された。インダストリオール・グローバルユニオンは、調停・仲裁委員会(JCA)に労働者の復職を命じるよう要求している。

 シウダードファレスJCAは3月29日(火)に聴聞会を開き、不当解雇されたレックスマーク労働者を復職させるべきかどうか決定することになっている。ユルキ・ライナ・インダストリオール書記長は当局に書簡を送り、国際的に認知された労働権への取り組みを示すとともに、労働者の復職を命令し、結社の自由に対する権利の尊重を保証するよう丁重に求めた。

 2015年11月以降、フォックスコン、イートン、ADC/コムスコープ、レックスマークは、労働条件への不満を表明するために抗議行動を組織したことを理由に、何百人もの労働者を解雇している。アメリカのプリンター/ソフトウェア会社レックスマークは、1日6ペソ(0.35米ドル)の賃上げを求める労働者の要求を拒否した。これを受けて労働者は組合の結成を試み、労働者の権利、適正な賃金、労働条件改善を要求するために抗議行動を組織した。結果として、同社は120人の労働者を解雇してストを誘発し、このストは今日に至るまで続いている。

 労働者によると、会社側は組合結成の取り組みを放棄させるために労働者を脅迫・威嚇し、金を握らせようとした。また、同社は労働者が法的受給権を有する2015年のクリスマス手当を支給しておらず、欠勤を理由に賃金から過度の控除をしている。さらに、労働者はセクシャル・ハラスメントの被害に遭ったり、適切な保護なしで有毒化学物質にさらされたりしている。

 インダストリオールと32組合は、これに対して同社経営陣に書簡を送り、レックスマーク労働者の状況について憤慨と懸念を表明、連邦労働法、北米労働協力協定、国際労働機関条約、同社自身の企業構想・価値観方針、倫理規定および人権方針に従って、労働者の権利を尊重することを要求した。

「労働者の結社の自由に対する権利と独立組合を結成する権利を保障するとともに、工場の耐え難い労働条件を改善し、労働者に約束どおり賃金(クリスマス手当を含む)を支払うよう断固として要請します」と書簡には書かれていた。

 フェルナンド・ロペス・インダストリオール書記次長は次のように述べた。「シウダードファレスの工場における労働者の生活・労働条件はまったく容認できない。インダストリオールは労働者の正当な要求を支持し、尊厳と結社の自由に対する権利の尊重の確保に向けて闘うために引き続き団結するよう勧める」

 

ワールプールがヨーロッパで枠組み協定を締結

2016-03-24

 

ワールプールとの交渉

ワールプールとの交渉

 家電メーカーのワールプールは労働者2万4,000人を対象とする枠組み協約を締結した。

 ヨーロッパのワールプール労働者とインデシット労働者の代表は、2016年3月18日にローマで会合を開き、欧州地域と中東・アフリカ(EMEA)で統一的な欧州従業員代表委員会を設立することについて経営側と合意に達した。この協定は2016年7月1日に実施される。

 経営側は、ワールプール欧州従業員委員会(WEEC)の特別交渉団体が提出した協定修正案をすべて盛り込むことに同意し、同社では労使協力の新時代が始まる見通しとなった。

 米国企業のワールプールは2014年末にイタリアの大手家電製品会社インデシットの支配株式の100%を取得し、ヨーロッパと中東・アフリカでの事業規模を2倍に拡大した。同社は冷蔵庫や冷凍庫、洗濯機、調理器具などの白物家電を製造している。

 この買収によって特にイタリアで一連の余剰人員解雇が実施され、ワールプールとインデシットでは組合が争議行為を起こした。2015年7月24日に政府、組合およびワールプールがイタリアの産業計画について合意したあと、同社との関係が改善した。

 松崎寛インダストリオールICT電機・電子・造船・船舶解撤担当部長はこう述べた。

「同社が協定に署名し、WEECの修正案を採用したことは前向きな一歩だ。インデシット買収後の状況は厳しく、余剰人員解雇をめぐる紛争などがあった。この協定は同社が組合の役割を認めていることを意味し、これによってコミュニケーションが改善すると思う」

 WEECのインダストリオール・ヨーロッパ・コーディネーターを務めるジャンニ・アリオッティはこう語っている。「私たちは関連欧州指令に準拠したこの協定の規定に満足している。この協定には他の多くのEWC協定よりも優れた点がいくつかある。労働者代表の全面参加を定めており、その規定をロシア、南アフリカ、トルコにも適用している。これは文化的に異なるワールプール従業員の統合を促進するだろう」

 

カンボジアの労働組合法に対する強い懸念

2016-03-23

 インダストリオール・グローバルユニオンはカンボジア首相に書簡を送り、議会を通過しようとしている労働組合法案に強い懸念を表明した。

 この法案は、カンボジアで労働組合の弾圧に利用される恐れのある制限を設ける措置として、労働組合員や国際労働組合総連合、国際労働機関(ILO)から厳しく批判されている。

 カンボジアに衣料関連組合10団体を擁するインダストリオールによると、加盟組織は法案のいくつかの条項について警戒するとともに、この法律の対象となる労働者を増やしたいと考えている。

 この新しい法律はスト権を厳しく制限するだけでなく、登録待ちの組合は行動できなくなる。

 新法では、選出された指導者が違法行為を犯した場合、組合全体が解散させられる可能性がある。また、組合の会計監査にも不合理な要件を課しており、これは組合に嫌がらせをして疲弊させるために不正に利用されやすくなる恐れがある。

 さらに、制裁の上限(1,250米ドル)は、使用者にとっては非常に少ないため効果がないが、労働組合にとっては致命的になる可能性がある。

 ユルキ・ライナ・インダストリオール書記長は、カンボジアのフン・セン首相への書簡で次のように述べた。「インダストリオール・グローバルユニオンはカンボジア政府に対し、労働組合と改めて有意義な協議を行い、あらゆる労働組合法案をILO第87号条約および第98号条約に従わせたうえで採決に付すことを要求します。これらの権利を十分に尊重していない法律は国内外で反対に遭い、批判を招くだけでしょう」

 インダストリオールは2015年12月にカンボジアの首都プノンペンで、同国の衣料関連加盟組織と連帯して執行委員会を開催した。

 

カザフスタンのアルセロール・ミッタル、債務が原因で賃金不払い

2016-03-22

 カザフスタンのアルセロール・ミッタル・テミルタウで働く約2,000人の下請労働者は、同社が請負業者に多額の債務を負っているために賃金を支給されていない。

 カザフスタンの大手鉱山・金属会社アルセロール・ミッタル・テミルタウは、3年前から請負業者24社に十分な金額を支払っておらず、その結果、請負業者から労働者への賃金支給が遅れている。アルセロール・ミッタル・テミルタウ下請労働者の平均賃金は、月約3万5,000~4万テンゲ(100~115米ドル)である。

 影響を受けている下請労働者の60%が、カザフスタン共和国鉱山・金属産業労組を通してインダストリオール・グローバルユニオンに加盟しているテミルタウ市労組の組合員である。

 アルセロール・ミッタル・テミルタウが請負業者に負っている債務をめぐっては、過去1年間に鉄鋼業・鉱業の社会的パートナーシップと労働関係に関する部門別委員会で何度か討議してきた。アルセロール・ミッタル・テミルタウの代表は、これらの会合に参加したが、委員会の決定を無視した。同社は毎月、債務の半分も返済していないため、債務総額は増え続けており、2016年2月15日には9億350万テンゲ(261万米ドル)に達した。

 請負業者はアルセロール・ミッタル・テミルタウに依存しているため、契約を打ち切られたり2015年7月のように罰金を科せられたりすることを恐れて、訴訟を起こすこともなく、検察庁はもちろん労働監督当局にさえ申し立てていない。

 賃金滞納は社会的緊張をもたらすため、労働組合は、アルセロール・ミッタル・テミルタウが請負業者に直ちに債務を返済し、請負料金の増額を検討するよう要求している。

 カザフスタン共和国鉱山・金属産業労組のアシルベック・ヌラリン会長は次のように語った。

「社会的パートナーシップに基づく社会・労働関係、人権の尊重、労働者と使用者が相互に受け入れ可能な利害の調整によって、企業の持続可能な経済・社会開発を実現できる」

 カザフスタン共和国鉱山・金属産業労組は3月16日、社会的パートナーシップと社会・労働関係に関する共和国政労使委員会で再びこの問題を提起した。地方当局はこの問題を検討し、4月18日までにカザフスタン共和国保健・社会開発省に結果を報告しなければならない。

 

モロッコのクラウン工場で労働者が強制退去

2016-03-18

 

2016年3月2日からカサブランカとアガディールの両クラウン・パッケージ・マロック工場で労働者がスト中

2016年3月2日からカサブランカとアガディールの両クラウン・パッケージ・マロック工場で労働者がスト中

米国系多国籍パッケージング企業のクラウン・ホールディングは、モロッコ・アガディール工場の労働者に退去を命じた。

 モロッコ労働組合(UMT)によると、警察は3月15日にアガディールの同社工場から労働者を強制的に退去させ始めた。労働者は3月2日からカサブランカとアガディールの両クラウン・パッケージ・マロック工場でストを実施している。

 このストは、経営側が労働者代表との交渉・協議を経ずに一連の発表を行ったあとに開始された。

 労働者が特に懸念している問題は、経営陣と有意義な対話が行われていないこと、事前交渉抜きで工場設備が撤去されたこと、2014年11月に締結された旧協約が適用されていないことである。

 その他の懸念事項は、組合との事前協議なしで60人の解雇が発表されたこと、労働者が1日10時間を超えて働くよう圧力をかけられたこと、労働者が社会的給付を十分に受けられないことなどである。

 ユルキ・ライナ・インダストリオール書記長は、フィラデルフィアのクラウン・ホールディング本社への書簡で労働者の要求を支持し、次のように述べている。「クラウン・パッケージ・マロックは、どうあってもモロッコ労働組合の正当な要求に対応しなければなりません。クラウンは組合と有意義な社会的対話を行い、結社の自由と団体交渉に対する労働者の基本的権利を尊重しなければなりません」

 

インド全国の組合が団結して反労働者的政策に抗議

2016-03-11

 3月10日、インドの中央労働組合が協力して政府に対し、交渉の場に戻って組合の12項目の憲章に回答するよう要求した。

 インド政府が組合の要求に関心を示さず、具体的な解決策を提示しないため、組合は2016年3月10日に全インド抗議デーを呼びかけた。

 インドの中央労働組合(CTU)は2009年以降、イデオロギーや組織方針の垣根を越えて協力しており、労働者の権利を守って反労働者的政策に抗議するために多くの共同イニシアティブを取っている。

 月10日の行動デーは一連の全国レベル共同行動の一環で、これまでに2015年9月2日、2014年12月5日、2013年12月12日、2012年2月28日の大規模な全国的ストと抗議、2011年2月23日の議会までの歴史的行進が行われた。

 こうした事情にもかかわらず、インド政府は企業に有利で労働者の利益に反する政策を推進しており、労働法修正案、公共部門事業の削減や民営化、戦略的部門への海外直接投資の許可などによって、労働者の福祉に直接影響を与えている。

 インドの中央労働組合は、たとえ立法化されていなくても、大統領命令や企業に有利な修正の実施を州政府に指示する措置によって、多くの反労働者的な労働法修正が強行されていることに深い懸念を表明した。

 労働者の要求とまったく対照的に、政府は2016-17年度予算で、従来の従業員積立基金(EPF)免税制度を廃止し、2016年4月1日以降のEPF等拠出金の60%に引き出し時に課税することを提案した。抗議の広まりを受けて、政府はこの税制案の撤回を余儀なくされた。

 CTUは鉄道、国防および郵政事業の中央政府職員によるスト指令案だけでなく、2016年3月29日の1日ストを含む炭坑労働者の共同行動も支持した。

 抗議行動に参加したCTUは、BMS、INTUC、AITUC、HMS、CITU、AIUTUC、TUCC、SEWA、AICCTU、UTUC、LPFである。重要な留意点は、与党の労働組合部門であるインド労働組合(BMS)もこの行動に参加したことである。

 Hind Khadan Mazdoor Federation、インド全国金属労連、インド全国鉱山労連、インド鉄鋼・金属・機械労連をはじめとするインダストリオール加盟組織がデモを実施した。

中央労働組合の12項目の要求は以下のとおり。

1. 永続的・継続的な仕事を請負業者に外部委託しないこと。契約労働者の雇用の性質や賃金・給付の支払いは、当該産業または事業所の正規労働者と同じでなければならない。

2. 最低賃金法を修正し、作業スケジュールに関係なく全労働者への適用を確保すること。法定最低賃金は1万5,000ルピーを下回ってはならない。

3. ボーナスや積立基金の支払いや受給資格の上限をすべて撤廃し、給与金を増額すること。

4. すべての労働者に年金を保証すること。

5. 具体的な雇用創出措置を実施すること。

6. 労働法を厳格に実施すること。

7. 未組織労働者に普遍的な社会保障を提供し、国家社会保障基金を設立すること。

8. 45日以内の労働組合登録を義務づけ、ILO第87号条約と第98号条約を直ちに批准すること。

9. 物価上昇を抑えるために具体的措置を講じること。

10. 中央・州の公共部門事業の削減をやめること。

11. 鉄道、国防などの戦略的部門への海外直接投資を禁止すること。

12. 労働法を一方的に修正しないこと。

 中央労働組合は2016年3月30日にニューデリーで労働者の全国大会を開催し、労働者の利益に反する政府の政策に対抗する行動プログラムの次の段階を決定する。

 

インダストリオール、右翼の攻撃に対抗してルーラを支持

2016-03-11

 インダストリオールは右翼の攻撃に対抗してルーラを支持

インダストリオールは右翼の攻撃に対抗してルーラを支持

 インダストリオールは世界中の組合とともに、ルイス・イナシオ・ルーラ・ダ・シルバ元ブラジル大統領を支持している。

 ルーラは、自らが達成してきた社会的公正面の業績を貶めようとする右翼のキャンペーンにより、マスメディアの不正行為疑惑で名誉を汚され、2016年3月4日(金)に自宅から強制的に連行された。

 これは法律制度を利用しようとする右派の政敵と、ブラジルの進歩を逆戻りさせようとするエリート富裕層に支配されたメディアによるキャンペーンである。

 貧困家庭に生まれたルーラは元金属労働者で、労働者党で頭角を表してブラジル大統領に登り詰めた。労働組合員として一連のストライキを主導、軍事独裁の基礎を揺るがし、続いてブラジルを民主主義の時代に導いた。ルーラは公正と尊厳、社会的一体性を求める庶民の闘いの象徴である。

 ルーラはブラジルの労働者階級に心から愛されている。2011年の大統領退任時、世界で最も人気がある政治家で、支持率は80%に達していた。これはルーラが大多数の国民の生活を目に見える形で劇的に変化させたからである。

 ルーラ政権は3,000万人を貧困から救い出し、児童労働を減らし、女性に権限を与え、最低賃金を引き上げ、失業を減少させ、社会保障(ボルサ・ファミリア)を提供した。しかも、ブラジル経済を成長させ、この新しい富を公平に分配しながら、この業績のすべてを達成したのである。

 ルーラのリーダーシップは世界中の組合を奮い立たせており、特に他の発展途上国では、庶民の生活を改善するために彼が採用した国家投資モデルが、政府に対する組合の要求の基礎となっている。

 ブラジルの反動勢力は民主主義国への移行を受け入れることができず、反ルーラ・キャンペーンを強化している。

 ケマル・ウズカン・インダストリオール書記次長は次のように述べた。「ネオリベラル勢力による攻撃には際限がない。保守勢力は至るところで労働者に対する攻撃を強化している。最近の標的はルーラで、彼は現在家族とともに集中的キャンペーンの犠牲になっている」「ルーラはブラジルに極めて大きな社会的・経済的進歩をもたらしたために、象徴的な標的にされていることは明らかだ」「彼は、もう1つのブラジル、もう1つの世界が可能であることを示した。ブラジルならびに世界中の保守勢力は時計の針を逆に回したがっており、ルーラが実現した社会的・民主的進歩に復讐したがっている」「そんなことは絶対に許さない」

 

インドのホンダ労働者、組合権を求める闘いで警察の暴行に直面

2016-03-04

 2016年2月にタプカーラ工場で抗議するホンダ労働者

2016年2月にタプカーラ工場で抗議するホンダ労働者

 タプカーラのホンダモーターサイクルアンドスクーターインディア工場の労働者は、労働組合権と不安定労働者の正規雇用化を要求したために厳しい弾圧を受けている。

 職場での暴行事件がきっかけで、労働者が逮捕され、警察が労働者に暴力を振るうという結果を招いた一連の出来事を受けて、ラージャスターン州タプカーラのホンダ工場で2,000人を超える労働者が抗議している。

 政府当局は抗議行動を許可しておらず、労働者は、投獄された同僚の釈放、虚偽の告発の取り下げおよび組合結成権を求めて穏やかなデモを行う場所を探している。

 2016年2月16日、1人の契約労働者が超過労働を拒否したために監督者に暴行された。拒否の理由は、それまで続けて超過労働に従事しており、体調もよくなかったことである。経営側はメディア向けの声明で、この状況説明を否定した。

 ホンダ労働者は同僚への暴行に抗議して、その日の午後から工場構内で座り込み抗議デモに入った。経営陣との交渉に呼び出された組合役員が戻らず、労働者は役員と連絡を取ることができなかった。もうこのときには、B勤とC勤の労働者1,000人も工場前に集まり始めていた。

 経営側に呼ばれた警察が工場に立ち入り、労働者に構内から退去するよう求めたが、労働者は同僚を戻すよう要求した。警察は、経営側のいう「穏やかな実力行使」によって労働者を工場から追い出そうとし、その過程で何人かの労働者を負傷させた。

 警察は数百人の労働者を拘留・逮捕した。一部はその後釈放されたが、ナレシュ・クマール・メータ組合会長を含む44人の労働者は今なお獄中にある。

 下級裁判所は逮捕された労働者の保釈を認めなかったが、その後、ラージャスターン州最高裁は労働者全員の保釈を認めた。組合員を含む多くの労働者に対する訴訟も起こされている。経営側は、約100人の労働者をサボタージュで停職処分にした。多くの労働者が、出勤しなければ報いを受けるという警告状を受け取った。

 この事態は、労働者が労働組合を結成しようと行動を起こした結果である。同社は約3,000人の労働者を雇用しているが、そのうち常用労働者はわずか466人で、残りは不安定労働者である。労働者によると、経営陣は不安定労働者の正規雇用化に関する所定の手続きに従っておらず、不安定労働者は複雑な筆記試験や面接を受けなければならず、常用労働者の地位を獲得できるかどうかは経営側の裁量に依存するところが非常に大きい。

 同様に、賃金構造も労働者を管理するために立案されている。労働強化や休暇付与も、労働者が直面している大きな問題である。

 労働者は2015年8月、全インド労働組合会議(AITUC)の助けを借りて「ホンダモーターサイクルアンドスクーター2f労働組合タプカーラ」を結成し、正式な登録を申請した。不安定労働者の正規雇用化は同労組の重要な要求の1つである。

 しかし、この組合登録に対して訴訟が起こされており、組合はまだ登録されていない。その後、4人の正規労働者と約800人の契約労働者が解雇された。

 労働者たちは現在、警察によって厳しく弾圧されている。警察は逮捕命令に基づいて労働者の自宅を捜索しており、その過程で家族をおびえさせている。

 ホンダ労働者は2月19日、グルガオン/マネサール地域で約50組合の連帯支援を大々的に表明し、グルガオンのホンダ本社前で抗議行動を実施した。この抗議デモには、マルチ・スズキ、リコおよびホンダ・マネサール工場の労働者が参加している。労働者たちは現在、警察に抗議集会やデモの組織さえ許可されていない。

 労働者の活動を推進するために、主要労働組合とホンダ・マネサール工場、マルチ・スズキの組合代表から成る13人編成の委員会が設置された。

 最近のデモで労働者が表明した主な要求は以下のとおりである。

1. 投獄されている労働者全員を釈放すること。

2. 労働者に対する虚偽の訴訟をすべて取り下げること。

3. 停職・解雇された労働者全員を復職させること。

4. 2月16日に穏やかな抗議を実施していた労働者に対する警察の暴行を公平に調査して処罰し、負傷した労働者全員に補償を提供すること。

5. 組合活動への関与を理由に労働者を不当に処罰しないこと。

 

 

トルコのルノー、約束を守らず、警察の暴力を利用して労働者を解雇

2016-03-02

 

トルコのルノーで警察と労働者が激しく衝突 【写真提供】ビルレシク・メタル・イス

トルコのルノーで警察と労働者が激しく衝突
【写真提供】ビルレシク・メタル・イス

 ここ数日、警察と解雇された労働者が激しく衝突している。労働者たちはブルサ市のオヤック・ルノー工場で復職と団結権を求めて平和的に抗議している。

 インダストリオール・グローバルユニオンと、オヤック工場で労働者の圧倒的多数を代表しているトルコの加盟組織ビルレシク・メタル・イスが2月4日にルノー経営陣と合意したあと、工場の労働者は2月29日に労働者代表選挙を行うことになっていた。

 この合意は社会的対話委員会(SDC)の構成と任務も盛り込んでおり、従業員代表と選挙実施権をめぐる議論の結果締結された。

 ルノー経営陣は挑発行為に出て、実施予定日のわずか数日前に選挙を中止し、トルコ労働社会保障省がこの選挙を違法とみなして圧力をかけてきたと弁解した。さらにルノーは、スポークスパーソン2人を含む10人の労働者を直ちに解雇した。

 ユルキ・ライナ・インダストリオール書記長は、これは労働者と代表的組合の軽視を露骨に示しているとして、「トルコの法律に職場での選挙を禁止する規定はないため、これは極めて挑発的な行為だ」とコメントした。

 オヤック工場経営陣は紛争を悪化させ、労働者を解雇し続けている。60人以上が職を失い、さらに54人が解雇手当を受け取って退職するよう求められている。

 現地の工場経営陣は平和的なデモ参加者に対抗するために警察を介入させ、労働者の自宅まで行ったり、出退勤時に圧力をかけたりして威嚇している。報告によると、警察は3月2日の夜勤終了時に21人の労働者を逮捕した。

 ライナ書記長はこう続ける。「労働者に対する暴力は決して受け入れることができず、即刻中止しなければならない。トルコ政府は基本的権利の行使をめぐってまた失策を犯している」「ルノーに対し、過去数カ月間に共同で成し遂げた合意を実施し、解雇された労働者を復職させ、約束どおりオヤック工場で自由選挙を実施するよう緊急に要請する」

 インダストリオールはルノー・グループとグローバル枠組み協定(GFA)を締結しており、結社の自由と中立性を含むILO労働基準に対する同社の取り組みを強化するとともに、特に技能、訓練、安全衛生、多様性に関する大幅改善をいくつか盛り込んでいる。

 ライナ書記長は次のように締めくくっている。「最近の出来事とルノーの無策はGFAに真っ向から反しており、私たちは同社に協約の尊重を要求する。現在の状況が続けば、ルノーはさらに大きな影響を受け、20年前から国際レベルで続いてきた建設的な社会的対話が破綻することになるだろう」