広報ニュース

第77号インダストリオール・ウェブサイトニュース(2018年3月31日)

ルーラ元大統領のキャラバン隊銃撃に憤慨

2018-03-29

 3月27日、ルイス・イナシオ・ルーラ・ダ・シルバ元ブラジル大統領の選挙運動バスが、ブラジル南部を遊説中にパラナ州で銃撃を受けた。この銃撃事件までの1週間、ファシスト・グループがルーラのキャラバン隊に敵意を示していたが、警察は適切な対応を取っていない。

 グローバル・ユニオン・フェデレーション11団体は、マリア・ナザレ・ファラニ・アゼベード在ジュネーブ国連ブラジル大使とブラジル公安大臣に書簡を送り、この問題を真剣に受け止めるよう当局に促した。

 「私たちはブラジル政府当局に対し、この犯罪的攻撃を調査して犯人を処罰するとともに、政治プロセスの行使において正常と平和を確保し、ブラジルが民主的共存を再開できるようにすることを求める」とヴァルター・サンチェス・インダストリオール・グローバルユニオン書記長は述べた。

 ブラジルでは民主主義に対する攻撃がエスカレートしており、2014年の大統領選の組織的妨害から、2016年のジルマ・ルセフ大統領に対する議会クーデターまで、さまざまな事件が起こっている。社会計画と労働者の基本的権利が攻撃されている。ブラジルの裁判所は、国営石油会社ペトロブラスの汚職調査と関連して、何の証拠もないままルーラ元大統領を起訴しようとしている。

 「当局が私たちを威嚇できると思っているとしたら、それは間違っている。こんなことをしても、私たちの力を強めるばかりだ」とルーラは語った。

 「ルーラ元大統領のキャラバン隊が犯罪的攻撃を受けたというニュースに憤慨しており、ひどく心配している。私たちはルーラ元大統領と、全国で彼を支持してさまざまな民主的・平和的デモに参加している何十万人もの人々と全面的に連帯している」とシャラン・バロウ国際労働組合総連合(ITUC)書記長は述べた。

 この書簡は、世界中で2億人以上の労働者を代表している下記のグローバル・ユニオンすべてによって支持された。国際労働組合総連合、インダストリオール・グローバルユニオン、国際建設林業労働組合連盟、教育インターナショナル、IAEAグローバルユニオン、国際ジャーナリスト連盟、UNIグローバルユニオン、国際運輸労連。国際食品関連産業労働組合連合会、国際公務労連、労働組合諮問委員会。

 グローバル・ユニオンは、下級裁判所の有罪判決を不服として上訴することによって無実を証明するルーラ元大統領の憲法上の権利を擁護するとともに、自由に移動し、自由に発言し、次の大統領選に立候補する彼の憲法上の権利を支持している。

 国際労働組合運動は、前ルーラ政権が国家主権と国際連帯を結びつけ、何百万人ものブラジル人の雇用と収入を創出することにより、社会的一体性に基づいて国際的な経済成長パラダイムを生み出し、ブラジルを超えて広く重要な貢献をしたことを認めている。

 

日本の金属労働者、昨年を上回る賃上げを獲得

2018-03-27

 2017年の企業業績に基づき、主要金属関連企業の一連の労使交渉が終わり、労働者は今年、賃金が大幅に上がる。この部門の中小企業(大企業のサプライヤーである場合が多い)も、あとに続くだろう。

 インダストリオール・グローバルユニオンに加盟している全日本金属産業労働組合協議会(JCM)傘下の主要組合は、春闘を経て、3月14日までに賃上げ要求への回答を引き出した。ほとんどの組合が、すでに新しい労働協約を締結しようとしている。

 今年は52組合が昨年を上回る賃上げを獲得した。3月19日現在、定期昇給分に加えて平均1,541円の賃上げとなる。今年の賃上げ額は昨年より約500円高い。

 各社の労使交渉では、産業構造の転換に対応するために産業・企業の生き残りをめぐって幅広い討議が行われた。このため、賃上げ交渉は最終局面までもつれ込んだ。自動車各社は今年の賃上げに同意したうえで、自動運転車や電気自動車の開発をめぐる競争の激化を理由に、今後の増額の可能性について一定の懸念を示した。

 電子産業の組合は、パナソニックや日立など大手13社との交渉で成果を上げた。電子労働者は昨年より500円多い1,500円のベースアップとなる。

 2017年の春闘で達成された結果について、髙倉明JCM議長は次のように述べた。
 「この結果は、私たちの『人への投資』の要求に沿って、組合員の意欲や活力の向上だけでなく企業基盤の強化にも寄与するものと確信している。今後回答を引き出す中堅・中小企業の交渉の指針にもなり、非正規労働者の労働条件改善にもプラスの効果を与えると思う」

 

鉄鋼・アルミ関税をめぐる最近の展開に関するインダストリオールの声明

2018-03-23

 インダストリオール・グローバルユニオンは素材金属部門の加盟組合と協議して、本日3月23日に実施される鉄鋼・アルミ輸入関税に関する米国政府の最近の決定と関連して、以下の声明を発表した。

 インダストリオール加盟組織は、アルゼンチン、オーストラリア、ブラジル、カナダ、EU全域、インド、日本、カザフスタン、韓国、メキシコ、ロシア、南アフリカ、トルコ、ウクライナなど、この部門の主要国で数百万人の素材金属労働者を代表している。

声明全文は以下のとおり。
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 2016年10月にリオデジャネイロで開催された第2回インダストリオール・グローバルユニオン世界大会において、貿易問題をめぐり集中的に討議した。全会一致で採択された政治決議によると、「インダストリオール・グローバルユニオンは、世界の労働運動とより広い社会の中で主導的役割を果たし、万人のためになる公正な世界貿易のビジョンを支持しなければならない」

 さらに、政治決議は次のように述べている。「貿易と投資は各国間および各国内で富の再分配をより公平にしなければならず、この新世代の貿易協定が依然支持している、規制緩和と自由化、民営化に基づく失敗したネオリベラル経済イデオロギーを拒絶しなければならない。私たちは、公正な貿易枠組みをめぐる新しいグローバルな討議によって、民主主義の基準と公益を保護し、人を最優先する社会政策の余地を生み出すよう求める」

 米国政府は3月初め、アメリカの国家安全保障を守るために鉄鋼輸入に25%、アルミ輸入に10%の関税を課すと発表した。関税が実施される3月23日現在、アメリカは、アルゼンチン、オーストラリア、ブラジル、カナダ、EU、メキシコ、韓国について上記の関税を免除しているが、多くの場合、理由が不確かで期間も定かではなく、国家安全保障との関連も曖昧である。これら各国の政府が米国政府との個別交渉で、よく分からないが何かほかの譲歩をしなければ、免除が取り消されるかもしれないと理解されている。

 このような状況において、インダストリオール・グローバルユニオンと世界中の素材金属部門の加盟組合は、万人のためになる公正な世界貿易を改めて要求し、なかなか解決しない世界的な鉄鋼・アルミ過剰設備問題に取り組むための努力を倍加した。私たちは鉄鋼・アルミ産業で雇用を保護・創出するための努力を強く支持するが、今回のように無差別、一方的かつ不公正で貿易戦争を引き起こすおそれのある関税の実施は批判する。インダストリオール・グローバルユニオンは、万人のためになり、国境を越えた労働者の連帯の原則に基づく、公正な世界貿易制度を改めて要求する。

 加盟組合が2016年11月のインダストリオール・グローバルユニオン素材金属世界会議でグローバルな鉄鋼危機に関する宣言を発表してから、世界の鉄鋼・アルミ市場はいくらか改善しているが、世界中の鉄鋼・アルミ労働者は相変わらず過剰生産能力に脅かされている。この過剰生産能力は中国に集中しており、中国は鉄鋼・アルミ業界に不公平な助成金を支給し続け、関連各国で鉄鋼・アルミのダンピングを継続、第三国経由で間接的に出荷しているケースもある。

 したがって私たちは、「いま押し寄せている産業破壊の波から雇用と地域社会を保護するために緊急行動を求める。この流れは世界的規模で産業雇用を破壊し、労働者の権利と労働条件を組織的に浸食している」という宣言の文言を繰り返す。

 実務的・日常的な試みが持続的な解決になり得ないことは明白だが、第2回大会の政治決議で述べられているように「複雑な政治問題は多面的な政治的取り組みによってしか解決できない」。このような状況において、免除などの一時的な解決法を求めるのではなく、世界貿易のために実行可能な規則を求めることが極めて重要である。保護主義とダンピングの間に適切な進むべき道を見つけることは決してできない。

 私たちは多角的交渉を奨励するとともに、世界規模の貿易戦争、世界中の労働者が最も損をすることになる戦争の誘発を回避するために、可能な限り努力することを約束する。

 各国政府は、OECD鉄鋼委員会や鉄鋼の過剰生産能力に関するグローバル・フォーラムなどの国際フォーラムで取り組みを調整して中国に圧力をかけ、生産能力の削減、過剰生産能力を生み出す不公正な取引方法の撤廃、他国における過剰生産能力の発生や増加の防止を求めなければならない。インダストリオール・グローバルユニオンは引き続き、それらの努力を支援し、OECD鉄鋼委員会に参加し、鉄鋼の過剰生産能力に関するグローバル・フォーラムへの労働組合参加を求めていく。

 私たちは各国政府に対し、鉄鋼・アルミの不公正貿易から組合員を守るために断固たる処置を取るとともに、それらの処置が、その過剰生産能力によって同様に脅かされている鉄鋼・アルミ労働者に損害を与えないよう確保することを要求すべく尽力する。

 私たちは各国政府に対し、鉄鋼・アルミ産業で雇用を保護・創出するための産業政策の導入も要求する。国際的な決定への依存を最小限に抑え、地方開発を促進するために、1人当たり消費量が少ない地域の域内消費量の強化に取り組まなければならない。

 さらに、世界的な鉄鋼・アルミの過剰生産能力の問題と闘うために、組合間の連携強化にも尽力する。この連携は、過剰生産能力が私たちの分裂・弱体化ではなく、グローバルな組合の力と連帯の強化をもたらすよう確保するのに役立つ。

以上

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インダストリオール、グレンコアのコバルト鉱山における労働者虐待を自動車産業に警告

2018-03-22

IAはグレンコア社のコバルトは、コンゴの劣悪な環境で採掘されていると自動車産業に警告した
全ての自動車メーカーに、コバルトの調達においてデューデリジェンスを実行するよう求めた

 グレンコアがコンゴ民主共和国に所有する鉱山の劣悪な労働条件が明るみに出たことを受けて、インダストリオール・グローバルユニオンは自動車産業に対し、同社に圧力をかけて事業を浄化させるよう求めている。

 鉱業と自動車産業の労働者を代表するインダストリオールは、何百もの自動車労組から成るグローバル労働組合ネットワークを利用して、自動車サプライチェーンでグレンコアがコバルト労働者を虐待している件について業界の自覚を促そうとしている。

 自動車産業は電気自動車の生産を増やしており、バッテリー用の重要な金属であるコバルトにますます依存するようになっている。グレンコアは世界最大のコバルトのサプライヤーである。

 2018年2月にコンゴ民主共和国に派遣されたインダストリオール実情調査団の報告により、グレンコアのカモト・カッパー・カンパニーとムタンダ銅山でコバルトを採掘している労働者は12時間勤務1回当たり750mlしか水を飲ませてもらえないこと、グレンコアは賞味期限を過ぎた食べ物を支給しており、風雨をしのげるまともな食事場所がないことが明らかになった。

 鉱山には適切なシャワーや沐浴施設もなく、労働者とその家族は汚染や職業性呼吸器疾患の危険にさらされている。「泥まみれで帰宅するので子どもを抱いてやることもできない」と、ある労働者は語った。

 このミッションは、労働者と家族がグレンコアの保健医療施設へ行くために42キロメートル移動しなければならないことも確認した。つまり、朝早く家を出なければならず、それでも帰りが夜になり、場合によっては治療を受けられないこともある。

 このミッションは、カモト・カッパー・カンパニーとムタンダ銅山の両方で労働者を代表しているコンゴ民主共和国のインダストリオール加盟組織、TUMECの緊急の要請を受けて実施された。

 TUMECは、コンゴ民主共和国のグレンコアの鉱山における賃金格差をめぐってスト実施を検討している。例えば、白人監督者は月給4,000米ドルで、直属の部下のコンゴ人は月給600米ドルである。

 報告書によると、グレンコアはTUMECとの労働協約を尊重しておらず、再交渉を拒否している。ミッションは、5年前から労働者の賃金が上がっていないことも確認した。

 世界のコバルトの60%以上が、世界最貧国の1つであるコンゴ民主共和国から供給されている。スイス系企業グレンコアの予想によれば、スマートフォン用バッテリーの重要部品でもあるコバルトへの需要は今後3年間に67%増えるだろう。コバルト価格は過去1年で倍以上に上がっている。

 昨年末、BMW、フォルクスワーゲン、フォードなど世界の主要自動車会社のグループであるドライブ・サステナビリティー・パートナーシップが、原料の調達に関連する倫理・環境・人権・労働権問題を確認し、それらに取り組むための新しいイニシアティブを開始した。インダストリオールはすべての自動車メーカーに、自動車産業向けのコバルトの調達においてデューデリジェンスを実行するよう求めている。

 ヴァルター・サンチェス・インダストリオール書記長は次のように述べた。
 「自動車会社は、各社が販売する電気自動車が責任をもって生産されているという顧客の期待に応える必要がある。それらの電気自動車のバッテリーにとって非常に重要なグレンコアのコバルトは、その期待にはほど遠い」
 「私たちは自動車メーカー各社にグレンコアから買わないよう頼んでいるわけではなく、グレンコアに圧力をかけて『責任をもって生産しており、労働者の権利と地元の地域社会を尊重している』という同社の主張どおりに行動させることを求めている」

 インダストリオールはグレンコアCEOのアイバン・グラセンバーグに書簡を送り、コンゴ民主共和国の鉱山における労働者の状況を是正するよう一連の要求を提示した。

 グレンコアはコンゴ民主共和国で、子会社のムタンダ・マイニングとカタンガ・マイニング(カモト・カッパー・カンパニーを所有)を通じて約1万5,000人を雇用している。2016年にカタンガで露天掘り鉱山の壁が崩落し、7人の労働者が亡くなった。

 

インダストリオール、パキスタンの鉱山で安全衛生キャンペーン開始

2018-03-15

IAはパキスタン政府に対し、鉱山における安全および健康に関する条約を批准するよう促している パキスタンでは2010年以降、少なくとも275名の鉱山労働者が事故で亡くなっている

 インダストリオール・グローバルユニオン加盟組織10団体がパキスタン政府に対し、鉱山における安全および健康に関するILO第176号条約の批准を促している。これに先立ってインダストリオール執行委員会は2017年11月、パキスタンの鉱山で死亡事故をなくすグローバル・キャンペーンの実施を決定している。

 このキャンペーンの目的は、パキスタンが鉱山労働者の安全衛生と生命を犠牲にして石炭に依存している状況の持続可能な解決策を見いだすことである。インダストリオールは政府に対し、ILO条約を批准し、国際基準に沿った法律上・規制上の枠組みの実施を公約するよう求めている。

 3月13日にイスラマバードの記者会見でキャンペーンが開始されたちょうど前日にも、バルチスタン炭鉱で死亡事故が発生し、この国の鉱山で安全性が危機にさらされている現状が浮き彫りになった。Sharigh炭田の鉱山で土砂崩れが起こり、炭鉱労働者のアフザル・カーンが死亡したのである。

 信頼できる情報源によると、2010年1月以降、少なくとも275人の鉱山労働者が亡くなっているが、負傷者数に関するデータは限られている。

 記者会見ではケマル・ウズカン・インダストリオール書記次長が発言し、こう述べた。
 「パキスタンの鉱山で死亡事故が相次いでいることを極めて深く憂慮している」
 「パキスタンは生産量・輸出量では主要な鉱業国ではないが、死傷事故は世界一多い。これを受け入れることはできない。この国の鉱山労働者を守るために立ち上がり、変化を求めて闘う必要がある」
 「パキスタン政府は鉱業に関する国際条約・慣行を直ちに批准し、実施するべきだ。政府、使用者および鉱山労働者が参加して真の政労使イニシアティブを実施し、安全衛生情報や訓練、協議を提供するとともに、鉱山の危険への対処に労働者を関与させなければならない」

 鉱物資源の豊富な多くの南側諸国のように、鉱物資源に恵まれたパキスタンも、資源を利用して衡平な開発を実現しようと苦闘している。

 パキスタンの石炭鉱業は規制されておらず、所有構造の断片化、鉱山の違法所有、安全衛生に関する国内法規の実施不足、負担過剰になった鉱山監督当局、非常に低い組合組織率が、安全衛生状況悪化の原因として考えられる。

 インダストリオールは、パキスタン労働大臣のハシム・ポパルザイ博士、在外パキスタン人・人的資源開発局連邦次官と会談し、パキスタン政府に条約の批准・実施を促した。

 ポパルザイ博士は安全衛生問題を認め、労働省として批准を支持すると約束した。パキスタンの安全・労働法は州レベルに委譲されており、第176号条約の条項を州法に組み込む必要がある。ポパルザイ博士によると、パキスタンの問題は適切な法律の欠如ではなく、検査や実施、教育の不備である。

 インダストリオールはイングリッド・クリステンセンILO国別事務所長とも会談し、採炭地域における意識向上と訓練への支持を求めた。

 インダストリオールは、国有企業であるパキスタン鉱物開発公社(PMDC)の当局者と会合を開いた。PMDCはパキスタンの岩塩坑と炭鉱の約20%を管理しているが、1997年に民営化が始まってから、この割合は大幅に低下している。現地の組合は民営化に反対しており、PMDCを安全基準のベンチマークとみなしている。しかし、PMDCは分裂した民間鉱業部門との競争にさらされており、民間部門は法律を尊重せず、常用従業員の代わりに契約労働者の利用を増やしている。

 このキャンペーンは、さまざまな部門の全加盟組合によって支持されており、第176号条約の批准が安全文化に貢献することを認識している。既存の安全衛生法規とその実施の評価が続いており、加盟組織は政府や立法機関へのロビー活動によって、第176号条約の批准への支持を最大化し、反対を最小化する戦略を策定することにしている。意識向上、能力強化、コミュニケーションおよび労働者の動員のために行動を起こす予定である。

 

OECD鉄鋼会合で関税と過剰生産能力に焦点

2018-03-08

IAはOECD鉄鋼委員会で、過剰生産によって鉄鋼労働者が解雇されている現状に懸念を示した グローバルフォーラムでは中東での生産増に伴って中核的労働基準が軽視されている状況を警告した

 2018年3月5~6日にパリで年2回のOECD鉄鋼委員会が開かれ、世界的な過剰生産能力とドナルド・トランプ米大統領による新関税実施案が議論の中心となった。

 トランプ大統領は委員会のほんの数日前に、アメリカの鉄鋼輸入に25%、アルミ輸入に10%の関税を課すと発表したが、詳細はまだ煮詰まっていない。

 この会合に参加した組合は、インダストリオール・グローバルユニオン、インダストリオール・ヨーロッパ、コミュニティー、英ユナイト、仏CFE-CGC Siderurgieなどである。

 インダストリオールは今回の委員会で、過剰生産能力が原因で鉄鋼労働者が解雇されている現状について繰り返し懸念を表明した。インダストリオールは、新たに発表された関税に関して合意点を見いだすために、素材金属部門の加盟組織と協議している。

 2017年のOECD鉄鋼委員会で批判の的になったのは、世界的な鉄鋼の過剰生産能力における中国の役割だったが、今回の会合では、この問題に一方的措置で対処しようとするトランプの計画に批判が集まった。

 ブラジル、カナダ、中国、インド、イタリア、日本、メキシコ、オランダ、ロシア、南アフリカ、韓国、トルコ、イギリス各国政府ならびに欧州委員会の代表は、鉄鋼貿易をめぐるセッションでトランプの関税計画に反対した。ヨーロッパとラテンアメリカの業界団体も反対を表明した。

 米政府代表は、トランプはまだ最終案を発表していないので対応しようがないと述べたが、過剰生産能力が根本問題だという他の参加者の意見に同意し、これまでに利用された措置はこの問題に適切に対処できていないと付け加えた。

 OECD鉄鋼委員会事務局の報告によると、現行水準の過剰生産能力を吸収するには、あと30年にわたって需要が伸びなければならない。中国政府は委員長に対し、世界の鉄鋼生産能力は2017年に1%減少するなど、最近わずかながら減っているが、主にアジアで減少していることを正式に認めるよう求めた。委員長は声明の中で、この減少は「絶対量では主としてアジアで見られる」が、他の地域も「相対的に重要」だと述べた。

 委員会は、世界的な過剰生産能力における国有企業の役割をめぐって議論し、国有企業が民間企業に比べて政府から不当に優遇されていることについて懸念を表明した。

 鉄鋼委員会の直後に、鉄鋼の過剰生産能力に関するグローバル・フォーラムが開催された。このグローバル・フォーラムは、OECD鉄鋼委員会と協力して鉄鋼の過剰生産能力危機に立ち向かうため、2016年にG20が設置したものである。鉄鋼委員会とグローバル・フォーラムの両方が各国に対し、協力して鉄鋼部門向け国庫補助金に関する共通の理解を深め、関連情報を共有するよう促している。

 インダストリオールは、中東で鉄鋼生産が急増すると同時に中核的労働権が軽視されている状況は深く懸念されると警告し、先ごろイランの鉄鋼労働者10人が未払賃金に抗議したために逮捕された事件を指摘した。

 「私たちはOECD鉄鋼委員会に対し、過剰生産能力だけでなく労働者の基本的権利の侵害についても、中東諸国政府に懸念を提起するよう促す」とアダム・リー・インダストリオール素材金属担当部長は会合で述べた。

 

イギリスのGKN労働者、借金を原動力にしたTOBの阻止を政府に要請

2018-03-01

GKNの労働者たちが英国会議事堂に集まり、メルローズ社による買収を阻止するように要求した
費用は多額の融資によって賄われ、GKNの段階的売却や雇用の削減・海外流失の可能性が危惧される

 イギリス全国のGKN労働者が国会議事堂に集まり、テリーザ・メイ政権が英国有数の老舗企業に対する借金を原動力にした買収を阻止するよう要求した。

 産業革命の幕開けの1759年に設立された自動車・航空宇宙会社GKNは、「再建」専門会社のメルローズによる借金頼みの敵対的買収に直面している。この買収によってGKNは13億ポンド以上の債務を背負い込み、メルローズの顧問たちは最大1億4,000万ポンドの報酬を手にする。労働者は、削減とリストラによって自分たちが借金の返済を求められると考えている。

 GKNは全英14カ所で6,000人を雇用している。2月28日、全国の事業所からGKN航空宇宙・自動車・国防労働者が国会議事堂に集まり、買収阻止を求めて国会議員と政府に働きかけた。

 インダストリオール・グローバルユニオン加盟組織のユナイトは政府に対し、国家安全保障を理由に、一般の人々のためにメルローズの公開買い付けを阻止するよう促している。GKNはイギリスの防衛装備を供給・維持している。

 ユナイトの考えでは、メルローズによる公開買い付けは「例外的な配当」によって株主を引きつけるために多額の融資を利用しており、GKNに債務を負担させる。買収の主眼は、株主と銀行、それに2億8,000万ポンドを超えるボーナスを受け取るメルローズ経営幹部への支払いにほかならない。メルローズは、数千人の熟練雇用を守るための投資に基づいて、GKNの未来のために本格的な長期計画を立ててはいない。

 メルローズによる買収の結果、GKNの段階的売却や雇用の削減・海外流出に至る可能性がある。

 ユナイトのトニー・バーク製造業担当書記次長は次のように述べた。
 「GKNはワールドクラスのメーカーで、政府の産業戦略に不可欠であり、英国製造業の重要企業の1つだ」
 「メルローズの手中に落ちれば、すべてが危険にさらされ、イギリスを電気自動車分野のリーダーにという閣僚の計画が台無しになりかねない」
 「借金を原動力にしたメルローズの公開買い付けは、フランスやドイツでは起こらないだろう。テリーザ・メイは国益のために行動すると言っている。今こそ、その言葉を実行に移し、政権がGKNの買収を阻止することによって英国の雇用を守らなければならない」

 インダストリオールとインダストリオール・ヨーロッパは以前ユナイトに書簡を送り、ユナイトの立場への支持を表明した。ケマル・ウズカン書記次長は国会議事堂での集会に先立って次のように発言した。
 「メルローズはGKNに投資して数千人の熟練雇用を守るという意志をまったく示していない。この借金頼みの取引は、株主の短期利益と経営幹部のボーナスを生み出すことしか考えていない」
 「私たちは生産的経済を食い物にする投機家に反対しているユナイトを支援する」