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第92号インダストリオール・ウェブサイトニュース(2019年6月30日)

職場における暴力とハラスメントに関する新しいILO条約を実現!

2019-06-21

これは歴史的瞬間である。100周年記念ILO総会は今日、仕事の世界における暴力とハラスメントをなくすための新しい条約・勧告の採択を圧倒的多数で可決した。

この条約・勧告の採択は、仕事の世界におけるジェンダーに基づく暴力(GBV)に取り組むための国際労働文書を獲得しようと何年も闘ってきた労働者と労働組合運動にとって非常に大きな勝利である。新しい第190号条約は、労働組合がGBVとの闘いを推進する特別な機会を示す。

これらの新文書に基づき、各国は、仕事の世界における暴力とハラスメントの防止、労働者の保護、被害者救済手段の確立を目的とする法律や政策、メカニズムを採択することができる。

暴力やハラスメントのない労働環境を作る第一義的な責任を負う使用者の義務や、労働組合と労働者の役割・責任が明確に規定されている。

しかし、これは始まりにすぎない。労働組合は、これから各国で両文書の批准と実施を求めて運動しなければならない。

<Facebook> IndustriALL Global Union

偉業達成! ILOは仕事の世界における暴力とハラスメントに関する新しい第190号条約および勧告を採択した。世界中の労働者・労働組合にとっての、この歴史的な勝利を祝おう。この新しい国際労働基準は、契約上の地位にかかわらず、すべての労働者、特に女性の保護に役立つ。

労働組合は、これから各国で両文書の批准と実施を求めて運動しなければならない。これは始まりにすぎない!

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なぜ歴史的なのか?

これらの新文書は、職場における暴力とハラスメントに悩まされている何百万人もの労働者、特に女性の保護の不足を補う。これまで、この問題に取り組むために行動を起こす基準を定めた国際レベルの法律はなかった。

新しい条約・勧告は、仕事の世界における暴力とハラスメントの影響や、GBVを含む暴力のない仕事の世界に対する万人の権利を認めている。暴力とハラスメントは容認できるものではなく、ディーセント・ワークと両立せず、人権侵害である。

どちらの新文書も、女性と少女への特定の影響を認め、GBVの原因(ジェンダー・ステレオタイプ、差別、性別に基づく不平等な権限)に取り組むジェンダーに敏感なアプローチの必要性を強調している。ジェンダーに基づく暴力が、他の社会的弱者や危険にさらされやすい状況にある集団に及ぼす特定の影響も強調されている。

この条約はなぜ進歩的で有意義な文書なのか?

この条約は犠牲者の保護に関して一歩前進している。
「暴力とハラスメント」という用語は1つの概念とみなされ、一連の受け入れ難い行為や慣行、あるいは脅威を指す。
この条約は、身体的危害のみならず心理的、性的あるいは経済的なものも含めて、あらゆる種類の危害を対象としている。

労働組合運動は、すべての労働者、中でも特に弱い立場にある不安定労働者を保護する法律文書の獲得を目指して懸命に闘ってきた。この条約はボランティアやインターンも含めて、契約上の地位にかかわらず全労働者を保護している。

さらに、条約が提示している仕事の世界の概念は、職場だけでなく、出張や訓練、行事、通勤など、仕事に関係のある空間や状況にも適用される。新文書は新しい情報通信技術に伴うリスクにも対処している。

この条約に基づいて各国は、家庭内暴力の影響を認識して仕事の世界への影響を緩和するために、適宜の処置を取らなければならない。そのような措置として、被害者の休暇や柔軟な労働形態、被害者の保護、解雇に対する保護、家庭内暴力の影響に対する認識の向上が挙げられる。

この条約・勧告はどのように労働組合を促進するか?

条約・勧告ともに、職場における暴力とハラスメントに関連する法律や戦略、手続きの策定にあたってソーシャル・パートナーと協議する政府の義務を概説している。政府は労働組合に、GBVをはじめとする問題に関する資源や訓練も提供すべきである。
勧告は、暴力とハラスメントを防止して対処し、仕事の世界における家庭内暴力の影響を可能な限り緩和する手段として、あらゆるレベルの団体交渉権の承認も促進している。
新しい文書は、職場方針の立案・実施・監視やリスクの評価・確認に労働者とその代表が参加することも定めている。
労働者には、すべての危険について説明を受け、暴力とハラスメントに起因する生命、健康または安全に対する切迫した重大な危険があると思われる労働状況から離れる権利がある。

さらに労働組合は、各国および労働者とともに、暴力とハラスメントにさらされる可能性が高そうな部門や職業、労働形態を確認したり、これらの労働者を保護する措置を考案したりする。

条約は2つの加盟国が批准してから12カ月後に発効する。勧告には法的拘束力がなく、条約の適用方法に関するガイドラインを示す。

<Twitter> IndustriALL @IndustriALL_GU
偉業達成! @iloは仕事の世界における暴力とハラスメントの根絶に関する新しい条約および勧告を採択した。世界中の労働者・労働組合にとっての、この歴史的な勝利を祝おう。
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