広報ニュース

第130号インダストリオール・ウェブサイトニュース(2021年7月2日)

ILO総会、COVIDからの回復に向けた強力な行動を要求

2021-06-24

【JCM記事要約】

  • 第109回ILO総会がオンラインで開催され、最終的に政労使代表の全会一致で、パンデミックからの人間回復にむけた行動に関するグローバル協定が採択された。
  • 総会にて、インダストリオールはベラルーシやエチオピアにおけるILO第87号条約、ルーマニアにおけるILO第98号条約の侵害を非難した。またミャンマーの軍事政権へ異議を申し立て、ILO総会は人権侵害の中止等を求める緊急決議を採択した。
  • インダストリオール・サンチェス書記長は、パンデミックの危機が不平等を深刻化させているとし、公正な世界的回復を実現するためには、ILOで確立された基本条約を効果的に保証するしかない、と強調した。

 

2021年6月24日:パンデミックは今も世界中で荒廃をもたらしており、民主主義に壊滅的な影響を与えている。第109回国際労働機関総会(ILO総会)の最後に、COVIDからの回復に向けた行動に関するグローバル協定が締結された。
                                                      

今回のILO総会(今年はオンラインで開催)では、COVIDと社会的保護が主要な議題として取り上げられた。発生から1年以上が過ぎたパンデミックの影響に対応して、パンデミックに関する強力な行動要請が採択された。ILO100周年宣言の実施を促進する人間中心の回復のための世界的な行動要請が、政労使代表によって全会一致で採択された。

国連機関で唯一の三者構成の場であるILO総会の代表団は、加盟国の使用者、政府および労働者代表で構成されている。ILO総会の基準適用委員会(CAS)では、ILO条約違反の個別事例19件をめぐって、実質的な議論が時には激しく戦わされたが、すべての事例について何とか結論が採択された。

インダストリオールと加盟組織は、ILO総会の各委員会と基準適用委員会に積極的に参加し、さまざまな国で労働者の権利が尊重されていない実態を非難した。

インダストリオールは他のグローバル・ユニオンならびに加盟組織とともに討論に加わり、ベラルーシ、エチオピア、カンボジア、コロンビア、カザフスタンにおける結社の自由と団結権保護に関するILO第87号条約およびルーマニアにおけるILO第98号条約の最も重大な侵害を非難した。

CASはベラルーシの事件について最も強力な結論を発表し、「ベラルーシで続いている結社の自由に関する労働者の権利侵害については、特に項目を設けて検討しなければならない」と述べた。これはILO条約を組織的に侵害している国に対してCASが講じる最も強力な措置である。

インダストリオールは他のグローバル・ユニオン評議会メンバーと共に、国連全体を通してミャンマー軍事政権の正当性に異議を申し立てた。ILO総会はミャンマーに関する緊急決議を採択し、特に軍事政権に対し、人権侵害の中止、結社の自由に関するILO第87号条約の尊重、暴力と独断的な逮捕・拘束の中止を強く促した。

「前例のない危機に直面して、前回の世界的な危機からの回復が、富を生み出していながら、公平な分配をもたらしておらず、不平等を深めていることを認識しなければならない。ILOは、政府、使用者および労働者が仕事の世界を改善するために合意を求める三者構成原則の本拠地だ。公正な世界的回復を実現するには、特に結社の自由と団体交渉権を確保することによって、ILOで確立された基本条約を効果的に保証するしかない」とヴァルター・サンチェス・インダストリオール書記長は言う。

 

 

ILO、ミャンマーの民主主義復帰を要求する決議を採択

2021-06-23

【JCM記事要約】

  • 第109回ILO総会が開催され、労働者グループが緊急課題としてミャンマーに関する決議案を提出した。ILO採択選考委員会は、ミャンマーの違法な軍事政権の信任を拒絶したうえで、決議を公式に採択した。
  • 決議では、平和的抗議運動に関与した労働者や市民に対する攻撃をやめるよう要求し、さらに軍事政権に対してILO第87号条約を尊重、暴力と独断的な逮捕・拘束の中止を促している。加盟国へは国連などを通して民主主義への復帰を支援するよう勧告した。
  • インダストリオールは、多国籍企業へ国軍関連ビジネスとの関係を断つよう求めたり、ストライキ基金への寄付などを通じてミャンマーの組合・労働者と連帯している。サンチェス書記長は、第109回ILO総会での決議採択を歓迎したうえで、今こそILO加盟国がミャンマーに圧力をかけ、正当性を欠いた政権を承認しないようにすべき時だと強調した。

 

2021年6月23日:国際労働総会(ILO総会)は、ミャンマーの違法な軍事政権の信任を拒絶したうえで、ミャンマーに関する重要な決議を採択し、同国における民主主義の回復と人権の尊重を要求した。
                                                     

世界の労働組合総連合100団体以上から成るILOの労働者グループは、6月9日に緊急課題としてミャンマーに関する決議案(英語)を提出した。ILOの採択選考委員会は、6月19日に決議を公式に採択した。

この決議はミャンマーに対し、民主的秩序と民政を回復させるとともに、市民的不服従運動(CDM)の平和的抗議に関与した労働者、使用者、労使組織および市民に対するすべての攻撃や脅迫をやめるよう要求している。

さらに軍事政権に対し、人権侵害の根絶、結社の自由に関するILO第87号条約の尊重、暴力と独断的な逮捕・拘束の中止を強く促している。加盟国には、国連、その他の多国間・地域機関を通して民主主義への復帰を支援するよう勧告した。

民主化を要求する活動家や労働者に対する軍の弾圧が続いている。これまでに871人が殺害され、5033人が逮捕・起訴されたり、有罪判決を受けたりした。その1人は、鉱山労働者でインダストリオール加盟組織MWFMの組合員、チャン・ミー・チョーである。

軍事政権はミャンマー労働組合総連合(CTUM)執行委員のパスポートを取り消し、委員の大半が潜伏を余儀なくされている。弾圧の強化にもかかわらず、ピョー・サンダーCTUM書記次長が、ILO理事会の労働者グループの代理委員に選ばれた。

ヴァルター・サンチェス・インダストリオール書記長は言う。

「民主主義を擁護しているミャンマー市民の弾圧を強く非難する。軍事政権は退陣し、選出された政府を復活させ、市民や労働組合に対する攻撃をやめなければならない。第109回ILO総会での決議採択を歓迎する。今こそ、ILO加盟国がミャンマーに圧力をかけ、正当性を欠いた政権を承認しないようにすべき時だ」

インダストリオールは2月のクーデター以降、多国籍企業に圧力をかけて国軍関連ビジネスとの関係を断つよう求めたり、加盟組織を動員してミャンマーのストライキ基金に寄付したりすることによって、ミャンマーの組合・労働者と連帯している。

労働者グループのカトレーヌ・パシエ議長は、本会議での演説でILO理事会に対し、来年のILO総会で決議の実施をフォローアップするよう要請した。

 

 

フェミニスト・ストライキ2021――尊重! 賃上げ! 年金増額!

2021-06-15

【JCM記事要約】

  • 2021年2月、スイス連邦レベルにおける女性の選挙権・参政権50周年が祝福された。2019年6月には、1991年6月のフェミニスト・ストライキを再現し、50万人以上の女性が平等の拡大を求めて街頭に繰り出した。
  • 50年が経過した今でも、男女間の賃金格差が拡大している他、性差別主義と女性に対する性的暴力の構造的問題もある。さらに、パンデミックにより、女性は最前線に立っているのにもかかわらず、低賃金で不安定な状況に置かれている。
  • インダストリオール・サンチェス書記長は、平等を求め、資本主義的な父権制に反対する闘いにおいて、スイスの加盟組織を支援する、とした。

 

2021年6月15日:私たちは今年2月、スイス連邦レベルにおける女性の選挙権・参政権50周年を祝った。女性は、もはや第二級市民ではなくなった。50年後の今、女性が二級労働者として扱われないようにするために、私たちはまだ結集しなければならない。
                                                      

「男女には同一労働同一賃金の権利がある」。この権利は1981年以降スイス憲法に明記されている。だが、

  • スイスでは、女性の所得は男性より19%少ない。
  • 定年に達したとき、女性が受給する年金は男性より3分の1少ない。
  • 保育面の解決策が現在より安い価格で利用できれば、働く母親の70%が経済活動の拡大を選ぶだろう。

フェミニスト・ストライキ――2021年6月14日、ジュネーブ

2019年6月、50〜100万人の女性が平等の拡大を求めて街頭に繰り出し、1991年6月14日のスイス初のフェミニスト・ストライキを再現した。

女性の意見はまだ聞き入れられていない。

パンデミックの結果、女性は最前線に立っていながら、しばしばあまりに低い賃金で、十分な人員が配置されず、不安定性が広く見られる状況下で働いていることが明らかになった。

男女間の賃金格差が広がっている。現在、女性は男性と比較して午後3時19分に賃金支給がストップしている。2019年には3時24分だった。

6月9日、国民議会は女性の定年を65歳に延長する案に大差で賛成した。これは賃金格差の根絶によって是正できるのだから、女性に年金制度改革の代価を払わせることは受け入れがたい。

これに加えて、性差別主義と女性に対する性的暴力の構造的問題がある。

スイスの労働組合はフェミニスト・ストライキに参加しており、6月14日に動員を要求している。

UNIAにとって、これは女性が遂行している必要不可欠な仕事を再評価し、女性の権利に対する攻撃を阻止するチャンスであるだけではない。同労組は創設以来初めて、指導部で女性が過半数を占めている。

SYNAは、13カ月目の賃金、休憩の保証、生活賃金を要求している。これらは多くのサービス部門労働者にとって決して所与の条件ではない。

「2019年の強力なフェミニスト・ストライキは非常に重要だった。数ある業績の中で、このストはILO第190号条約の採択を求める強力な運動の一部であり、2019年6月21日にジュネーブで実施された。この強力な動員にもかかわらず、スイスの女性労働者を取り巻く状況は進歩どころか退行している。インダストリオールは、今すぐ平等を求め、資本主義的な父権制に反対する闘いにおいて、スイスの加盟組織を支援している」とヴァルター・サンチェス・インダストリオール書記長は言う。

 

          

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

インドネシアの女性労働者、政府に申し入れ職場に女性保護ハウスを設置

2021-06-10

【JCM記事要約】

  • インドネシアの主要工業地帯へ設置されている、ジェンダーに基づく暴力や差別を報告できる女性労働者向けの保護ハウスに関して、同国女性労働者が政府への増設の申し入れに成功した。
  • 女性エンパワーメント・児童保護省による職場における女性労働者保護ハウスの準備に関する2020年規則第1号が制定されて以降、増設へ向け働きかけがされており、5月に行われた同省幹部との会談にて増設案が歓迎され、増設へ向け調整されることとなった。
  • インダストリオール東南アジア地域事務所・アニー所長は、保護ハウス増設のための女性労働者の努力を称えたうえで、改めて職場における暴力とハラスメント根絶のためILO第190号条約の批准を求めて運動していくと強調した。

 

2021年6月10日:インドネシアの女性労働者は、主要工業地帯に女性労働者向けの保護ハウスを10〜15棟増設することについて、政府への申し入れに成功した。
                                                  

会社の敷地や工業地帯に建てられる保護ハウスで、女性労働者はジェンダーに基づく暴力、差別、母性保護の不遵守を報告することができる。政府機関は、人的支援や精神的支援、リハビリ面での支援を提供している。

インドネシア女性エンパワーメント・児童保護省が職場における女性労働者保護ハウスの準備に関する2020年規則第1号を制定してから、インダストリオール・グローバルユニオン・インドネシア協議会の女性委員会は、製造業労働者向けの保護ハウス増設に向けて同省に積極的に働きかけてきた。

2021年5月27日にジャカルタで開かれたラファイル・ワランギタン女性労働者保護局次長補との会談で、同次長補は女性委員会の案を歓迎し、女性委員会が確認した工業地帯での保護ハウス設置を調整する意向を表明した。

同省は、このプロセスを開始するための対話に使用者と地方政府職員を招待することを約束した。同省は現在、チレゴン、カラワン、パスルアン、ビンタンおよびカクン工業地帯に6棟の保護ハウスを設置している。

スザナ・プルバ女性委員会議長は言う。

「女性委員会は、女性労働者保護ハウスの設立を主導している。政労使すべての当事者が協力し、仕事の世界における暴力とハラスメントをなくして母性保護を実現してほしい」

アニー・アドビエント・インダストリオール東南アジア地域事務所所長は言う。

「職場の女性労働者保護ハウス建設プロセスを開始するために、女性委員会が多大な努力を払っていることを称賛する。インダストリオールは、職場における暴力とハラスメントを根絶するために支援し、ILO第190号条約の批准を求めて運動していく」