広報ニュース

第146号インダストリオール・ウェブサイトニュース(2022年6月2日)

南アフリカの金属労働者会議、変化する仕事の世界における交渉戦略めぐり議論

2022-04-20

【JCM記事要約】

  • 4月11~13日、南アフリカ全国金属労組(NUMSA)がヨハネスブルグ近郊で全国交渉会議を開催し、自動車や自動車部品の部門から288人の代議員が出席。本会議は、組合の交渉者と職場委員に交渉戦略を分析・策定する機会を提供する会議であり、今回は生活賃金と給付金、勤務条件に焦点が当てられた。
  • インダストリオール サハラ以南アフリカ地域事務所・ポール所長は、今回の活発な議論はNUMSAが仕事の世界の変革を受け入れ、デジタル技術を活用し職場委員が様々な情報を理解できるようにしていることを示すものであり、このアプローチにより労働者が給付金と生活賃金を維持できるようになる、と述べた。

 

2022年4月20日:全国交渉会議は、組合の交渉者と職場委員に交渉戦略を分析・策定する機会を提供する。金属労働者にとって、この会議は、初めて団体交渉という重要な組合の任務に就く、経験豊かな交渉者と職場委員向けの訓練・知識共有行事でもある。
                                                      

インダストリオール・グローバルユニオン加盟組織の南アフリカ全国金属労組(NUMSA)は、4月11-13日にヨハネスブルグ近郊のボクスブルグで全国交渉会議を開催し、2022年の交渉に向けて金属労働者の交渉戦略を議論した。この会議では、生活賃金、給付金および勤務条件に焦点を当てた。 

会議には、自動車、自動車部品、自動車修理、タイヤ製造など、NUMSAが組織化する各部門から288人の代議員が出席した。その他の重要部門は、電力会社エスコムの労働者を含むエネルギー部門、金属部門、エンジニアリング部門である。同労組が数社に――中央交渉の枠外で――個別協定の取り決めを許可する社内協定についても議論した。

会議の講演者は、鉱物資源・エネルギー省、南アフリカ統計局、それに貿易・産業政策戦略(TIPS)などの研究機関から招待され、同国の社会・経済状況と団体交渉への影響を説明した。

全国交渉会議は各部門について勧告した。例えば自動車部門に関しては、内燃機関から電気自動車への移行にあたって失業を引き起こしてはならず、2025年自動車基本計画をはじめとする政策に従って労働者の利益を保護すべきだと結論づけた。さらに、いくつかの部品の現地調達は、バリューチェーンの一部産業の生き残りにとって依然重要である。

公正な移行に関しては、石炭、原子力、再生可能エネルギーから成る同国のエネルギーミックスを考慮した、手頃な価格の持続可能な方法で実施しなければならない、と同労組は言う。さらに、石炭発電所の閉鎖にあたっては雇用を保障するとともに、労働者の権利と人権を保護する公正な移行計画を立てなければならない。同会議はエスコムに対し、経済に巨額の損失をもたらしている停電をなくすよう強く促した。

国有企業に関しては、エスコムで7%以上のインフレ率を緩和する賃上げを確保するとともに、南アフリカ航空とデネルの労働者に未払賃金を支払うよう勧告した。この会議は、国有企業の民営化を拒絶し、国有企業は公益を生み出すと主張した。

鉄鋼エンジニアリング部門では、鉄鋼基本計画を維持し、製造を促進するとともに、失業を招いているこの部門の産業の空洞化を阻止しなければならない、と同労組は述べた。

イルヴィン・ジムNUMSA書記長が次のように述べた。

「この会議は、組織的にどう態勢を整えなければならないかだけでなく、労働者の交渉力を強化するために、今回の交渉にとどまらず組織化と動員を構想する方法についても議論する場だ」

「全国交渉会議の任務は、職場の再編成においてグローバル化を超えて広がっている第4次産業革命への関与に関して、NUMSAの交渉戦略を絶えず立て直していくことだ。しかし、公正な移行と仕事の未来を慎重に考慮せずに最新技術を実施すれば、既存の雇用が脅威にさらされる」

「全国交渉会議での活発な議論は、NUMSAが、仕事の世界で起こっている転換を受け入れていること、職場委員に交渉・折衝技能を習得させ、デジタル技術を効果的に利用して業界の動向や複雑なサプライチェーンに関するその他の重要な情報を理解させていることを示している。このダイナミックなアプローチは団体交渉にとって重要であり、労働者が給付と生活賃金を維持できるようにする」とインダストリオール・サハラ以南アフリカ地域事務所所長のポール・フランス・ヌデソミンは言う。

                  

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

韓国の造船所労働者、37年の闘いを経て復職

2022-04-20

【JCM記事要約】

  • 民主的な労働組合の結成のため活動していた末に解雇された、韓国の造船所労働者のキム・ジンスク氏が、37年に及ぶ闘いを得て復職した。キム氏は解雇後も造船所労働者との連帯を続け、2003年と2011年の大量レイオフへの異議申し立ての際には重要な役割を果たし、多くの組合員の復職に貢献した。
  • インダストリオール東南アジア地域事務所・岩井所長は、キム氏の37年にもおよぶ労働者の権利と尊厳を求める闘いは、アジア労働運動史の1ページに値すると称え、韓国の造船所労働者への貢献に感謝の意を表した。

 

2022年4月20日:韓国・釜山の影島造船所で、労働組合員キム・ジンスクが37年に及ぶ闘いの末に復職した。
                                                      

数百人の組合員が式典に出席

 

インダストリオール・グローバルユニオン加盟組織の韓国金属労組(KMWU)の組合員数百人が2月25日、寒さをものともせず歴史的な復職式に出席した。

キムは彼女の復職を求めてたゆまず闘ってくれたKMWU組合員に感謝し、この画期的な復職が、1961〜1987年の韓国の独裁時代に民主主義を求めて闘い、国家が支援する暴力や不当解雇に苦しんだ労働者に、正義と救済へのアクセスを与える法律への道を開くことになればと語った。

ユン・チャンヒョクKMWU委員長が述べた。

「軍事独裁政権下で、女性の同僚キム・ジンスクを含む労働者は、国家が支援する暴力や赤狩り、誘拐、拷問、不当解雇に屈することなく、労働組合内で民主主義を求めて闘った。歴史を振り返れば、民主的な労働組合主義を求める闘いが社会変革にとって重要だったことが分かる」

「Park, Changsoo、Kim, Joo-ik、Kwak, Jae-kyu、Choi, Kang-seo、Kim, Guem-sikなど、亡くなった同僚が生き返るわけではないし、今回の復職にはあまりにも長い時間がかかったが、彼女がこの造船所に足を踏み入れ、自分の生涯を捧げた造船所労働者と食堂で一緒に食べるという歴史を作ったことをうれしく思う」

キムは1981年に溶接工として韓国造船に入った。彼女と同僚たちは不衛生な食事に抗議し、腐敗した組合役員が運営する御用組合を改革して民主的組合を結成するために闘った。その後1986年、同社はキムを解雇した。

1989年に同社の所有権が韓進重工業(HHIC)に移ったとき、新しい経営陣は依然として彼女の復職を拒否した。

キムは解雇後もなお造船所労働者と連帯し続け、2003年と2011年に同社の大量レイオフに異議を申し立てるにあたって重要な役割を果たした。

2011年、キムは労働者400人のレイオフに抗議し、309日にわたって高さ115フィートの造船所クレーンを占拠した。彼女の大胆な行動がきっかけで希望のバス運動が起こり、組合員94人の復職につながった。

2021年の冬、彼女は釜山からソウルの文在寅大統領府までの34日間の行進を開始し、自らの復職を要求した。大統領は彼女の訴えに応じなかった。その代わりに今年2月23日、KMWU韓進重工業支部の同僚が、使用者のHJ重工業(HJSC)と合意に達した。キムが定年に達したため、条件をめぐる交渉は式典のあとも続く。

キムは復職式で政治家に対し、韓国産業銀行改革法の制定に加えて、いくつか要求を出した――亡くなった労働者と遺族に重点を置く企業殺人法の修正、LGBT、移民、障害者および女性を対象とする包括的な反差別法の制定、民主主義のための闘いで犠牲になった他の労働者の名誉を回復するための法律制定、旭硝子、アシアナKO、国民健康保険公団および韓国道路公社の不安定労働者の問題を解決するための介入である。

「復職への紆余曲折にもかかわらず、労働者の権利と尊厳を求める37年間の闘いは注目すべきものであり、アジア労働運動史の1ページに値する。キム・ジンスクが韓国の造船所労働者に貢献してくれたことに感謝する」と岩井伸哉インダストリオール東南アジア地域事務所所長は述べた。

             

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ベラルーシの独立組合弾圧に反対

2022-04-20

【JCM記事要約】

  • インダストリオールはベラルーシの独立労働組合運動に対する弾圧を非難している。同国では、2020年8月から組合が攻撃を受けており、組合事務所や組合指導者の自宅が捜索されたり、活動家が拘束されたりしている。最近では4月19日に、ベラルーシ民主労働組合会議(BKDP)の多くの組合指導者・活動家が拘束された。
  • ベラルーシについてILOへ証言した組合指導者も拘束されており、インダストリオールはILOへこの事態に緊急に介入するよう求めている。また同国へ対し、拘留中の組合指導者・活動家全員を即時釈放し、組合運動に対する弾圧を一切やめ、社会的対話に基づき、労働組合との協力関係構築に着手するよう要求している。

 

2022年4月20日:インダストリオール・グローバルユニオンは、ベラルーシの独立労働組合運動に対する弾圧の強化を非難し、拘束された活動家の釈放を要求している。
                                                      

ベラルーシの独立組合運動に対する最新の露骨な攻撃は4月19日に発生した。

ベラルーシ民主労働組合会議(BKDP)とその加盟組合――インダストリオール加盟組織の自由金属労組(SPM)とベラルーシ通信・電子産業労組(REP)を含む――の事務所が捜索を受けた。組合の指導者・活動家の自宅も捜索され、デジタル装置や組合の文書が押収された。以下の組合指導者・活動家が拘束された。Alexander Yaroshuk、Sergey Antusevich、Irina Bud-Gusaim、Nikolay Sharakh、Gennady Fedynich、Yana Malash、Vitaly Chichmarev、Vadim Payvin、Mikhail Gromov、Aleksander Bukhvostov、Igor Komlik、Vasiliy Bersenev、Dmitry Borodko

アレクサンドル・ヤロシュク

 

それに先立つ4月7日、ベラルーシ国家保安委員会(KGB)は、ベラルーシ通信・電子産業労組を過激派組織に指定し、同労組の活動を禁止した。REPは、国内法と国際法を慎重に守りながら活動を運営している同労組が、なぜ過激派組織とみなされたのかについて、KGBに書面による説明を求めた。それに対する回答が、新たな捜索と拘束だった。

ベラルーシの組合は2020年8月から攻撃を受けており、組合事務所や組合指導者・活動家の自宅が捜索され、労働者の権利を求めて闘う人々が行政処分や拘束、禁固の対象になっている。このところ、組合活動家の尋問、組合事務所へのビデオ装置や盗聴器の違法な設置、組合員に組合脱退を迫る圧力が目立つようになっている。

ベラルーシは、民主的な労働者組織の弾圧によって、同国が批准済みの国際的義務(結社の自由および団結権保護に関するILO第87号条約など)に違反している。

ILO結社の自由委員会は3月、2004年ILO調査委員会の主要な勧告の実施を怠り続けていることを理由に、ベラルーシ政府を厳しく批判した。最近数年間にベラルーシに関してILOに証言した何人かの組合代表も拘束されている。インダストリオール・グローバル・ユニオンはILOに対し、この事態に緊急に介入するよう求めている。

これらの侵害を直ちにやめなければならない。

拘留中の組合指導者・活動家全員を即時釈放し、すべての訴えを取り下げ、組合が国内・国際法に沿って組合活動を実施できるようにすることを要求する。ベラルーシ通信・電子産業労組を過激派組織のリストから削除し、労働組合活動の続行を許可することが絶対に必要である。

ベラルーシに対し、組合運動に対する弾圧を一切やめ、社会的対話に基づいて労働組合との協力関係構築に着手することも要請する。

 

ジェンダーに基づく暴力とハラスメントのリスクおよび組合の対応に関するインダストリオール研究

2022-04-14

【JCM記事要約】

  • インダストリオールは、独フリードリヒ・エーベルト財団(FES)の出資のもと、衣料・鉱業・電子部門におけるジェンダーに基づく暴力やハラスメント(GBVH)のリスクに関する新しい研究を発表する。この研究は、ILO第190号条約と第206号勧告の条項を元にしており、労使双方がGBVHを防止し、それを労働安全衛生に含めるための基礎を築くことを目指している。
  • インダストリオールは今後、日本やインドネシアの電子部門の調査結果を記録した章や、南アフリカやコロンビアの調査結果をまとめた鉱業部門のジェンダーに基づく暴力に関する章を発表する。

 

2022年4月14日:インダストリオールは来週、衣料・鉱業・電子部門におけるジェンダーに基づく暴力(GBVH)のリスクに関する新しい研究を発表する。この研究は女性労働者・組合指導者100人の証言に基づいている。報告書には、この問題に取り組むための組合の対応も記載されている。
                                                      

この報告書は独フリードリヒ・エーベルト財団(FES)の出資によるもので、ジェンダーに基づく暴力の専門家ジェーン・ピリンジャーによる研究の成果である。

「この研究を実施して、世界中の女性に、彼女らが仕事の世界で直面している問題に関して発言権を与え、どうすれば組合はジェンダーに基づく暴力の根絶に向けて重要な措置を講じることができるか、またしなければならないかを示した。この研究は、鉱業・衣料・電子部門の女性労働者およそ100人への個別・集団インタビューにより、女性労働者が直面している暴力やハラスメントのリスクについての独自の洞察を提供する」

「とりわけ、組合における男女の権限とリーダーシップにより、これらのリスクに取り組んでジェンダーに基づく暴力とハラスメントを防止・対処し、この問題を組織化や訓練・意識向上、提言、労働者の代表の中心に据えることができることを示している。そのときに初めて、ジェンダーに基づく暴力とハラスメントに関する沈黙を本当に破ることができる」とジェーン・ピリンジャーは言う。

報告書は、3部門におけるGBVHの直接の証拠を示している。使用者と組合はGBVHにますます注意を払うようになっているが、GBVHは依然として広く見られる。この研究は、GBVHに関する女性の数々の経験と、GBVHがもたらす被害を明らかにしている。それらは言葉による虐待、性差別的なジョークやコメントから、より深刻な形態の持続的なセクシャル・ハラスメント、性的暴行、雇用や昇進の見返りとしての性的な交際の期待にまで及ぶ。

この研究は、ILO第190号条約と第206号勧告の条項をもとにしている。女性が日常的にさらされているリスクに焦点を当てており、労使双方がジェンダーに基づく暴力とハラスメントを防止し、ジェンダーに基づく暴力とハラスメントを労働安全衛生に含めるための基礎を築くものである。報告書は、仕事の世界における家庭内暴力の影響とリスクも強調している

「本報告書は、組合指導者と女性労働者の勧告を通して、また労働組合の優れた慣行についての洞察を通して、インダストリオールと加盟組織がジェンダーに基づく暴力をなくすための打開策についての手引を提供する」

「使用者に責任を負わせるためにもっと多くのことをするべきだ。インタビューに答えた女性たちは、企業とサプライヤーが講じる措置は依然あまりに頻繁に加害者を保護しており、無効かつ不十分だと証言した」とクリスティン・オリビエ・インダストリオール書記次長は言う。

今後数週間の発表予定:

  • 南アフリカ、コロンビア、カナダの調査結果をまとめた鉱業部門のジェンダーに基づく暴力に関する章
  • エルサルバドル、インドネシア、レソト、トルコの衣料・繊維部門研究を記録した章
  • インドネシア、インド、日本、ブラジルの電子部門の調査結果を記録した章
  • 詳細な報告書

 

鉄鋼労働者が戦時下の連帯を表明

2022-04-12

【JCM記事要約】

  • ドイツ・ベルギーのアルセロール・ミッタル工場の労働者は、ウクライナ東部クリボイログの工場をロシアの攻撃から守っているウクライナの鉄鋼労働者への支援を行っている。ドイツの鉄鋼労働者は薬や防寒服などを輸送隊を通じて送っており、ベルギーの労働者も物資を送るべく計画を進めている。
  • クリボイログ工場の組合指導者は、他国労働者からの支援により士気を高められ、闘いにおいて自分たちが孤独ではないと感じさせてくれるとし、国際連帯援助の重要性を唱えた。

 

2022年4月12日:ドイツとベルギーの鉄鋼労働者は、クリボイログのアルセロール・ミッタル工場をロシアの攻撃から守っているウクライナの鉄鋼労働者に、援助輸送隊を送っている。
                                                      

ウクライナ東部クリボイログのアルセロール・ミッタル工場は世界有数の鉄鋼工場で、鉄鉱石の採掘・加工と鉄鋼生産を含む統合プロセスで2万4000人の労働者を雇用している。この工場は、インダストリオール・グローバルユニオン加盟組織のウクライナ金属・鉱山労組が組織化している。

2月24日のロシアによるウクライナ侵攻直後に、ロシアの部隊はクリボイログ10キロ圏内まで進軍した。同社経営陣(その多くが外国人)はポーランドに避難し、現地の管理者と組合・労働者に事業の保護を任せた。

電力供給が途絶えれば鉱山労働者が地下に閉じ込められる恐れがあるため、採掘作業が真っ先に中止された。さらに3月3日、労働者たちは溶鉱炉を慎重に閉鎖し(安全に行うには7〜10日を要する複雑なプロセス)、対戦車防御を構築し、シェルターを建設した。

日ごろから空襲警報が鳴り響き、現場近くに爆弾が落ちているにもかかわらず、労働組合活動家はその場に残り、軍隊や領土防衛軍、病院、労働者への救援活動を調整したり、女性や子どもの避難を手助けしたりした。1600人近い労働者が領土防衛軍に召集され、緊急に保護具を見つけなければならなかった。

工場の組合指導者ナタリア・マリニュクは他国の鉄鋼労働者に情熱的に呼びかけ、政治的支援と人道的援助を求めて次のように述べた。

「ウクライナ国民は、この恐ろしい日々に皆様方がウクライナの側に立ってくれたことを心から感謝している。多くの方々が平和のためのデモに加わり、プーチンがウクライナとその国民に仕掛けた戦争の終結を要求した。皆様方の行動のおかげで、躊躇している国々の政府はロシアに対して措置を講じ、制裁を科さざるを得なくなっている」

彼女は必要とされる不可欠な人道援助物資を列挙した。

独ブレーメンのアルセロール・ミッタル工場の労働者は、所属組合のIGメタルを通して真っ先に反応し、薬や防寒服、寝袋、消火器、発電機の輸送隊をポーランドとの国境に送り、そこでウクライナの人々が物資を受け取った。

ブレーメン工場は4月上旬に2回目の物資を発送した。ベルギーのヘントにあるアルセロール・ミッタル工場のACV Puls労組の組合員も出荷を計画している。

3月末には、ロシア軍は工場から約70キロの場所まで撃退されていた。危険な状況は続いているものの、同労組は、市の経済基盤を維持するために生産を再開すべきだと強く主張した。4月2日、第6溶鉱炉の再開作業が始まった。4月9日に溶鉱炉への送風が行われ、現在では銑鉄を生産して鉄鋼を製造することができる。同労組は、経営側が亡命から戻って工場を運営するよう要求した。黒海の港を利用できないので、工場は現在、鉄鋼輸送の難題に直面している。近くで戦闘が続いているため、労働者はまだ不安を感じており、市を去った人々はまだ職場復帰していない。

IGメタルに感謝するクリボイログの組合員

マリニュクは、支援物資を送ってくれた鉄鋼労働者に感謝し、次のように述べた。

「国際連帯援助は、戦時下で当組合にとって極めて重要だ。元気づけて士気を高めてくれるからであり、自国と自由、ヨーロッパの価値観のための闘いにおいて自分たちが孤独ではないと感じさせてくれるからであり、外国の労働組合の素晴らしい同僚たちのおかげで、現在クリボイログとウクライナを守っている従業員に必要なものを届ける機会が得られるからでもある」

ウクライナの組合に支援を

  • インダストリオールは、ウクライナの労働組合を支援するために資金を集めている。寄付はここで。
  • 直接クリボイログとの組合連帯を手配したいと考える鉄鋼労働者は、現地組合指導者のナタリア・マリニュクを通して調整することができる。

                   

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

エネルギー部門の公正な移行イニシアティブ開始

2022-04-07

【JCM記事要約】

  • 4月7日、インダストリオールと国際労働組合総連合(ITUC)とLOノルウェーはエネルギー部門の公正な移行イニシアティブを開始するための会合を開き、32か国の組合から121人が参加し情報共有を行った。今回のイニシアティブの取り組みでは、新エネルギー分野における組織化の重要性を訴え、石油・ガス会社と労働組合のディーセントな雇用と公正な移行に関するグローバル協定の締結へ向け貢献することとなる。
  • インダストリオール・アトレ書記長は、今回のパートナーシップの目的の1つは、国連の後援で多国籍企業との公正な移行協定を策定することであり、グローバル協定は世界のエネルギー労働者にとって強力な手段になる可能性がある、とイニシアティブへの期待を述べた。

 

2022年4月7日:国際労働組合総連合(ITUC)とLOノルウェー、インダストリオール・グローバルユニオンは4月7日、エネルギー部門の公正な移行イニシアティブを開始するために初会合を開いた。
                                                      

32カ国の組合から121人が参加し、エネルギー部門の公正な移行イニシアティブの開始にあたって情報を交換した。組合はこのイニシアティブへの強い支持を表明し、各国における公正な移行の進展と組合による関与の欠如をめぐる懸念に取り組むことがタイムリーかつ重要であるとの考えを示した。

「強力な労働運動が必要だ。私たちが公正な移行を管理できなければ、労働者は立ち往生したままになってしまう。移行しなければ地球が安定した将来のために自力で修復できなくなる期限がある」

「他方、化石燃料以外のエネルギー源に良質な雇用があり、それらを組織化する必要がある。気候行動への投資が雇用をもたらすことは分かっているが、それらを良質な雇用にする必要がある。そして、それは組織化を意味する」とシャラン・バロウITUC書記長は述べた。

エネルギー部門は国家・地域経済で重要な役割を果たしている。国内・国際エネルギー企業は、これまで数百万人の組織化された直接雇用を提供してきた。エネルギー部門の収益は州・地域・国家予算にとって重要である。

ぺギー・ヘッセン・フォルスビクLOノルウェー会長が、ノルウェーでは、石油産業は過去50年にわたって最重要産業の1つだと説明した。国家収入の22%を占め、22万人以上の労働者を雇用している。

移行は困難を伴うが、不可能ではない。

「労働組合はパリ協定を支持しており、私たちは雇用が意外に早くシフトするかもしれないことを理解している。この部門の労働者のために公正な移行を確保することは重要な任務だ」とフォルスビクは続けた。

政治紛争や不安の高まり、戦略的競争、安全保障上の脅威を受けて、多くの国々がエネルギーシステムを再評価し、化石燃料の輸入から、あらゆる形態のクリーンエネルギー拡大の加速に移行している。エネルギー安全保障は気候問題と相まって、クリーンエネルギーならびに安全な国内のサプライチェーンの開発努力を加速させている。

大国はクリーンエネルギー転換技術への投資計画を立てているが、これらのテクノロジーへの移行が良質な雇用を維持・創出する保証はない、と組合は主張した。

参加者は、企業が一方的にエネルギー転換に投資していること、労働者がこのプロセスから締め出されていること、企業がパリ協定に定めるコミットメントの達成に十分な投資をしていないことも明らかにした。

労働組合は、現在までのエネルギー企業による取り組みに満足していない。既存の団体交渉、気候目標設定、責任ある企業イニシアティブは、この部門で十分な結果を達成していない。

今日のイニシアティブ開始には2つの取り組みが含まれている。最初の取り組みでは、雇用の実態を知るためにテクノロジーや各国の事例を調べる。組合と専門家が、水素やCCS、海上風力その他の再生可能エネルギー、代替燃料、エネルギーサービスといったテクノロジーについて、雇用や技能、市場、投資、排出に関する情報を共有する。

第2の取り組みにより、ITUCとLOノルウェー、インダストリオールは、石油・ガスをはじめとするエネルギー部門の公正な移行に焦点を当てた国連主導の新しい政労使プロセスの可能性を探る予定である。この取り組みは、石油・ガス会社と労働組合のディーセントな雇用と公正な移行に関するグローバル協定を締結し、実施するうえで役立つだろう。成功すれば、グローバル・ユニオンは対象を広げて他のエネルギー企業や工業会社も含める計画を立てている。

「今日開始されたパートナーシップの目的の1つは、国連の後援で多国籍企業との公正な移行協定を策定することだ。この協定は世界のエネルギー労働者にとって強力な手段になる可能性がある。労働組合は議論に参加する必要があり、社会はこの討議における労働組合の必要性を認めなければならない。このイニシアティブがどこまで成果を上げることができるか、とても楽しみだ」とアトレ・ホイエ・インダストリオール書記長は述べた。

                   

 

 

 

 

 

経済危機下のスリランカで賃上げを要求

2022-03-29

【JCM記事要約】

  • COVID-19パンデミックにより経済危機に陥っているスリランカでは、燃料や薬の価格が上昇しており、労働組合はそれに伴う賃上げを要求している。工場では原料不足と燃料不足による停電のために甚大な影響を受け、雇用状況が不安定になっている。
  • インダストリオール南アジア地域事務所・アプールヴァ所長は、同国政府は労働組合の要求に応えていないと対応を批判し、これ以上多くの命が失われないようにするため組合の要求を検討するよう求めた。

 

2022年3月29日:観光業に大きく依存しているスリランカの経済情勢は、COVID-19パンデミック下で悪化した。燃料や薬、牛乳、小麦、それに公共交通料金のような必需品の価格が急上昇しており、組合は労働者の生き残りのために賃上げを要求している。
                                                      

全国で抗議者が、政府に対し経済政策を変更して事態を収拾するよう要求している。国家労働諮問委員会(NLAC)にも加わっているインダストリオール・グローバルユニオン加盟組織は、壊滅的な経済情勢について政府に警告し、民間部門の不安定労働者への財政援助を要求した。

組合は、収入7万5000スリランカ・ルピー(258米ドル)未満の全世帯が、2020年1月の価格で燃料や灯油、パン、小麦、米などを買えるようにするよう要求している。月給6万スリランカ・ルピー(206米ドル)未満の労働者についても、賃金を1万スリランカ・ルピー(34米ドル)引き上げるべきである。さらに、最低賃金を月1万6000スリランカ・ルピー(55米ドル)から2万6000スリランカ・ルピー(89米ドル)に増額すべきである。

「我が国は悲惨な状況にある。人々は死にかけており、燃料を手に入れるために長い列に並んでいる。私たちは政府に請願書を提出し、要求を強く打ち出している。政府が要求に応えられる方法も詳述してあるが、政府は今すぐ行動を起こさなければならない」とインダストリオールに加盟している自由貿易地区・一般サービス従業員組合のアントン・マークス共同書記は言う。

燃料不足のせいで毎日停電が発生しており、スリランカから調達しているサプライチェーンや世界的ブランドは懸念を表明している。原料不足と停電のために、輸出加工区の工場は甚大な影響を受け、雇用状況が不安定になっている。

輸出はスリランカ経済に安定した外貨流入をもたらしているが、スリランカが数十年間で最悪の経済情勢に直面する中で、何百万人もの労働者が雇用と生計を失うおそれがある。一部の工場の労働者は、4日間の仕事で6日分の賃金を支払うと言われた。しかし、毎月払われる精勤ボーナスは差し引かれる。

アプールヴァ・カイワール・インダストリオール・グローバルユニオン南アジア地域事務所所長は次のように語った。

「前回の予算が発表される前に、加盟組織は政府にインフレ高進と生活条件悪化の問題を提起していたが、要求は満たされないままだった。インダストリオールはスリランカ政府に対し、組合の要求を検討し、これ以上多くの命が失われないようにするよう求める」