広報ニュース

第18号インダストリオール・ウェブサイトニュース(2013年11月12日~26日)

労働組合がワルシャワ気候協議で抗議の退場に参加

2013-11-21

 インダストリオールとITUCは11月21日、COP19の進展不足に抗議する労働・環境・開発NGOの退場に参加した。そのような幅広い非政府オブザーバー組織の連合がCOP会合に抗議して退場したのは、今回が初めてである。

 インダストリオールのブライアン・コーラー安全衛生・持続可能性担当部長は次のように説明した。「この協議は悲劇から茶番劇に悪化してしまった。台風ハイヤン/ヨランダで厳しい警告を受けていながら、各国指導者は問題に取り組む十分な意欲を示していない。それどころか、これまでのCOPで下された決定を撤回しようとする逆の動きが見られる」

 シャラン・バロウITUC書記長は次のように述べた。「カナダやオーストラリアなど最富裕国の一部が意欲的な目標に対する責任感の欠如を示し、ほとんどすべての先進国が不可欠な出資を約束せず、世界の労働者世帯向けの『公正な移行』措置の必要性に疑問を投げかけさえしたことに、私たちはショックを受けている」「企業が支配する状況は容認できない。環境・社会責任を支持する当の企業が、サプライチェーンを通して労働者と環境を搾取している」

  コーラー担当部長は付け加えた。「持続可能な未来に向けて秩序正しい計画的なプロセスを実施し、現在の労働者を尊重・保護しつつ、将来のディーセントな雇用を創出する技術を模索し共有することによってのみ、気候変動による破滅を回避できる。私たちの要求は何年も前から変わっていない――法的拘束力のある公正かつ意欲的な地球規模の排出制度に基づき、持続可能な未来への公正な移行を達成することだ」

 驚くに当たらないが、企業は措置を先送りするために偽情報キャンペーンや雇用に関する脅迫を盛んに行うだろう。これは科学とは無関係であり、気候変動対策によって価値が損なわれるかもしれない数兆ドル相当の化石燃料のことしか考えていない行動である。恥ずべきは、民主的に選出された政府が、自国民や世界中の他国民の声よりも企業の声に耳を傾けることだ。労働組合は政府の交渉担当者に対し、自分たちが誰の利益に奉仕しているのかをよく考え、有意義な協定を結ぶ権能を持って、2014年にペルーのリマで予定されている次期COPに参加するよう求める。時間がなくなりかけている。

 

造船・船舶解撤労組が不安定労働者の組織化に集中

2013-11-20

 111214日にデンマークでインダストリオール・グローバルユニオン造船・船舶解撤アクション・グループ会合が開かれ、参加組合は

インダストリオール造船・船舶解撤アクション・グループ会合で21組合38人がデンマーク金属労働者学校に参集

組織化と不安定労働との闘いに関する活動を優先課題に掲げた。新しい労働組合ネットワーク創出の可能性を探るために、多国籍企業の調査を開始することになった。 

 インダストリオール造船・船舶解撤アクション・グループ(AG)会合は、COインダストリ/デンマーク金属労組の主催により、2013111213日にデンマーク・イェアロネのメタルスコレン(金属労働者学校)で開かれ、21組合から38人が参加した。

 オーストラリア、ブラジル、チリ、デンマーク、フィンランド、フランス、ドイツ、インド、イタリア、日本、韓国、オランダ、ノルウェー、シンガポール、スペイン、台湾、イギリス、アメリカのインダストリオール加盟組織が、以下の議題をめぐり積極的に議論した。

●造船・船舶解撤産業の世界的傾向

●組織化および不安定雇用との闘い

●持続可能な産業の促進

●労働組合ネットワークの創出

●インダストリオール・グローバルユニオンとしての将来活動の立案

  AG会合の冒頭に参加者全員が、いくつかの主要な造船所があるセブ島も含めてフィリピンを襲った災害(超大型台風ハイヤン)の犠牲者を追悼し、1分間の黙祷を捧げた。

 世界の造船業は2008年以降設備過剰に陥っており、2012年の世界の新規注文は対2007年比77.6%減となった。この産業では激しい競争の結果、ソーシャル・ダンピングが横行し、職場で世界的に不安定雇用が増加している。同時に、インド、バングラデシュ、パキスタンの船舶解撤産業でも不安定労働者が13万人を超えており、船舶解撤は今後25年間増え続けるだろう。造船・船舶解撤両産業には、雇用条件に関して団体交渉を行う機会がまったくと言っていいほどない労働者がまだ大量に存在する。

 持続可能な産業の促進は両産業で重要事項となっている。伝統的な造船国・地域の組合は、政府・使用者に持続可能な産業政策を要求し、オフショア産業や環境保護分野といった高付加価値製品・サービスへの移行によって造船労働者の雇用を存続させ維持する方法を探し求めている。

 今や多くの造船会社がグローバルに活動しているため、労働者の権利の実施、労働条件と労働安全衛生の改善、不安定労働者・移民労働者問題への対処に関する交渉力を高めるために、国境を越えた組合連帯が必要である。AGは、BAE、ナバンティア、STX、ケッペル、ダーメンなどの多国籍造船会社で、新しい労働組合ネットワーク創出の可能性を模索し始めることに合意した。

 議論の要約としてAGは、すべての組合が2011年の造船・船舶解撤部門における持続可能かつ安全でグリーンな雇用に関するIMF-EMFグローバル会議の結論を引き続きフォローアップすること、2014年に以下の10大優先課題に取り組むことで合意した。

組織化および不安定雇用との闘い

●不安定労働者(特に下請労働者、外国人労働者、移民労働者)を強化・組織化し、団体交渉を通じて労働条件を改善する。

●この部門で不安定雇用に関する組合間のコミュニケーションを強化し、組合がインダストリオールのストップ不安定雇用キャンペーンに積極的に参加するようにする。

持続可能な産業の促進

●インダストリオールの持続可能な産業政策を立案し、自国のナショナルセンターや他の産業別労働組合と協力して政府に対する活動を強化する。

ILOが立案した造船・修理における安全衛生に関する新しい行動基準の起草プロセスに貢献する。

 労働組合ネットワークの創出

●商業・海洋部門で多国籍造船会社の調査を開始し、新しいネットワーク創出の可能性を探る。

女性参画

●この部門の会合・会議で30%超の女性参加率を達成する。

●部門別会合の議題とプログラムを改善し、女性参画を促進する。

  ギリシャのインダストリオール加盟組織パンヘレニック金属労連(POEM)に加入する造船労働者は、政府に激しく攻撃されている。ギリシャの労働者は1年以上前から労働条件が著しく悪化している。AGは、ギリシャの造船労働者に対する攻撃の中止ならびにPOEMとの連帯を求める決議を採択した。インダストリオールはインダストリオール・ヨーロッパとともに行動を起こし、ギリシャ政府に対し、労働組合活動家への告訴を断念するとともに、スカラマンガ労働者のために公正かつ公平な解決策を見つけるよう要求する。

 部会長選出プロセスについても議論し、満場一致で合意した。候補者が複数いる場合は、2014年のインダストリオール・グローバルユニオン世界造船・船舶解撤会議で、各参加国1票の投票で選挙を行う。AG参加者は、この世界会議を2014年秋に日本の長崎で開催することも確認した。

 AG参加者は1114日、世界有数の造船サプライヤーであるコペンハーゲンのMANディーゼル&ターボを訪問し、労使関係だけでなく、船舶用エンジンの設計・試験や重要部品の生産に関する工場の活動についても学んだ。MANディーゼル&ターボは、世界の既存船舶に使われているディーゼルエンジンの50%を設計・供給している。