新着情報(最低賃金連絡会議)

2012年度最賃連絡会議(2012年1月25日)

2012年01月25日

特定(産業別)最賃の重要性について
お互いに認識を一つにして対応を

2012年度最賃連絡会

金属労協は、2012年1月25日、神奈川県「ワークピア横浜」において、加盟5産別の中央・地方の最低賃金担当者270名が一堂に会し、金属労協2012年度最賃連絡会議を開催した。会議では、2011年度の取り組みを総括すると共に、1月23日の常任幹事会で確認された「2012年度特定(産業別)最低賃金の取り組み方針」を報告した。冒頭、有野副議長・労働政策委員長の挨拶の後、諏訪金属労協政策企画局主任が2011年度の取り組み経過について報告。須田連合総合労働局長から「最低賃金における動向と課題」について話を聞いた。続いて、井上事務局次長が「2012年度特定(産業別)最低賃金の取り組み方針」について報告した。全体討論では、各地方の最低賃金担当者から多数の意見・要望が出され、須田連合総合労働局長、萩原・木住野両中央最低賃金審議会委員、井上事務局次長が答弁を行い終了した。

有野副議長・労働政策委員長挨拶(要旨)

特定(産業別)最低賃金は、労使が自らの産業にふさわしい賃金を決めるべきもの。単に、地域別最低賃金が上回ったから役割が終わったという主張はいかがなものか。特定(産業別)最低賃金の必要性審議は、当該産業と関係ない人が使用者側委員として出てくることが構造的な問題としてある。われわれは自らの仕事に自負を持っており、われわれの産業の最低賃金が地域別最低賃金と同じで良いという人はいない。使用者側に対しても、そう言っていかなければならない。

労働組合として日頃から問題意識を持つとともに、審議会委員・専門部会委員は、公益側、使用者側とも十分な意思疎通を図る必要がある。特定(産業別)最低賃金の重要性について、お互いに認識を一つにして対応していきたい。

全体討論

参加者発言

◎東京では、使用者側の強硬な不要論により、一部の業種で必要性ありに至らずという結果になった。他の地域にも波及しかねない大きな危険性をはらんでいる。産別としても、あらゆる機会を捉えて、使用者側への理解活動を粘り強く行っていくが、金属労協がその専門性や経験を活かすとともに、連合との連携を強化して役割を果たしていただきたい。地方経営者団体と繋がりのある地方連合にも今まで以上に積極的な対応をお願いしたい。

◎特定(産業別)最低賃金不要論のような使用者側の主張が審議会の中でまかり通ってしまうということは制度の存在意義に関わる深刻な問題である。JCとして、当該産業労使の意図が反映される運営となるよう、そして他県へ波及することのないよう、関係各方面への訴えかけを積極的にすすめられたい。

◎神奈川でも、使用者側委員の強硬な反対によって、非鉄・電線業では必要性ありに至らない結果になった。産別としても、今後使用者側への理解活動をしていくが、関係労使を中心に必要性の協議ができるように審議のあり方を改めていただくようお願いしたい。

◎一般機械は代表的な経営者団体がないため、当該産業労使という点で使用者側をどのように巻き込むべきかが課題である。また、より高い水準を設定できる基幹的労働者の定義についても、今後検討していきたい。JCとして、学習会や交流の場をこれまで以上に設定してほしい。

◎最低賃金法改正時には、職種別の最低賃金は適用対象労働者の把握等が困難であるとの判断で見送られたというが、あるべき水準をめざす中で、中長期的に考えるべき課題であると認識している。

連合、中賃委員、事務局答弁

◎われわれ労働者側は、しっかり理論武装して、自信を持って取り組んでいくことが重要である。東京の問題は、審議会運営にも問題があり、全国に波及させてはならない。地域別最低賃金を下回った特定(産業別)最低賃金は廃止という主張がまかり通るのは問題である。

◎労働協約ケースでは、労働協約すなわち労使合意ということである。そのことを強く訴える必要がある。

◎審議会については、良好な関係をもって審議できるようにすることが重要である。地方連合会に問題があれば連合本部として指導するので、声を寄せてほしい。

◎使用者側委員の暴走を止めるのは、当該労使のイニシアティブ発揮しかない。そこをしっかり取り組んでいかなければならない。

◎特定(産業別)最低賃金を引き上げていくときに、基幹的労働者をどう考えるか。賃金のミニマム、未組織労働者にどのように波及させていくかなどについて、今後考えていかなければならない。

◎基幹的労働者の定義は、狭めては困るというのが連合の考え方である。さはさりながら、というのは今後の議論である。

◎法改正時に、職種別の最低賃金については、適用労働者と合意労働者を把握できるかという問題と、企業の賃金制度が職種別になっているか、という点が問題になり、労使とも、職種別の最低賃金を望まなかったという経緯がある。JCでは、使用者側への理解活動のためのバックアップ資料を作成する。今回の事態は、労使の理解を促進し、中期的な特定(産業別)最低賃金のあり方を考える上で、良い機会でもある。従来の延長線上の取り組みでは困難な状況となっているが、何が必要なのか、勉強会等を開催しながら考えていきたい。基本は、労使がイニシアティブを発揮できるようにすることであり、そのために何ができるかを検討していく。