第38回労働リーダーシップ上級コース開催

新しい労働組合の仕組みづくりについて研鑽
閉講式終了後全員で記念撮影

第38回労働リーダーシップ上級コースが、11月15日から11月27日まで2週間の日程で開催された。上級コースには、加盟産別・企連・単組から代表8名が受講した。

目   次
開講式
1週目―明治学院大学キャンパスで
2週目―全員合宿で葉山・ICP生産性国際交流センターで
4回にわたるゼミナールで労組で抱える課題を徹底討論
アクティブアプローチも学ぶ
総括シンポジウムで成果を発表―産別代表も参加して
閉講式

開講式

 明治学院大学記念館での開講式では、主催者である金属労協を代表して古賀伸明議長が挨拶した後、来賓として明治学院大学の大塩武学長、厚生労働省の太田俊明政策統括官から祝辞を受けると共に、運営委員長の大平浩二明治学院大学経済学部教授、運営委員の神田良明治学院大学経済学部教授、石井康彦高千穂大学商学部講師からそれぞれ挨拶を受け、最後に、フジクラ労働組合の伊藤太郎さんが「私たち受講生一同、21世紀の新たな労働運動を創造する情熱を持ち、お互いに励まし合いながら、最後まで積極的に真摯な姿勢で研鑽することを誓います」との力強い受講生宣誓で上級コースがスタートした。
開校式での挨拶
古賀議長 大塩明学学長 厚労省太田俊明氏 大平教授 神田教授 石井講師

受講生は、「社会・経済」、「企業」、「金属労働運動」の3つの大きな変化について講義を通じて学ぶと共に、「職場や労働組合組織で抱えている課題」についてゼミナールを通して討議を行い、労働組合としての戦略や解決のための方策を模索した。

1週目―明治学院大学キャンパスで

1週目は都内港区白金台の明治学院大学キャンパスにおいて、通学または泊まりで学んだ。

講義を通して、「社会・経済の変化」と「企業の変化」を中心に学んだ。「社会・経済の変化を読む」では、「日本の大きな変化と今後の展望」と題して、「経済からの視点」について高山憲之一橋大学教授から、「労働経済の視点」について清家篤慶応大学教授から、そして「政治の視点」について、金属労協政治顧問でもある大畠章宏衆議院議員から、それぞれ講義を受けた。
「企業の変化を読む」では、「コーポレートガバナンスと企業組織変革」、「グローバル時代の財務分析」、「グローバル市場の変化と企業の対応」、「企業組織の変動と労働法」についてそれぞれケーススタディも交えた講義を受けた。

講義1・
高山憲之教授
講義2・
清家篤教授
講義3・大畠章宏
衆議院議員
講義4・
大平浩二教授
講義5.財務分析
(石井康彦講師)
講義6.グローバル
市場の変化
(上原征彦教授)
講義7.企業組織の
変動と労働法
(山川隆一教授)
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2週目―全員合宿で葉山・ICP生産性国際交流センターで

2週目―三浦半島の葉山にある「IPC生産性国際交流センター」において全員合宿制で、「金属労働運動の変化」を中心に学んだ。「金属労働運動の変化」については、古賀議長による「新たな時代の労働運動と運動課題」の講義を受けた後、古賀議長との膝を交えての質疑応答の時間を持った他、團野事務局長による「金属運動の必要性と基盤再確立への挑戦」、小島正剛金属労協顧問による「国際化と多国籍企業の労使関係」ついて講義を受けた。

講義8.新たな時代の
労働運動と課題
(古賀議長)
講義8.古賀議長を囲んでの質問会 講義9.金属労働
運動の挑戦
(團野久茂事務局長)
講義10.国際化と
多国籍企業の
労使関係(小島顧問)

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4回にわたるゼミナールで労組で抱える課題を徹底討論

また、明学の大平浩二教授・神田良教授・石井康彦講師を指導講師とする、4回にわたるゼミナールでは、労組や職場で現在抱えている諸課題を持ち寄り、それらの課題に共通する問題点を掘り下げて、解決策について話し合い、各人でその成果をレポートにまとめた。

神田ゼミ(明学) 神田ゼミ(葉山)
大平ゼミ(明学) 大平ゼミ(葉山)
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アクティブアプローチも学ぶ

 この他、組合リーダーとして必要な実践スキルとして、「戦略づくりノウハウ」、「プレゼンテーション能力」、「カウンセリング能力」「ディベート能力」を関連付けて習得するアクティブ・アプローチも学んだ。

プレゼンテーション
(田中京子氏)
プレゼンテーション実習(田中京子氏) .組合戦略づくり
(神田良教授)
.ディベート(花田文夫氏) .カウンセリング(山本多喜司教授)
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総括シンポジウムで成果を発表―産別代表も参加して

講義最終日の11月26日には、コース総括としてシンポジウムを開き、各人がアクティブ・アプローチで学んだスキルも活用し、パワーポイントを使ってその成果を発表しあった。シンポジウムには、ゼミナール担当講師と共に、JC本部から、團野事務局長、若松事務局次長、4産別から役員(石村電機連合書記次長、佐藤自動車総連事務局次長、田嶋全電線中央執行委員)が出席し、受講生の成果を聞くと共に、コメントを述べた。シンポジウムでは、受講生のまとめたレポートを整理した結果、
第1部「新しい働き方について」、
第2部「人事制度について考える」、
第3部「労働組合のあり方について考える」の3部構成で、受講生一人ひとりが2週間の成果を発表し、意見交換を行った。

受講生シンポジウム発表
大森隆正氏 福本薫氏 堀井説也氏 菊川英児氏
宮健一氏 江川裕輔氏 山本義臣氏 伊藤太郎氏

総括コメント
大平教授 神田教授 石井講師

シンポジウム総括では、まず大平教授から、「評価システムや組織活性化に向けたいろいろな提言が出されたが、問題は職場に帰って何ができるかである。半年後のフォローアップ研修会で再び集うまでの間、各人がさらに職場において各人のまとめた考えを深堀してほしい」とコメントした。

神田教授は、「各人の発表を聞いて、大きな変化に直面していることがテーマに表れた感じがする。1部の『新しい働き方』では、労働の周辺にいる人(女性や高齢者など)の働き方が問題になっている。それに伴い、コアの労働者の働き方も変化を迫られている。一人ひとりの労働者の自立が必要な時代となってきた。個々人の労働価値、自己責任について、会社もそうであるが、路同組合としても考えて行かなくてはならない。
2部の『賃金・人事制度』については、目標管理制度と成果主義制度に関しては、経営者も本当のことは理解しないまま、変化してきている感じがする。労働組合の役割は、制度変更をいかにソフトランディングさせるかである。運用の面でいかに組合員の側に立った手を打てるかである。労働組合と基幹要員・組合員とのコミュニケーション・ギャップが顕著になってきている。組合員のマスの時代から、組合の個の時代に変化してきていることを認識しなければならない。労働組合自身が、マスから個へ変節点に来ている。労働組合がレギュラーな形でいかに個別対応していくか。組合員の減少に伴う活動の効率化をどう進めるか、サービスの個別化対応など計画を立てて労働組合として対応していくべき時にきている」等とコメントした。

石井康彦講師は、「組合活動については、組合員みんなが勝ち組になれるアイデアを労働組合が提示すべきである。組合員みんなが喜べるシナリオを出すことが組合の役割と言える。そのためにはまずビジョンが無ければシナリオが出来ない。ビジョンを立て、そして精緻な計算の裏付けが必要である。ポリシーの共有化を組合員同士がすべきである。プラン・シナリオを作るには、プレタポルテではダメである。オーダーメイドなシナリオづくりをする必要がある。昔は企業では、何でも平均値を大事にしてきた。企業はトータルコストが変わらなければ平均値でいい。組合はそうはいかない。組合はマーケットで救われない人を救う使命がある。魅力ある組合づくりを是非すすめてほしい」とコメントした。<ページのトップへ>

産別代表コメント JC本部コメント
自動車総連
佐藤事務局次長
電機連合
石村書記次長
全電線
田嶋中執
團野事務局長 若松事務局次長

この後、産別代表がコメントした後、JC本部を代表して、若松事務局次長、最後に團野事務局長が、「新しい労働組合の仕組みづくりの構築に向けて、今回の研修で得た成果を生かしてほしい」とコメントした。<ページのトップへ>

閉講式
閉講式 答辞を述べる学生長の福本薫氏 修了証を手に晴れ晴れとした受講生

11月27日の閉講式では、主催者を代表して團野事務局長が挨拶し、続いて、受講生一人ひとりに修了証が授与された。最後に、今回のコースで学生長を務めた三菱重工労組工作機械支部の福本薫さんが受講生を代表して答辞を述べて、2週間にわたるコースを閉会した。
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