広報ニュース

第81号インダストリオール・ウェブサイトニュース(2018年7月31日)

メキシコの自動車部門で新しい民主的労働団体を設立へ

2018-07-25

メキシコで2万5千人以上の労働者を代表する10組織が、自動車部門で民主・独立労連を設立すると発表した
新しい労連は政労使で取り決める「保護協約」が国内で主流だが、新大統領、労働当局と協力してこの有害な慣行と戦うことを誓約した

 メキシコで2万5,000人以上の労働者を代表する10組織が7月13日、近く自動車部門で民主・独立労連を設立すると発表した。彼らの望みは、メキシコで労働・産業政策の形成に参加することである。

 この新しい団体は自動車、自動車部品、物流、ゴムおよび航空宇宙産業の労働者を代表する10組織で構成される。新団体の目的は、尊厳をもって労働者を代表し、労働者の権利を擁護できる真の労働組合を労働者が自分たちで選び、自由に加入する権利を享受できるようにすることである。

 7月1日にメキシコ大統領に選出されたアンドレス・マヌエル・ロペス・オブラドールは選挙運動中、すべての労働組合の自主性を尊重すること、政府が労働組合民主主義と労働者の権利の促進に取り組むことを誓約した。

 これは労働組合に、この新しい民主的労連が政府との真の社会的対話をもたらす希望を与えている。メキシコでインダストリオールのコーディネーターを務めるホセ・ルイス・ロドリゲス・サラサールは次のように述べた。

 「メキシコの市民社会は、政府の全レベルに存在する腐敗と刑事免責の拒否を表明している。新政権の選出によって、この国の社会・政治・経済分野に変化を引き起こすチャンスが生まれている。今こそ団結してこの新しい企てを支援し、労働の世界を変革することが私たちメキシコの労働者の義務だ」

 メンバーたちは、労働者階級のために新大統領および労働当局と協力し、「保護協約」などの有害な慣行と闘うことを誓約した。

 メキシコの労働協約の主流となっている「保護協約」は基本的に、腐敗した企業内組合と使用者、政府当局の間で取り決められた協約である。その目的は、労働者の利益に反する搾取的な労働条件を維持することである。

 「全国レベルで作成された新しいシナリオをうまく利用し、労働者の真の利益を代表する新しい形態の労働組織を提案すれば、使用者の利益だけを保護する恥ずべき団体交渉の茶番に終止符を打つ手段を生み出すことになる」とロドリゲスは付け加えた。

 このたびプエブラ州で作業部会が設置され、新団体が登録して活動できるようにする法律文書の作成を委ねられた。新団体はメキシコの労働・産業政策に関するすべての意思決定において、より大きな役割を果たそうと努める。この団体は、新たに選出されたメキシコ大統領が2018年12月に就任して初めてNAFTA交渉が実施されるだろうと考えているため、北米自由貿易協定(NAFTA)をめぐる議論でも積極的な役割を果たせるようにしたいと希望している。

 ヴァルター・サンチェス・インダストリオール書記長は次のように意見を述べた。

 「新しいメキシコ民主・独立労連の設立決定を歓迎する。インダストリオール・グローバルユニオンは当初からこのイニシアティブを支持しており、保護協約に対抗して労働者全員の結社の自由を守るための闘いを引き続き全面的に支援していく」

 

フィアット・クライスラー/CNHi組合ネットワーク、3カ年作業計画を採択し、会社側に労働組合の承認を要求

2018-07-17

フィアット・クライスラー/CNHiは全事業単位、12カ国70名超の代議員がイタリアに集まり、年次労働組合ネットワーク会議を開催
この労組ネットワークは会社から認められておらず、今後は協力に向けた意義ある議論を促す旨を決定し、経営トップに手紙を送った

 フィアット・クライスラー/CNHiグローバル組合ネットワークは、イタリアのトリノで年次会合を開催し、詳細な3カ年作業計画を策定した。このグループは会社側に対し、ネットワークの承認と、公式的な協力に向けた討議の開始を促している。

 7月11~12日にFCA/CNHiのすべての事業単位(フィアット、クライスラー、ケース、ニューホランド、イベコ、マニエッティ・マレリなど)から12カ国70人超の代議員が集まり、イタリア・トリノのILO研修センターで年次労働組合ネットワーク会議を開いた。

 グループは今年、新しい3カ年計画の推敲に焦点を合わせた。この計画は、グローバル・ネットワークが、全世界で雇用と労働者の権利を守るための基本的手段として適していることを再確認している。計画には、グループの将来の組織機構に関連する不確実性に対処する能力や、自動車産業と製造業部門全般で進行中の転換プロセスが盛り込まれている。

計画の核となる要素は以下のとおりである。

  • 同社とのグローバルな協力関係の構築
  • 貿易政策や労働時間、女性参画などの社会経済問題をめぐる交流の重視
  • 代議員の国境を越えた能力を強化するための訓練コンセプトの設定
  • グローバル・ネットワーク会議における女性と若い労働組合員の増加
  • データベースの構築
  • 会合と会合の間のコミュニケーションの強化
  • 同社の全部署が役割を果たすよう確保することによる会合の議題の最適化

 ネットワークがまだ承認されておらず、会社側からの情報提供がないことが、会議で挙げられた唯一最大の問題だった。そこで組合は、FCA/CNHi経営トップに追って手紙を送り、今後の協力に向けて労働組合グループと意義のある議論に入るよう求める旨決定した。

 世界貿易と関連協定についても討議した。代議員は、貿易協定はビジネス目的で策定されており、一定水準の収入・労働条件や結社の自由といった労働者の利益を反映していることはめったにないと結論づけた。

 最後に同社の最新の事業発表を分析し、国別報告を交換した。

 

インドのゲルダウ鉄鋼工場で労働者6人が死亡

2018-07-13

インドのゲルダウ鉄鋼工場のガス漏れ事故で、労働者6名が死亡して3名が治療を受けている
この地域では事故に対して大規模な抗議行動が起こったが、労働組合がないために犠牲者の補償内容は不透明なままである

 7月12日にアンドラプラデシュ州アナンタプル地区タディパトリのゲルダウ鉄鋼工場でガス漏れ事故が発生し、労働者6人が死亡、3人が治療を受けている。

 ゲルダウ鉄鋼工場の毒ガス漏出事故は7月12日午後5時ごろに起こった。労働者たちがトンネルを掃除していたとき、何人かが意識を失い、同僚を助けに行った2人の労働者も倒れた。その後、ガス漏れの影響を受けた全員が病院に運ばれた。病院に向かう途中で2人が死亡、その他4人も病院で亡くなった。3人の労働者が治療中と言われている。

 死亡事故の犠牲者はK Manoj Kumar(24)、B Ranganath(21)、SM Wasim Basha(26)、K Siva Maddileti(26)、K Yugandhar(37)、G Guruvaiah(45)であることが確認された。亡くなった6人のうち常用労働者は2人だけで、残りの4人は契約労働者と見習工である。犠牲者の多くが最近結婚したばかりで、幼い子どもを残して逝った者もいる。

 地方政府当局が事故を調査しており、近日中に報告が発表されると予想される。初期の報告によると、修理作業後の再加熱にガスを使っていたとき、トンネル内で一酸化炭素が漏出したという。地方当局は、業務経験に基づいて犠牲者に補償金が支払われると発表したようである。犠牲者のうち4人は不安定労働者なので、どんな補償を受けるかははっきりしないままである。

 タディパトリのゲルダウ工場で政府当局が適切な安全対策と定期的な安全検査を実施していれば、事故は回避できていただろう。この事故を受けて地域で大規模な抗議行動が起こり、犠牲者と遺族への適切な補償と事故の責任者の処罰を要求した。現在この工場には労働組合がない。数年前に組合を結成しようとする動きがあったが、失敗に終わった。

 ゲルダウは世界有数の鉄鋼メーカーで、安全衛生実績は芳しくない。2017年には、ゲルダウのブラジル・オウロブランコ工場で1年以内に10人の労働者が死亡している。2018年5月のゲルダウ労働者世界協議会で、組合代表は会社側の反組合的な慣行をはじめ、ゲルダウ労働者が直面する多数の問題を強調した。

ヴァルター・サンチェス・インダストリオール書記長はこう語った。

「ゲルダウは世界中の工場で安全衛生対策を改善しなければならない。回避可能な死亡事故がゲルダウ労働者の命を奪い続けている現状は容認できない。私たちは最愛の人を失った遺族と連帯し、ゲルダウ経営陣が犠牲者の遺族に適切な補償を支払うよう要求する。ゲルダウはインドの工場で労働者による組合の結成を妨げようとしてはならない。ゲルダウは労働者世界協議会と協力し、世界中で安全衛生問題に取り組まなければならない」

 

組合がグローバル・ネットワークを結成し、アルセロール・ミッタルとの連携拡大に尽力

2018-07-13

世界18カ国のアルセロール・ミッタル労組の指導者70名が、ルクセンブルグで会合を開きグローバル労組ネットワークを発足させた
会合では同社執行副社長兼人事責任者も出席し、全ての事業所での社会的対話などグローバル・ディール遵守の取り組みを説明した

 アルセロール・ミッタルの組合はグローバル・ネットワークを結成し、この世界最大の製鉄会社とのグローバルな社会的対話の推進に取り組んでいる。

 18カ国のアルセロール・ミッタル労組から70人の指導者が今週7月10~11日にルクセンブルクで会合を開き、インダストリオール・アルセロール・ミッタル・グローバル組合ネットワークを発足させた。これらの組合は、アフリカ、独立国家共同体、ヨーロッパ、ラテンアメリカ、北米にある同社の主要な鉱山や製鋼施設のほぼすべてで、何万人ものアルセロール・ミッタル労働者を代表している。

 指導者たちは、アルセロール・ミッタル・グローバル・ネットワークにおける組合間の連絡・連携・調整プログラムに取り組んだ。

 「アルセロール・ミッタルの組合は国境を越えた連携の重要性を認識している。昨年9月の素材金属運営委員会で、いくつかの組合がグローバル組合ネットワークの結成を呼びかけた。そして今回、関連組合はネットワークを立ち上げ、積極的な参加を約束した。インダストリオールは彼らの取り組みを強く支持する」とヴァルター・サンチェス・インダストリオール書記長は語った。

 ルクセンブルクのニコラス・シュミット労働大臣が出席者に挨拶し、ルクセンブルクを拠点とするアルセロール・ミッタルが組合とのグローバルな社会的対話に参加することへの支持を表明、同社に他社の手本になるよう求めた。

 アルセロール・ミッタル執行副社長兼人事責任者のバード・ウィレも会合で発言し、参加者からの質問やコメントに対応した。

 ウィレは、すべての事業所における社会的対話、礼儀正しいコミュニケーションによる公開かつ透明な対話、強力な従業員関係、全労働者のための安全・健康で質の高い勤労生活など、グローバル・ディールの遵守によるアルセロール・ミッタルの取り組みについて話した。

 インダストリオール・グローバルユニオンは2007年以降、アルセロール・ミッタルと共同グローバル安全衛生協定を締結している。この協定によって設置された委員会が、グローバル組合ネットワーク会議の翌日に会合を開き、現地レベルの合同安全衛生委員会向けに策定中の新しい訓練プログラムについて討議した。

 アルセロール・ミッタル・グローバル組合ネットワークは主な目的として、より公式的で構造化された定期的なグローバル社会的対話(会社側が支援するグローバル委員会を含む)によって安全衛生だけでなく世界的関心事も追求する旨、会社側に書面で約束させることを確認した。

 「私たちは、アルセロール・ミッタルがこの会合に参加し支援してくれたこと、私たちが事業のいくつかで抱えている懸念をめぐるインダストリオールとの対話に、同社が最近前向きな姿勢を示していることを評価する。また、アルセロール・ミッタルが積極的な労使関係に取り組んでいることも全面的に支持する。アルセロール・ミッタル・グローバル組合ネットワークおよびインダストリオールと提携しながら、それらの取り組みを共同で実現できると信じている」とサンチェスは付け加えた。

 

ベルギーでストを非合法化する判決

2018-07-06

ABVV-FGTBのアントワープ支部長に対し、ピケラインを張ったことを理由に「悪質な往来妨害」として有罪判決が下された
同労組は判決を不服として上訴を予定しているが、欧州ではここのところスト権に対する取り締まりが徐々に広がりつつある

 ベルギーの刑事裁判所はストライキを実質的に非合法化した。2年前にアントワープ港の近くで全国労働組合がピケを張った件を受けて、1人の地方組合幹部に「悪質な往来妨害」で有罪判決を下したのである。

 もう1人の組合活動家は嫌疑が晴れた。

 ベルギーのインダストリオール・グローバルユニオン加盟組織ABVV-FGTBのアントワープ支部長に対するこの判決は、2016年6月24日の抗議行動が港に続く何本かの道路でピケラインを張ったという穏やかなものであったにもかかわらず下された。

ABVV-FGTBは判決後の声明で次のように述べた。

「私たち組合にとって、今回の判決は大変な侮辱だ。なぜなら、このような行動は今後、刑事訴追のおそれがあるという理由でほとんど不可能になってしまうからだ。労働者の利益の擁護よりも、あらゆる状況でスムーズに移動する自動車運転者の無制限の自由が優先されるらしい」

ケマル・ウズカン・インダストリオール書記次長はこう語った。

「この判決はまったく容認できるものではなく、危険な先例を作る決定だ。スト権は労働組合にとって不可侵の権利であり、ヨーロッパの中心であるベルギーでこの権利が奪われるなら、どこでも同じことが起こる可能性がある」

 この判決に先立ってヨーロッパではスト権に対する取り締まりが徐々に広がっており、スペインのエアバスではスト実施を理由に組合員8人が投獄され、フランスとギリシャでも同様の事例がある。

 ABVV-FGTBは今回の判決を不服として上訴する予定である。

 

テナリス・コロンビアでハンスト中止も闘いは継続

2018-07-05

テナリス・チューボカリベ労組によると会社は誠実に交渉していない上、交渉中にビラを配った労組幹部を停職処分にした
組合側は工場でデモを組織し、デル・リオ副会長は病院に運ばれるまで一週間以上にわたって抗議のハンストを行った

 コロンビアのテナリス・チューボカリベ労組(Sintratucar)のハイロ・デル・リオ副会長は、入院後にハンストを取りやめたが、組合迫害との闘いは続く。

 デル・リオ副会長は6月26日、テナリスにおける組合迫害に抗議してハンストを始めた。同時に、多くの組合員が7月1日に同社工場前でデモを組織した。

 ハンストに入って1週間以上が過ぎた7月4日の早朝、デル・リオは激しい胸痛と強度の低血圧、血糖値の急低下で病院に運ばれた。退院して自宅療養することになり、ハンストは中止した。しかし組合は、テナリス・チューボカリベによるSintratucarの承認を獲得するための闘争継続を確認している。

 「国際連帯が寄せられ、何人かの上院議員が問題を取り上げ始めているので、このストはプラスの効果を及ぼした。私たちが要求しているのは、組合員を停職処分にすることなく、労働者を代表する組合の権利を改めて確立することだ。会社側が組合との協力を約束するまで、あるいは私たちが労働者を代表できることを誰かが保証してくれるまで、抗議行動を続ける」とワルベルト・マルゴSintratucar会長は述べた。

 労働者は、テナリス・チューボカリベは誠実に交渉しておらず、労働協約を締結していないと主張している。同社は、交渉中に労使の立場を説明するビラを配ったことを理由に、労働組合幹部7人を15日間の停職処分にした。さらにマルゴ会長も、ビラを配ったグループの一員だったために42日間の停職処分を受けた。

 ヴァルター・サンチェス・インダストリオール書記長は(テルニウムとテナリスが属する)テチント・グループの最高経営責任者パオロ・ロッカに書簡を送り、コロンビアのテナリス・チューボカリベとグアテマラのテルニウムの鉄鋼工場で紛争を終わらせるために介入し、公正な解決を見いだすよう求めた。

 テナリス・テルニウム労働者世界協議会はコロンビアのフアン・マヌエル・サントス大統領に書簡を送り、カナダ、アメリカ、グアテマラ、イタリア、メキシコの組合も連帯書簡を送った。

 「Sintratucarの労働者、特にハイロ・デル・リオ副会長が勇敢にハンストを開始したことに、全面的な連帯を表明する。テナリス・チューボカリベに対し、組合迫害をやめ、強力かつ健全な対話を促進して私たちが労働者の要求を擁護できるようにすることを求める」

 

変化をもたらすために力を強化

2018-07-05

7月3~4日・クアラルンプールで開催されたIA地域大会で意見を述べる髙倉地域共同議長
様々な視点から優先課題を討議し、情報交換の機会になったと今回の地域大会の意義を述べた

 7月3~4日にクアラルンプールで開催されたインダストリオール地域大会に地域の組合が集結し、勝利と闘争、組合機構で女性と若者の成長を促進する方法を取り上げて討議した。

 アジア太平洋の組合は大きな成果を達成している。例えば、現場におけるグローバル枠組み協定の利用による労働者の権利の保護や、バングラデシュの火災予防および建設物の安全に関する協定が挙げられる。

 「しかし、これらの業績は組織化活動に根差していなければならない」とオーストラリアの組合CFMEUのミシェル・オニール地域共同議長が冒頭に述べた。
 「プロセスの導入は望ましいことだが、それは現場の労働者に直接的な変化をもたらさなければならない。私たちは地域として、インダストリオールとして結集し、変化を生み出すために圧力をかけなければならない」

 代議員は域内の主な闘いと勝利を強調し、迅速かつグローバルな連帯の重要性を力説した。

 オーストラリア製造労組のアン・ドネランが、グリフィン・コールで180日間のストライキと200日間の交渉の結果、今年初めに勝利を得たことについて話した。

 フリーポート・インドネシアと三菱マテリアルが所有するPTスメルティングは、世界の銅の40%以上を生産している。2017年に約300人の労働者がレイオフされた。インドネシアの組合FSPMIのサイド・イクバル会長が、会社側に抵抗するうえで国際連帯が役立ったと語った。
 「貪欲な資本に教訓を与える必要がある。共同行動を起こさなければならない。これは単独ではできない」

 地域大会は、キンバリー・クラークの豪ミリセント工場でCFMEU組合員を支援する連帯決議を採択した。

 この地域では非常に複雑なサプライチェーンで多くの産業が活動しており、パキスタンの危険な鉱業、インドネシアの労働時間問題、南アジアの船舶解撤(しばしば世界で最も危険な仕事と言われる)、フィリピン政府による交渉権削減の試みなど、多くの課題が待ち受けている。

 マレーシアの組合が、特に若年労働者の間で組合加入への関心が低いことに触れた。組合は、この問題に取り組むために登録手続きの簡素化や、外国人労働者の搾取の撤廃を求めている。

 「インダストリオール地域事務所のクアラルンプール移転は、グローバル・ユニオンが目を光らせていることを使用者に分からせる」とゴパール・クリシュナンNUTEIAW書記長が述べた。

 代議員は、自由に労働組合に加入できない韓国のサムスン労働者との連帯表明を求められた。

 ヴァルター・サンチェス・インダストリオール書記長が、大会出席者にインダストリオール連帯憲章のことを思い出させ、次のように述べた。
 「インダストリオールの最も重要な役割の1つは組合員の動員による国際連帯であり、それが勝利への道だ。そして、当該企業の本社がある国の組合は特別な役割を担う」

 

団結して力を強化

 「域内の加盟組織は率先してサプライチェーン戦略を策定しており、労働者を組織化するとともに、労働によって会社の利益に貢献している労働者の権利の侵害に対してグローバル企業に責任を負わせようとしている」とジェニー・ホルドクロフト・インダストリオール書記次長が述べた。

 インダストリオール加盟組合の団結は力の強化に不可欠である。代議員は、地域全体で国別協議会が時には政治的な違いにもかかわらず団結している例を共有した。

 日本連絡協議会が、国別協議会の結果どのように活動が改善されているかについて説明した。

 インダストリオールはバングラデシュに20の加盟組織があり、うち16組合が衣料部門の組合で、この状況は組合間の競争を助長しかねない。しかしインダストリオール・バングラデシュ協議会は、新しい最低賃金の要求に関して何とか合意に達した。組合は現在、団結して月1万6,000タカ(189米ドル)を要求している。

 地域大会に先立って女性大会が開かれ、インダストリオール・レベルと組合レベルの両方で、どうやって女性参画を改善するかという問題を提起した。地域大会全体を通じて、それぞれの組合で女性問題を取り上げる場を確保することについて討議した。

 フィリピンの組合が、女性の参加・参画に対処する法律や決議の実施は困難な場合があると報告した。それに加えて、認識を変え、男性優位の指導部に女性は平等な権利を持つ価値あるパートナーだと認めさせる必要がある。

 シンガポールの加盟組織が、女性参画の低さの一因は使用者にあると指摘した。使用者は女性を力の源とみなすようにする必要がある。

 日本のインダストリオール傘下組合は、達成すべき数値目標を掲げてワーク・ライフ・バランスを促進するためにアジェンダ2020を採択した。

 「組合でインダストリオールの女性参画目標40%を達成するには、これが必要だ」とJEC連合の安原三紀子が述べた。

 組合の力の強化には、組合加入に大きなメリットを見出しているとは限らない若年労働者の組織化を含めることが絶対に必要である。大会では地域の若い労働組合員たちが、差し迫った問題について活発に発表するとともに、2020年のインダストリオール大会への要求を提出した。

 「この地域大会は、さまざまな視点から優先課題をめぐって討議し、情報を交換する機会となった」と髙倉明地域共同議長が述べた。
 「組織を強化するために引き続き組織化し、組合と産業で活動を推進していく必要がある」

 

貿易・産業政策

  ネオリベラル資本主義が広がる中で、グローバルな貿易・投資が労働者と社会に利益を与えるよう確保する必要がある。そのためにインダストリオールは、最低基準を満たしていない貿易・投資協定に反対するキャンペーンを展開し、その代わりに透明性の高い別の貿易政策を策定しなければならない。

 グローバル・ユニオンにとって重要な問題に関する方針書案が作成中で、今年11月の執行委員会に提出される予定である。

 「アジア太平洋はインダストリオールが最も多くの加盟組織と組合員を擁する地域だが、企業の拝金主義と労働者の権利の侵害が特に目に余る地域でもある。この地域大会は、変化をもたらすために取り組む活力ある組合の団結力を見せつけた」とヴァルター・サンチェスは締めくくった。