広報ニュース

第96号インダストリオール・ウェブサイトニュース(2019年10月31日)

航空宇宙労組の目標はグローバルな連帯の強化

2019-10-30

インダストリオール・グローバルユニオン傘下の世界で最も有力な航空宇宙労組が2019年10月23~25日にシンガポールで会合を開き、連帯を次のレベルに上げるために包括的なグローバル戦略を策定した。

航空宇宙産業は市場価値がほぼ8,500億米ドルで、500万人の労働者を雇用し、新しい国々に拡大している。拡大の原動力となっているのは、国際的存在感を高めたいという願望、各国の現地調達率、労働コスト削減によって利益率を上げようとする取り組みである。

「この産業は特にアジアで引き続き力強く成長すると予想される。大企業はすべて、真のグローバル企業に発展するための戦略を実施している。これを受けて主に欧米以外で、あらゆる種類の新しい事業(製造、研究、整備、訓練)が急成長するだろう」とアトレ・ホイエ・インダストリオール書記次長が述べた。

ボブ・マルティネス機械工労組(IAMAW)会長が米ボーイングの組合つぶしについて話し、このような戦術は今や世界中に広まっていると述べた。

「世界の航空宇宙産業は岐路に立たされている。1つの方向は、労働者が企業を成功に導く最も貴重な要因であるという当たり前の事実を無視する道に続いている。これは失敗に至る道だ。世界の航空宇宙労組が今すぐ行動を起こさなければ、ますます多くの企業が反組合的な方向に進むだろう」
「この産業は、誇りを持った組織労働者が企業の成功を推進するエンジンであることを認める道を選ばなければならない」

航空宇宙産業は手動操作中心だが、デジタル化と人工知能に基づく新しい生産技術を適用し始めている。

「コスト削減競争と不安定雇用の利用拡大は、安全基準の99%を達成しても人命に重大な影響をもたらしかねない産業において極めて危険だ」とゲオルク・ロイテルト・インダストリオール航空宇宙担当部長が述べた。

航空宇宙労組は、すべての場所で適正な労働条件と賃金を確保し、国際競争が原因で労働者同士が競争させられることのないようにするために協力すると約束した。

組合は次の計画を立てている。

1. 企業レベル、特にボーイング、エアバス、ロールスロイス、サフランで、グローバル組合ネットワークと従業員フォーラムを確立し発展させる。

2. 航空宇宙の新興国で組合その他のパートナーと緊密に協力し、特にインド、メキシコ、モロッコ、チュニジア、ベトナム、タイ、インドネシアでグローバルな労働基準が適用されるようにする。

3. 自動化、デジタル化および人工知能に関する専門家グループを設置し、社会的責任のある転換を保証する。

4. 運営委員会を通してグローバルに連携し、定期的な全体委員会やプロジェクト関連の小規模会合を開く。

5. アメリカ、特に南部で企業や政治家、圧力団体などによる反組合的な方針との闘いを強化する

6. 中国における航空宇宙産業の成長ならびに関連する労働組合問題に取り組む。

7. 多数の航空宇宙組合員がいるすべての加盟組合を部門別活動に再統合する。

8. ジェンダー平等を拡大し、より多くの若手労働組合員を活動に関与させるための戦略を策定する。

運営委員会は2020年1月の会合で上記の取り組みを推し進め、目標と期限を定めた測定可能な基準を明確にし、2021年の次のグローバル会合までに十分な進展を達成できるようにする。

 

自動車労働者がGMのスト終了を票決

2019-10-29

全米自動車労組(UAW)の組合員は、1970年以降GMで最も長期に及んだストの終了を票決した。

ストが終了したのは10月25日金曜日、UAW組合員が1カ月以上にわたってピケを張った末、賛成57%で新しい4カ年協約の支持を票決したときである。ほぼ5万人の自動車労働者による40日間のストライキは、GMで50年ぶりの長期ストであり、全米レベルで見ても数十年間で最大の争議の1つに数えられる。UAWはマック・トラックでも会社側と合意に達し、金曜日に35年ぶりのストを終了した。

新協約には重要な組合の勝利がいくつか盛り込まれている。すべての労働者が1万1,000米ドルの協約締結ボーナスを受け取り、二重構造の労働制度が実質的に廃止された。この協約は業績ボーナス、年一度の昇給、一時金も定めており、健康保険を維持している。

しかし、労働者が強硬な姿勢で臨んでも、GMに工場閉鎖計画を撤回させるには不十分だった。GMも他の自動車メーカー同様、自律走行車・電気自動車へのシフトや個人輸送からの脱却が推進する産業の大きな変化に取り組んでいる。自動車メーカーが直面している根本的な技術シフトを考慮すれば、UAW協約は立派な業績と考えられる。

テリー・ディッテスUAW副会長は断固たる態度でピケに加わった労働者を称賛し、次のように述べた。
「労働者たちが払った犠牲と勇敢な姿勢は、アメリカの労働者階級を苦しめてきた二重賃金構造と永続的な臨時労働者への分類に取り組んだ」

労働者は、GMが2008年に495億米ドルの企業救済を受けていながら、これまで3年間に得た350億米ドルの利益を分配しようとしないことに激怒していた。自動車労働者は、GMが倒産に直面したときに会社を救うために大幅に譲歩し、公正な解決を勝ち取るために長期戦を展開した。

このストでGMの逸失利益は20億米ドルにも上り、株価の下落率は5%を超えると推定される。

このストには多大な国際支援・連帯が寄せられた。それだけ大規模な争議に発展したのは、この闘いが関連労働者にとってのみならず、生産プロセスへの大きな変化を背景に、すべての場所の製造業労働者が適正賃金を勝ち取れるようにするうえでも重要とみなされていることを意味した。

今回の結果は他の職場、特にUAWが間もなく賃金交渉を開始するフォードで大きな波及効果を及ぼすと予想される。

ヴァルター・サンチェス・インダストリオール書記長はこう述べた。
「このストが有意義だったのは、アメリカの労働運動が闘争心を取り戻したことを反映しているからだ。労働者たちは金融危機後、企業を破綻させないようにするために大きな犠牲を払った。それらの企業が黒字に戻った今、労働者たちは正当な分け前を求めている」

「GMは救済され、労働者は救済されなかった。企業が自らの繁栄を分配せずに、労働者を犠牲にして豊かになることはもはや許容できない」

 

インドの航空宇宙部門で組合の力を強化

2019-10-25

インダストリオール・グローバルユニオン航空宇宙運営委員会は、2019年10月21日にデリーへの初めての研究旅行でインドの航空宇宙労組代表と会談し、この部門におけるインダストリオール活動の拡大を共同で決議した。

インドの組合とフランス(FO)、ドイツ(IGメタル)およびイギリス(ユナイトとCSEU)から集まった航空宇宙運営委員会のメンバーは、インド航空宇宙産業の主要問題、南アジアの労働組合運動が直面している課題、航空宇宙部門で組合の力を強化する方法について議論した。

SNミシュラ教授が航空宇宙産業の概観を提供し、インド政府は航空宇宙産業の製造能力を高めるために研究開発資源を増強する必要があると主張した。

ヒンドスタン航空機(HAL)とタタ・ロッキード・マーチン・エアロストラクチャーズの労働組合代表が、インドの航空宇宙部門で社会的対話と結社の自由の権利を改善しようと苦労している現状を強調した。

運営委員会では、全インド・ヒンドスタン航空機労働組合調整委員会(AIHALTUCC)の先導で先ごろ実施されたHAL従業員2万人のストについて報告があった。HAL労働者は、カルナタカ高等裁判所の指示に従って10月22日にストを撤回したが、交渉によって引き続き賃上げを要求している。

アトレ・ホイエ・インダストリオール書記次長は次のように語った。
「インダストリオール航空宇宙運営委員会は、正当な賃上げを求めているHAL労働者との連帯を表明する。HAL経営陣とインド政府に対し、AIHALTUCCとの真の対話に真摯に取り組み、労働者の要求に対応するよう求める」

ゲオルク・ロイテルト・インダストリオール自動車・航空宇宙産業担当部長は次のように述べた。
「運営委員会メンバーは、さまざまな協力的メカニズムの模索を決定した。例えば、インド航空宇宙部門の労使関係に関する研究の実施、インドの組合との調整改善と情報共有による航空宇宙労組間の国際連帯構築などだ」

航空宇宙産業はインドで最も急成長を遂げている部門の1つである。この業界は防衛製品の製造が中心だが、民間航空機市場が急速に発展している。インドの大手企業として、HAL、バーラト・エレクトロニクス(BEL)、それにエアバスやボーイング、ロールスロイス、ハネウェル・エアロスペース、GEアビエーションといった多国籍企業が挙げられる。

 

フランス系自動車サプライヤーがトルコで組合つぶし

2019-10-25

フランス系自動車サプライヤー、セーフ・グループのトルコ子会社セーフ・デモ・プラスチックは、トルコの自動車部門の中心地ブルサ市で、同国のインダストリオール・グローバルユニオン加盟組織ペトロール・イスの組合員に対して大規模な組合つぶし戦略を実施している。

石油・化学・ゴム労組のペトロール・イスは、6月中旬にセーフ・デモ・プラスチックの労働者約400人の大多数を組織化した。これはトルコ労働省によって公式に認定された。

同社の現地経営陣は根拠もなしに裁判所で労働省の認定に異議を申し立て、ペトロール・イスは団体交渉代表権者になるに十分な過半数を確保していないと主張した。これは団体交渉を先送りするためにトルコの使用者が利用するごくありふれた戦術である。

この期間、セーフ・デモ・プラスチックは道理に合わない理由でペトロール・イスの組合員6人を解雇した。しかし、ペトロール・イスとインダストリオールにとって、組合加入が理由であることは明らかだった。解雇された労働者全員が非常に活発な組合員であり、組織化キャンペーンで重要な役割を果たしたからである。

インダストリオールは、平和的解決を見いだすために現地経営陣と本社に接触した。フランスのインダストリオール加盟組織FCE-CFDTも、ペトロール・イスの組合員を支持して連帯行動を起こした。

ペトロール・イスとセーフ・デモ・プラスチックは何度かやりとりし、建設的な労使関係と社会的対話を生み出そうと試みた。インダストリオールはそれらの会談に立ち会った。その過程で深まった共通の理解に従い、現地経営陣は、労働組合の認定に異議を唱える訴訟を取り下げると同時に、労働協約に向けたプロセスを開始することになった。

しかしその後、同社は約束を破り、ペトロール・イスとの対話を拒否した。インダストリオールはセーフ・デモ・プラスチックの主要顧客に連絡し、デューデリジェンスを実施するとともに、同社が労働組合権を尊重してペトロール・イスを承認するよう確保することを求めた。

セーフ・デモ・プラスチックは依然、一対一の会合でペトロール・イス組合員を脅して組合をやめさせようとしており、最終的には組合の排除を目指している。

先ごろ組合員が職場に集まってデモを行い、権利の承認を要求した。要求の内容は、セーフ・デモ・プラスチックによる訴訟の取り下げと団体交渉の開始、解雇された組合員の復職、組合脱退を狙った労働者いじめの根絶である。

その間に、トルコのセーフ・デモ・プラスチック経営者が、「労働組合権の行使の妨害」に関連するトルコ刑法第118条の違反で、ブルサ市の治安判事裁判所により6カ月の実刑判決を言い渡された。この決定は、セーフ・デモ・プラスチックが労働者の基本的権利を侵害したことを示している。

「フランス系企業がトルコの事業で労働者の基本的権利を侵害するとは恥ずべきことだ」とケマル・ウズカン・インダストリオール書記次長は述べた。

「インダストリオールは加盟組織ペトロール・イスとともに、建設的な対話によって平和的解決を見いだすために可能な限り努力してきた。会社側が同様に対応しないようなので、私たちは正義を実現するまで闘い続ける」

フランスを拠点とするセーフ・グループは自動車関連の活発な2次サプライヤーで、フォルシアなどの1次サプライヤーに自動車用の安全部品や装備品を供給している。フランスに2カ所、チェコ、トルコ、ブラジル、アメリカ、メキシコに各1カ所の生産施設がある。

 

東南アジアの組合、インダストリー4.0の課題に対処

2019-10-21

東南アジア6カ国の労働組合代表が10月16~17日にバンコクに集まり、デジタル化と自動化が原因で産業が急速に変化している中で労働者を最もうまく保護する方法について議論した。

カンボジア、インドネシア、マレーシア、フィリピン、タイ、ベトナムから30人を超える参加者が、インダストリー4.0と持続可能な産業政策に関するインダストリオール・グローバルユニオン地域会議に集まった。

「インダストリー4.0は単なるロボットでも人工知能でもなければ、単なるビッグデータでも3D印刷でもない――それらすべてを指している」とブライアン・コーラー・インダストリオール安全衛生・持続可能性担当部長は述べた。「インダストリー4.0、気候変動への取り組みといった要因によって、経済が甚大かつ急激な変化に見舞われている。私たちはディーセント・ワーク、質の高い仕事、将来にわたって家族と地域社会を支える仕事を求めている」

インダストリー4.0は特にICTと自動車産業で東南アジアに急速に広がっている、と松崎寛インダストリオールICT電機・電子担当部長が述べた。
「一刻も無駄にできない。今すぐ政府と主要な使用者に影響を及ぼさなければならない」。同担当部長によると、台湾のiPhone製造業者フォックスコンは生産ラインで労働者をロボットに切り替え、過去5年間に約50万人の雇用を削減した。

持続可能な産業政策のための戦略を検討する組合員

フィリピンの組合は雇用の保護を主要な課題に挙げた。国内自動車産業の保護を求めてロビー活動を行い、中古車の大量輸入に反対するキャンペーンを展開することによって、雇用の維持に成功している。

ベトナムの組合は、インダストリー4.0をベトナムへの投資を増やす機会とみなしており、新技術に順応して採用していこうと決意している。

しかし数人の参加者が、政労使のいずれも将来への準備ができていないという懸念を表明した。

「第4次産業革命と電気自動車は私たちにとって深刻な問題になるだろう。工場閉鎖が増えないかと心配だ。私たちが作っている自動車部品は従来型の燃焼機関用であって、電気自動車用ではない」とインドネシアFSPMIのデディ・クルニアディが発言した。

タイでは、一定規模の企業に従業員の訓練や再技能習得を強制する政府の法律が十分に実施されておらず、労働組合は提供される訓練の種類に対して発言権がない。同様に、組合は14週間の出産休暇を実現することができたが、これは不安定労働者には適用されず、不安定労働者は妊娠すると解雇されることが多い。

「インダストリー4.0は女性に最も大きな悪影響を与えており、雇用が削減される場合、女性は男性よりも先に解雇される」とインドネシアFSPKEPのムバジェング・スリウタミが語った。

インドネシアFSPKEPのムバジェング・スリウタミ

マレーシアでは、インターネット速度が遅く、低コストの移民労働者が大量に存在することから今のところ人間よりもロボットのほうが高価であるため、自動化とデジタル化の立ち上がりが鈍い。マレーシアの製造業労働者の約35%が移民だ、とEIEUのモハマド・サアドが説明した。

アニー・アドビエント・インダストリオール地域事務所所長が次のように述べた。
「インダストリー4.0と持続可能な産業政策の問題に関して組合の団結が必要だ。一致協力しなければならない。使用者と政府の交渉相手は非常に組織化されており、多くの資源を持っている。だが組合にも資源があり、それらを利用して労働者のために最善の取引をしなければならない」

参加者は、持続可能な産業政策に関して各国政府によりよく関与するために行動計画を作成するとともに、この地域に関心を寄せているNGOや市民社会運動に関与する方法も調べることで合意した。

 

ユミコアとインダストリオール、グローバル枠組み協定を更新

2019-10-17

ベルギー系多国籍素材企業のユミコアとインダストリオール・グローバルユニオンは今日、ジュネーブのILO本部で調印式を執り行い、持続可能な開発に関するグローバル枠組み協定をさらに4年間更新した。

このグローバル枠組み協定は2007年に最初に締結され、2011年と2015年にそれぞれ更新された。今回の2019年の更新は3回目である。更新された協定は、団体交渉と機会均等を含む人権を対象とし、新たに採択されたILO第190号条約に準拠して職場における暴力とハラスメントに関する新しいセクションを盛り込み、安全で健康的な労働条件、環境問題を取り上げている。コバルト・サプライチェーンのデューデリジェンスとデジタル・トランスフォーメーションに関する重要な条項も追加している。

労使双方は協定の実施を成功させるために、2007年に開始した建設的対話の推進を約束している。

ユミコアのマーク・グリンバーグ最高経営責任者が、ガイ・ライダーILO事務総長の立ち会いでヴァルター・サンチェス・インダストリオール書記長とともに協定に署名した。

ガイ・ライダーは協定を称賛(左から二人目)

ガイ・ライダーは次のように述べた。
「この協定は大歓迎されており、両当事者を祝福する。6月に新たに採択された最新のILO条約、第190号への言及に感謝する。この条約が公式文書で言及されているのを見たのは初めてだ」

ライダーは続けて、協定が環境的持続可能性とサプライチェーンのデューデリジェンスに取り組んでいることを称賛した。

 

 

マーク・グリンバーグは、ユミコアが100年に及ぶ同社の生産工程から汚染を一掃し、スマートフォンと電気自動車のバッテリー用のコバルトの倫理的供給を確保するという決定を下したことについて詳しく語った。

マーク・グリンバーグ(左)

グリンバーグは次のように述べた。
「この協定は、すべてのユミコア従業員の関与が欠かせない持続可能性へのコミットメントを再確認している。特に重要な素材のサプライチェーンにおいて、持続可能性のあらゆる面をリードする企業になろうと当社が取り組むうえで、インダストリオールとの対話は重要な役割を果たす」

 

 

 

 

ヴァルター・サンチェス(右)

ヴァルター・サンチェスが付け加えた。
「地球環境は大きな不和を生じている。このような機会をとらえて利用し、世界レベルで労働者代表と協定を結ぶことは有効だ。安定した労使関係は競争優位を与えてくれる」
「ILO第190号条約に言及したのは、条約の批准を待って行動を起こす必要はないからだ。特にコバルトについて、サプライチェーンのデューデリジェンスと調達ガイドラインへの取り組みに特に満足している」

 

 

 

署名された協定書

ユミコアはクリーンモビリティーとリサイクルに焦点を絞ったグローバルな素材技術・再生利用グループで、全世界で1万700人を雇用している。

 

バングラデシュの船舶解撤場で事故が続発し、死亡者数が増加

2019-10-17

2019年10月12日、チッタゴン県シタクンダのクミラ船車連絡港エリアにあるOWW船舶解撤場の事故で労働者2人が死亡し、少なくとも3人が負傷、今年に入ってからの死者数は23人に達した。

この事故は、整備工と助手が汚染水を放出するためにタンクで作業をしていたときに起こった。水は1つのタンクから放出されたが、労働者は別のタンクのどこから水が放出されるか確認できなかった。

タンクを切断すると毒ガスが放出され、現場にいた労働者2人が死亡し、3人が気分が悪くなった。負傷した労働者はアル・アミン病院に運ばれ、2日後に退院した。事故当時、この船では15人の労働者が働いていた。亡くなったのはナウガオン地区のサイフル(26)とシタクンダのバラブクンド地域のマスド(21)であることが確認された。

10月14日にはサゴリカ船舶解撤場で事故があり、シリンダが爆発して2人の労働者が重傷を負った。負傷者はアプ・マラク・チャクマ(28)とタパン・マラク・チャクマ(30)で、CHC病院に入院した。

現地の情報によると、バングラデシュでは2019年1月から現在までに船舶解撤場の事故で少なくとも23人の船舶解撤労働者が死亡し、少なくとも75人が負傷している。犠牲者の多くが若い不安定労働者である。

松崎寛インダストリオール・グローバルユニオン造船・船舶解撤部門担当部長は述べた。
「絶対に回避可能な事故が労働者の命を奪い続けており、私たちは使用者の怠慢を強く非難する。使用者と政府は、安全な労働条件を確保する責任を放棄してはならない。バングラデシュが船舶の安全かつ環境上適正な再生利用のための香港条約の批准プロセスを早めるよう重ねて要求する」

船舶解撤部門のインダストリオール加盟組織であるバングラデシュ金属労働者連盟とバングラデシュ金属・化学・衣料・縫製労連は絶えず状況を監視しており、死亡事故の続発と労働安全衛生面での使用者の怠慢に深刻な懸念を表明している。

 

ICT電機・電子労組、持続可能な未来に向けて準備

2019-10-16

今週タイのバンコクで開かれたインダストリオール・グローバルユニオンICT電機・電子世界会議に13カ国から60人以上の労働組合代表が参加し、全世界で不安定性が高まっているこの時期に4カ年行動計画を立てた。

「世界は分断され、分裂している。不合理な出来事が多発しており、労働組合は真っ先にそれらを指摘し、状況を是正しなければならない」と野中孝泰インダストリオール共同部会長(電機連合/JCM)は述べた。「必要なのは人を最優先する社会であり、そのためには持続可能な政策が必要だ。職場で公正と平等を確保しなければならない」

2019年10月14~15日のこの会議では、3大行動分野を確認した。すなわち、サプライチェーンの重視、不安定労働者の組織化、仕事の未来の調査・準備の必要性である。

プリハナニ・ボエナディ共同部会長(インドネシアFSPMI)が、デジタル化と自動化は労働者の雇用に大きな脅威をもたらしており、不安定な契約で働く労働者の搾取が横行していると述べた。インダストリー4.0は、この部門の組合員の大多数を占める中熟練労働者に最も大きな打撃を与えると予想される。

「私たちは立ち上がり、使用者と政府が公正な移行の代価を払うよう要求する」とヴァルター・サンチェス・インダストリオール書記長が述べた。「ICT部門は成長しており、デジタル化の影響を最も大きく受けている。労働者が利益を得るよう確保しなければならない」

過去5年間にインドネシア、マレーシア、フィリピン、台湾、タイ、ベトナムのインダストリオール・プロジェクトによって組合員数が2万人増加、3,000人以上の労働組合活動家と労働者が訓練を受け、うち30%が女性だった、と松崎寛インダストリオールICT電機・電子担当部長が報告した。

しかし、組合組織率を高めて、労働組合ネットワークとグローバル枠組み協定の数を増やす必要があることは明白だ、とジェニー・ホルドクロフト・インダストリオール書記次長は述べた。
「この部門を支配している多国籍企業への圧力を強めなければならない。これらの企業のサプライチェーンにおける劣悪な労働条件のいくつかを明るみに出す必要がある」

この部門では職場における危険への曝露が広く見られる。電子装置や電気器具の生産に使われる推定20万種類の化学物質のうち、労働衛生曝露限度を検査済みなのは1,000種類にすぎない。

E-wasteも、この産業の大きな問題として強調された。全世界で年間4,470万トンのE-wasteが発生しており、この数字は2050年には1億2,000万トンに増えると予想される。加盟組織は、ブランド各社への圧力を強め、自社製品の安全な再生利用に対する責任を負わせるよう求めた。

会議は、多数の死者が出た台風ハギビスの犠牲者との連帯を表明した。この台風のせいで大勢の日本人参加者が出席できなかった。この地域では台風の強度と発生数が悪化している、と気候変動が雇用と環境にもたらす脅威を実感している加盟組織は述べた。

フリッカーで会合の写真を参照:https://bit.ly/2qdGGpH

 

アフリカの女性、ジェンダー平等を求めて決起

2019-10-11

アフリカの女性よ、立ち上がれ! これは10月10日にタンザニアのダルエスサラームに集まったインダストリオール・グローバルユニオンのサハラ以南アフリカ女性地域幹部のスローガンである。この会合には亜大陸全域から女性組合幹部が集まった。

ポール・ヌデソミン地域事務所所長が開会の辞を述べ、実施されている活動の勢いを維持するよう女性たちを励ました。討議の主な焦点は、2019年の国際労働総会による暴力とハラスメントに関するILO第190号条約の採択である。

国際労働機関のジェンダー専門家ンウィラ・チガガが、この条約は仕事の世界における暴力とハラスメントをなくすための世界的な委任事項だと述べたが、採択すなわち勝利というわけではないと警告した。ここから活動が始まる。彼女は、条約の発効には少なくとも3分の2の国々の批准が必要だと参加者たちに念を押し、アフリカ諸国の批准を確保するよう促した。

「まだ祝福できない。祝福できるのは条約が批准され実施されたときだ」
ンウィラ・チガガ

「まだ祝福できない。祝福できるのは条約が批准され実施されたときだ」と彼女は述べた。

「第190号条約は何よりもジェンダー平等に関する国際労働基準とみなし、他の条約、すなわち同一賃金に関する第100号条約、差別に関する第111号条約、家族的責任を有する労働者に関する第156号条約、母性保護に関する第183号条約、家事労働に関する第189号条約との関連でとらえるべきだ」

「これらの条約の多くがまだ批准・実施されていない。第190号条約を祝福しつつも、他の条約のことも忘れないようにしよう」

インダストリオール・ジェンダーコーディネーターのアルメレ・セビーが述べた。

「組合は結集して批准を強く要求しなければならない。しかし、待っている必要はない。この文書を利用して今すぐ労働者の生活を変えるべきだ。この新文書は、労働組合が非差別と平等を促進し、仕事の世界におけるジェンダーに基づく暴力と闘うための重要な手段だ」

「私はジェンダーチャンピオン」
ローズ・オマモ

ローズ・オマモが次のように自己紹介した。
「私はケニア合同金属労組の書記長で、ジェンダーチャンピオンだ」

チガガもオマモも、ジェンダー平等活動を女性機構に任せるのではなく、男性の協力者を使って組合に組み入れる必要があると語った。

チガガはこう述べた。
「組合の指導的ポストに女性を登用する必要がある。だが、選出される男性がジェンダーチャンピオンでありフェミニストであるようにすることも必要だ」

職場に実質的な違いをもたらすことについて議論し、参加者は暴力とハラスメントが広く見られる現状を共有した。

「女性として、お互いに支え合う必要がある。女性間の連帯が大切だ」と1人の参加者が言った。

インダストリオール地域事務所のテンダイ・マカンザが加盟組織に対し、今ある手段、特に誓約を利用するよう促した。「地域のための若いフェミニスト運動を開始したい」

リディア・ヌコパネの司会でセッションを行い、以下のとおり地域女性委員会を組織した。

  • 議長:リディア・ヌコパネ
  • 副議長:ハリエット・ヌガンジ・ムガンブワ
  • 書記:オルチ・アマオグ
  • 副書記:オルガ・カバル
  • 財政部長:マクランタ・ンバラ

追加メンバー:

  • フェイス・ラニェロ
  • レジャイナ・ナンバフ
  • ブリジット・ナンブレ

 

電力労働者の権利を保護するために自由化のダメージを修復

2019-10-09

インダストリオールのアジア太平洋電力労組ネットワークは、インダストリー4.0の課題に取り組むために地域における組合間協力の強化を誓約した。

日本、韓国、モンゴル、ベトナム、タイ、インドネシアおよびネパールから女性6人を含む35人の組合幹部が10月1~2日に東京に集まり、景気後退と技術革新が労働者に及ぼす影響をめぐり討議した。

ネットワークの岸本薫議長は、技術変化がエネルギー産業の伸び悩みを招いているが、アジアで多国籍企業が成長しているおかげでエネルギー消費は着実に増えていると述べた。

1998年、韓国経済とインドネシア経済はアジアの金融危機によって大きな打撃を受けた。両国政府はIMFの助言に従って外国投資を自由化し、国内の独占を解体した。

「IMFの自由化政策によって韓国電力公社(KEPCO)が6つの子会社と6つの組合に分割されただけでなく、現在、外注労働者が幅広く利用されている」

「韓国全国電力労組(KNEWU)は同社を説得し、数千人の臨時労働者の身分を常用労働者に変更させることに成功した。20年前にIMFがもたらしたダメージを修復しているところだ」とチェ・チョルホKNEWU委員長は述べた。

「インドネシア政府は金融危機後、電力部門を自由化するためにIMFと同意書を交わした。その結果、異なる企業が発電、送電、配電およびエンジニアリング支援を担当している」

「ほとんどの子会社が契約労働者を雇っているので、組織化が難しい。そして、下請労働者と常用労働者では福利面で大きな格差がある」と化学・エネルギー・鉱山労組(CEMWU)のガリー・ワワン・ハルヤント部門担当書記は言う。

2011年の福島原発事故が一因で、原子力産業参入への関心が低下している。現在8万人の労働者を増やせるようにするには社会の信頼回復が不可欠だ、と岸本議長は述べた。

「モンゴルの世論は原子力発電所の建設に関して割れており、原発が動物や環境に及ぼす影響に対する不安がある。政府は原子力発電所の建設を先送りした」とモンゴル・エネルギー鉱山労連のサイード・クーヤグ・ブヤンジャルガル会長は語った。

ネットワーク指導部の交代
この会合では、坂田幸治現電力総連会長が岸本氏の後任として新しいネットワーク議長に就任した。

会合の終わりに川崎火力発電所を視察した。

 

SKFでグリーンテクノロジーとインダストリー4.0めぐり討議

2019-10-04

インダストリオール・ヨーロッパと世界組合協議会は、SKF経営陣との会合でグリーンテクノロジーとインダストリー4.0について議論した。

9月30日から10月3日にかけて、20カ国から40人を超える代議員とオブザーバーがオーストリアのシュタイアーで会合を開き、組合員同士だけでなくグループ経営陣とも重要な交流を行った。

SKFはベアリング事業と回転機械部品分野で世界をリードしており、従業員数は全世界で4万7,000人を超えている。デジタル開発の分野で多数の転換を実施し、世界中で製造業の「スマート化」を目指している主要企業としても知られる。

スウェーデンのケネット・カールソンWUC議長が、経営陣との議論に関して次のように述べた。
「経済情勢が急激に変化し、デジタル化その他の課題が労働組合にさらなる難題を突きつけている中で、私たちは柔軟性向上を求めて努力している。したがって、SKFの世界組合協議会が経営側との社会的対話の基礎になり、経営陣とともに現在および将来の課題に取り組むことが、これまで以上に重要となっている」

アルリック・ダニエルソンSKF CEOと
スウェーデンのケネット・カールソンSKF世界組合協議会議長

WUCは丸一日かけて、グループ社長兼CEOのアルリック・ダニエルソン率いるSKF経営陣と、同社の発展、戦略および活動について対話した。また、世界中から集まった40人以上の代議員とグループ経営陣は、現下の経済情勢やデジタル化、新しい改良型の安全衛生モデルについても討議した。

ドイツのノルベルト・フォルクルWUC副議長が次のように総括した。
「インダストリー4.0は業界全般においてのみならず特にSKFでも、全従業員にとって非常に大きな課題だ。これが労働者に不確実性をもたらすことのないようにしなければならない。だから、WUCと経営陣は十分な資格に配慮し、従業員の職場を確保する共同責任を負っている」

ノルベルト・フォルクル
WUC副議長

マティアス・ハートウィッチ・インダストリオール機械エンジニアリング担当部長が、代議員とオブザーバーにこう述べた。
「SKF世界組合協議会は、とてもユニークなグループであり、従業員の懸念だけでなく経営側への提案やアイデアにも取り組む絶好のチャンスだ。代議員ならびにオブザーバーの皆さんは、この制度を有効に活用しなければならない。インダストリオール・グローバルユニオンは皆さんを支援するために、今後もWUCとともに行動する」

インダストリオールのフリッカー・チャンネルから会合の写真をダウンロード可能。

 

 

造船所救済で労働者が勝利

2019-10-02

ベルファストの造船所ハーランド・アンド・ウルフは、労働者が9週間にわたって占拠した結果、英国企業に買収されて閉鎖を免れ、労働者の未来が確保された。

タイタニックを造った北アイルランドの造船所ハーランド・アンド・ウルフは、英国企業インフラストラータによる投資と今後の活動プログラムに基づき救済された。

ハーランド・アンド・ウルフは8月6日に管財人の管理下に入り、ノルウェーの親会社が破綻したあと120人の雇用が危険にさらされた。投機家や資産剥奪者による乗っ取りを阻止しようと、労働者は造船所を占拠した。造船所の占拠は9週間に及んだ。

労働者は厳密に言えばまだ雇用されているが、何週間も賃金を支払われていない。インダストリオール加盟組織のユナイト・ザ・ユニオンとGMBは雇用契約の継続を確保し、労働者は数日中に職場に復帰すると予想される。

ヴァルター・サンチェス・インダストリオール書記長は言う。
「造船所労働者は雇用を守るために抵抗し、画期的な勝利を得た」

「この闘いの間、インダストリオールは労働者との全面的な支援・連帯を公に表明した。私たちは今、労働者たちを祝福し、組織労働者がどれだけのことを達成できるか示して見せた今回の勝利を称賛する」

 

インドの組合、持続可能な貿易・産業政策を要求

2019-10-01

インドの製造業労組によると、同国の貿易・投資協定は不安定雇用危機、低賃金、劣悪な労働条件、それに何十万人もの雇用喪失を招いている。

インダストリオール・グローバルユニオン加盟組織は2019年9月25~26日にニューデリーでワークショップを開き、インドの自由貿易体制が製造業部門全体(自動車、鉄鋼、石炭、電機・電子、既成服、繊維、化学など)に及ぼす影響を評価した。

参加者は、政府の貿易・投資協定締結アプローチにおける透明性と民主的プロセスの欠如への深刻な懸念を表明した。

加盟組織は、中央政府や州政府、地方政府による投資協定に、企業に適切な賃金・労働条件を尊重させる条件が盛り込まれていなかったり、企業がこれらの条件に従わない場合の罰則がなかったりすることを非難した。

労働組合は、東アジア地域包括的経済連携(RCEP)案も含めたインドの貿易協定が、真の開発ニーズと労働組合が直面する課題に十分取り組んでいないことを強調した。RCEPはASEAN16カ国とそのFTAパートナーとのメガ地域自由貿易協定で、年内に締結されると予想されている。

ジェニー・ホルドクロフト・インダストリオール書記次長は次のように語った。
「組合員が働く産業の雇用に影響を及ぼす政策に組合が介入できるようにすることが極めて重要だ。労働組合は国家・地域・国際レベルで一致協力し、事業活動を行うための条件に雇用創出、雇用保障、十分な賃金を含めさせるとともに、経済活動の恩恵を労働者およびその家族と共有させるようにする必要がある。インダストリオールは、この方向で活動しようとするインドの加盟組織の努力を支援する」

アプールヴァ・カイワール南アジア地域事務所所長が次のように語った。
「インドの労働組合は貿易・投資協定の悪影響を深く憂慮している。この景気後退は、インドの貿易・産業政策体制が不十分であり、製造業部門全体で労働者の削減を緩和しておらず、雇用を創出していないことを示している。政府は、これらの問題をめぐって労働組合に関与し、持続可能な結果の達成に向けて前進しなければならない」

インダストリオール加盟組織は、それぞれのナショナルセンターも関与させて、貿易・産業政策問題に関する労働組合の要求を強調するための努力を強化する旨決議した。また、持続可能な開発を達成するために、現在外国投資が不足しており、革新的な外国投資規則が必要とされている現状を強調することも決定した。