広報ニュース

第98号インダストリオール・ウェブサイトニュース(2019年12月31日)

フィンランドのノキアで不当解雇

2019-12-19

フィンランドのノキアは、合法的なストが実施されたあと職場委員の雇用を打ち切った。ノキアは、この職場委員はストの前に装置の電源を切って会社に損害を与えたと主張している。

「これは労働組合に対する極めて残忍な攻撃だ。私たちの見解では、ノキアは今週前半に行われた3日間のストに報復している」とインダストリオール加盟組織フィンランド専門職エンジニア労組のサム・サロ会長は述べた。

フィンランドのノキア・エスポーで現地職場委員を務めるこのエンジニアは、25年以上にわたって同社で働いていた。彼はフィンランド専門職エンジニア労組の上部組織である交渉団体YTNが組織化する上級社員のために、3日間の合法ストに参加した。

会社側の主張によると、解雇の理由は、このエンジニアがスト実施前に機器の電源を切ったことである。エンジニアは、この機器はスト中は必要がなく、自分が監視することもできないであろうから、自分の行動は正しいと考えていた。ところが、これらのスイッチは海外で遠隔利用されている装置にもつながっており、彼はそのことを知らなかった。

このエンジニアは4年前からネットワークの構築に携わっており、それらのスイッチに関連するサービスを維持していた。海外で遠隔接続されていた装置は他の従業員たちが担当しており、エンジニアが知らない間に彼が担当するスイッチに接続されていたのである。

「私たちはノキアが取った行動に異議を申し立てている。解雇を非難する文書を提出し、訴訟の準備をしている。この件を警察に届けて捜査してもらう。争議行為も含めて、その他すべての選択肢について現地で議論している」とフィンランド専門職エンジニア労組の組合代表は語った。

「これはノキアによる受け入れ難い行為であり、インダストリオールは、この不当解雇に正義をもたらすために行動しているフィンランド専門職エンジニア労組を全面的に支持する」と松崎寛インダストリオール電子担当部長は述べた。

 

「行動の必要性を十分に認識」

2019-12-16

インダストリオール・グローバルユニオン自動車作業部会は、12月9~11日にドイツのデューレンで会合を開き、自動車産業における重大な変化に対処するために10種類のアプローチを提案した。

自動車産業の転換は複雑であり、さまざまな要因に依存している。電気自動車(EV)や自律走行車(AV)の導入、新しいモビリティーの概念の出現、企業のデジタル化が世界中で見られ、その段階はさまざまである。

「行動を起こすべきときだ」と、世界中のインダストリオール加盟20組織からデューレンに集まった自動車部門代表80人は言う。気候変動、車が増えすぎたことによる全世界の市街地での大渋滞、それに新技術は、自動車事業のすべての部分に包括的影響を与える、という点で代議員の意見が一致している。

地域や国、サブセクターからの報告によると、地域によって開発のペースが異なり、すべての課題の答えが同じというわけではないことは明白である。しかし、これまでにまったくと言っていいほど変化が導入されていない地域は、現状維持でよしというわけにはいかない。それどころか、将来の開発や投資から切り離される危険がある。

この会議を準備した労働組合専門家グループは、10種類の戦略を練り上げた。これらの戦略は具体的な行動計画に変えることができ、世界中の労働者が積極的に転換に対処するうえで役立つ。この多様なアプローチは、さまざまな文化や伝統を考慮し、世界各地で不均等に変革が進んでいる現状を反映している。

会合では、緊密な政労使対話で管理される社会的責任のある移行プロセスを要求する決議を採択した。

「毎日、自動車産業の転換を取り上げる記事が目に入り、それは雇用喪失や新しい技能などの話でもあることが多い」とゲオルク・ロイテルト・インダストリオール自動車担当部長は言う。
「この2019年自動車会合は明確なメッセージを送っている。今日、自動車産業の未来に関する決定が下される。私たちはこのプロセスに積極的に参加していく」

参加者は、自動車部門の性差別とそれを克服するための新戦略に取り組んだ。4カ国・3大陸から参加した女性の同僚5人が経験を共有し、性差別と機会不均等、これに基づく大きな賃金格差に言及した。パネリストたちは、女性参画が著しく不十分な組織は効果が小さく、持続不可能であることも指摘した。来年の会合まで自動車部門のジェンダー政策に取り組むために、タスクフォースが設置された。

アメリカがロシアの自動車メーカーGAZの所有者に制裁を科しているため、GAZの労働者に深刻な影響が及んでいる問題について討議した。ネットワークは力強い連帯宣言に加えて、労働者が損害を受けないようにするためにさらなる行動の検討を約束した。

来年の会合はアフリカで開催し、アフリカ大陸における投資の増加と、それに関連する労働組合の問題・課題を中心に議論する。

 

2019年12月15日にCOP25が下した結論

2019-12-15

12月15日(日)午後1時55分、国連気候変動枠組条約第25回締約国会議(通称COP25)が正式に閉幕した。ブライアン・コーラー・インダストリオール・グローバルユニオン持続可能性担当部長が報告する。

私は2019年12月13日付の前回のブログ投稿で、この最終報告までに「おそらく未解決問題のいくつかが解決しているだろう」と述べた。私の見通しは甘かったことが判明した。全体的に見て、いくつか成果はあったものの、COP25の最終結果は期待はずれである。

成果

  • 今回の結果は、来年のグラスゴーCOPに向けてNDCを大幅に強化する必要があることを認めている。
  • すべてのUNFCCCプロセスへの女性参画拡大とジェンダーに対応した気候政策の支持を目指して、ジェンダー・アクション・プランが承認された。
  • 対応措置に関する作業計画により、公正な移行とディーセント・ワークおよび良質な雇用の創出に対処する予定である。
  • 今回のCOPでは、労働組合を含むNGOが――おそらく私がこれまでに出席したどのCOPよりも――うまく連携した。

不満点

  • 最悪なのは、現に気候非常事態に至っている状況への対処に関して、真剣な討議がほとんど行われなかったことである。オーストラリア、ブラジル、中国、サウジアラビア、アメリカが中心となって強力な決定に抵抗した。
  • 第6条が未解決:今回の討議は、京都議定書で付与された排出権をパリ協定のNDCに利用できるようにしたいと考えるいくつかの締約国に乗っ取られた感がある。そのような発行済み排出権が大量にあるため、これはパリ協定の有効性を著しく損なうだろう。排出権取引市場は少数者が多額の利益を上げる場所だと勝手に思い込んでいる人もいるのではないかと思う。いずれにせよ、仮定の排出権取引制度のもとでの人権保護や環境保全については合意に至らなかった。したがって、この全体討議がグラスゴーで再び取り上げられる。今回の討議で、人権や社会権を保護することの必要性、それどころか環境面の進展を保証することの必要性さえ承認できなかったことを考えると、原文に合意して採択しなかったことはかえって幸いかもしれない。排出権取引に関して下手に合意するよりは、何も合意しないほうが明らかにましだろう。
  • いくつかの新しい財政的コミットメントが示されたが、財政メカニズムには、特に気候関連の損失・損害の問題に取り組むための資金がまだ十分に供給されていない。富裕国のNDCだけではパリ目標を達成できない。貧困国を支援するための財源をパッケージに盛り込み、UNFCCCの約束の一部にしなければならない。
  • 市民社会のオブザーバー(労働組合代議員を含むカテゴリー)は、討議に加わるうえでこれまで以上に困難に直面した。

労働組合は気候対応措置の討議などで、今回のCOPから公正な移行への意欲と取り組みをはるかに強化したいと考えていた。対応措置に関する作業計画で公正な移行に言及させることには成功したが、それをどう実現するかは不明瞭である。仕事のための気候行動イニシアティブも発表された。これは労働組合にとって重要な勝利であり、もちろんパリ協定に公正な移行という言葉が残っていることも成果である。しかし、最善の努力にもかかわらず、COP25の公式結果にはあまり進展が見られない。

締約国は取るに足りない話題を選び、多くの時間を浪費した。そのため、新たな機会が十分活用されなかった。私たちとしては、来年スコットランドのグラスゴーで開催されるCOP26がもっと成果を上げることを望むしかない。来年には、各国が自主的に決定する約束(NDC)が改訂される。したがって労働組合は、1年かけて自国政府に圧力を加え、仕事のための気候行動イニシアティブへの署名と、公正な移行措置とNDCとの統合を求めていく。

以下に掲載するのは、スコットランド労働組合総連合のフランシス・スチュアートが、労働組合関係者を代表して最後の全体会議で読み上げた締めくくりの言葉である(COP26が2020年にグラスゴーで開かれるため)。

 

議長殿

 私はスコットランド労働組合総連合のフランシス・スチュアートです。ITUCによって代表されるグローバルな労働者運動を代表してお話しします。私たちは165カ国の労働者2億700万人を代表しています。

 ここ2週間の状況は、まさに不名誉と言うほかありません。組合はひどく失望しています。私たちが望んでいたのは、各国政府が、私たちの生命と雇用、生活、地域社会、尊厳を脅かしている気候非常事態に対応する意欲的な気候公平性政策について合意することでした。現実は正反対です。

 市民社会は――まさしく文字どおり――締め出され、政府は長年かけて取り決められたことを撤回しました。

 この会議で見られたのは、締約国がパリ協定を解体しようとする活動にほかなりません。各国は実際に排出を削減することではなく、排出権取引によって利益を得ることにはるかに大きな関心を寄せています。科学に対する敬意も、人権に対する敬意も、社会的公正も、意欲も、行動への専心もありません。

 この失敗は世界中で見られる危機と分かちがたく結びついています。

  •  富裕層がますます豊かになる一方で貧困層が苦しんでおり、この状況は気候変動によって悪化している。
  • 労働組合員に対する攻撃
  • 政府(チリ政府など)による人民攻撃

 公正な移行への道を開くには、政府による大胆な変革措置が必要です。来年のCOPは私の故郷グラスゴーで開催されます。気候措置によって労働者の権利を保護し、ディーセントな雇用を創出する必要があります。

  • 労働者は、政府が先に行動するのを待っていたり、ぐずぐずして成り行きを見守ったりするのではなく、グラスゴーで発表するために立案されるNDC強化案の交渉に加わらなければならない。
  • 私たちは影響を受ける人々のための社会的保護政策を求める。
  • そして富裕国が、何年も前から公約している気候資金を供給するよう求める。

 上記のいずれも今回のCOPに反映されていません。

 今回のCOPは人間と地球を裏切りました。民衆の力、気候の公平性。

 

組合がフィリピンのために行動

2019-12-12

今年の人権デー(12月10日)にグローバル労働運動が協力し、ドゥテルテ・フィリピン大統領に人権・労働権擁護者に対する執拗な攻撃の即時中止を要求した。

このところフィリピン政府による労働組合員の狙い撃ちが強化され、新たな逮捕と暴力の波が押し寄せている。現在までに労働組合員43人が殺害された。

インダストリオールとBWI、UNIグローバルユニオン、PSI、IUFの代表は、ジュネーブのフィリピン大使に抗議文を手渡し、同国政府に労働組合員の誘拐・殺害の中止とILOハイレベル・ミッションの受け入れを求めた。

フィリピンでは、インダストリオール加盟組織が他のグローバル・ユニオンおよびITUCとともに行動を起こし、自分たちが活動している抑圧的な環境を公然と非難した。

世界中でいくつかのインダストリオール加盟組織がフィリピンの組合のために行動を起こし、ドゥテルテ大統領に書簡を送ったり、ソーシャルメディアに自分たちの写真をアップしたりした。

ヴァルター・サンチェス・インダストリオール書記長は言う。
「フィリピンにおける労働者の権利に対する執拗な攻撃を非難するとともに、結社の自由と人権、民主主義を求めて闘っている同国の加盟組織を全面的に支持する」
「国際労働組合運動は団結して、攻撃の中止ならびに組合員・指導者全員の尊重と安全確保を政府に要求する」

 

デリーの工場火災で労働者43人が死亡

2019-12-11

12月8日にデリーで発生し、犠牲者を出した工場火災事故は、インドのインフォーマル労働者が危険にさらされており、政府が労働者の安全に対して消極的な態度を取っている現状を明るみに出した。

「もう死ぬ……逃げられない」が、デリーの住宅地域にある工場で12月8日午前4時30分ごろに火災が発生した直後に、1人の犠牲者が必死で送ったメッセージである。

この火災で43人が死亡、39人は窒息死だった。犠牲者のほとんどが、インドで最も貧しいビハール州とウッタルプラデシュ州出身の若い出稼ぎ労働者である。

玩具やジャケット、ランドセル、紙を作るための大量の易燃性物質が原因で、あっという間に火の手が広がった。材料が出口を塞いでいたため、犠牲者たちは4階建ての建物から逃げることができなかった。

建物までの道は狭かった。入口は1つしかなく、通路が散らかっていたため、消防車は直接現場に行き着くことができなかった。第一報によると、出口が内側からロックされていたため、消防士は出口をこじ開けなければならなかった。

この違法工場は、火災予防当局から正当な許可を得ていなかった。建物には十分な換気設備も火災予防計画もなかった。事故発生時、100人以上の労働者が職住兼用の建物で眠っていた。

ヴァルター・サンチェス・インダストリオール書記長は言う。
「インダストリオールは犠牲者の遺族と連帯する。デリーだけでなくインド全国で回避可能な事故が続発している状況を受け入れることはできない」
「火災予防および建設物の安全に関わるバングラデシュ協定による経験は、職場の安全性向上には組合の関与が不可欠であるという事実をさらに明らかにしている。インド政府と使用者は組合と協力し、国内の労働安全衛生状況を改善すべきだ」

国家人権委員会(NHRC)は当局を強く非難し、今年すでに同様の事故が何件か発生したあともなお、デリーの安全状況を改善していないと指摘した。NHRCはデリー州政府、デリー警視総監およびデリー市庁に対し、6週間以内に行動報告を提出するよう要求した。

INTUC会長兼インダストリオール執行委員のG・サンジーバ・レディー博士は次のように述べた。
「政府の怠慢のせいで、この違法かつ危険な活動が野放しにされ、尊い命が失われたことを強く非難する。労働安全衛生を十分に優先し、労働者代表を意思決定プロセスに関与させなければならない」

デリー州政府は犠牲者の親類1人当たり100万インド・ルピー(1万4,100米ドル)の補償を、中央政府は20万インド・ルピー(2,820米ドル)の補償を発表した。

ビルの所有者と管理者が逮捕され、過失致死罪で起訴された。

 

インドの鉄鋼労組、組合の力の強化を誓約

2019-12-10

インド鉄鋼部門のインダストリオール加盟組織の上級組合幹部が、2019年12月9~10日にインドのムンバイに集まった。SMEFIとINMFメタルの幹部たちは、インダストリオールのサンジョット・バダブカール・グローバル共同部会長とともに、インドのこの重要な部門における組織化と勧誘の未来について議論した。議論の焦点となったのは、鉄鋼部門の若年労働者と不安定雇用を取り巻く状況である。

サンジョット・バダブカールの主導で充実したセッションを行い、この部門における女性のニーズと、女性の組織化活動が労働組合運動に提供する機会を取り上げた。

サンジョット・バダブカール

サンジョット・バダブカールは、インドの鉄鋼業における女性の状況について次のように述べた。
「ますます多くの女性組合員が労働組合で活発に活動し、特に鉄鋼部門でもっと多くの女性を積極的に勧誘しなければならない。これは鉄鋼業のために、労働運動のために、ジェンダー公正のために実現すべきだ! 女性は職場や家庭でのジェンダーに基づく暴力や差別、嫌がらせに異議を唱えなければならない」

この討議は、グローバルな鉄鋼供給過剰が見られる中、全世界の鉄鋼労働者に対する圧力が強まっている状況を背景として行われた。インドは世界有数の鉄鋼生産国で、年間粗鋼生産量は約1億1,000万トンに達し、生産能力が拡大し続けている。

 

 

マティアス・ハートウィッチ

マティアス・ハートウィッチ・インダストリオール部門担当部長は会合後にこう語った。
「インドの労働組合が今後の組織化活動の非常に具体的かつ意欲的な計画を採択したことをうれしく思う。鉄鋼業の変化に鑑みて、インドで強力な鉄鋼労組を構築する必要がある。デジタル化と環境上の必要性を考えると、この産業の労働者を保護するために強力な組合が必要だ」

世界の鉄鋼業は過去70年間一貫して成長しており、今や年間生産量は約18億トンに達している。インドや中国などいくつかの国々が需要の伸びを上回るペースで設備を拡大したため、鉄鋼業は現在、過剰生産能力に直面している。米中貿易戦争は他の国々にも影響を与えている。インドでは、国有企業でも民間企業でも労働者に対する圧力が強まっている。おびただしい数の不安定労働者と賃金・労働条件に対する圧力が、労働者に絶えず脅威を与えている。

アプールヴァ・カイワール・インダストリオール地域事務所所長が、会合の結果を次のように要約した。
「インドのインダストリオール加盟組織が女性と若年労働者、不安定労働者の重視を決定し、さらに強力な活動主体になろうと尽力していることを誇りに思う。鉄鋼労働者とその家族には強力な労働組合が必要だ。今後は安全衛生とインダストリー4.0が鉄鋼部門の重点分野になる」

 

フィリピンに関する行動

2019-12-05

インダストリオールをはじめとするグローバル・ユニオンは12月10日の人権デーに行動を起こし、労働組合員・活動家に対する抑圧と暴力が悪化しているフィリピンの人々を支援する。

フィリピンでは労働者の権利が否定されており、グローバル・ユニオンと加盟組織が結集してドゥテルテ大統領に対し、労働者の人権・労働組合権を尊重するとともに、フィリピンで労働組合が機能できるようにすることを要求している。

執拗な反組合的態度を受けて、労働者や公務員、労働組合員・活動家は身の安全やプライバシー、市民権を心配している。組合幹部や組合員、人権・先住権活動家が警察や民兵組織に監視・調査されたり、テロリストに仕立て上げられたり、逮捕されたりしており、殺害までされている。

現在までに労働組合員43人が殺害された。

7月のグローバル・ユニオン協議会フィリピン・ミッションを受けて、かつ11月の執行委員会で下された決定に従って、インダストリオール・グローバルユニオンは全世界の加盟組織に、フィリピンの人々との連帯を表明し、同国における法的に認められない殺害の根絶を支援するよう呼びかけている。

今年の人権デー(12月10日)に、私たちとともに次の行動を起こしてほしい。

  • 政府に抗議文を送り、可能であれば自国のフィリピン代表に抗議文を手渡す。ここでモデルレターをダウンロード。
  • ポスターの1枚と一緒に写真を撮り、ソーシャルメディアで公表する。
  • ハッシュタグ#StopTheAttacksと#HandsOffで行動が目立つようにする。インダストリオールにタグ付けし、再共有できるようにする。
  • 教育インターナショナル主導のレイバースタート請願書に署名する。

視覚資料をダウンロードして利用するにはここをクリック

 

ティッセンクルップ労働者が雇用保障と明確な戦略を要求

2019-12-05

ドイツの多国籍企業ティッセンクルップは非常に深刻な事態に陥っており、全世界で16万人の雇用が危機にさらされている。さらに、グループの安定した利益の源泉である業界5位のティッセンクルップ・エレベーターが売却または株式公開される予定である。

12月4日、ティッセンクルップ・エレベーターの労働者2,500人がドイツ・エッセンのグループ本社で集会を開き、明確な戦略と雇用保障を要求した。前日の12月3日には、同じくドイツのデュースブルクで約6,000人の鉄鋼労働者が集会を開催、鉄鋼業の解雇禁止協定の締結に成功した。エレベーター労働者も、まさにそれを要求している。ティッセンクルップ・エレベーター工場で働く6,000人以上の労働者が影響を受けるスペインなど、他の事業所や現場でも抗議行動が行われた。

スペインでの抗議行動

グループ全体の業績が何年も低迷した結果、経営陣は投資家から圧力を受けているが、過去の誤った経営判断の代償を払わされているのは、またしても労働者である。

IGメタル・ノルトライン・ウェストファーレン地域責任者でティッセンクルップ・エレベーター監視委員会副委員長のクヌート・ギースラーは次のように述べた。
「エレベーター従業員は長年にわたってティッセンクルップ・グループのために素晴らしい仕事をしており、最高の業績を達成した。今、そのおかげでグループが救われるはずだ。だから、労働者も適切に扱わなければならない。残念ながら、まだしかるべき扱いを受けてはいない。経営側は依然、雇用と事業所に必要な保障を提供することを拒否している。それは許されない。だから私たちは今日、さらに圧力を強めている。一部の貪欲な株式仲買人がいい思いをする一方で、従業員が生存を脅かされるという状況は容認できない」

全世界のエレベーター事業労働者は、ティッセンクルップ経営陣に以下のとおり要求している。

  • ティッセンクルップ・エレベーターの雇用を確保すること。
  • 売却する場合は、影響を受けるすべての国々で現場と雇用を守ること
  • ティッセンクルップ・エレベーター従業員ならびに他のすべての事業単位の明確な見通しを示すこと。
  • 時機をみて適切な情報を提供し、ドイツだけでなくヨーロッパや他の国々の労働者・労働組合とも協議すること。

ティッセンクルップ欧州従業員代表委員会は会社側に要求リストを提出した。国際委員会スポークスパーソンでティッセンクルップ欧州従業員代表委員会委員長のウォルフガング・クラウスは次のように述べた。

「尊重と連帯――これが欧州従業員代表委員会の指針だ。間もなく、エレベーター事業を株式公開するか、一部または全部を売却するかについての最終決定が発表される。解決策が必要であり、同僚たちのための打開案が必要だ! ドイツのみならず、ヨーロッパその他の国々でも。この困難な時期、不確かな未来に、従業員を放置しないことを私たちは約束する」

「この困難な時期、不確かな未来に、従業員を放置しないことを約束する」
ウォルフガング・クラウス国際委員会スポークスパーソン兼
ティッセンクルップ欧州従業員代表委員会委員長

ティッセンクルップ・エレベーター従業員代表委員会委員長のスザンヌ・ヘルベルガーはこう語った。
「これまで数カ月間、ティッセンクルップ・エレベーターの従業員は先行きが見えない状態に置かれてきた。経営側がこの不明瞭な状況を打破し、エレベーター事業の株式を公開するか、それとも一部あるいは全部を売却するかを決めるよう要求する。さまざまな選択肢を調べるにあたって、はっきりさせておかなければならないのは、従業員とこの事業の見通しをきちんと示さなければならないということだ。影響を受ける5万3,000人の従業員が、この目標を求めて闘う5万3,000個の正当な理由だ」

「これまで数カ月間、ティッセンクルップ・エレベーターの従業員は先行きが見えない状態に置かれてきた。従業員と事業の見通しをきちんと示さなければならない」
スザンヌ・ヘルベルガー・ティッセンクルップ・エレベーター従業員代表委員会委員長

マティアス・ハートウィッチ・インダストリオール・グローバルユニオン機械エンジニアリング・素材金属担当部長は、現状について次のように述べている。
「ドイツの同僚は、この闘いにおいて全面的な連帯および支援を受けるに値する。この闘いは鉄鋼やリフト/エスカレーターの問題ではなく、約16万人の雇用をめぐる闘いだ。ドイツ、ヨーロッパ、インド、アジア、南北アメリカはじめ、ティッセンクルップが事業を展開しているすべての場所で、約16万人の労働者とその家族を守らなければならない。インダストリオールは、経営側が組合との協定締結にあたってグローバルな視点を考慮に入れるとともに、将来計画に関する情報を世界中の組合と共有することを要求する」