インダストリオール指導部、パキスタン労働者との連帯を再確認
2025-05-12
パキスタンで労働法改正が議論されるなか、労働者の権利が厳しい攻撃にさらされている。同国の労働組合は、反労働者的な労働法改正案に猛烈に反対しており、これに関して全国で何度か合同抗議行動を実施している。5月第1週にパキスタンを訪問したインダストリオール指導部は、労働者の権利を守るために絶え間なく闘う労働者と組合に連帯と支援を表明した。
イスラマバードで開かれた協議会で、加盟組織指導部はアトレ・ホイエ書記長およびケマル・ウズカン書記次長と喫緊の労働問題について詳細な協議を行った。組合指導者は、増え続ける不安定雇用や、労働者の権利をさらに弱める恐れのある労働法改正案への懸念を表明した。繊維・衣料品部門の労働者は以前から生活賃金と条件改善を要求してきたが、アコードの実施を通じていくつかの保護措置が導入された。しかし、安全な職場を求める闘いは続いており、特に鉱山部門では保護が不十分なままである。
加盟組織は使用者や州政府に対してこれらの問題を提起しており、IFFCOパキスタンの55人の契約労働者に常用労働者の地位を認めた昨年の最高裁命令など、いくつかの勝利があった。
「インダストリオールはパキスタンのすべての闘う労働者を全面的に支援する。私たちはこの闘いにおいて皆さんと共にある。労働者の権利を確実に前進させたいのであれば、団結して声を上げなければならない。団結は私たちの最大の強みであり、私たちが団結している限り、正義を求める私たちの闘いにおいて誰も敗北することはできない。」
とアトレ・ホイエは語った。
インダストリオールは政府高官とも会談し、香港条約の実施、労働法改革、鉱山の安全に関する 重要な問題を提起した。この会談は、各部門における労働安全衛生の改善に向けたインダストリオールの継続的なコミットメントを反映したものだった。パキスタンは、鉱山における安全を改善するための重要な手段であるILO条約第176号をまだ批准していない。インダストリオールは連邦政府高官との会合でこの懸念を提起し、同高官は年内に条約を批准するための措置を講じていることを確認した。
パキスタンは最近、強制労働条約の2014年議定書、海上労働条約、労働統計条約の3つのILO文書を批准した。政府は近い将来、さらに3つの中核的条約(職業安全衛生に関する第155号条約、労働安全衛生促進枠組みに関する第187号条約、鉱山における安全衛生に関する第176号条約)を批准する意向を表明している。これらの批准は来年初めまでに完了する予定で、パキスタンのインダストリオールと加盟組織にとって大きな勝利であり、労働者保護の強化を求める長年の要請活動と組織化の成果である。
「他の南アジア諸国とともに、パキスタンは政治的、経済的、社会的に数多くの課題に直面している。労働者の権利が守られ、労働条件が改善されるようにするためには、組合が強力に団結して闘うことが不可欠だ。そうしてこそ、労働者の闘いを前進させることができる。安全な採掘を確保するためのILO第176号条約の批准を含め、生活賃金、社会保障、より安全な職場を求めて団結して主張し続けなければならない」
とケマル・ウズカンは述べた。
【原文記事URL】
IndustriALL leadership reaffirms solidarity with Pakistani workers | IndustriALL
ローカルの闘いがグローバルなものになるとき:GFAはいかにして労働者のために真の変革を勝ち取るか
2025-05-15
ローカルな問題がグローバルな解決策と出会うとき、人々の生活を一変させることができる。それがグローバル枠組み協定(GFA)の目的である。多国籍企業がどこで事業を行おうとも、その責任を追及することで国境を越えて労働者の権利を保護するのである。
グローバル枠組み協定とは何か?
GFAは多国籍企業とインストリオールのようなグローバル・ユニオンとの間で交渉される協定である。この協定は、インドの工場からポーランドの製紙工場に至るまで、その企業がどこで活動しようとも、労働者が同じ基本的権利、すなわち団結権、団体交渉権、安全な職場、尊厳ある待遇を確保することを目的としている。
「これは国境を越えた契約であり、現地の制度が不十分な場合に労働者と組合に実質的な影響力を与えるものである。」
インダストリオール書記長のアトレ・ホイエは言う。
企業がグローバルに事業を展開しているにもかかわらず法律が国内法にとどまっている世界で、GFAは競争条件を平準化する。GFAは、国内での対話が決裂し、ローカルな闘いがグローバルな闘いに発展したときに、グローバル・ユニオンに明確な進路を提供する。
しかし、GFAは単なる原則の表明ではない。行動するためのツールなのだ。組織化された組合と粘り強い調整によって支えられれば、紛争を解決・予防し、労使間に永続的な対話を築くのに役立つ。
GFAはなぜ重要なのか?
多国籍企業は大陸を越えて事業を展開しているが、労働者の権利は国境によって制限されることがまだ多すぎる。GFAは競争条件の平準化に役立つ。GFAは、パキスタンやポーランドの労働者がスウェーデンやドイツの労働者と同等の基本的尊厳を確保するために設定されている。これには、団結権、団体交渉権、安全な職場で働く権利、敬意を持って待遇される権利などが含まれる。
インダストリオールと加盟組織にとって、GFAは戦略的ツールである。
「私たちはGFAを求めて闘い、GFAを監視し、GFAを利用してパワーを根底から構築している。また、GFAが必ずしも成果を上げていないと批判する人もいるが、組合が積極的に実施に関与し、企業が説明責任を果たせば、GFAがしばしば成果を上げていることを示す証拠もある」とホイエは言う。
シーメンス:インドで紛争を解決したGFA
インダストリオールと締結したシーメンスとのGFAは、インドの現地組合が深刻な 課題に直面したときにその価値を証明した。ある事例では、シーメンス労働組合(SWU)が何年も停滞していた争議に苦戦していた。グローバル協定のおかげで、インダストリオールとドイツのIGメタルが介入し、シーメンスのグローバル経営陣を巻き込んで解決策を後押しすることができた。インドの現場からドイツの本社に至るこの直接的なルートは、GFAがなければ存在しなかっただろう。
別の事例では、同じ枠組みによって現地の組合幹部と企業代表との交渉による決着が実現し、不利な膠着状態に終止符が打たれた。IGメタルとインダストリオールが報告しているように、これらの事例は、GFAがまさに意図したとおりに機能したことを示している。つまり、魔法のような解決策ではなく、国境を越えた実際の粘り強い組合の協力を実現するツールとして機能したのである。
エシティ:長期的な対話と具体的な成果
スウェーデンの製紙衛生用品大手エシティとのGFAによって、積極的な問題解決の文化が生まれた。スウェーデンの組合、インダストリオール、企業経営陣が参加する定期的な調整委員会が、オンラインと本部の両方で頻繁に開かれている。このような体制のおかげで、GFAはニュージーランド、ポーランド、トルコ、 パキスタンなどで事件解決に貢献している。これには組織化の勝利、ロックアウトの解決、労使関係の改善などが含まれる。
これは指標となる事例である。同社は、国内だけでなく世界中で労働者をどう処遇するかによって、世界的な評判が左右されることを知っている。
H&M:サプライヤー説明責任、組合訓練、現地監視
H&MとインダストリオールとのGFAは、特にインド、バングラデシュ、トルコなどの主要国における全国監視委員会(NMC)の設立を通じて、サプライヤー工場の労働者の条件の実質的な改善につながった。
これらの委員会は、紛争を解決し、協定の実施状況を監視し、職場におけるジェンダーに基づく暴力などの問題に取り組むために、現地の組合とH&Mの代表者を集めている。インドでは、平和的紛争解決に関する合同トレーニングがすでに実施され、深刻な紛争の拡大を防いでいる。
これらの委員会がどのように機能しているかについては、こちらを参照のこと: H&Mグローバル枠組み協定を共に改善する
インディテックス:サプライチェーンの行き詰まりを解消する
ザラやベルシュカなどのブランドを傘下に持つインディテックスは、GFAに基づいてインダストリオールとのグローバル労組委員会を設置した。このプラットフォームは、組合と経営陣の関係が決裂していたルーマニアのタネックス工場での長年の問題を解決するうえで重要な役割を果たした。オープンな対話と組合の圧力を通じて、GFAは交渉再開と社会的対話の改善に貢献した。
ルーマニアの事例に関する詳細はこちらを参照。
ソルベイ/サイエンスコ、アングロ・アメリカン:監視とコミットメント
化学・鉱山部門では、ソルベイ/サイエンスコやアングロ・アメリカンといった企業が強力なGFAを締結し、インダストリオールや加盟組織が主導する監視ミッションに参加している。これらのミッションは経営陣の責任を追及し、協定を紙の上だけでなく実施においても活かしている。
エネル:イタリアでGFAの支援によって組合が勝利
2024年、イタリアのエネルギー大手エネルの労働者が、リモートワークと企業 福利厚生に関連する問題で大勝利を収めた。イタリアの組合は、同社のグローバル枠組み協定を引用して変革を推し進めることができた。インダストリオールと国際公務労連(PSI)の支援を受けて、組合はエネルのグローバル・ コミットメントを重視し、説明責任を求めた。その結果、新たな協約が締結され、特に新技術と柔軟な労働方針をめぐる意思決定プロセスへの労働者の協議と参加が改善された。
詳しくはここを参照のこと。
PSA/ステランティス:モロッコとブラジルで組合が利益を得る
モロッコでは、PSAのインダストリオール加盟組織がGFAを利用してケニトラ工場の組合力を強化し、会社からソーシャル・パートナーとして正式に認知された。
全文はここで読むことができる。
一方、ブラジルでは、ペルナンブーコにあるステランティスのジープ工場の現地組合が、組合忌避と対話不足について懸念を表明した。インダストリオールと現地・企業経営陣の双方が参加した調整行動のおかげで、争議は解決し、新しい労働協約を締結して、サプライヤー・パークを含む工場全体の組合アクセスと社 会的対話を大幅に改善した。
エアバス:チュニジアで安全衛生を勝ち取った
チュニジアのエアバス施設で、現地の組合が人間工学と労働安全性に関する懸念を提起した。GFAと欧州労使協議会の支援を受けて、この問題は提起・解決され、より安全な設備や新設備への大規模な投資、職場環境全体の改善につながった。
闘いは現実だが、勝利も現実だ
すべての企業がグローバル枠組み協定の約束を完全に遵守しているわけではないのは事実である。場合によっては、現地経営陣がグローバル・レベルで合意された原則を無視したり、弱体化させたりすることもある。そのような事態が発生し、労働者が団結権、団体交渉権、報復を恐れずに働く権利を否定されれば、不満は完全に正当化される。
このような闘いは、どんなに強力な協定であっても、その実効性を高めるには一貫した圧力と調整と監視が必要であることを我々に思い起こさせる。しかし、これらは例外であって標準ではないことを忘れてはならない。
単発的な失敗が、多くの静かな成功の成果をかき消してしまうことがあまりにも多い。だからこそGFAの成功事例を共有することが重要なのだ。GFAが機能するのは、組合がGFAに取り組み、加盟組織が粘り強く連帯して国境を越えて協力するときである。GFAが提供するはずの保護を実現するには、GFAの積極的な利用、動員、継続的なフォローアップが必要である。
前進:加盟組織にできること
GFAは本部や組合幹部だけのものではない。GFAはすべての現地組合のツールである。加盟組織が GFAを最大限に活用する方法を紹介しよう:
- GFAを知る:自分の会社が何を約束したかを理解する。不明な点はインダストリオールに問い合わせよう。
- 違反を早期に報告する:未解決の問題を提起する枠組みとしてGFAを利用する。
- 研修に参加する:ワークショップに参加し、可能な限りGFA関連の会議や委員会に参加する。
- つながりを保つ:同じ使用者を抱える他国の組合と連絡を取る。経験や戦略を共有する。
「インダストリオールは引き続きGFAを交渉・擁護・拡大する。私たちは成果を目の当たりにしているため、その可能性を信じている。しかし、GFAは自らを強制するものではなく、加盟組織の日常活動や 私たちを団結させる連帯を通じて生きている。
GFAが力と粘り強さをもって活用されれば、ローカルな闘いをグローバルな勝利に変えることができる。その力を、ともに築き続けよう。」
とホイエは言う。
写真クレジット:Shutterstock 2460677957
【原文記事URL】
When local struggles go global: how GFAs win real change for workers | IndustriALL
トルコの自動車サプライチェーンで人権デュー・ディリジェンスを実施
2025-05-15
昨年11月に開催されたワークショップの勢いに乗って、トルコとドイツの自動車部門の主要利害関係者が4月28-29日にアンカラに集まり、第2回マルチステークホルダー対話プラットフォーム会合を開いた。目的は、特に仕事の世界で労働組合権に関して、HRDDの原則と手段を促進・実施することである。
昨年11月の前回会合と同様に今回の会合も、ドイツの組合IGメタル、ドイツ政府(ドイツ国際協力公社を通して)およびドイツ自動車部門対話の支援によって、インダストリオールが企画した。
2020年に連邦労働社会省が開始した自動車部門対話には、連邦政府、自動車メーカー、サプライヤー、組合、ビジネス団体、NGO、人権機関が参加し、サプライチェーンの人権デュー・ディリジェンス(HRDD)を促進している。このマルチステークホルダー・フォーラムは、5年にわたって実際的な指針を開発し、部門全体で協力関係を育んできた。政府の資金供給は終わろうとしているが、参加者は、今ではメンバーが自ら資金を供給しているドイツの国連グローバル・コンパクト・ネットワークでの活動継続に同意した。
ワークショップには、労働組合と使用者団体、自動車メーカー、サプライヤー、政府、学界、国際労働機関(ILO)の代表が集まった。ワークショップ参加者は、結社の自由と団体交渉に関する組織的な権利侵害に取り組むことの緊急性を確認したが、リスク分析も広げ、OHSや労働条件、多様性といった他の分野も調べる予定である。
「社会的公正に基礎を置く権利に基づいた経済を作り上げなければならない」とケマル・ウズカン・インダストリオール書記次長は述べた。
「力を合わせて持続可能な部門を構築するには、健全で平等な労働条件が基本だ」
会合を主催したトルコメタルのウイサル・アルトゥンダーグ会長は次のように述べた。
「当組合はトルコの輸出主導型部門を中心に組織化されている。私たちの目的は、労働者の権利と事業利益との公正なバランスを保つことだ――しかし、賃金が下がり続けており、このバランスを維持するのが難しくなっている」
ダイムラー・トラックのフローレンス・ゲッケリッツが、トルコの告発者からの苦情によると、組合に加わろうとする労働者が障害に遭遇していると述べた。規則を守っていない可能性のある行動に関する情報は、非常に深刻に受け止められ、慎重に調べられている。一般に、このような事例は、労働権の課題に対処して紛争を防止するための確固たるメカニズムの必要性を強調している。
「トルコの企業で組織化できるようにするための具体的な行動が必要であり、この取り組みには私たちが労働者の権利を擁護できるようにする大きな可能性がある」とビルレシク・メタル・イスのウズカン・アタル会長は述べた。
現在、トルコの自動車サプライチェーンでは体系化された対話が明らかに欠如している。労働権に関する多くの問題は直接裁判に持ち込まれており、相互の関与によって紛争を解決できたはずのメカニズムを回避している。これを認識して、マルチステークホルダー・プラットフォームは、先手を打って紛争を阻止し、信頼を構築し、労働条件の持続的改善を促進する手段として、社会的対話を強化する方法を模索している。
「社会的対話は望ましいだけではなく不可欠だ」とILOのヤセル・ハッサンが述べた。
「企業・部門両レベルの対話は、信頼を構築し、職場紛争を減らし、国際労働基準の遵守を確保することができる」
EU諸国(特にドイツ)は主な輸出先の1つなので、トルコのサプライヤーは人権デュー・ディリジェンス(HRDD)に関する法律に従わなければならない。労働者・労働組合の権利は、この法律の対象となる。同法は適切なリスク分析・苦情処理制度を要求しているだけでなく、ステークホルダーに権利侵害の根本原因に取り組むよう奨励している。
ワークショップでは、欧州連合の企業持続可能性デュー・ディリジェンス指令(CSDDD)の影響を調べた。この指令は企業に対し、サプライチェーン全体で人権への影響を確認して対処するよう命じている。
ドイツ労働総同盟(DGB)のミリアム=レナ・ホーンが、効果的な実施と説明責任を確保するために、労働組合を含むステークホルダーをデュー・ディリジェンス・プロセスに関与させることの重要性を強調した。
「CSDDDはサプライチェーンの関連ステークホルダーとの協議を想定しており、これは労働組合の関与を強化する」とミリアム=レナ・ホーンは述べた。
参加者は、紛争防止、紛争解決、統治に重点を置く3つのテーマ別グループで活動した。各グループは改善すべき主要分野を確認した。例えば、透明な苦情処理制度の確立、HRDD訓練の強化、合意した措置の実施を監督する明確な統治機構の開発などである。
ステークホルダーは、対話の継続と会合で概説された戦略の実施への力強い意思を表明した。この対話は今後数カ月にわたって続き、ロードマップを運用可能にして年末までに具体的な進展を達成するために作業部会を設置する。
ゲオルク・ロイテルト・インダストリオール自動車担当部長が、これまでの進展を強調した。
「共通のロードマップができた。だが今後の措置は、組合権を改めて強く要求することから始めて、善意を永続的な構造変化に変えなければならない。このマルチステークホルダー・イニシアティブにより、ケース・バイ・ケースの対応から脱却して組織的な労働権の課題に取り組み、トルコの自動車サプライチェーンで労働者の権利、労働条件、その他すべてのHRDD分野の持続可能な解決策を生み出すようにするチャンスがある」
ドイツの部門対話について
2020年にドイツ政府が開始した自動車部門対話には、自動車メーカー、サプライヤー、組合、NGO、人権機関が参加し、サプライチェーンの人権デュー・ディリジェンス(HRDD)を促進している。このイニシアティブは、5年にわたって実際的な指針を発表し、部門全体で協力関係を育んできた。政府の資金供給は終わろうとしているが、自動車会社、IGメタル、インダストリオール、NGOなどの参加者は、今ではメンバーが自ら資金を供給している国連グローバル・コンパクト・ドイツでの自発的な活動継続に同意した。
【原文記事URL】
Implementing human rights due diligence in Türkiye’s auto supply chains | IndustriALL
東南アジア: 青年の力の構築とより多くの青年の機構
2025-05-21
東南アジアの若手組合指導者たちは、戦略的計画と集団行動を通じて青年の力を強化し、より多くの青年機構を構築しようとしている。5月16~19日、カンボジア、インドネシア、日本、マレーシア、フィリピン、ベトナムから22人の若手活動家がマニラに集まり、FESインダストリオール東南アジア・青年リーダーシップ・アカデミーの2年目を開催した。
参加者は、新自由主義経済理論を背景とするグローバル・サプライチェーンのパターン、サプライ・チェーンの変化に組合がどのように対応し、グローバル・ノースの組合とどのように協力するか、労働者の権利を守るために人権デュー・ディリジェンスやその他の救済ツールをどのように活用するか、といった新しいトピックに触れた。製造業部門の青年たちは、スマートフォンと自動車のサプライ・チェーンを分析する演習を行った後、鉱山労働者の熱心な取り組みを高く評価した。
グローバル・ノース/サウス間の生産移転に関するロールプレイを通じて、青年参加者は雇用機会における不利な条件や、連帯と集団行動の重要性を学んだ。
若者の組織化を強化するため、参加者はいくつかの重要な行動に合意した。すなわち、全国組織および工場レベルでの青年委員会の増設、スタディ・サークルの設立、若年労働者の問題に関するソーシャルメディア活動の増加、企業レベルのコミュニケーションのためのWhatsAppグループの立ち上げ、ジェンダーに基づく暴力と組織化に関する研修の継続、全国組織レベルの青年リーダーシップ・キャンプの開催、会議や活動のための他の青年組織との協力である。
FESフィリピン事務所代表のマリー・シュレーターは次のように述べた:
「グローバル・サプライチェーンを知ることは、権力の中心がどこにあるのか、労働者の権利を向上させるにはどうすればよいのか、労働者をより効果的に組織化するにはどうすればよいのかを理解する上で極めて重要である。青年はさまざまなツールや活用法を実践し、組合のコンフォートゾーンを超えて、率直なフィードバックをもとに自分の周りにチームを作るべきだ。」
インダストリオール青年担当役員のサラ・フローレスは言う:
「皆さんは現在、地域全体の若手組合活動家の強力なネットワークを形成している。昨年はネットワークを活性化させ、当ネットワークの仲間に対する組合潰し事件に反対するキャンペーンも行った。これからも活発に活動し、互いに連絡し、交流してほしい。あなたがどこに行きたいのか、あなたのビジョンとユートピアを忘れないでほしい。私たちは共に強力な集団運動を築き上げよう。」
【原文記事URL】
South East Asia: Building youth power and more youth structures | IndustriALL
人々が保護されないデュー・ディリジェンスに何の意味があるのか?
2025-05-22
今日のグローバル経済において、労働者の権利侵害は組織的なものとなっている。東南アジアの衣料品工場からアフリカのクリティカルミネラル、東欧の自動車工場まで、広範なサプライチェーンにわたって、労働者は安全、生活、団結権に対する脅威の高まりに直面している。こうした侵害は偶発的なものではない。あまりにも長い間、人間よりも利益を優先してきたグローバル・モデルの結果なのだ。
インダストリオール書記次長 ケマル・ウズカン
権威主義的な慣行が台頭し、民主的な権利が侵食される中、人権デュー・ディリジェンス(HRDD)は、この傾向を覆すために不可欠なツール、おそらく最も強力なツールとして浮上している。
インダストリオールは、「ビジネスと人権に関する国連指導原則」とともに、HRDDが企業の説明責任を変革する可能性があると信じている。しかし、そうなるためには、労働者と組合が窓越しに見ているのではなく、完全にテーブルについていなければならない。
なぜ今HRDDなのか?
ドイツやフランスのような個々の国から欧州連合(EU)に至るまで、HRDDに関する国内および国際的な法規制の波が大きくなっていることは、残念ながら後退の兆候も見られるものの、重要な変化を反映している。これは、自主的な行動規範が失敗に終わったことを示している。自主行動規範は、労働者を平然と搾取し続ける常とう的な慣行の隠れ蓑として利用されてきたため、信頼性を失ってきたのである。
HRDDはそれとは異なるものを提供する。すなわち、調達から納品まで、川上から川下まで、企業の事業活動のライフサイクル全体について責任を問う法的拘束力のある枠組みである。
しかし、HRDDは単なる規制の整備ではない。私たちにとって、HRDDは労働者の権利が最も脅かされている場所で、それを擁護し前進させる具体的な機会である。
多くの国、特にグローバル・サウスでは、国内法では労働者を虐待から守ることができない。HRDD法は、国際労働基準の遵守を要求し、抑圧に反撃するための影響力を私たちに与えてくれる。これにより、 個々の労働者だけでなく、民主主義と社会正義の原則そのものを守ることができる。
私たちが直面するリスク
欧州では現在、HRDDを生み出した立法機運が反動に直面している。欧州委員会のオムニバス提案はその典型で、「簡素化」を装った後退であり、人権や環境保護よりも利益を優先している。労働組合は協議プロセスから排除され、影響評価も実施されなかった。これは容認できない。
企業も反発している。世界経済がコスト上昇と不確実性に直面するなか、関税や貿易政策の変化によって、企業はリスクを軽減する方法を模索している。しかし、多くの企業は倫理的慣行を倍増させるどころか、サプライチェーンを労働法の緩やかな地域に移すことで対応している。中には、経済的な圧力が完全なデュー・ディリジェンスを 「非現実的 」にしていると主張し、透明性要件を満たす能力に疑問を呈する企業さえある。
これらは私たちが受け入れることのできる言い訳ではない。HRDDは景気が良いときのための贅沢品ではなく、厳しいときにこそ必要な要件なのだ。
関税の影響
鉄鋼、電気自動車、グリーン・テクノロジーといった品目に課される新たな関税は、すでに世界貿易を混乱させている。企業が利幅を維持し、調達戦略を調整しようと躍起になるなか、権利保護に手を抜くのではないかと懸念される。多角化を急ぐあまり、多くの企業は労働条件や環境への影響に関する基本的なチェックを無視して、規制の枠組みが弱い地域に生産拠点を移す可能性がある。
これはHRDDの信頼性に対する直接的な脅威である。サプライチェーンが不透明であればあるほど、人権基準の監視と執行が困難になる。経済的・地政学的圧力が、HRDDのコミットメントを崩す抜け穴になることを許してはならない。
何が必要か
HRDDが真に効果を発揮するためには、労働組合の全面的な関与が譲れない条件である。
権利侵害に直面するのは労働者である。また、リスクの所在とその解決方法を最もよく知っているのも労働者である。HRDDは社会的対話と労使関係に根ざしたものでなければならない。そうでなければ粉飾だ。
インダストリオールの HRDD 戦略は 3つの柱で成り立っている:
提言活動とキャンペーン–デュー・ディリジェンスを義務付け、違反に対する責任を強制する強力な法的環境を求める。
実施手段とメカニズム–グローバル枠組み協定や ACT イニシアチブ、火災・建築物の安全に関する協定(アコード)のよう な革新的な部門別モデルを含む。
啓発と能力開発—あらゆる部門・地域の労働者・組合を教育し、HRDD プロセスに積極的に関与できるようにする。
私たちはゼロからの出発ではない。国際アコードのパキスタンへの拡大から、縫製産業の賃金改善におけるACTの役割、カンボジアで達成された部門全体の進展に至るまで、私たちの運動はすでに優れたデュー・ディリジェンスがどのようなものかを具体化している。次のステップは、こうした成功が例外ではなく、規範となることを確実にすることである。
私たちの運動へのメッセージ
組合なくしてHRDDアプローチの信頼性は得られない。私たちは法制化、施行、そして日々のコンプライアンス監視の段階に関わらなければならない。
この瞬間を逃してはならない。適切に実施されれば、HRDDはサプライチェーンにおける労働者の条件を改善するだけではない。HRDDは信頼を回復し、民主主義を強化し、より公正なグローバル経済の基礎を築く助けとなるだろう。
サプライチェーンを通じた国際的な生産には莫大な課題がある。しかし、HRDDはそうした課題に対処し、基本的権利が尊重されるようにするための鍵である。HRDDはインダストリオールの戦略の一部というだけではない。それは未来なのだ。
【原文記事URL】
What good is due diligence without the people it’s meant to protect? | IndustriALL
アジア太平洋の組合が団結と連帯の強化を訴える
2025-05-28
5月9日、アジア太平洋の 50 人以上の労働運動家が地域執行委員会に集い、11 月にオーストラリア・シドニーで開催されるインダストリオール第4回大会に向け、活動の進捗状況を確認した。
インダストリオール大会がアジア太平洋地域で開催されるのはこれが初めてで、地域執行委員会は規約改正案、今後4年間の行動計画案、手配準備などについて議論した。オーストラリアの加盟組合は、特に労働党のアルバニージー党首が首相2期目に再選され、選挙後の組合運動にとって好ましい環境において、大会開催への熱意と意欲を表明した。
議題は、反労働者的な労働法改革やエネルギー移行プロセスにおける組合・労働者の声が反映されていないことから、製造業における不安定雇用の増加、労働安全衛生の憂慮すべき状況まで多岐にわたった。参加者は、インド・パキスタン国境での紛争に関する労働者の平和と団結の重要性を強調するとともに、ミャンマーの軍事政権によって抑圧されている労働者のために進行中のキャンペーンを支援した。議論では、労働者の権利を向上させるためには、この地域の労働者階級運動においてより大きな団結と連帯が必要であることが明らかになった。
報告に基づき、行動・キャンペーンの実施について議論し、労働者の権利の促進、労働法改革、ホワイトカラーや不安定雇用労働者の組織化・組合加入を含む組合構築の強化、公正な移行の確保、包摂的組合の促進に焦点を当てた。
インダストリオールのケマル・ウズカン書記次長は次のように述べた:
「世界的な地政学的状況の悪化、軍事衝突、一方的な関税の賦課は、労働者の基本的権利を守るために、労働者と労働組合に大きな課題を突きつけている。労働組合は強力に団結して闘わなければならない。オーストラリア、韓国、マレーシアでは、組合主導の強力なキャンペー ンで労働者をある程度救済することができた。公正な未来のために、私たちは闘いを続けなければならない。」
アジア太平洋地域女性委員会は、地域全体で実施されているジェンダーに基づく暴力とハラスメント、第 190 号条約、インダス トリオールの「No Excuse(弁解の余地なし)」方針をめぐる様々な能力開発プログラムについて共有した。
南アジアと東南アジアの青年作業部会は、青年組織・政策に関するインダストリオール規約改正の議論に積極的に貢献した。青年リーダーたちは、アジア太平洋執行委員会に対し、より大きな包摂とより良い代表に向けた具体的な措置を講じるよう求め、支援を要請した。
インダストリオール副会長・アジア太平洋地域共同議長の金子晃浩氏は、次のように述べた:
「私たちは、青年活動・方針の策定というイニシアチブを支持する。私たちの行動計画は、労働組合の変革アジェンダの重要性を強調している。より多くの若い労働者を組合に組織化するために、よりエネルギッシュな若い組合活動家が必要だ。新しい血と世代交代がなければ、労働組合は持続可能ではない。」
【原文記事URL】
Unions in Asia Pacific call for greater unity and solidarity | IndustriALL