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第51回定期大会 - 運動方針に対する産別の意見・要望と本部答弁

2012年09月04日

加盟5産別から2013-14年度運動方針案に対して原案賛成の立場で意見要望が出された。5産別からの意見要望要旨および本部答弁要旨は以下の通り。

JAM | 電機連合 | 自動車総連 | 基幹労連 | 全電線 | 本部答弁

JAM 藤川慎一代議員

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金属労協の2013-14年度運動方針(案)について、賛成の立場でひとこと意見を申し上げたい。

冒頭の西原議長のご挨拶および方針の中で提案された金属労協における業務改革と活動のスクラップ&ビルドについてお伺いしたいのと、ものづくりの技能伝承について、JAMの現状を踏まえたお願いをしたい。

1.業務改革について

まず、業務改革についてであるが、これまでJCは1964年の発足以来長年に亘り、春闘における強力な牽引力と相場形成など、重要な役割を果たしてきたことに対しては誰しも認めるところではある。しかし、この間、連合が経済闘争に対する取組みを強め、近年では部門別や中小・パートなど共闘組織を立ち上げたし、加えてその共闘組織に参加する代表銘柄を決め、その水準の明示についても取り組みを強めてきた。今年の春闘総括でも連合は「2013春闘に向け社会的な課題提起と連合が果たすべき役割と責任を強化すべく、連合の役割、産別・単組の役割を今日的な状況を踏まえ改めて整理する」としている。このことは連合における経済闘争の強化であり、共闘組織の波及効果の拡大であると受け止めている。今後はますます連合の部門共闘が重要となる中で、金属労協に集う産別はその中心的な役割として、これまで以上に連合の中での影響力を高めていくことが、労働界全体としての春闘の復元と強化につながり、地方連合会における中小・地場共闘のためにも重要と考えるがいかがでしょうか。

また、インダストリオールに対応した国際運動の強化とアジア太平洋地域議長組織として責任を担うことを考えた場合、国際的な役割が求められる。例えば、日系多国籍企業の海外労使紛争には、スピーディな対応と問題解力が必要であるし、また昨今中小企業の海外進出も増加する中、場合によっては経営者を指導し、良好な労使関係を構築させることも重要となってきている。ますます拡大するグローバル化の進展において、金属労協の役割は国際問題の解決に大きなウェートを占めてくるのではないでしょうか。したがって金属労協の活動を国際活動に特化させていく必要性があるのではないかと考えるがいかがでしょうか。

これらのことを考えると今回の方針であるスクラップ&ビルドとは、経済闘争や政策・制度要求など連合がやるべき役割は連合に移行し、重複している活動は速やかに集約した方が、より金属労協としての役割が明確になり、目指すべきものが明らかになるのではないかと考える。今年度の方針を新たな運動への再構築ととらえ、JAMとして改めて要望したい。

2.国内におけるものづくりの伝承について

もう1点は、国内におけるものづくりの伝承についてである。生産拠点の海外シフトや若者の製造業離れ、そして熟練技能者の高齢化など国内のものづくり産業の危機感は皆さんも共有いただけるのではないでしょうか。
 ご存じのとおりJAMでは昨年から工業高校や中小企業へ熟練技能者の派遣事業を厚労省から受託して行っており、1年間で約3700名の受講者があり、技能検定合格率もアップした。今年度については、受託予算も若干増加したこともあり、中小企業への支援も含めさらに強化している。この事業はJAMとして「産業を守るための新たな労働運動」との位置づけで、何とか3年間は維持したいと考えているが、いつまでも産別単独で取り組めるものでもありません。本来、国や地方公共団体が行うことが筋であり、そのためにも様々な場面で「国内におけるものづくり」の重要性を改めて主張して行かねばなりません。金属労協におかれましても、ぜひものづくりの重要性や技能伝承について、改めて認識を深めていただき、ご支援をお願いしたい。

電機連合 岡本昌史代議員

本部原案に賛成の立場で2点の意見要望を行いたい

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1.グローバルな環境変化に対応した国際労働運動の推進

グローバル化の進展に伴い、企業の海外進出は企業規模を問わず増加している。電機連合加盟組織企業の海外売上高比率は40%超、さらには電機連合加盟企業の海外雇用者数の総数は約60万人とほぼ電機連合国内組合員数と同水準となっている。

海外進出した現地法人の労働組合の組織化は活発化し、労働条件の向上を求める労働者との対立も増加しており、多国籍企業本社の労働組合の役割や責任は大きくなってきている。このような中、電機連合としては今後プロジェクトを設置し、日本国外における中核的労働基準の遵守や海外労使紛争の未然防止に向け、単組レベルでの労働組合ネットワーク構築に向けての検討・取り組みをスタートさせる。構築に向けての取り組みについての金属労協のご指導をお願いしたい。

また、インダストリオールが結成となったが、具体的な組織運営などについては今後の論議となる。活動の強化を図りつつも、財政基盤の強化も図れるよう効率的な組織運営をお願いしたい。

2.民間・ものづくり・金属としての政策実現にむけた取り組み

電機電子産業の国内生産高は1997年をピークに減少を続け、現在の生産高はピークの70%程度の水準である。電機連合組合員数も1994年をピークに減少し現在の組合員数もピークの70%程度である。国内でのものづくり環境は年々厳しさを増している。円高是正・デフレ脱却・自由貿易体制の強化などものづくりを支えるマクロ環境整備と、金属産業各分野の発展に向けて政府が示す「日本再生戦略」の推進は、日本経済・ものづくり産業再生にむけてのもっとも重要な課題の一つである。これら政策実現に向け従来以上の金属労協としての取り組み推進をお願いするとともに、電機連合としても連携しての取り組みを推進していきたい。

自動車総連 市ノ渡雅彦代議員

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1.グローバルな環境変化に対応した国際労働運動の推進

金属労協運動方針の「グローバルな環境変化に対応した国際労働運動の推進」について、賛成の立場から意見を述べさせて頂きたい。

自動車総連は、海外の事業体における安定した労使関係が、不可欠なものであるとの認識に立ち、「日本の自動車産業基盤の維持・強化」を次年度の運動方針に掲げている。

また、IndustriALLアクションプログラム、金属労協運動方針を踏まえ、TNC労組ネットワークの構築に向けた活動を重点的に推進しており、より一層の強化が必要であると認識している。

更には、自動車総連加盟の12労連から構成される国際委員会において、「海外事業体における健全な労使関係の構築」に向け、TNC労組ネットワーク構築の重要性について、議論を深めると共に、独自に労使セミナーを開催し、加盟労連・単組の労使に対し、その重要性について共有してきた。

その結果、海外労組役員との顔合わせ、二国間・多国間会議開催等、活動のレベルは様々であるが、多くの労連・単組が課題意識を持ち実情に合わせたTNC労組ネットワークの構築に向けて、一歩ずつ前進してきた。

一定の前進は図れたが、海外進出の加速化と共に、その活動を更に強化する必要があると認識しており、引き続き金属労協と強力に連携を図り、世界の労働者の地位・権利の向上に向け、努力していきたい。

最後に、IMFの中で金属労協は中核的役割を果たしてきたが、IndustriALLの結成により5,000万人のグローバル産業労働組合が誕生した。金属労協はIndustriALL ICT・電機・電子部会長、アジア太平洋地域議長を担うなど、今後は格段に高い役割が求められている中、日本はもとより、アジア地域におけるリーダーシップの発揮に向けた、国際機能の一層の強化と共に、「民間・ものづくり・金属」が将来にわたり国内外においてしっかりと根付くよう、効果・効率的な運営を期待したい。

基幹労連 清水和弘代議員

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原案賛成の立場で、原案補強の観点から2点に意見・要望を表明したい。

1.国内で金属産業を継続するために

一向に収束の気配が見えない超円高、遅れている国際経済連携協定の整備、不安定化している電力供給など私たちの産業は正に危機的状況となっている。すなわち、わが国の金属産業が熾烈なグローバル競争のなかで、今後も国内で事業運営が出来るのか、極めて厳しい局面を迎えている。ものづくり産業の国内立地を維持し、雇用を確保し、産業の空洞化を阻止するためには、必要な対策について時期を逸することなく実現していかなければならない。そのため、金属労協として、政策を適時的確に打ち出し、行動に移すことが極めて重要である。一方で、政策を実現するためには連合との連携はこれまで以上に大切であり「民間・ものづくり・金属」の観点から、政策面で連合運動をリードする気慨をもって対応するよう要望する。

2.国際労働運動の推進を

5,000万人の労働者が結集するインダストリオールが6月に結成され、金属労協はアジア太平洋地域議長組織として、これまでに増して重責を担うことになった。基幹労連としても金属労協の構成組織として、女性比率に見合った会議への参加など、積極的に取り組みに参画していきたいと考えている。一方、これまでのJC国際活動では日本から海外に進出した企業での問題が主であったが、今回基幹労連の構成組織であるシルトロニックジャパンユニオンでは、海外の親企業が日本の事業所から撤退するという問題に対応した。組織が大きくなりグローバル化が進む中、今後は外資系企業の日本国内の対応といった点も重要となってくる。国際労使紛争が急増している現在、インダストリオールが国際労使紛争に積極的に関与し組合員の雇用と生活の安心・安定の確保を前提とした機動的な体制を構築するよう金属労協として意見反映をお願いしたい。更には、経済のグローバル化に対応する、この新しい国際組織が機能するまで乗り越えるべき課題は上記以外にも多々あると考えられるが、金属労協が新国際組織にも積極的に参画することによって、新国際組織が金属労協組合員のメリットに繋がるものとなることを要望する。

全電線 窪田直樹代議員

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運動方針(案)に賛成の立場で、全電線として3点述べさせていただきたい。

1.金属産業にふさわしい労働条件の確立

1点目は、「金属産業にふさわしい労働条件の確立」についてである。

我々の金属産業、とりわけ、国内での「ものづくり」という環境においては、年々、厳しい環境にあり、引き続き、その厳しさが続くと予想されるところである。

このようななか、「賃金」については、「魅力ある労働条件の構築が競争力強化の好循環を作り上げる」とのことではございますが、そのための「人への投資」が促され、金属産業全体の底上げや格差解消に向けた取り組みにつながるような効果的な運動の展開をお願いしたい。

また、「60歳以降の就労確保」については、2013年問題も含め、社会的な取り組み課題ともなっていることから、金属労協各産別の連携を図りつつ、金属労協が主体で情報が共有できるような取り組みをして頂きたい。

2.民間・ものづくり・金属としての政策実現に向けた取り組み

2点目は、「民間・ものづくり・金属としての政策実現に向けた取り組み」についてであるが、4つの柱を軸に「民間・ものづくり・金属」としての観点に立った政策制度の実現に向け、ものづくり産業の国内立地の維持、そして良質な、雇用の安定からも、円高の是正をはじめ、遅れているFTAの締結拡大などマクロ環境の整備にも積極な取り組みをお願いしたい。

また、電力不足と料金値上げという、ものづくりの根幹を揺るがしかねないエネルギー問題については、「安定かつ安価な電力確保」を図り、エネルギーセキュリティの観点からも、様々なエネルギーの活用促進と省エネ促進をはじめ、無駄な送電ロスの低減など積極的な働きかけをしていくことを期待したい。

3.グローバルな環境変化に対応した国際労働運動の推進

最後に「グローバルな環境変化に対応した国際労働運動の推進」についてであるが、これまでの金属労協としての国際機能の強化を図り、インダストリオール国内加盟組織との連携を強化しながら、インダストリオールの諸会議において、金属労協の見解を反映させて頂きたい。

以上、種々意見・要望を述べさせていただいたが、全電線としても、過日開催された第66回定期大会にて2012年度運動方針を確認したところである。これに基づき活動を推進するなかで、金属労協の一員としても、本方針に対して最大限の努力と積極的な運動を展開することを申し上げ、賛成意見とさせていただきたい。

本部答弁:若松英幸事務局長

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JAMの藤川さん、電機連合の岡本さん、自動車総連の市ノ渡さん、、基幹労連の清水さん、全電線の窪田さんと、それぞれの産別を代表しての貴重なご意見をいただきました。ありがとうございました。

先ほど提案したJCの活動方針は、加盟各産別との十分な協議のもと策定されていますし、JCの活動方針大綱は西原議長の挨拶でも触れられた通りでありますが、事務局として若干のコメントをさせていただきます。

1.国際機能の強化

インダストリオール結成に伴い、金属労協として国際機能を一層強化せよ、とのご意見を、全員から頂戴しました。とりわけ、インダストリオールの重点課題である多国籍企業の労働組合ネットワーク構築については、自動車総連からは海外事業における労使関係安定が不可欠であること、電機連合からは今期からプロジェクトを設置し強力な取り組みを展開すること、基幹労連からは日本にある外資系企業における労使関係についての問題提起など、TNC(MNC)ネットワーク構築の重要性と取り組み強化が求められました。

まずは日系多国籍企業の労働組合ネットワーク構築に向け、金属労協として、産別、企連・単組と綿密な連携の下、その取り組みを強化して行くことをお誓い申し上げます。

また、多国籍企業の労使紛争、とりわけ中核的労働基準に関わるような労使紛争の防止や、不幸にして発生した場合の早期解決、現地における健全な労使関係の構築に向けたタイムリーな情報交換や、労使紛争未然防止セミナー・W/Sの開催など、引き続き強力な取り組みをして参ります。

ご報告しておりますように、インダストリオール結成に伴い、西原議長は執行委員、財政委員の重責を担うだけでなく、アジア太平洋地域議長としての役割を担っていくことになりました。有野副議長も、ICT・電機・電子産業部会長として、グローバルな産業構造が激しく変化している産業における、国際労働運動のかじ取りを委ねられております。金属労協に対する期待に応え、グローバル経済における国際労働運動の前進と持続可能な成長、そして世界の金属労働者の雇用維持と生活向上に向け、その責任と役割を果たしていく決意であります。産別、そして企連・単組におかれましても、こうした活動への一層の積極的なご参画をお願いしたいと存じます。

2.政策

超円高が続く中で、国内ものづくり拠点の維持が困難な状況にあることについては、皆さん危機感を共有していることと思います。金属労協は、ものづくり拠点と雇用が国内に維持されるよう、マクロ・ミクロの事業環境整備に力を注いで参りました。特に喫緊の課題である、円高是正・デフレ脱却、TPP早期参加、安定的かつ安価な電力供給確保などは、優先して取り組んできました。政局が混迷する中で、率直に申し上げて、まっとうな政策論議が行われにくい状況ではありますが、7月の各府省との政策懇談でも、金属労協の主張は、幅広くご理解をいただくようになったと認識しております。さらに、タイミングを図ったうえで、一気呵成に、ものづくり産業をとりまく環境の改善を図るべく取り組みを行っていきます。

ものづくり技術・技能の継承・育成に向けて、国の委託を受けJAMが実施している工業高校や中小企業への熟練技能者の派遣事業については、高い成果をあげており、心より敬意を表したいと存じます。金属労協としても、国の予算の拡充、地方自治体における事業実施を主張し、政策面での活動や、地方ブロックおよび地方連合金属部門連絡会とも連携する中で、ものづくりを支える基盤の拡充を図りたいと思います。

3.労働政策

労働政策面では、全電線から、金属産業にふさわしい労働条件の確立、そして60歳以降の就労確保に関して、要望をいただきました。言うまでもありませんが、金属産業は熾烈なグローバル市場の真只中で競争をしている産業であります。そうした産業において、国際競争を勝ち抜くための賃金・労働条件はどうあるべきか、経営側だけでなく、世論に対しても、「人への投資」の立場から、金属労協の主張を浸透させていかなくてはならないと考えております。今期は、金属労協「第2次賃金・労働政策」の検証を行い、新たな方向性を打ち出して参りたいと考えております。

4.JCの運動方向

JAMの藤川さんから、JCの活動を国際労働運動に特化すべきとのご発言をいただきました。この指摘は、1964年のJC発足以来、たびたび繰り返されてきた問題であり、そのつど、その時々における状況・環境の下で、適切な結論を出して参りました。今回についても、国内ものづくり産業の危機、インダストリオールの結成、連合会費の引き上げなどという環境の下で、金属労協の国内運動はどうあるべきか、金属労協三役、そして産別の書記長・事務局長の皆さんが、組織運営検討委員会の場で真剣な議論を重ねた上で、さきほどご確認をいただいた「組織運営検討委員会報告」として結論を得たわけであります。国内ものづくりの維持・強化を図る、連合労働運動の中で「民間・ものづくり・金属」の立場をより反映させていく、その国内活動基盤の上に立って国際労働運動を強化し、インダストリオールにおいて中核的な役割を果たしていく、こうした観点から、予算規模を縮小する中で、効率的な運営を図り、答申に沿った運動の質的な強化を図って参りたいと存じます。

連合運動を200万組合員が結束して支え、確固たる国内労働運動の基盤を強化した上で、世界から信頼される国際労働運動を強化すべく、共に努力・まい進することを申し上げ、答弁とさせていただきます。ありがとうございました。

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