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「いま問われる日本の労使関係
−2003年闘争推進集会−」を開く
―2月28日、東京グランドパレスで―

各産別・単組交渉状況報告

電機連合
要求提出前に展開された経営側の定昇見直しや廃止意向に対し、組合として以下の真摯な対応を求めた。
@賃金制度・体系の改定は本交渉と切り離し別途協議を基本とする。
A昨年より実施の緊急労務対策は定められた期間で終了すること。
交渉のなかで経営側は、個別企業によっては昨年より厳しい環境のところも多く、総額人件費の適正化の観点から、賃金体系を維持することは困難、との厳しい対応をしている。
ただし、雇用に関する二つの取り組み、「雇用不安払拭のための労使メッセージ」の再確認、「雇用に関する労使研究懇談会」の再設置については前進があった。
賃金体系維持は、35歳技能職と30歳技術職から選択するエントリー制で取り組み、一時金は17中闘委中9組合が業績連動。残り8組合が4.5カ月〜5.24カ月の範囲で要求した。

自動車総連
過去最高益の企業もあるが部門や企業ごとにバラツキが大きい。自動車総連としてベア統一要求は断念したものの、全体で約4割、約550の組合でベア要求を行う見通しである。経営側は依然としてグローバルな競争力の維持、特に中国をはじめとするアジアの脅威が現実味を帯び、近いうちに国内に生産拠点を残していけるか否かの局面がくる、と将来不安を主張している。
2月26日の交渉において主要組合の経営が賃金・一時金とも満額(ベア1,000円、定昇6,000円、一時金5.8カ月)で応える意思を明確に示したが、全体に相乗効果をもたらすよう期待したい。

JAM
交渉単位組合数は1,792組合(昨年比▲58組合)。平均要求額がわかる625組合の加重平均は5,689円。賃金構造維持分要求は319組合で平均源資4,728円。JC登録17組合は賃金構造維持分の要求で平均源資5,932円。
また格差是正などで114組合がベアを要求、単純平均で663円。
経営側の総額人件費管理が強まるなかで、今次交渉において賃金制度、退職金制度などの制度改定の労使協議・交渉を求めてきている。

鉄鋼労連
総合部門においては業績回復しているが、業種によりバラツキが大きい。複数年協定に基づき定昇は2002年に労使確認済みである。
今次交渉は一時金中心の取り組みである。日本鋼管150万円、住友金属130万円などの要求である。新日鉄・川鉄は、業績連動による決定となる。
雇用確保を最優先としつつ、企業収益の改善を踏まえた精一杯の取り組み、特に陥没した一時金水準の是正に全力を尽くす。

造船重機労連
はじめてベア要求を断念した取り組みとなる。2/24〜25で産別三役による総合重工各社の巡回折衝実施した。経営側はグローバルな競争の下での生き残りをかけた正念場にあり、組合要求は過大と厳しい対応をしている。一時金(50万円+3.5カ月=約162万円5.0カ月)、退職金(60歳定年20万円増)、産別最賃149,500円の取り組みを中心に精力的に交渉している。

全電線
大手各社が軒並み赤字決算を余儀なくされる深刻な事態となっている。業績回復までしばらくは試練が続く。経営側は、賃金構造はベースダウンも視野に、一時金は4カ月という「高く」かつ「一律」の産別ミニマムの設定には納得しがたいものがある、など主張し、難しい交渉になっている。

非鉄連合
一部に業績回復傾向は散見されるが、総じて対前年期に比べて厳しい。経営側は、国際競争力維持のため、一部定昇や企業内福利など労働諸条件の見直しを進めたい、また、すでにベアを云々する時代ではなく、定昇実施だけでも大きな負担であり、賃金制度の見直しも今後の課題と主張している。一時金は前年マイナス分の回復に全力、ミニマム課題(35歳210,000円)は、中小労組の実態調査を先行している。

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