広報ニュース

第61号インダストリオール・ウェブサイトニュース(2016年11月9日)

イランで続く労働組合員の投獄

2016-10-26

インダストリオールにイラン初の加盟組合が加わったが、同国政府は組合活動を理由に労働組合幹部を投獄し続けている。

    2016年10月の執行委員会で、イラン金属・機械労組(UMMI)がインダストリオール・グローバルユニオンに加盟した。

   それにもかかわらず、10月はイランの労働組合にとって暗澹たる月となった。

    10月7日、イラン教員労働組合のエスマイル・アブディ書記長が、「国家安全保障に反する集会・共謀」の罪で6年の実刑判決を受けた。

    10月15日には2人の労働運動家、ジャファル・アジムザデー・イラン自由労組会長とシャプール・エサニラドが、「組合結成と反体制プロパガンダ」を理由に、それぞれ11年の実刑判決を下された。

    アジムザデー会長は2014年にも6年の実刑判決を受けており、併せてメディアとサイバースペースでの活動も2年間禁止された。

    UMMIは、3人の組合幹部全員の釈放と判決の取り消しを求めてキャンペーンを展開している。

    ケマル・ウズカン・インダストリオール書記次長は、労働組合の迫害を直ちに終わらせなければならないと言う。

「インダストリオールは度重なる労働組合指導者の投獄を強く非難し、イランの自由な民主的労働組合を支援する」

「経済制裁が解除され、イランに国際投資が流入している中で、イラン政府は速やかに基本的な人権・労働組合権を尊重しなければならない。このような状況において、私たちはイラン政府に対し、結社の自由および団結権の保護に関するILO第87号条約と団結権および団体交渉権に関するILO第98号条約の批准を強く要請する」

 

国連報告書が「労働権は人権」と確認

2016-10-19

 

ベトナムの衣料工場で働く労働者(写真:ILO/Aaron Santos)

ベトナムの衣料工場で働く労働者(写真:ILO/Aaron Santos)

集会の自由に関する強力な新しい国連報告書は、労働権と人権の「人為的な区別」を批判している。

   国際連合は、職場における平和的集会と結社の自由に対する権利に関する報告書を発表した。この報告書は本日2016年10月20日の第71回国連総会に提出される。

   特別報告者のマイナ・キアイによるこの報告書は、企業の権限集中が進んでいる中で労働権が弱められていることを確認している。各国は労働者の権利の尊重・促進を国際法で義務づけられているが、多国籍企業の力が強まっている結果、その義務を果たしていないことが多い。

   労働者は現在これまで以上に保護を必要としている。グローバル化に伴い、複雑なグローバル・サプライチェーン、労働者の集団移動、大規模なインフォーマル経済が空前の拡大を遂げている。世界の労働者の大部分は法的枠組みから除外され、団体交渉の対象にも含まれず組合の保護も受けていない。

「現代世界とグローバル化経済は急ピッチで変化しており、労働権を保護するために私たちが利用する手段も即座に順応することが欠かせない」とキアイは述べている。

「この目標に向けた第一歩は、労働権と人権との時代遅れの人為的な区別を全般的になくすことだ」

「労働権は人権であり、これらの権利を職場で行使できるようにすることは、労働者が他の権利(経済的権利、社会的権利、文化的権利、政治的権利等の別を問わない)を幅広く享受するための必須条件である」

   最悪の違反のいくつかは、グローバル・サプライチェーンで働くインフォーマル労働者や移民労働者、女性労働者の間で起こっている。報告書は、湾岸諸国のカファラ制度、アメリカのH2外国人労働者ビザ、イギリスのギャングマスターなど、移民の権利の侵害を強調している。

   女性は最も保護の薄い経済分野で、賃金も地位も低い雇用に追いやられている。男女賃金格差は77%で、女性は無給の介護労働の大半を引き受けており、職場で言葉による虐待や身体的虐待、性的虐待、セクシャル・ハラスメント、あるいはレイプの被害に遭っている女性も少なくない。

   この報告書によると、国内・国際両レベルで労働者の権利が組織的に攻撃されており、ILO使用者グループは2012年、第87号条約で保護されているスト権がまったく存在していないと主張した。

   多くの国々が、集会の自由に対する労働者の権利を保護していない。例えば、サウジアラビアや中国のような国々では独立組合が全面的に禁止され、インドでは柔軟性を高める新しい労働法が導入され、エジプトと韓国では組合が弾圧され、アメリカのいくつかの州は日産とフォルクスワーゲンに組合のない状態を維持する動機を与えている。報告書はオリンピック委員会とFIFAを批判し、2016年のリオ・オリンピックと今度のカタール・ワールドカップで労働者の権利を保護していないと指摘している。

   企業の社会的責任は、まったく効力がない数十億ドルの自主的遵守産業を生み出した。これは組合と取り決められたバングラデシュ協定のような拘束力のある協定とまったく対照的である。

   報告書は最後に、国家、企業および市民社会(労働組合、ILO、国連など)に対する一連の勧告を掲げている。

    各国はILO第87号条約および第98号条約をはじめ、すべての関連国際・地域人権文書を批准し、職種や部門、移民の地位にかかわらず万人が労働権を行使できるよう確保すべきである。

   企業は、組合を結成して団体交渉や集団行動に関与する労働者の権利(スト権を含む)を承認し、組合つぶしや活動家に対する報復をやめなければならない。

   組合と市民社会はより緊密に協力し、人権機関は労働権を中核的任務の1つとして承認すべきである。組合は、移民労働者やインフォーマル労働者など、権利を奪われた労働者との接触にもっと力を入れなければならない。

   国連は、すべてのプログラムに労働権を組み入れ、すべての入札や融資で労働者の権利が保障されるようにしなければならない。

   ジェニー・ホールドクロフト・インダストリオール書記次長は次のように述べた。

「人権と労働権が不可分であることを国連総会が認めたのは本当に重要だ。至るところで結社の自由が攻撃されており、労働組合は闘いの最前線に立っている」