広報ニュース

第76号インダストリオール・ウェブサイトニュース(2018年2月28日)

南アフリカで金属労働者による不安定雇用との闘いが憲法裁判所に

2018-02-27

人材斡旋会社の労働控訴裁判所判決に対する異議申立てに抗議し、最高裁判所である憲法裁判所の前でピケを張る労働者
同社は判決で、派遣・臨時雇用労働者を採用後3カ月後に同じ条件で常用雇用しなければならないことが確認されている

 2月22日、南アフリカ全国金属労組(NUMSA)の組合員数百人が、臨時労働者相談所の支援によってヨハネスブルグの憲法裁判所前でピケを張り、人材斡旋会社の不安定な厳しい労働条件下で働くことを拒否する臨時・契約労働者の権利を擁護した。労働者は裁判所前で歌ったり踊ったりし、人材斡旋会社を糾弾した。

 南アフリカでは、臨時雇用紹介会社や派遣会社が労働者を雇ったうえで、「クライアント」企業に配置している。NUMSAは、そのような企業の1つであるアサイン・サービスに異議を申し立てられており、この会社は3カ月を超えて契約ベースで労働者を雇用し続けたいと考えている。

 同社は労働控訴裁判所でインダストリオール・グローバルユニオン加盟組織のNUMSAに異議を申し立て、敗訴したにもかかわらず、断固として反労働者的なキャンペーンを継続しており、以前の判決が覆されることを望んでいる。アサイン・サービスは、人材斡旋会社も労働者の配属先であるクライアント企業も、いずれも使用者であると主張している。

 NUMSAによると、使用者は1人しかいない。NUMSAの顧問弁護士であるスザンナ・ハーベイとテンベカ・ヌグカイトビは、憲法裁判所に提出した文書で次のように主張している。
 「使用者が並立するという解釈は、意図された保護をもたらさないので正しくない。不安定労働者を適切に保護する唯一の解釈は、労使関係法上はクライアントが唯一の使用者になるということだ」

 南アフリカの最高裁判所である憲法裁判所は、この件に関する判断を留保した。

 NUMSAは声明でこう述べている。
 「NUMSAは昨年、労働控訴裁判所で勝訴し、派遣・臨時労働者は採用3カ月後に同じ権利・給付で常用雇用しなければならないことを確認する判決を勝ち取った。アサイン・サービスは、引き続き臨時契約と劣悪な労働条件、低賃金で労働者階級を酷使できるようにしたいと考えたため、この事件を法廷に持ち込んだ。同社がこれを可能にする唯一の方法は、臨時契約を際限なく継続させることである」

 インダストリオール・サハラ以南アフリカ地域事務所所長のポール・フランス・ヌデソミンは言う。
 「私たちは臨時・契約労働者の不安定な労働条件との闘いにおいてNUMSAと連帯している。人材斡旋会社は憲法裁判所にまで事件を持ち込んで労働者を搾取し続けようと決意を固めているが、NUMSAは、労働者も同等の決意で人材斡旋会社と闘っていることを示して見せた」

 

組合が女性に対する暴力や嫌がらせに対応しなければならない理由

2018-02-12

 #Metooや#Timesupのような最近のソーシャルメディア・キャンペーンは、職場におけるジェンダーに基づく暴力を強調し、この問題の範囲の広さを示している。労働組合は女性に対する暴力への対策を取り、ジェンダーに基づく暴力に関する拘束力のある国際法を提言する必要がある。

女性に対する暴力や嫌がらせは広範囲

 世界保健機関によると、全世界で15歳を超える女性の35%(8億1,800万人)が、家庭や地域社会、職場で性的暴力や身体的暴力を経験している。組合は、女性に対する暴力が現実に存在し、至るところで発生しているという認識を高め続ける必要がある。

女性に対する暴力は人権侵害

 女性に対する暴力の撤廃に関する宣言によると、「女性に対する暴力」とは「ジェンダーに基づく暴力行為で、女性に対する身体的、性的または心理的な危害または苦痛をもたらすか、もたらす可能性のあるものであり、そのような行為の威嚇、強制または独断的な自由の剥奪を含み、公的生活で起こるか私的生活で起こるかを問わない」。この宣言は、女性に対する暴力が女性の権利と基本的自由の侵害であることを認めており、ウィーン宣言および行動計画は、公的・私的生活における女性に対する暴力の撤廃は人権に関する義務であると認めている。

女性に対する暴力は職場における男女平等の障害

 女性は労働市場に参入する可能性が男性よりも低い。性的暴行や嫌がらせは依然、女性が労働市場に参入して発展したり、特定の職務を遂行したりするうえで妨げとなる障壁である。同時に、賃金も地位も低い不安定な雇用や職務に女性が追いやられ続けている現状は、これらの女性労働者にとってリスクを高める要因となっている。

労働組合は職場における女性に対する暴力の防止・根絶において基本的な役割を担う

 仕事の世界における男女に対する暴力に関するILO労働者活動局の報告によると、ディーセント・ワークへのアクセスと非差別、労働組合による保護は、職場における男女に対する暴力の防止に密接に関連している。組合は、組合員の間でセクシャル・ハラスメントに対する認識を高めたり、苦情の申し立てや処理の手続きを定める方針や合意を取り決めたり、セクシャル・ハラスメントを防止したりするうえで重要な役割を果たす。

ジェンダーに基づく暴力に関するILO条約が必要

 仕事の世界における暴力や嫌がらせ(ジェンダーに基づく暴力や嫌がらせを含む)の根絶に向けた行動の基準を定める国際規範は、まだ存在しない。包括的なILO条約を採択して勧告により補足し、職場におけるジェンダーに基づく暴力の防止、対処および是正に強く焦点を当てる必要がある。

 

 インダストリオールは全加盟組織に対し、3月8日に結集して男女平等の達成に向けた組合の決意を示し、女性に対する暴力を拒否するよう呼びかけている。

 

イギリスでユナイトと連帯してGKNの敵対的買収に反対

2018-02-06

自動車・宇宙航空関連の供給メーカーであるGKNが、公開買い付けにより買収されようとしている
ユナイトは雇用危機、英国の防衛力低下を危惧し、英下院国防委員会に対して公開買い付けに関する懸念を表明した

 インダストリオール・グローバルユニオンとインダストリオール・ヨーロッパは、イギリスの加盟組織ユナイト・ザ・ユニオンとの連帯を表明し、メルローズが意図しているGKNの敵対的買収に結束して強い反対を表明している。

 GKNは全世界で6万人近い労働者を雇用する自動車・航空宇宙の「1次」サプライチェーン・メーカーで、現在メルローズ・インダストリーズによる買収の脅威にさらされている。

 インダストリオール・ヨーロッパとインダストリオール・グローバルユニオンは、メルローズは株価をつり上げて売り抜けるために企業を購入する「再建」会社であるというユナイトの深い懸念を共有している。メルローズには、GKNほどの大企業を経営した経験もなければ、必要とされる本格的な長期投資計画もない。

 ユナイトは2月5日発表のプレスリリースで下院のビジネス・エネルギー・産業戦略委員会に対し、借金を原動力にしたメルローズによるGKN公開買い付けの見直しを強く主張するよう求めた。現在、この取引は政府の産業戦略と国防利益を損なうのではないかという懸念が広がっている。

 ユナイトは英国最大の組合として、下院国防委員会にもメルローズによる公開買い付けに関する懸念を表明した。ユナイトの考えでは、この買収が成功すれば、長期投資が枯渇して研究開発費が削減される可能性があり、その結果、雇用が危機にさらされるだけでなく、イギリスの現在および将来の防衛力が損なわれる。

 インダストリオール・グローバルユニオンとインダストリオール・ヨーロッパの書記長、ヴァルター・サンチェスとリュック・トライアングルは、ユナイトの支援要請に素早く対応し、ユナイトの立場を強く支持する連帯書簡を送った。
 「特に懸念されるのは、メルローズの公開買い付けが借金を資金にしており、これがGKNの株主に『例外的な配当』を支払うために利用されるであろうことです。そうなるとGKNが債務を背負うことになり、メルローズはいっさいリスクを負わず、同社幹部はこの取引から2億8,400万ポンドのボーナスを得るでしょう」
 「この公開買い付けは株価だけに狙いを定めており、GKNの自動車・航空宇宙両部門の好調な基本的業績を重視していません。両部門が本当に必要としているのは長期投資であって、削減とリストラで株価をつり上げることによって投資資金の歓心を買おうと競争する2組の経営陣ではありません」

 インダストリオール・グローバルユニオンとインダストリオール・ヨーロッパは、これらすべての要因を考慮に入れて、ヨーロッパおよび全世界の鉱業・エネルギー・製造業労働者数百万人のネットワークにも、メルローズによるGKNの敵対的買収に反対するよう促している。

 

IGメタル、大勝利でワーク・ライフ・バランスの先例を設定

2018-02-06

IGメタルは、最長で2年間、週労働時間を標準の35時間から28時間へ短縮する権利を勝ち取った
今回の労働協約はドイツの産業中心地の労働者90万人を対象としているが、他の地域でも同様の労働協約が広がる可能性がある

 ドイツのインダストリオール・グローバルユニオン加盟組織IGメタルは、金属・自動車部門で勝利を収め、自分のワーク・ライフ・バランスを決定する労働者の権利の先例を作った。

 IGメタルは、労働者が家庭・介護責任を果たすために最大2年間、週労働時間を標準の35時間から28時間に短縮する権利を与えるべきだという主な要求を勝ち取った。これは賃金よりも労働時間を優先する初の主要な労働協約である。

 この2カ年部門別労働協約は、何度かの緊迫した交渉と34年ぶりの一連の24時間「警告スト」を経て、IGメタルとドイツ南西部の使用者団体Sudwestmetallが締結した。

 一連のストにより、ポルシェ、ダイムラー、BMW、エアバスのようなメーカーは生産低下で2億ユーロ近い損害を被った。IGメタルは、使用者団体が真摯な提示をしなければ、組合員に争議行為拡大の投票を求めると明言した。

 協約の対象はドイツの産業中心地の労働者90万人である。他の地域の使用者団体も、合計390万人の労働者を対象に同じ条件の協約を締結する可能性がある。

 この協約によって賃金が27カ月間で4.3%引き上げられ、いくつかの補足的な給付も支払われる。IGメタルは6%の賃上げを要求していたが、使用者は当初2.3%を提示した。同労組はその後提示された6.8%の賃上げを拒絶し、時短の要求を強く打ち出した。

 この協約は、1990年の東西ドイツ統一以来の力強い景気回復と最低水準の失業を背景に、ドイツで10年にわたって続いてきた賃金抑制の終わりを告げている。使用者と欧州中央銀行は、この交渉結果を心待ちにしていた。この結果は大陸全体で賃金妥結と景気予測に影響を与えるだろう。

 「この労働協約は、現代的で自立した労働の世界に向けての画期的な出来事だ」とイェルク・ホフマンIGメタル会長兼インダストリオール会長は述べた。

 ヴァルター・サンチェス・インダストリオール書記長はこう述べた。
 「これまでは企業が労働者に柔軟性を要求し、その逆ではなかった。これが覆された。労働者に労働時間短縮とワーク・ライフ・バランス決定の権利を与えることは、労働組合がインダストリー4.0に対応する素晴らしい方法だ」
 「新技術によって生産性は上昇し続けるが、必ずしも新規雇用が創出されるわけではない。労働時間を減らしてなお十分な収入を得る権利の確保が不可欠な対応だ。インダストリー4.0による生産性上昇は社会および労働者と共有しなければならない。労働時間の短縮は、少数者への富の集中がこれ以上進まないようにするための方策だ」
 「今回の賃上げはドイツ経済にも下から刺激を与える」

 IGメタルはほぼ300万人の組合員を擁し、世界で最も大きく最も強力な組合の1つである。

 

ベラルーシで失業者の公共サービス料金引き上げ

2018-02-05

失業者に税金を課す大統領命令第3号に代わり、「国民の雇用促進」に関する命令第1号が採択された
新しい大統領命令によって、失業者は公共サービスの利用負担が増えることとなる

 ベラルーシの新しい大統領命令は、国が助成金を支給する公共サービスについて、失業者に割増料金を課すと規定している。

 2018年1月25日に採択された「国民の雇用促進」に関する新しい命令第1号は、痛烈に批判された「社会的依存の防止」に関する命令第3号に取って代わる命令である。命令第3号は「社会的寄生に関する命令」とも呼ばれ、昨年の初めに集団抗議行動を招いた。

 ベラルーシのインダストリオール・グローバルユニオン加盟組織は、失業に対する税金の廃止を歓迎しながらも、新しい命令に関して懸念を表明している。

 新しい命令は、失業中のベラルーシ市民の年間就労日数が183日に満たない場合に課せられていた240米ドルの税金を撤廃している。しかし2019年から、失業者は国が助成する公共サービスの費用を全額支払わなければならない。対象となるサービスは2018年4月までに政府が決定する。したがって、ベラルーシで就職できない市民を処罰するという概念は、新しい命令でも相変わらず大きな特徴となっている。この命令はすでに失業にしている人々の貧困をさらに悪化させるだろう。

 新しい命令は個人起業家の登録手続きを簡素化しているので、雇用を刺激する可能性があるという意見もある。新しい命令によって、ベラルーシ市民はサービス部門で仕事を見つけやすくなると言われている。これに加えて、当局は企業の余剰人員解雇の場合に雇用保障を提供しなければならないため、組合は地方当局に対し、解雇された労働者の再訓練と雇用を要求できるようになる。

 しかし大半の組合は、新しい命令はベラルーシの労働者の関心事に適切に対応せず、それどころか社会的保護を奪い取り、適正な賃金と良好な労働条件を獲得する意欲を失わせる、という意見である。

 あるインダストリオール加盟組織は次のように述べている。
 「政府はすべての人々を雇用する準備ができているようだが、賃金については何も言っていない。まさに雇用のための雇用だ。この命令は業績と質の高い仕事への意欲を与えていない。国外で働き、稼いだ金を家族に送っている70万人を超える市民は、どのカテゴリーに分類すればよいのか。子どもを育てている主婦についてはどうすべきか。これまでは『寄生者』に分類されていたのか」

 ケマル・ウズカン・インダストリオール書記次長は次のように述べた。
 「新たに採択された命令は主要構造が前の命令と変わっていないので、一見したところ大きな変化はない。ベラルーシの労働者が政府の無意味な決定に苦しみ続けているのは恥ずべき状況だ」
 「私たちはベラルーシのすべての労働者と連帯し、この国の基本的な労働組合権と民主主義を強く支持する。しかし独立組合、特にREPAMとその指導部が、政策や決定への民主的反対を理由に依然迫害されている。この状況はベラルーシに何の利益ももたらさないと思う」

 

インドのバジャジ・オート労働者が勝利

2018-02-05

不当な解雇と賃金改定に抗議してハンストを実施していたバジャジ・オート労組は、労使交渉で状況を打開した
経営側はさかのぼっての賃上げと、解雇した労働者の復職へ向けた協議を約束した

 バジャジ・オート労組は2月2日、経営側との交渉で状況を打開し、4日前に開始した無期限のハンストを終了した。

 バジャジ・オート労働者は1月29日、不当な解雇と賃金改訂をめぐる経営側の遅延作戦に対して行動を起こし、ハンストに入った。チャカン工場とアクルディ工場のバジャジ自動車労働者が家族とともに大挙して参加した。

 2月2日に労働委員事務所で労使交渉が行われ、経営側はアクルディ工場でさかのぼって賃上げを実施することに同意し、組合との団体交渉にも同意した。経営陣は、2016年に解雇された6人の従業員を復職させること、2013年に解雇された8人の労働者について組合と協議を始めることも約束した。

 アプールヴァ・カイワール・インダストリオール南アジア地域事務所所長は言う。
 「これは重要な勝利であり、私たちはバジャジ・オート労働者と労働組合Vishwakalyan Kamgar Sanghatanaを祝福する。活発な闘いが政労使交渉で成果を上げる道を開いた。労働者の権利を守るために、私たちは今後もインダストリオール加盟組織と連帯していく」

 

フィンランドで1万人が政府の失業保険削減に抗議

2018-02-02

ヘルシンキの上院広場で1万人余りの労働者が集まり、失業給付削減につながる新しい法律に抗議した
この法律が施行されれば、求職活動を十分にしていないとみなされた求職者は失業給付が4.65%減らされる可能性がある

 フィンランドの労働組合は今日、失業給付の削減を狙う政府の新しい法律に反対するために首都ヘルシンキの上院広場に繰り出した。

 少なくとも1万人の労働者と労働組合員がヘルシンキに集まり、新しい法律に抗議した。この法律が実施されれば、求職者は、十分積極的に仕事を探していないとみなされた場合、給付が4.65%減るかもしれない。

 新法では、求職者は3カ月間に18時間就職するか、少なくとも241ユーロの企業家所得を得るか、5日間の訓練コースに参加するか、職業安定所が提供するその他のサービスを受けなければならない。

 この案は2016年の政労使全国競争力協定にも違反しており、組合側は最初から反対している。組合側は、失業保険をこれ以上削減しないことを条件に不承不承この協定を受け入れた。

 インダストリオール加盟組織Proのヨルマ・マリネン会長は声明で、組合は約束を守っているが政府は守っていないと述べている。
 「すでに政府は、次に議論すべき問題は労働協約の一般的拘束性と給料を柔軟に減額できる制度の導入だという声明を出している。これに反対するために私たちはここ上院広場に来た」

 

ILO、造船・船舶修繕実務規程の改訂版を採択

2018-02-01

造船・船舶修繕実務規程に関する会合で、労働安全衛生改善の重要性を訴えた労働者グループ専門家代表(ジュネーブ・ILO本部)
今回の会合で実務規程の改訂版が採択され、2018年3月のILO理事会へ提出される

 世界中の政労使専門家代表が1月22~26日にスイス・ジュネーブのILOに集まり、造船および船舶修繕における安全衛生に関する実務規程を改訂・採択した。

 1974年に現行規程が発表されてからの43年間に、この産業は設計・建造技術の面で劇的に変化した。深刻な設備過剰にも直面しており、この状況は市場を歪める慣行、厳しい価格競争、不安定労働者の増加を引き起こしている。このような事情のもとで、しばしば安全衛生が無視され、造船所での重大事故が数多くインダストリオール・グローバルユニオンに報告されている。

 造船には多様な製造技術・技能の統合が必要とされるため、この産業の国際安全衛生基準は多くの活動や職業を網羅する必要がある。

 インダストリオールは国際労働組合総連合の後援で、6カ国(オーストラリア、チリ、イタリア、オランダ、ノルウェー、シンガポール)からの労働組合専門家の参加を調整した。

 ILOの労働者グループのアプローチは、規程草案は造船・船舶修繕に従事する労働者全員の最低労働安全衛生基準を引き上げ、次のような労働者の権利を確保すべきであるという基本原則に基づいていた。

  • 仕事の危険について――十分かつ完全に――知り、安全に仕事をするために必要な訓練・教育を受ける権利
  • 安全衛生に関する方針やプログラム、手順の策定・実施(リスク評価を含む)への完全参加権および代表権
  • 反響を恐れずに危険な仕事を拒否または中止する権利

 この会合で専門家は、造船・船舶修繕における労働安全衛生改善の重要性を強調した。労働安全衛生の実績が改善されれば、負傷率と死亡者数が減少し、影響を受ける家族や社会に対する関連経済コストも減る。生産性向上や成長、部門の安全性向上とグリーン化にも貢献する。また、労働安全衛生事故に関連する人的被害も減少するだろう。

 「この産業は極めて大きな労働安全衛生上の課題に直面しており、あまりにも頻繁に労働者が命を落としている」とデボラ・バランス労働者グループ代表副議長は述べた。「この実務規程は包括的かつ健全で、今度はその適用を確保することが私たちの共同責任だ」

 松﨑寛インダストリオール造船・船舶解撤担当部長は述べた。
 「契約労働者と下請労働者も対象に含めるようになった、この改訂規程を歓迎する。重要なのは、船舶解撤労働者に利用できる内容がたくさんあることだ」

 造船および船舶修繕における安全衛生に関する実務規程の改訂版は、2018年3月の理事会に採択を求めて提出される。

 1月16日に死亡した労働者の冥福を祈って、会合参加者全員が1分間の沈黙を捧げた。この労働者たちは、造船用金属製品を生産するイタリアの薄板工場で、炉の清掃中に毒性ガスを吸入して亡くなった。