広報ニュース

第78号インダストリオール・ウェブサイトニュース(2018年5月10日)

労働者が団結してゼネラル・エレクトリックに対抗

2018-05-03

ピッツバーグ近郊の年次株主総会の会場前で抗議する米加両国のゼネラル・エレクトリック労働者

 ゼネラル・エレクトリックが数千人の雇用を削減しようとしている中で、4月25日に大西洋の両側の労働者が同社に対して行動を起こした。

 ゼネラル・エレクトリック(GE)年次株主総会と時期を合わせて、オーストリア、ベルギー、チェコ共和国、フランス、ドイツ、イタリア、スペイン、イギリスの労働者が欧州行動デーに加わり、工場閉鎖と研究開発センター閉鎖・革新投資削減計画に反対してデモを行った。

 「ヨーロッパでの125年を超える活動、GE労働者が育んできた高度な専門知識と技術ノウハウのおかげで、GEはヨーロッパのエネルギー生産分野で主要設備メーカーとなった」とリュック・トライアングル・インダストリオール・ヨーロッパ書記長は強調した。
 「GEが短期的利益と株主価値の創出を唯一の目的として、労働者とともに達成してきたものをすべて放棄しようとしていると思われることは、実に嘆かわしい」

 北米では、インダストリオール・グローバルユニオン加盟組織であるカナダのユニフォーと全米電機ラジオ機械労組(UE)が組織化しているゼネラル・エレクトリックの労働者・退職者150人以上が、米ピッツバーグ近郊で開かれた株主総会の会場前でピケを張った。

 ゼネラル・エレクトリックは、今年中にオンタリオ州ピーターバラの事業を閉鎖し、約358人の製造業雇用を削減すると発表している。

 オンタリオ州ピーターバラのユニフォー第524支部のビル・コープ支部長は次のように語った。
「GEは同社の事業の基盤だった労働者と地域社会から立ち去り、不振に陥った事業部門と環境損害、荒廃した地域経済があとに残された」

 ユニフォーとEUは団結して「ゼネラル・エレクトリックは地域社会に責任を」キャンペーンを開始し、民主的・社会的な労働組合主義と米加両国労働者間の国際協力に基づく労働運動改革に取り組んでいる。

 松﨑寛インダストリオールICT電機・電子担当部長は述べた。
 「経営陣は多くの国々で持続可能な雇用に対する攻撃を強めており、従業員や進出先の地域社会との長期的な約束を軽視している。GE経営陣は公正かつ公平な社会的ビジネスモデルの達成を目的として、GE労働者を代表する組合と協力しなければならない」

 2018年5月7~8日に世界中のGE労組がカナダ・トロントのインダストリオール・グローバルユニオン・ゼネラル・エレクトリック労働組合ネットワーク会議に集まり、労働者の集団的な力を強化するとともに、グローバル・レベルで同社に関与するための戦略を検討する。

 

パキスタンの船舶解撤労働者が組合権を獲得

2018-05-02

 パキスタンのガダニ船舶解撤場に近い、いわゆる再圧延工場の労働者が大きな成果を達成、組合登録を果たし、団体交渉代表権者として正式に認められた。この再圧延工場はガダニ船舶解撤場の川下にあり、解体船舶から回収された鉄鋼を利用している。再圧延工場一般労組の登録により、20工場で働く約1万5,000人の労働者が恩恵を被る。バローチスターン州の労働福祉理事会も、この組合を地域の再圧延工場労働者全員の団体交渉代表権者として公式に認め、同労組は日常的問題に関して労働者を援助するために事務所を開設した。

 再圧延工場労働者は全員が契約書を交わしていない不安定労働者で、社会保障制度の適用を受けていない。労働者のほとんどは賃金が法定最低賃金を下回り、長時間労働を余儀なくされている。保護具もなく、不安定労働者は重大な安全衛生問題に直面している。加えて、適正手続きなしで解雇されるリスクにも絶えずさらされている。

 インダストリオールに加盟している全国労働組合連盟(NTUF)のナシル・マンスールは言う。
 「再圧延工場労組の公認は重要な業績であり、組合が労働条件や安全衛生、社会保障、賃金を改善できるようにする道を開く。他の都市でもっと多くの再圧延工場労働者を組織化するために努力を強化する」

 松﨑寛インダストリオール船舶解撤担当部長は言う。
 「再圧延工場における不安定労働者の組織化において、今回NTUFが重要な一歩を踏み出したことを祝福する。組合結成によって労働者が効果的に権利を擁護し、安全な労働環境に対する権利を要求できるようになることを願っている」

 

執行委員会が連帯強化を要求

2018-05-02

インダストリオール執行委員会で、「ルーラ元ブラジル大統領支持に関する決議文」と「労働安全衛生に関する決議文」を可決した。

 4月26~27日にスイス・ジュネーブで開催されたインダストリオール執行委員会において、グローバル・サプライチェーンで労働組合権を擁護して侵害に異議を唱えるために、連帯が必要であることが議論の焦点となった。

 執行委員会では、ベラルーシとアルジェリアで政府による弾圧の影響を直接受けている労働組合指導者が報告した。労働者の基本的権利を侵害している企業で、グローバル枠組み協定(GFA)の実施を強化することも要請された。

 「GFAを利用して、言行不一致の企業に抗議しなければならない。しかしGFAは成果を保証するものではなく、同時に連帯を表明する必要もある」とイェルク・ホフマン・インダストリオール会長は述べた。イェルク・ホフマン会長は、トランプ大統領が先ごろ高率の鉄鋼・アルミ関税を課したことを踏まえて、少数者ではなく多くの人々のためになる貿易政策を求めた。「保護主義は雇用と暮らしを守るための解決策ではない。……私たちは自由貿易を求めているが、それは公正貿易でもあるべきだ。公正貿易を定義し、それを達成する方法も定義する必要がある」

 低成長率、不安定雇用の増加、デジタル化が組合に影響を与え続けている。インダストリー4.0をめぐる議論は、今日の労働者が明日の仕事に対応できるよう準備させる国家・世界戦略の必要性をクローズアップした。
「特に石油・ガス部門と採炭部門で強力なエネルギー移行政策と公正な移行が必要だ」とヴァルター・サンチェス・インダストリオール書記長は述べた。
書記長は、インダストリオールが部門の垣根を越えて活動に取り組み、特にインダストリー4.0によって各部門がますます重なり合うようになっているグローバル・サプライチェーンに焦点を当てる必要があると強調した。

 執行委員会は2本の決議を可決した。ルイス・イナシオ・ルーラ・ダ・シルバ元ブラジル大統領を支持する最初の決議は、彼の釈放を要求する国連前での執行委員会によるデモを受けて採択された。この決議は、ルーラの大統領選立候補を阻止しようとする投獄を否認している。(→ルーラ氏支持に関する決議文

 衣料労働者1,134人が死亡した2013年4月24日のバングラデシュでのラナ・プラザ崩落事故5周年の週にあたり、執行委員会は4月28日の国際死傷労働者追悼日を記念して、労働安全衛生に関する2本目の決議を可決した。(→労働安全衛生に関する決議文

 この決議はインダストリオールに、すべての産業で労働者全員の健康かつ安全な職場を求めるキャンペーンを再確認し、継続するよう求めている。例えば、鉱山における安全に関するILO条約(第176号条約)の批准を求めるキャンペーン、バングラデシュの安全な職場を求めるキャンペーン、アスベスト、サンドブラストおよび職業がんに反対するキャンペーンなどである。

 執行委員会は、南アフリカの組合が2020年インダストリオール世界大会のホストを務めるという案も承認した。

 アルジェリアのエネルギー部門加盟組織SNATEGSのラウーフ・メラル会長が執行委員会で発言し、アルジェリアの労働組合員に対する政治的迫害を報告した。メラル会長は一連の捏造された容疑で、合計17カ月の実刑を科せられる可能性がある。
ベラルーシ通信・電子産業労組(REP)会長でインダストリオール執行委員のゲナディ・フェディニッチは、出国許可が下りなかったためテレビ会議で参加した。フェディニッチ会長は、ベラルーシ政府がREPを解散させようとしているのは、REPがブルーカラー労働者の間で大きな尊敬を得ているからだと説明した。

 インダストリオールは先ごろ、REP指導者に対する刑事訴訟の阻止と連帯の表明を目的とするベラルーシ・ミッションを主導した。「共同努力によってのみ、組合員と組織の権利を守ることができる」とフェディニッチ会長は述べた。次の執行委員会は2018年11月29~30日にメキシコシティーで開かれる。

 

ルーラを釈放せよ!

2018-04-27

 グローバル・ユニオンと50カ国以上の組合指導者が今日ジュネーブに集まり、ルーラ元ブラジル大統領との連帯を表明、ルーラを直ちに釈放すること、今度の選挙に立候補できるようにすることを要求した。

 イェルク・ホフマン・インダストリオール会長は、インダストリオール執行委員会の出席者とグローバル・ユニオンからの参加者およそ150人を前に演説し、ルーラとの連帯を表明して支持することの重要性を強調した。
「ルーラには事件の公平な再審を受ける権利がある。ブラジル政府に対し、直ちに国際法を遵守するとともに、基本的権利を保護するよう要求する」
ホフマンは続けた。「そして非常に重要なことには、ルーラが次の大統領選に立候補することを許可しなければならない」

 ブラジルでは民主主義に対する攻撃がエスカレートしており、2014年の大統領選の組織的妨害から、2016年のジルマ・ルセフ大統領に対する議会クーデターまで、さまざまな事件が起こっている。社会計画と労働者の基本的権利が攻撃されている。ルーラの政治は数百万人のブラジル人の生活改善に役立っており、彼はブラジルで断然人気のある政治家である。この独断的な逮捕は、ブラジル国民が自分たちの望む者を大統領に選ぶ権利を否定することによって、民主主義をむしばむ。
「ルーラは労働権の擁護者であり、他の国々に刺激を与える存在だ」とヴァルター・サンチェス・インダストリオール書記長は述べた。
「ルーラに対するこの攻撃は、自らの権利を求めて闘う労働者全員に対する攻撃であり、民主主義に対する攻撃であり、ブラジル憲法に対する攻撃だ」

 デモ行進のあと、インダストリオールはグローバル・ユニオンのITUC、UNIグローバルユニオン、PSIおよびIUFとともに、国連ブラジル政府代表部に書簡を手渡し、ブラジル政府に以下のとおり要求した。

  • ブラジル憲法に従って、上訴手続きが完了するまでルーラを即時釈放すること。
  • テメル政権と関係のない裁判官によるルーラ事件の公平な再審を行うこと。
  • ルーラが今年の大統領選に立候補できるようにすること。

 

インダストリオール女性委員会、暴力根絶キャンペーンを継続

2018-04-26

 

 インダストリオール・グローバルユニオン女性委員会は4月25日にジュネーブで会合を開き、女性代表性40%の目標と職場における女性に対する暴力をなくすキャンペーンについて議論した。

 女性参画率40%の目標に関しては、インダストリオール部門別会合のほとんどが達成できていない。2017年11月に開かれた前回の女性委員会以降、女性代表性を改善するためにいくつか行動を起こした。

  • 繊維・衣料部門では、職場の男女平等に関する具体的な行動を実施する方法をめぐり、GFA締約企業と討議している。
  • 鉱業部門では、さまざまな部門における女性の割合を確認するためにネットワーク・マッピングに取り組んでいる。
  • 2007年にインドネシアで開かれた電子運営委員会において、女性代表性40%が達成された。
  • 紙パルプ世界会議が代表性を改善するための行動計画を採択し、誓約を強く支持した。

 女性問題は組合問題であるという合意に基づき、地域報告で具体的措置が示された。

  • 7月のアジア太平洋地域大会で、女性と若者に影響を与える問題に焦点を当てる。
  • サハラ以南アフリカで、女性同士のコミュニケーションの場が2つ(フランス語と英語)設けられ、連帯と情報共有において中心的役割を果たしている。
  • ラテンアメリカでは女性の参加が増えており、地域活動の参加者に占める女性の割合が前年の19%から31%に上昇した。

 イラク・バスラ労連のハシュメヤ・アルサーダウィ会長が、イラクで女性代表性30%が達成されたことを報告した。これはゼロから始めて達成された成果である。「女性に権限を与えるために組合の同志がもっと深く関与する必要がある」とブラジルの加盟組織CNQUTのルシネイデ・バルジョンが述べた。

◆職場における女性に対する暴力との闘い
 
職場における女性に対する暴力は、すべてのインダストリオール関連部門で見られ、すべての組合、すべての(男性および女性)組合員に関係がある。国際労働組合総連合(ITUC)は、職場におけるジェンダーに基づく暴力に関する拘束力のあるILO条約を求めて運動している。国際労働総会(ILO総会)は6月、仕事の世界におけるジェンダーに基づく暴力に関する条約と勧告の採択の可能性をめぐり、2カ年の討議を開始する。ITUCのラクエル・ゴンサレスが女性委員会で発言し、組合が拘束力のある条約を求めて政府・使用者に働きかけることの必要性を強調した。

 職場における女性に対する暴力と闘うインダストリオールのキャンペーンは、2017年11月に採択されてから勢いづいており、50団体を超える加盟組合が誓約している。ハシュメヤは女性に対する暴力をなくすキャンペーンに言及し、女性に対する攻撃はほぼすべての中東諸国、すべての組織機構、職場および家庭で見られるため、このキャンペーンは重要だと強調した。
「私たちは暴力との闘いに取り組んでおり、この地域で前進している」
スウェーデンの組合IFメタルのマリー・ニルソン会長は女性委員会で、#MeToo運動がスウェーデンでどんな影響を及ぼしているか語った。
「私たちは使用者とセクシャル・ハラスメントについて議論しており、職場でこの問題に一緒に取り組むために合同作業部会を設置した」

参加者たちから誓約を受け入れて組合機構で実施しているとの報告があったことを受けて、女性委員会は、職場における女性に対する暴力や嫌がらせの根絶を改めて確約した。

 

課題に直面するCIS諸国の素材金属労組

2018-04-20

 4月17~18日にジョージアのトビリシでCIS諸国のインダストリオール加盟組織が会合を開き、素材金属部門における傾向と課題への組合の対応について議論した。
課題には、世界的な過剰生産能力、デジタル化、政府・企業による組合の弾圧が含まれる。現在、世界の鉄鋼生産に占めるCIS地域の割合は6.3%である。

 参加者は、鉄鋼・アルミ輸入関税に関する米国政府の最近の決定は、CIS諸国が関税を免除されていないので大きな課題だと指摘した。ロシア鉱山・冶金労組のアレクセイ・ベズィミヤニクが、ロシアには外資系多国籍企業が進出していないと述べた。この産業の生産量はここ数年伸びておらず、これは新しい労働協約の条件に影響を及ぼしている。

 カザフスタン共和国鉱山・金属産業労組のアシルベク・ヌラリン、ウクライナ金属・鉱業労組(PMGU)のセルゲイ・コミシェフ、アルセロール・ミッタル・クルィヴィーイ・リーフのPMGU労働組合委員会のナタリア・マリニュクが、アルセロール・ミッタルとの効果的な社会的対話の不足を強調した。カザフスタンの鉱山労働者は2017年12月の地下スト後、何とか30%の賃上げを達成したにとどまった。

 ウクライナの労働者は集会を開き、アルセロール・ミッタル・クルィヴィーイ・リーフCEOに1万2,000人が署名した請願書を送付、賃上げと安全性向上、社会的対話の改善を要求した。回答がなかったため、労働側は集団争議の開始を票決した。劣悪な状態にある社屋すべての詳細検査の実施を強く要求している。組合員は、反社会的・反組合的方針を実施する経営側から絶えず圧力をかけられている。

 キルギスタン鉱山・冶金労組のエルダル・タジバエフが、環境が悪化する中で効果的な組織化手段となっている労働組合割引プログラムについて話した。150社が組合員に割引を提供している。このプログラムの結果、3つの新組合が創設され、約4,000人の新規組合員が加わった。

 キルギスタンとタジキスタンのインダストリオール加盟組織は、組合中央委員会による労働組合委員長の承認を確保している。これによって、組合を内部から弱体化させる使用者代表の委員長選出が防止されている。

 ジョージア冶金・鉱山・化学産業労組のタマズ・ドラベリーゼが、組合員数減少の問題を指摘した。2017年、Rustavi Azotの労働組合が破壊された。2014年には、鉱山会社リッチ・ミネラルズ・グループが組合員数1,500人の組合を卑劣な手段で攻撃した。その大きな理由は、ジョージアの組合が好戦的な行動を取るよう期待されていることである。そのような行動は常に成果を上げるとは限らない。

 参加者はインダストリー4.0の重要性を強調し、それぞれの労働組合行事の議題に盛り込むことを提案した。当局と企業は新規雇用を創出して労働者を再訓練し、ロボット化が原因で失業することのないようにしなければならない。労働組合は情報キャンペーンを実施し、当局と経営側による緊急措置と労働組合員による新しい技能の習得を奨励すべきである。

 アダム・リー・インダストリオール素材金属担当部長が会議を締めくくった。
 「CISの素材金属労組には、地域レベルで連携してきた長い伝統がある。私たちはこれを称賛し、この部門で組合が直面している数々の課題に立ち向かおうとする努力を引き続き支援していく」