広報ニュース

第85号インダストリオール・ウェブサイトニュース(2018年11月30日)

テナリス/テルニウム会長の贈収賄事件告発で組合が闘争拡大

2018-11-28

テナリスとテルニウムの組合がメキシコで会合を開き、この多国籍鉄鋼メーカーで労働者の権利侵害に対抗する計画を立案

 世界中のインダストリオール・グローバルユニオン加盟組織が、億万長者のテナリス/テルニウム会長が贈収賄事件で告発されたことを受けて、両社労働者の権利侵害に対抗する計画を策定した。

 「協議会は、テナリスとテルニウムがブラジルで現在の権威主義的な政治環境に乗じて労働者に危害を加えることのないよう要求した」。11月26~27日にメキシコシティー郊外でテナリス・テルニウム労働者世界協議会が開かれ、アルゼンチン、ブラジル、カナダ、コロンビア、グアテマラ、インドネシア、イタリア、メキシコ、ルーマニアおよびアメリカの組合が参加した。この会合で協議会は10周年を迎えた。

 ワルベルト・マルゴSINTRATUCAR会長が協議会出席者に、コロンビアにおけるテナリスの労働者攻撃に関する最新情報を提供した。テナリスはSINTRATUCAR幹部を脅したり、組合活動を不法に撮影したりし、労働組合員にとって世界一危険な国で場合によっては組合員の命を危険にさらしている。

 Sitraterniumは、グアテマラでテルニウムとの協議が遅々として進んでいない状況について説明した。2012年にSitraterniumが登録されたあと、テルニウムは同労組幹部数十人を解雇して交渉を拒否した。インダストリオールはUSWならびにSitraterniumとともに、2017年9月にOECDにテルニウムを提訴。同社は2018年3月にSitraterniumとの協議を開始した。

 METAROMの報告によると、テナリスは最近ルーマニアで同労組に対する圧力を強めている。テナリスが公正な賃金の提示を拒否したあと、METAROMは一連の抗議行動を組織し、この行動は全国メディアの注目を集めた。同労組は賃金協約を達成したが、多くの紛争が続いている。

 いずれもテチント傘下のテナリスとテルニウムは労働者の権利を侵害し、賃金紛争を引き起こし、2017年に15億米ドル以上の利益を上げていながら低賃金国に工場を移転すると脅しをかけている。

 会合2日目に、テナリス/テルニウム会長で多数株主のパオロ・ロッカが、アルゼンチンでの贈収賄事件の一環として告発された。ベネズエラによって国有化された事業単位への補償を急がせるために、経営幹部の1人が2009年から2012年にかけて政府当局者に現金を支払ったことをロッカが証言したあと、裁判官はロッカを告発した。ロッカは、自分はこの支払いに関与していないと主張している。

 テチントは、ブラジルの大規模な汚職摘発作戦でも名前が上がっており、本社の移転やオフショア会社の設立によって税金を逃れた過去がある。

 「労働者を虐待する企業は多くの場合あらゆる点で無責任であり、テナリスとテルニウムも例外ではない」とアダム・リー・インダストリオール素材金属担当部長は述べた。「テナリス/テルニウム労働者世界協議会は、両社が方針を変更し、全世界で組合との社会的な対話に入るよう要求する」

 参加組合は、株主と顧客にテナリス/テルニウムの反組合的慣行に関する懸念を提起して両社に圧力をかけ、社会的責任ある会社だという各社の主張に恥じない行動を取らせることを約束した。

 協議会はインダストリオール加盟組織ロス・ミネロスが主催したこの会合を、前週にアルゼンチン・ロサリオのテルニウム工場で重傷を負ったUOM組合員ガブリエル・パレルモに捧げた。参加組合は両社の事業で進行中の安全衛生問題について議論し、安全衛生の改善を世界協議会の主な優先事項にすることを決議した。

 

造船・船舶解撤産業における持続可能な未来に向けた闘い

2018-11-27

 インダストリオール・グローバルユニオン造船・船舶解撤労組は、2019~2022年のアクション・プランを採択し、安全性と持続可能な産業政策の促進および多国籍企業における労働組合ネットワークの開発に合意した。

 2018年11月1~2日にシンガポールで、持続可能な造船・船舶解撤に関するインダストリオール・グローバル会議が開催された。シンガポールの加盟組織、造船・海洋機器労組(SMEEU)、ケッペル=FELS労組(KFEU)およびケッペル労組(KEU)が主催し、21カ国の27組合から103人が参加した。組合代議員は以下について積極的に議論した。

  • 造船・船舶解撤産業と部門活動の世界的傾向
  • 組織化および不安定雇用との闘い
  • 将来の船舶解撤産業の持続可能な雇用の確保
  • 労働安全衛生と持続可能な産業政策の促進
  • 労働組合ネットワークの開発と連帯の強化
  • 将来の活動と2019~2022年アクション・プラン

 神田健一、アイリーン・ヨー・チョー・ジェク両共同部会長、ビジャーダール・ラネー副部会長、アトレ・ホイエ・インダストリオール書記次長が開会の辞を述べた。

神田健一は挨拶の中で次のように述べた。
 「格差、差別、貧困。私たち国際労働組合運動は、そのような条件を社会からなくすために努力すべきだ。労働者と人を最優先する産業政策の促進によって、私たちの生活を守り、この産業を持続可能なものにしなければならない」

 参加者は開会に際して、2016年11月1日にパキスタンのガダニ船舶解撤場の事故で亡くなった28人の労働者を追悼して1分間の黙祷を捧げた。

 シンガポールの国会議員で組合指導者のパトリック・テイが来賓として挨拶し、新技術の課題を取り上げた。

 2008年の経済危機以降、世界の造船業は緩やかに回復している。しかし、この産業はまだ供給過剰と過剰設備に直面している。松崎寛インダストリオール造船担当部長が、世界の受注量の主な傾向、新造船の種類、市場や労働組合ネットワークにとって重要な主要大手造船会社を示した。

 インダストリオール・ヨーロッパのエルスペス・ハザウェイが、EUが直面している主要な課題は雇用の減少とアウトソーシングの増加だと述べた。EUは未来の造船のために社会的対話と技能訓練を開発する必要がある。
船舶解撤産業は今後25年間成長すると予想される。世界の船舶解撤の70%以上が集中しているインド、バングラデシュおよびパキスタンの南アジア諸国では、国際規則・基準(船舶の安全かつ環境上適正な再生利用のための香港国際条約など)の実施が焦眉の急となっている。

 インダストリオール南アジア事務所のファヒムディン・パシャが、組織化プロジェクトの問題と課題、組合活動、実績について説明した。南アジアの組合は過去4年間に船舶解撤産業の組合員数が倍増しており、今では3万人を超えている。
造船業では、過去10年間に不安定労働者が急増している。アブデルクリム・アヒル(FTM-CGT、フランス)とアン・ジェウォン(KMWU、韓国)、エドソン・カルロス・ロチャ・ダシルバ(CNM-CUT、ブラジル)、ジュリアン・ワン(KFEU、シンガポール)が、不安定労働者、特に下請労働者や女性・外国人・移民労働者に接触し、組織化された正規労働者と同じ労働協約の枠内で彼らの基本的権利を保護する方法について、組合の課題や活動を共有した。

 インド、パキスタン、バングラデシュから参加した代表は、南アジアの船舶解撤労働者を取り巻く状況を強調し、各国で香港条約の批准に向けて引き続き努力すると断言した。ミザヌール・ラーマンがバングラデシュの産業省と国際海事機関を代表して、条約の実施は政府の法定委任事項だと述べた。

 SENSRECプロジェクト(バングラデシュにおける船舶の安全かつ環境上適正な再生利用)は、批准に向けて格好の条件を作り出している。参加組合は、船舶解撤労組を引き続き支援し、未組織労働者に接触して労働安全衛生を促進することを約束した。FNVメタールのメアリー・ファン・デル・ステルが、インドの船舶解撤労働者の労働安全衛生訓練に関する優良事例を共有した。

 造船における持続可能な産業政策の促進は、雇用を維持するための鍵となる。ブライアン・コーラー・インダストリオール安全衛生・持続可能性担当部長が、インダストリー4.0は造船業に大きな影響を及ぼすと予想され、労働者と組合はそれに備え、公正な移行を目指して取り組まなければならないと述べた。

 造船には多様な製造技術・技能の統合が必要とされるため、この産業の国際安全衛生基準は多くの活動や職業を網羅する必要がある。ジュネーブ国際労働事務所の鎌倉泰彦が、ILOの造船および船舶修繕における安全衛生に関する実務規程改訂版についてプレゼンテーションを行った。

 中田節樹(基幹労連、日本)、ムハマド・アフザル(FF、ノルウェー)、トーマス・ソビー(COインダストリ、デンマーク)が、政府・使用者に労働安全衛生活動だけでなく持続可能な産業政策も要求することによって、高付加価値造船への移行に関する各自の組合の見解と慣行を共有した。

 オーストラリア造船労連(ASFU)は、この会議でイギリスの造船・機械労連およびフランスのCGT NAVALと重要な協力協定を結んだ。

 この会議では、グローバル・レベルで多国籍企業における組合の交渉力を高めるために、労働組合ネットワークにも焦点を合わせた。マット・マーフィー(CEPU、オーストラリア)、グレン・トンプソン(ASFU、オーストラリア)、イアン・ワデル(欧州ワーカーズ・ユナイティング、イギリス)、マヌエル・ベラド・カンベロ(FICA-UGT、スペイン)、ウォーレン・フェアリー(IBB、アメリカ)の司会で、BAEやナバル・グループ、フィンカンティエリ、ナバンティアといった多国籍企業における効果的・建設的な労働組合ネットワークの開発をめぐり積極的に議論した。

 会議に先立って、10月31日にBAEシステムズとナバル・フィンカンティエリの2つの労働組合ネットワーク会議が開かれ、新しいアクション・プランが策定された。ナバルとフィンカンティエリの労働組合ネットワークは初会合だった。

 今回の会議で、この部門の共同部会長と副部会長が全会一致で再選された。基幹労連/JCMの神田健一、シンガポールSMEEUのアイリーン・ヨー・チョー・ジェクが共同部会長として、インドSMEFIのV・V・ラネーが副部会長として船舶解撤労組を代表し、引き続き主導する。2019~2022年の部門アクション・プランも採択された。

松崎寛は次のように述べた。
「私たちの優先課題は、この部門で労働者の生活を守り、持続可能な雇用を促進することだ。新しい部門アクション・プランは包括的であり、加盟組織の多大な関与と努力が必要になる。連帯行動の強化によって、目的達成に向かって前進しよう」
アトレ・ホイエがこう語った。
「この会議は、世界中の船舶解撤・造船労働者のために状況を改善しようという十分な決意を示した。多国籍企業で労働組合ネットワークが構築されており、香港条約の批准を目指してひたすら尽力している。金持ちの船主が、非人間的な慣行によってもたらされた死傷事故に対する責任を回避するために、バングラデシュやパキスタン、インドの海岸に船を送ることを許している状況を根絶しなければならない」

 11月2日午後、KFEUの好意により、代議員はケッペル=FELS造船所を見学した。同社は主に沖合・海洋産業向けに活動し、シンガポール国外でも事業を展開している。代議員は造船所の活動と労使関係について学んだ。

 

サムスンは組合と協力して安全性向上を

2018-11-26

 サムスン電子は労働組合と協力して職場の安全性を高めなければならない、とインダストリオール・グローバルユニオンは言う。同社は先ごろ、韓国の工場で生死にかかわる病気にかかった労働者数百人への補償金の支払いに同意した。

 影響を受けた労働者を代表する韓国の権利擁護団体SHARPSによる11年の闘いを経て、サムスン電子は、1984年から同社の半導体・LCD工場で化学薬品にさらされた結果、肺癌や白血病など重大な職業病にかかった元労働者と現役労働者に正式に謝罪し、ようやく補償を申し出た。

 「同社が謝罪するまでに時間がかかりすぎた――11年は長すぎる。サムスンは従業員に労働組合の自由を与えていないことを謝罪すべきだ。職場の危険について知る権利と独立労働組合を持つ権利は、有意義な長期的予防システムの極めて重要な前提条件だ」とインダストリオールに加盟している韓国金属労組(KMWU)のスポークスパーソンは述べた。

 2007年、サムスン電子のチップ工場で働いたファン・ユミが白血病で亡くなり、同社の工場で労働者が危険にさらされていることについて警告を発するきっかけとなった。
 SHARPSはそれ以来、何百人ものサムスン労働者が、癌や血液疾患、肺疾患、流産をはじめ重大な職業病にかかっていることを立証してきた。サムスンは、これらの労働者(その多くが死亡)を無視し、責任を受け入れることも補償金を支払うことも拒否した。しかし2018年11月23日、キム・ギナム・サムスン社長は「病気で苦しんでいる労働者とその家族」に謝罪し、同社が「健康に対しての害を十分管理」していないことにも触れた。

 11月1日の補償発表後、ユミの父親ファン・サンギは次のように述べた。
「労働者への補償は重要だが、それ以上に重要なのは予防だ。労働安全衛生法の強化によって、すべての労働者と地域社会住民に知る権利と参加する権利――それによって労働者は自分たちが使っている化学物質が何かを知ることができる――を保障しなければならない」

 サムスンは改善するどころか、危険な仕事をサプライチェーンの下流や海外工場に移している、とKMWUは言う。KMWUは、法律を強化して多国籍企業にサプライチェーン全体の虐待に対する責任を負わせるよう求めている。

ヴァルター・サンチェス・インダストリオール書記長は言う。
「サムスンは基本的労働組合権を尊重し、組合代表と協力しながら、すべてのサムスン電子施設で安全衛生を確保して労働者の権利を保障すべきだ。経営側は、組合が職場の安全性を高めるということを認識しなければならない」

 

バングラデシュとインドは香港条約の批准を急げ

2018-11-21

 インダストリオール代表団は、船舶の安全かつ環境上適正な再生利用のための香港国際条約(HKC)の批准プロセスを加速させるために、バングラデシュとインドで関連省庁と会談した。

 今年に入ってからの死亡事故によってバングラデシュで19人、インドで9人の労働者が犠牲になったことを考えれば、両国でHKCを実施し、安全性の高い持続可能な船舶解撤産業を実現することが今すぐ必要である。

 この条約を発効させるには、世界の商船の40%とリサイクルトン数の平均3%を占める15カ国が批准する必要がある。今までのところ、6つの造船国がHKCを批准している。中国が2019年1月から船舶解撤活動を制限するので、バングラデシュとインドは条約の発効において極めて重要な役割を果たす。

松崎寛インダストリオール造船・船舶解撤担当部長は言う。
「インドとバングラデシュは船舶解撤産業で持続可能な未来を達成するための鍵になる。HKCの批准と遵守は投資と安全衛生訓練、それに何よりも労働者の意見を考慮させる社会的対話をもたらすだろう」

 ビジャーダール・ラネー・インダストリオール造船・船舶解撤部門副部会長と松崎寛は11月15日、バングラデシュ産業省高官と会談した。高官によると、バングラデシュ政府は香港条約の要件を満たすために、造船所レベルの状況改善に懸命に努力している。

 国際海事機関と産業省との合弁事業であるSENSRECプロジェクトは、先ごろ承認された2017年バングラデシュ船舶リサイクル法と並んで、この目的を達成するための具体的措置である。
 高官は、国内の船舶リサイクル施設を基準まで高めるために国際的協調と技術支援を求めていると述べた。

 インダストリオール代表団は11月17日、インド海運省で共同次官と会談した。議論の中心は、社会的対話の確立、現場の問題を解決するための組合案、HKC批准プロセスの強化である。共同次官は、香港条約に沿って法律を起草しており、議会に提出する準備ができていると説明した。この法律が可決されれば、インドは条約を批准しやすくなる。

 

韓国の労働者、財閥改革求めて全国スト実施

2018-11-21

 インダストリオール・グローバルユニオンに加盟する韓国金属労組(KMWU)の組合員は今日、財閥と労働法の改革を求めてKCTUのゼネストに参加した。

 本日2018年11月21日、KMWU傘下の109職場で約12万8,277人の労働者がストに参加、チェボルと呼ばれる財閥の支配に異議を唱えない政府に抗議するとともに、基本的労働組合権を保障する労働法改革を要求した。

 ストに参加した労働者は、財閥が支配する経済体制を解体して経済民主主義を導入するとともに、労働法改革によって労働者全員に国際的に認知された基本的労働組合権(組合加入権、団体交渉権および集団行動権)を保障するよう要求している。

 現代自動車、起亜自動車、ゼネラル・モーターズ(GM)の自動車労働者、現代重工業、大宇造船海洋の造船所労働者、現代モービスの自動車部品労働者、その他の主要コンポーネント労働者が、4時間以上にわたってストを実施した。

 スト決行が困難な職場では、職場委員が組合役員によるストに入ったり、支部が一般組合員の総会を招集して闘争を支援したりした。スト突入後、全国いたる所で労働者が地域集会を開いた。

 文大統領は労働時間の短縮によって50万人の新規雇用を創出すると約束したが、政府はフレックスタイム制の導入により、企業が従業員を超過労働手当なしで週80時間働かせることができるようにする計画を立てている。

 KMWUは、スト参加者数は今年すでに行われた行動を上回ったと報告し、財閥による支配の継続が原因で労働者はスト決行を余儀なくされたと述べている。例えば、GMは政府補助金を受け取っていながら約束を果たさず、会社の一部を分離独立させて別の事業体を設立した。造船業では再編成の結果、経営ミスの責任が労働者に転嫁された。

 政府は産業部門の不安定雇用問題を解決しなかっただけでなく、既存の雇用まで危険にさらした。労働時間の柔軟性を高めようと結託している政府・与党に対して、職場全体で激しい怒りが燎原の火のごとく広がった。
 「この全国ストは、政府に対する労働者の失望、信用失墜の結果である」と声明には書かれていた。

ヴァルター・サンチェス・インダストリオール書記長はこう述べた。
「文大統領はサムスンや現代のような財閥の支配と対峙していない。これらのコングロマリットは透明性を欠いた取引によって経済を支配している」
「私たちは労働時間の変更と、政府が法律で基本的組合権を保障していない現状にも深く失望している。韓国の労働者と全面的に連帯する」

 

バングラデシュは火災予防および建設物の安全に関わる協定の維持を

2018-11-19

 インダストリオール・グローバルユニオンはバングラデシュ政府に対し、最高裁判所に11月30日に同国からアコードを追放しようとする差し止め命令の取り下げを陳情するよう強く要請している。

 2018年移行協定は、火災予防および建設物の安全に関わる協定の救命活動をさらに3年間にわたって、またはバングラデシュ政府の改善調整室(RCC)が約1,600の衣料工場の安全検査活動を引き継ぐ準備ができるまで延長している。

 しかし、インダストリオールはアコードの署名者として、RCCには、バングラデシュ衣料産業の安全性を劇的に向上させたアコードの活動を継続する能力がまだないことを深く懸念している。

 アコードは1,000人以上の衣料労働者が死亡したラナ・プラザ工場崩落後に設立されてから、10万件を超える火災、建設物および電気関連の危険を確認し、その89%が是正された。1,000工場以上で200万人超の労働者が安全訓練を受けた。

ジェニー・ホルドクロフト・インダストリオール書記次長は次のように語った。
「非常に大きな進展があったとはいえ、アコードの活動は完全ではない。RCCは、アコードによって現在実施されている厳しい安全監視システムを引き受ける準備ができていない」
「バングラデシュに事務所を置けなくなったら、アコードはアムステルダムを拠点に活動を続ける。ほぼ200社の世界的ファッション・ブランドと小売業者が署名した移行協定の法的拘束力のある条項は引き続き有効だ」

 11月15日の欧州議会決議は、バングラデシュにおけるアコードの活動を今月末以降も継続するよう要求、政府に対し、国内でますます広まっている暴力行為や脅迫行為などの組合差別に対処するために行動を起こすよう要請した。

 

インダストリオールとインダストリオール・ヨーロッパ、
トルコのルノー労働者に対する有罪判決を非難

2018-11-14

2016年3月、トルコのルノー労働者によるデモが警察によって
暴力的に弾圧された。

 インダストリオール・グローバルユニオンとインダストリオール・ヨーロッパは本日発表の宣言で、トルコ・ブルサにあるルノーのオヤック工場で働く労働者・労働組合役員26人に対する有罪判決を強く非難している。

 26人の労働者は懲役5カ月・執行猶予5年の判決を言い渡された。有罪判決を受けた労働者のうち誰かが5年以内に「罪」を犯せば、全員が刑務所に入る。上訴のチャンスはない。

 労働者たちは、2016年3月にルノーのオヤック工場前で抗議行動に参加し、警察による暴力と不法拘留の犠牲になったあと、「会合およびデモに関する法律に違反」したとして有罪判決を受けた。

宣言は次のように述べている。
「トルコ政府は、その裁判機構も含めて、労働組合活動の非合法化をやめるべきである。この行為は国内外の中核的労働基準の甚だしい違反となる」

声明はさらに続く。
「ルノーは司法による労働者の迫害にはかかわらなかったにしても、社会的対話による紛争解決を怠り、それどころか2016年にスト中の労働者を弾圧するために警察を呼んだことに対する責任がある」

 ルノーが組合選挙の実施を許可せず、労働者のスポークスパーソン2人を含む10人の労働者を解雇したあと、デモ参加者は団結権と労働者の復職を要求していた。オヤック工場の労働者は、圧倒的多数がトルコのインダストリオール・グローバルユニオン加盟組織、ビルレシク・メタル・イスによって組織化されている。

 「重要な留意点は、オヤック工場におけるルノーの行動が2013年に私たちと締結されたグローバル枠組み協定に違反していたことである」とインダストリオールおよびインダストリオール・ヨーロッパの宣言は指摘している。「両組織は関連加盟組織とともに、ルノーによる容認できないグローバル枠組み協定違反への取り組みを要求し続けていく」

宣言全文は下記サイトを参照:
http://www.industriall-union.org/sites/default/files/uploads/documents/2018/TURKEY/Renault_convictions/joint_declaration_ref_criminalization_of_union_activities_in_turkey_14-11-2018.pdf

 

 

船舶解撤――船の墓場か、それとも労働者の墓場か?

2018-11-13

バングラデシュ・チッタゴンの解撤場で働く労働者

 バングラデシュのシタクンダ船舶解撤場の一連の事故で労働者2人が死亡し、7人が負傷した。今年に入って、バングラデシュの船舶解撤場で19人が死亡している。この死者数は8年間で最も多い。
 最新の事故は11月7日にゴールデン・リサイクリング・ミルで発生し、ボイラー炉の爆発で労働者4人が負傷した。うち1人は危篤状態にあり、今も治療を受けている。
 同じ日にもう1件事故があり、サゴリカ船舶解撤場でガス切断工1人が大やけどを負い、2人の同僚が軽傷を負った。

 前日の11月6日にはアレフィン・エンタープライズで、労働者が徹夜作業で鉄板を引き抜いていたときに事故が発生。鉄索の先端が1人の労働者を直撃し、その労働者は死亡した。

 夜間の船舶解撤活動を禁止する規則を使用者がたびたび無視しているため、これは多くの事故の1つにすぎない。これらの違反に対する具体的な罰則がないため、使用者は規則を軽視し続けている。

 11月5日、シタクンダのゴールデン・アイアン・ワークス・リミテッド船舶解撤場で鉄板が労働者にぶつかった。その労働者は直ちにチッタゴン医科大学病院に運ばれたが、医師は死亡を宣言した。

松崎寛インダストリオール造船・船舶解撤部門担当部長は言う。
「この産業では労働者の死傷事故が続いており、これはまったく容認できない。バングラデシュ政府は2018年船舶リサイクル法を完全に実施し、労働安全衛生に関する国際基準に従うとともに、訓練による技能開発を行わなければならない」

 今年これまでにバングラデシュのさまざまな船舶解撤場で19人の労働者が死亡している。これは少なくとも25人が亡くなった2009年以降最多である。

アプールヴァ・カイワール・インダストリオール南アジア地域事務所所長は言う。
「使用者と当局は明らかに過去の事故から学んでいない。インダストリオールは、労働者の死を招いているこの冷淡な態度を強く非難する。私たちはバングラデシュ政府に対し、犯人に対して厳しい措置を講じ、労働者が何も心配せずに働ける安全性の高い環境を作るよう要請する」

 

自動車労組がバリューチェーン組織化戦略を策定

2018-11-09

 10月16~18日にチェコ共和国プラハで自動車部門労組の年次会合が開かれ、24カ国から76人の労働組合員が出席した。

 この会合ではバリューチェーンにおける組合の力の強化に重点を置いた。自動車産業の特徴は長く複雑なバリューチェーンであり、最大でメーカー1社当たり4万社という膨大な数のサプライヤーが活動している。
 バリューチェーンは意図的に隠された企業秘密であり、企業は透明性を欠いている。バリューチェーンを下に行くほど組合組織率が下がり、労働条件が悪化する。参加者は、この業界にサプライヤー関連情報を公表させるには、ラナ・プラザ規模の大惨事が起こらなければならないのだろうかと疑問を呈した。

 参加者はバリューチェーンの複雑さに迷い込むのではなく、いくつかの重要部品、特にバッテリーのバリューチェーンに焦点を合わせることを決議した。これはコバルトの調達方法に関する懸念から監視の対象となっている問題であり、自動車会社と協力して組織化戦略に対する洞察を深める余地がある。

 この重点的アプローチを拡大し、他の主要部品も確認するとともに、主要ステークホルダーとのバリューチェーン会合を設定して関係を発展させ、このアプローチの有用性を試す。例えばカーシート用皮革・繊維、タイヤ用ゴム、ウィンドウ用ガラスについて、部門横断的な活動を強化する。

 会合では2人の新しい共同部会長が選出された。ゲーリー・ジョーンズUAW会長が退任したデニス・ウィリアムズ元UAW会長の後任になり、クリスティン・オリビエNUMSA国際書記が辞任したTEAMのシリジュンヤポーン・ジャントンランの跡を引き継ぐ。

 来年、専門家グループが自動車産業における転換に関する会合を開き、特に変化の管理方法に関する最優良事例に焦点を当てる。2018年11月末までに新しい独立労連の設立が予想されるメキシコが主な焦点となる予定で、同様の準備作業が進んでいるインドも取り上げる。

 チェコの加盟組織OS KOVOが会合の設定を手伝い、3日目には座席製造会社グラマーの工場を見学した。

ゲオルク・ロイテルト・インダストリオール自動車担当部長は述べた。
「インダストリオールの自動車部門は団結しており、グローバル・バリューチェーンで労働条件を改善するための努力を倍加する。将来の最重要製品であるバッテリーが最優先課題だ」

 

ガダニ船舶解撤場の事故から2周年、安全確保は依然不十分

2018-11-05

2016年の石油タンカーMTエイセス爆発では29人が死亡

 パキスタン船舶解撤産業史上最悪とも言える死傷事故から2周年の翌日、またしてもガダニ解撤場で火災が発生した。

 2016年11月1日、ガダニ船舶解撤場で石油タンカーが大爆発し、労働者29人が死亡、40人以上がやけどを負った。4人が行方不明と伝えられ、事故発生時に現場で何人の労働者が働いていたかについて、誰も確かなことは知らない。またしてもガダニ解撤場で火災が発生した。

 組合幹部は事故2周年に際して集会で演説し、2016年11月以降の一連の事故で、教訓がまったく学ばれていないことが明らかになったと述べた。政府・使用者は労働者の命を犠牲にして安全衛生を無視し続けている。これらの事故は、パキスタンの船舶解撤労働者が命がけで生計を立てていることをまざまざと思い出させる。

 2017年1月8日、1人の労働者が船から落下して亡くなった。2017年1月9日にも、液化石油ガス・コンテナ船の火災で少なくとも5人の労働者が死亡。2018年10月14日には火災で7人の労働者が負傷している。

 労働者が事故2周年を追悼して犠牲者に敬意を表したまさに翌日の2018年11月2日、第66解撤場でミストラル号の解体中に事故が発生し、さらに5人の労働者が負傷した。

 ガダニの船舶解撤労働者は、危険な労働条件、不安定雇用、劣悪な賃金、労働法の未実施、結社の自由と団体交渉の権利の行使を妨げる障害、保健医療施設の不備、きれいな飲料水へのアクセスの欠如に直面している。

 労働組合は長い間、バルチスタン州政府が新しい規則を採択し、パキスタンの船舶解撤産業で安全衛生を改善するよう要求してきた。2016年11月の悲劇のあと、船舶解撤労組は船舶解撤場で安全性を高めるための法案を提出したが、政府はまだそれについて決定を下していない。政府は2016年11月の事故を調査して新しい安全規則を提案するために委員会を設置したが、状況改善に向けて大きな進展は見られない。

アプールヴァ・カイワール・インダストリオール・グローバルユニオン南アジア地域事務所所長は次のように語った。
「経営側と解撤場所有者が労働者の安全を無視し、労働者の命が日常的に危険にさらされる事態にまで至っているのは恐ろしいことだ。政府・使用者両方が過去の事故から教訓を学び、労働者の死亡事故をなくしてパキスタンの船舶解撤産業で安全な船舶解撤を確保するために、直ちに積極的な措置を講じなければならない」

松崎寛インダストリオール造船・船舶解撤部門担当部長は述べた。
「政府が船舶の安全かつ環境上適正な再生利用のための香港国際条約を直ちに批准し、条約の条項を実施するために国家・連邦の規則を採用するよう繰り返し要求する」
「政府は条約の速やかな実施に向けて、船舶解撤労組と使用者が参加する政労使安全衛生委員会を設置すべきだ」

 

無責任なアルミニウム――アルコアが全世界で労働者攻撃を拡大

2018-11-02

スペインのアビレス製錬所

 アルコアは、責任を持ってアルミニウムを生産しているという同社の主張に反して、このところ世界中で労働者に対する攻撃をエスカレートさせている。

 米国系企業アルコアは10月17日、スペインに所有する3つのアルミニウム製錬所のうちアビレスとラコルニャの2カ所を閉鎖すると発表、これにより700人の労働者がレイオフされる。アルコア欧州従業員代表委員会(EWC)は、アルコアがヨーロッパの情報・協議規則に違反し、事前にEWCと協議せず、EWCに適切な情報を提供していないことを批判した。オランダを拠点とするEWCは、閉鎖とレイオフを阻止するためにオランダで裁判を起こした。

 アルコアは、スペインの2工場は効率が悪く、誰も操業を望んでいないと主張している。スペイン政府と組合は、集団解雇プロセスを遅らせ、工場を購入して雇用を守ってくれる会社を見つける時間を与えようとしたが、同社はこの試みを無視した。

 アルコアのアルミナ精錬所3カ所とボーキサイト鉱山2カ所で働いているオーストラリア労組(AWU)の組合員1,600人は先ごろ、アルコアとの20カ月に及ぶ交渉で強制解雇なしという保証を確保できなかったため、52日間のストを行った。同社は解雇の脅しを使い、労働者を威嚇して不確かな仕事に基づく新しい条件を飲ませようとした。

 アルコアが新たな提示をした時点でストが終結し、組合はその案を組合員投票にかけた。労働者の過半数がこの提示に反対票を投じ、あるAWU役員はその理由として、最近の職場復帰の際に組合員が粗末に扱われたことを挙げた。アルコアはオーストラリア政府機関に、同社がAWUと締結している現行労働協約の解除を申請している。

 アルコアによる職場の閉鎖は、同社が労働者と地域社会、環境に対する攻撃をやめることを保証するものではない。アルコアは2015年にスリナムでアルミナ精錬所を閉鎖し、国民経済に大きな打撃を与えて数百人を失業に追い込んだ。これはアルコアが2033年までスリナムでアルミニウム事業を継続するという同国政府との合意に反していた。

 アルコアは2015年以降、同社による環境汚染の遺産への対処などのために、秘密裏にスリナムからの撤退に関する代替協定を交渉している。先ごろ撤退協定案が公表されたが、スリナムにとって不公正であるという理由で、技術専門家にも市民社会組織の連合(アルコア従業員を代表しているインダストリオール加盟組織C-47を含む)にも強く拒否されている。

 C-47は、協定を再交渉するとともに、アルコアが元従業員への年金支給を調整し、元労働者を困窮させているスリナムの通貨の大幅な下落を埋め合わせるよう求めている。

 アルコアはカナダ・ケベック州のベカンクール製錬所で、全米鉄鋼労組の組合員1,030人を10カ月近くロックアウトしている。ロックアウトが9カ月目に入ったころ、この製錬所の単位生産当たり労働コストが北米のアルコア工場全体で最も低いにもかかわらず、アルコアはロックアウトされた労働者にさらなる譲歩を再度要求してきた。

 「合意に達したいなら、相手の話に耳を傾け、好機を利用し、相手が態度を変える意思を示したときに妥協を受け入れる必要がある。アルコアはそのいずれもしていない」とアラン・クロトーUSWケベック州責任者は述べた。
 「インダストリオール加盟組織は数十年前から世界中でアルコア労働者を代表しており、同社との交渉は往々にして厳しい。しかしアルコアが今ほど、多くの異なる国々で同時に労働者と地域社会を攻撃したことはかつてなかった」とケマル・ウズカン・インダストリオール書記次長は述べた。
 「アルコアは自らを自動車メーカーその他の消費者向けブランドに責任を持ってアルミニウムを提供する企業と位置付けようとしているが、同社の実際の慣行を見るとそうではない。インダストリオールはアルコアに対し、持続可能性を重視しているという主張に恥じない行動を取り、労働者に対する攻撃をやめるよう求める」