広報ニュース

第86号インダストリオール・ウェブサイトニュース(2018年12月28日)

アルゼンチンの元フォード経営幹部2人に人道に対する罪で有罪判決

2018-12-17

 アルゼンチンの裁判所は国内のフォード工場の元経営幹部2人に、独裁政権時代のフォード労働者に対する人権犯罪への関与で有罪判決を下した。

 アルゼンチンが独裁政権下にあった1976年にフォードのヘネラル・パチェコ工場で労働者24人の誘拐・拷問に関与した罪で、ペドロ・ミュラーに自宅監禁10年、ヘクター・シビラに同12年の判決が下された。裁判官は、これらの行為を人道に対する罪と認定した。

 国際刑事裁判所ローマ規程によると、人道に対する罪とは、国際法の基本的な規範・基準に違反する行為、身体または心身の健康に多大な苦痛または重大な害を意図的にもたらす行為、一般市民に向けられた広範囲または組織的な攻撃の一環として、攻撃であることを知りながら実行された行為である。

 これらの罪は、1976年3月24日のクーデター後の数週間に犯されたと言われる。これをきっかけに先の文民・軍事独裁が始まり、1983年まで続いた。この間に数千人が行方不明になったり、拷問を受けたり、殺害されたりした。

 インダストリオールのラテンアメリカ・カリブ海副議長ラウル・エンリケ・マチューは次のように述べた。
 「アルゼンチンでは多くの人々が人道に対する罪で有罪判決を受けているが、外国企業の元経営幹部2人が判決を言い渡されたのは今回が初めてだ。40年後の今、この全員一致の評決が下されたことは、人権を支持する大きな流れを表している。私はアルゼンチン人として、この種の判決が言い渡されたことを誇りに思うが、フォードの同僚が迫害や拷問の結果味わった苦しみが消えるわけではない。この労働者たちはインダストリオール・グローバルユニオン加盟組織のSMATA(アルゼンチン機械・自動車関連労組)に加入している」

 当時、ミュラーは工場長で、シビラは警備管理者だった。スペインの『エル・パイス』紙によると、裁判官は、ミュラーとシビラは大企業で組合幹部を弾圧する独裁政権の計画に積極的に関与したと裁決した。

 両名は軍関係者に労働者の写真や住所、その他の個人データを提供し、誘拐を助長したと非難された。アルゼンチンの『パージナ12』紙によれば、何人かの労働者は当時まだ19歳で、その他多くは組合幹部だったという。

 調査の焦点は経営幹部の刑事責任能力の判断であり、会社自体を対象とするものではなかった。労働者と弁護士は現在、この犯罪への加担でフォードを訴えたいと考えている。

最後に、アレハンドロ・バレリオ・インダストリオール地域事務所副所長が述べた。
「約3万人が誘拐されたり、拷問を受けたり、行方不明になったりしたラテンアメリカ史上屈指の残虐な出来事の加害者が、今なお裁判にかけられ、有罪判決を受けていることは非常に重要だ」
「今回のように、独裁政権の共犯者である民間人や企業が裁判にかけられていることも重要だ。彼らも労働者とその代表の迫害や暗殺に加担した」

 

再生可能エネルギー部門における強力な組合の存在は将来を左右する鍵

2018-12-12

 機械エンジニアリング部門のインダストリオール・グローバルユニオン加盟組織が2018年12月9~10日にスウェーデンのイェテボリで会合を開き、急速に成長している再生可能エネルギー部門の組織化を調査した。

 オーストリア、ベルギー、ドイツ、インド、日本、ポーランド、スペイン、スリランカ、スウェーデンからの参加者が経験を共有した。再生可能エネルギー産業の開発は世界中で不均等だが、明らかな方向性があり、開発が進んでいる国々から学ぶべきことが数多くある。

  オーストリアの加盟組織Pro-Geの会長で共同部会長を務めるライナー・ウィンマーは、開会の辞で次のように述べた。
「テクノロジーは、私たちが機械技師および労働組合員として、気候変動を緩和するために行える最も重要な貢献だ。私たちは風力を必要としており、太陽光を必要としており、バイオマスを必要としている。そして、公正なエネルギー転換を確保するには強力な組合が必要だ」

 ドイツの加盟組織IGメタルのアンジェリカ・トーマスが述べた。
 「私はCOP24で代議員を務めた。シレジア宣言に大変満足している。この宣言は公正な移行を通して気候変動の社会的側面に取り組むことを約束している」

 設備製造は再生可能エネルギー・サプライチェーンの不可欠な部分である。だから、機械エンジニアリング部会のインダストリオール加盟組織は、この成長部門で従業員を組織化したいと切望している。会合では、エネルギー会社や設備製造会社とのグローバル枠組み協定および労働組合ネットワークを利用する機会について議論した。

 マティアス・ハートウィッチ・インダストリオール機械エンジニアリング担当部長は次のように述べた。
 「これは新しい活動だ。再生可能エネルギー分野で働いている機械エンジニアリング部門の専門家が集まって、未来の雇用をめぐり議論している。この会合は研究所であり、互いの経験から学び、関連組合がどの方向へ進む必要があるか確認している」

 スウェーデンの再生可能エネルギー部門は、特に水力に関して言えば比較的成熟している。マリー・ニルソンIFメタル会長が成長性についてこう説明した。
 「私たちが恐れているのは新技術ではなく、古い技術だ。イェテボリはスウェーデン産業の基幹であり、この地域には多額の投資が流入している。人口が増えており、インダストリー4.0によって雇用が変化している。失業は過去最低水準にあり、私たちの問題は技能不足だ」

ケマル・ウズカン・インダストリオール書記次長が、テレビ会議で出席者に語りかけた。
「エネルギー部門および電子部門と緊密に協力しながら活動する再生可能エネルギー部門のネットワークが必要だ」
「このネットワークは組織化に焦点を絞り、紛争発生時に連帯支援によって対応できなければならない」

 会合の一環として、1907年に市内に設立されたSKFベアリング工場を見学した。SKFのベアリングは風力・潮力タービンや輸送、ロボット工学、加工、可動部品を含むあらゆる産業分野で利用されている。回転効率のわずかな改善が、積もり積もって極めて大きな省エネをもたらす。

 このSKF工場は高度に自動化されており、労働者はブルーカラーからホワイトカラーに移行している。しかし、現場のブルーカラー労組IFメタルは、仕事はなくなるのではなく変化すると考えている。

 「労働運動の古いことわざを言い換えると、未来の労働者は午前中に機械をプログラムし、午後に顧客と話し、夜に新しい生産プロセスを開発する。これは仕事の進化だ」とザルコ・ジュロビッチIFメタル支部長は語った

 2017年もまた再生可能エネルギーにとって記録破りの1年となり、再生可能エネルギー能力が過去最大の増加を達成し、コストが削減され、投資が増え、実現技術が進歩した。報告によると、2017年には1,030万人が再生可能エネルギー部門で働いており、アジアの雇用の60%を占めるに至った。再生可能エネルギー関連雇用のうち、太陽エネルギー部門が最大の使用者で、340万人近くが働いている。

 会合参加者全員が、この活動を推進するとともに、エネルギーやICT電機・電子のような近隣部門と緊密に協力しながら組織化し、未来指向の職場で組合の力を確保することに合意した。

 

インダストリオール、フォルクスワーゲンにアメリカの組合との交渉を要求

2018-12-11

 インダストリオール・グローバルユニオンはドイツ系自動車メーカーのフォルクスワーゲンに対し、UAWによって代表されるテネシー州チャタヌーガのVW工場労働者と直ちに交渉に入るよう要求している。

 3年前の2015年12月4日、米国チャタヌーガにあるフォルクスワーゲン工場の熟練労働者の70%が、UAWによる代表に賛成票を投じた。

 ところが、フォルクスワーゲンは同労組と交渉に入るどころか、投票結果に対して繰り返し法的措置を取り、UAWに有利な裁定を下した2016年8月の全国労働関係委員会の判決を不服として上訴するなどしている。

 ヴァルター・サンチェス・インダストリオール書記長は、この行為は労働者の権利と社会的対話に関して、世界各地のフォルクスワーゲンの優良事例に反すると言う。
「これはアメリカの法律だけでなく、2002年6月に締結された『フォルクスワーゲンにおける社会権と労使関係に関する宣言』にも違反している」

 インダストリオール執行委員会は2018年11月30日、組合に対する訴訟の即時取り下げをフォルクスワーゲンに要求する決議を全会一致で採択した。この要求が受け入れられなければ、インダストリオール・グローバルユニオンは、可能な限り強力な不同意のしるしとして、フォルクスワーゲンとのグローバル枠組み協定(GFA)(「フォルクスワーゲンにおける社会権と労使関係に関する宣言」)を停止するしかない。

 フォルクスワーゲンとの協力関係は貴重であり、世界中のフォルクスワーゲンで直接間接に働いている数百万人の労働者にとって有効かつ有益であることが判明している。

 先週12月6日にフォルクスワーゲンのグローバル・グループ従業員代表委員会によって可決された決議で、世界中から選ばれたフォルクスワーゲン労働組合員が、チャタヌーガにおける熟練労働者の即時承認の要求を支持した。
「私たちは、フォルクスワーゲンが保守労働者の選挙結果をいまだに受け入れておらず、関連交渉権を守らないことによって、アメリカの反組合的な法的環境を利用して団体交渉を避けようとしていることに抗議する」

 米国南部の他の製造工場で労働者・労働組合の権利が危機に瀕している事例がほかにもあり、インダストリオールは引き続き、この地域で活動する他の多国籍企業を監視し、労働者の権利の尊重を保証するために適切な行動を調整することにしている。

 

バングラデシュ政府、アコードの無効化と独立性の剥奪を画策

2018-12-10

 バングラデシュ政府は、アコードの活動を阻止するためにバングラデシュ最高裁に訴えており、労働者の安全を危険にさらしている。

 バングラデシュ政府は、11月30日以降のバングラデシュでの活動停止命令に対するアコードの上訴に関する裁判所への提出書類で、バングラデシュにおけるアコードの活動継続は、極めて妨害的な一連の制約のもとでのみ許可すべきだと述べている。これらの制約は、この全世界で尊敬を集める安全性イニシアティブから政府・使用者の管理を受けずに活動する能力を奪うものであり、今回の延長を最後にアコードはダッカに事務所を維持できなくなる。

 政府の条件が最高裁判所によって受け入れられれば、アコードの決定すべてに政府委員会の承認が必要となり、アコードの独立性が損なわれるだろう。もう1つの条件は、アコード検査官による新たな安全基準違反の確認を禁止しており、実質的に、検査で確認された致命的な危険(欠陥のある警報システム、塞がれた非常口、構造物の柱の亀裂など)を無視するよう要求している。さらに別の条件は、安全性に関する苦情を理由に労働者を脅したり解雇したりした工場所有者に対し、アコードが何の措置も講じられないようにしている。

 12月6日の審問では活動に対する制約へのアコードの反論が審議されたが、政府は対応を検討する時間を確保するために12月10日にもう1回審問を要求した。政府は今日、さらに12月17日までの延期を要求し、認められた。明確な方向性が見られず、アコードの今後は相変わらず不安定な状態にある。

 アコードに署名しているグローバル・ユニオン(インダストリオールとUNI)ならびに連署した4団体(クリーン・クローズ・キャンペーン、国際労働権フォーラム、マキラドーラ連帯ネットワーク、労働者の権利コンソーシアム)は、バングラデシュの貿易相手国と多国籍衣服ブランドに対し、バングラデシュ政府に圧力をかけてアコードの救命活動継続を妨げるこの衝撃的な措置を控えさせるよう呼びかけている。

 アコードは、2013年のラナ・プラザ工場崩落で1,000人以上が死亡した事故を受けて創設されて以来、バングラデシュの衣料工場の抜本的な安全性向上に役立っている。アコードは10万件を超える火災、建設物および電気関連の危険を確認し、その大多数が是正された。1,000工場以上で200万人超の労働者が安全訓練に参加した。

 この進展にもかかわらず、危険な状態が続いており、今なお労働者の生命が危険にさらされている。いまだに過半数の工場に適切な火災報知・検知システムがなく、40%の施設が改築の最中である。

 政府側の条件が認められれば、アコードは新たな安全上の問題を確認・報告することも、救命のために工場改築の完了に向けて支援することも、安全上の問題に関する労働者の苦情に対応することも、労働者と管理者向けに不可欠な安全衛生訓練を継続することもできなくなるだろう。そのような条件に基づく活動許可は、到底許可とは言えない。

 バングラデシュ政府がこれらの制約を直ちに取り下げなければ、アコードは活動の基準と独立を守るために、アムステルダム本部を拠点に活動を続け、検査・改善・訓練プログラムの管理体制を移転して実施のために下請業者を雇うしかない。これは必然的に工場の改善を支援するアコードの能力に影響を及ぼし、ブランド各社は安全性が確保されていないより多くの工場との取引関係を打ち切らざるを得なくなる。

 アコードは長い間、適切な国家取締機関に機能を引き渡そうと尽力してきたが、政府の改善調整室(RCC)はまだ開発の初期段階にある。国際労働機関(ILO)、バングラデシュの主要貿易国、ブランドをはじめとするステークホルダーは、RCCはまだアコードの検査作業を実施する準備ができておらず、対象工場の安全強化でも実績の裏付けがないという点で合意している。

 アコードは円滑な移行を確保するために、RCCの能力強化や政府・検査機関との協力に取り組んでいる。これを実現するための計画をすでに提出しているが、これまでのところ政府からは反応がない。

 工場検査、安全訓練および労働者苦情処理制度のために本格的な移行計画を実施するには、はるかに長い時間と政府による真の関与が必要となる。アコードが制約なしで活動を継続できなければ、それは実現できない。アコードは、2021年またはRCCの準備が明らかに整うまで、締約ブランドに対して拘束力を持ち続ける民間契約である。

 バングラデシュ協定は、ブランド各社やマルチステークホルダー・イニシアティブ、労働組合、NGO、投資家、政府代表、政治家によって、バングラデシュで工場の安全を守る唯一の信頼できる措置であると広く認められている。政府が工場の安全を保証できるようになるまで、バングラデシュにおけるアコードの活動継続を許可するために、法廷審問に向けて国際圧力が強まった。

 EU、カナダ、アメリカなどバングラデシュの貿易相手国は自国のブランドに対し、アコードに基づいてサプライヤー工場の安全を確保できるようにすることを求めており、この立場は欧州議会決議に例示されている。したがって、バングラデシュのRCCに出資している3カ国(オランダ、カナダ、イギリス)は、バングラデシュ政府に制約の撤廃を促すとともに、検査機関の進展に関する報告を公表し、バングラデシュの政治的意思によって真の移行計画を策定することの必要性を強調すべきである。この計画には、安全訓練と安全上の問題に関する労働者苦情処理制度も盛り込まなければならない。バングラデシュ政府がアコードの効果的な独立した活動を許可しない場合、貿易相手国は、この決定がバングラデシュとの貿易政策全体に与える影響を検討せざるを得なくなる。BGMEAとバングラデシュ政府が全面的活動を継続するための実行可能な方法についてアコードと速やかに交渉しなければ、バングラデシュの輸出に対する特恵関税の将来の見通しがはるかに暗くなる。

 衣服輸出国としてのバングラデシュの評判に取り返しのつかない損害を与えたくなければ、政府はアコードによる救命活動の継続を妨害するのではなく、今後バングラデシュの衣料工場の安全性を保証できる管轄国家取締機関の開発に焦点を合わせるべきである。

 

世界中の労働組合がバングラデシュ協定への支持を表明

2018-12-05

 11月29~30日にメキシコで開かれたインダストリオール・グローバルユニオン執行委員会において、全世界の労働組合指導者200人以上がバングラデシュ協定に満場一致の支持を表明した。

 執行委員会は、バングラデシュ政府に対し、アコードの機能を引き継ぐ能力のある管轄国家取締機関ができるまで、アコードがバングラデシュで活動を継続できるよう保証することを求める決議を可決した。

 バングラデシュ最高裁判所は、アコードが11月30日にバングラデシュでの活動をやめるよう命令した。決定は、その命令に対するアコード側の上訴に関する12月6日の審問まで延期されている。

 火災予防および建設物の安全に関するアコードは、2013年のラナ・プラザ工場崩落で1,000人以上が死亡した事故を受けて創設されたあと、バングラデシュの衣料工場の安全性向上に役立っている。

 アコードは10万件を超える火災、建設物および電気関連の危険を確認し、その89%が是正された。1,000工場以上で200万人超の労働者が安全訓練に参加した。

 決議は次のように続いている。
 「バングラデシュ政府は、衣料工場の安全性を規制するために改善調整室を設置した。しかしながら、バングラデシュ政府の主張とは反対に、この機関はまだアコードの役割を引き継ぐ能力がない」

 ヴァルター・サンチェス・インダストリオール書記長はシェイク・ハシナ・バングラデシュ首相への書簡で、アコードの活動を無条件で継続しなければならないと述べ、こう付け加えている。「バングラデシュ政府が確固たる国家公衆衛生・安全検査システムを早く開発できるよう願っている。そうは言っても、そのような時が来るまで、アコードは何百万人もの労働者の命を守るために基本的な役割を果たし続けなければならない」

 インダストリオールはバングラデシュに20の加盟組合があり、その多くが衣料労組である。

 

インダストリオール執行委員会、保護協約の撤廃を要求して組合民主主義を擁護

2018-12-03

2018年11月29~30日、インダストリオール・グローバルユニオン執行委員会をメキシコシティーで開催した

 インダストリオール・グローバルユニオン執行委員会は11月29~30日のメキシコシティー会合で、メキシコにおける保護協約の撤廃を要求するとともに、世界中で増加しているネオリベラル政権から組合民主主義を守るための対策を講じ、ジェンダーに基づく暴力との闘いの継続を約束した。

 執行委員会がアンドレス・マヌエル・ロペス・オブラドール次期大統領就任のわずか48時間前にメキシコシティーで会合を開いたのは、偶然の一致ではない。

 「世界中で労働者の権利を侵害する抑圧的なネオリベラル政権が増えている中で、この新政権は新風を吹き込んでくれる」とヴァルター・サンチェス・インダストリオール書記長は、世界の至る所から集まった組合指導者200人を前に開会の辞で述べた。

 サンチェスもイェルク・ホフマン・インダストリオール会長も、メキシコの新政権と組合民主主義の進展を歓迎した。2人はロス・ミネロス会長で執行委員のナポレオン・ゴメス・ウルティアが、12年の亡命生活を経てメキシコに帰国したことも祝福した。

 代議員は、メキシコで結社の自由を抑圧している保護協約の撤廃に向けて努力するよう新しい革新政権に要求するキャンペーンを開始した。

 執行委員は、自由で独立した組合を設立したために解雇されたメキシコ・サンルイスポトシのグッドイヤー工場労働者への支持を表明し、グッドイヤー労働者を支持して世界的なキャンペーンを実施することについても合意した。

 出席者は女性の受容に関する勧告もいくつか採択、各部門・ネットワークに対し、職場や組合で女性が直面している問題を分析する戦略を策定し、これらの問題に取り組むキャンペーンを開発するよう求めた。

 加えて執行委員は、シェルとグレンコアに対するインダストリオールのキャンペーンを支持し、両多国籍企業が世界中ですべての労働者の権利を尊重するよう要求した。

 南アフリカのゴールド・フィールズとスティルウォーター、アメリカのフォルクスワーゲン(VW)など、他の多国籍企業による労働者の権利の侵害に関する情報も提供された。

 グローバル枠組み協定は、締約企業において製造プロセスの全段階で労働者の権利と権益を保護するための重要な手段として承認された。しかしながら、各国の加盟組織から報告された多様な経験を踏まえて、各社の協定実施状況を監視するために措置を講じることで合意した。

 執行委員会は、公正な国際貿易・製造政策に関するアクション・プランも採択した。その狙いは、加盟組織が多国間貿易協定・条約に関する協議に、より深く関与できるよう支援することである。また、持続可能な雇用の創出を確保するために、気候変動に直面して公正な移行を実施することの必要性に関して、インダストリオール・グローバルユニオンとインダストリオール・ヨーロッパが発表した声明も支持した。

 最後に、執行委員会は一連の決議を採択した。

  • コアウイラ州シウダードアクーニャにあるPKCグループのアルネセス・イ・アクセソリオス・デ・メヒコ工場で、CTMが組合代表選挙を暴力的に中断させたことを非難する。この工場ではロス・ミネロスが、労働協約の管理をめぐってCTMに異議を唱えている。
  • バングラデシュ政府に対し、アコードの機能を引き継ぐ能力のある管轄国家取締機関ができるまで、バングラデシュ協定が効力を維持するよう保証することを求める。
  • ハンガリー政府に対し、国内・国際レベルの中核的労働基準を厳守して行動するよう要求する。
  • VW経営陣に対し、VWが全国労働関係委員会の決定への異議申し立てを取り下げなければ、グローバル枠組み協定を一時停止するというインダストリオールの意向を通知する。

 

インダストリオール、COP24で公正な移行を要求する共同宣言発表

2018-12-03

 インダストリオール・グローバルユニオンとインダストリオール・ヨーロッパは、世界中の国々がポーランド・カトウィツェの国連気候変動サミット(COP24)に集まっている今、労働者にとって公正な移行を要求する共同宣言を発表した。

 組合は各国政府に対し、製造業労働者を解決策の立案に関与させる公正な移行への取り組みを求めている。目的は、創造的な労働力調整プログラムを盛り込んだ、強力な社会的保護に基づく持続可能な産業政策によって、気候変動排出目標を達成することである。

 宣言は次のように述べている。
「私たちの組合員を雇用する産業部門は、大規模な脱炭素化の目標に関連する非常に大きな課題に直面している。だが、まさにそれらの部門こそ、開発と持続可能な雇用、技術的進歩の中心的要素を提供しつつ、気候変動の影響を緩和する技術や解決策を与えるうえで不可欠なのである」

 石炭大国ポーランドの中心で開催中の国連気候変動枠組条約第24回締約国会議は、「公正な移行COP」と呼ばれている。

 公正な移行は、2015年のCOP21で締結された気候変動に関するパリ協定の序文に、明確な文言で盛り込まれている。「国家レベルで定義された開発優先課題に従って、労働力の公正な移行とディーセント・ワークや良質な雇用の創出の義務を考慮に入れる」

 この文言がパリ協定に盛り込まれたのは、パリおよび過去のCOPで労働組合が強い圧力をかけたからにほかならない。締約国は今、自国が公正な移行に政治的に関与していることを受け入れなければならない、と組合は要求している。

 「環境保護への不公正な移行によって、膨大な数の労働者を見捨てることはできない。気候変動に対処する差し迫った必要を無視することもできない――死んだ惑星に雇用は存在しない」と宣言は述べている。

 「私たちの望みは、COP24が最終的に、楽観的な未来――労働者と家族、彼らに依存している地域社会のために完全雇用とディーセント・ワークを保証する未来――への公正な移行の概要を示すことである。すべての利害関係者が、この議論に加わらなければならない――公正な移行は私たちがいて初めて実現可能となる」

 インダストリオール・グローバルユニオンとインダストリオール・ヨーロッパは、国際労働組合総連合および欧州労働組合連合とともに、ポーランドが提出した連帯と公正な移行シレジア宣言を締約国が支持することも緊急に要求している。

 

女性の受容がインダストリオール女性委員会の優先課題

2018-11-29

 インダストリオール女性委員会は11月28日にメキシコシティーで会合を開き、労働組合への女性参画を引き続き拡大する強いコミットメントを表明した。

 女性委員会は、インダストリオールの規約に定める女性参画40%の目標の達成に向けて、さらに前進することの重要性を強調した。発言者たちは、参画とはただ会合に出席することではなく、女性が真の発言権を得て意思決定に参加することを意味すると力説した。

 インダストリオールの部門別活動への女性参画はまだ低すぎ、あまり改善していない。女性委員会は、女性参画が最も低い産業で男女の数の不均衡に取り組む新しい戦略について、一連の勧告を検討・支持した。

 この勧告は、インダストリオール関連部門で主導的役割を果たす男女が集まった10月の南アフリカ共和国ケープタウン会合によるものである。
勧告の内容は以下のとおり。

  • それぞれのネットワークと部門が、会合への女性参画を拡大するために独自のルールを設定する。
  • 部門・ネットワークは、女性が職場や組合で直面している問題を分析するための戦略を考案し、それに取り組むためのキャンペーンを立案する
  • GFAを利用して多国籍事業に対し、男性優位の分野で女性の雇用増を要求し、ジェンダー平等の面で実績を上げるよう刺激を与える。

 「それぞれの部門とネットワークは、積極的な女性参画を拡大する方法について独自の戦略を策定しなければならない」とモニカ・ベローゾ女性委員会共同議長は述べた。

 2018年はインダストリオールのプロジェクトへの女性参画が著しく進展し、多くのプロジェクトがインダストリオールの女性参画40%の目標を達成した。サハラ以南アフリカの組合構築プロジェクトは49.3%、東南アジアのプロジェクト作業は44%近い女性参画率を達成している。青年活動では、全世界の女性参画は40~50%である。

 ラテンアメリカ地域が女性委員会に報告し、今年8月の会合でアルゼンチン、ブラジル、チリ、コロンビア、エルサルバドル、メキシコ、ペルー、ドミニカ共和国、トリニダード・トバゴおよびウルグアイから25人の代議員が集まり、女性労働組合指導者のネットワークを構築したと伝えた。

 MENA地域の組合は、現在の組織機構に十分な余地がないため、女性参画の拡大にあたって課題に直面している。引き続き組織化を推進し、団結権を求めて闘う必要があると報告された。

 インダストリオール・フィリピン女性委員会は、出産休暇延長キャンペーンの先頭に立ち、105日の女性有給休暇を勝ち取ることに成功した。

 職場における女性に対する暴力の根絶を誓約するよう加盟組合に呼びかけるインダストリオールのキャンペーンが1年前に始まり、現在までに約100組合がこの誓約を採択している。組合向け訓練モジュール開発計画に基づき、誓約を推進し続けている。

 女性委員会は以下のとおり決定した。

  • 大会作業部会(アクション・プランおよび規約)への女性参画のために割り当てを要求する。
  • 執行委員会が、ケープタウン会合の勧告を支持し、実施のために各部門に付託するよう勧告する。
  • 執行委員会が、会合や活動での暴力とセクシャル・ハラスメントに対するインダストリオール方針を支持するよう勧告する。
  • 女性大会開催の重要性を繰り返し強調し、執行委員会に対し、予算の制約に照らして最適な形式と日程を決定するよう求める。

 「インダストリオールと加盟組織における女性の参加・参画拡大に関する作業を続ける」とジェニー・ホルドクロフト書記次長は述べた。「しかし私たち全員が、これが女性だけの問題ではなく、中核的な労働組合問題であることを認識しなければならない」

 

 

ミャンマーの組合、組織化を妨げる障害に対抗

2018-11-19

 ミャンマーの労働者と組合は、組合つぶしや低賃金、不安定雇用の横行でたびたび困難に直面している。インダストリオールの組合構築プロジェクトは、抵抗するために組合の強化に焦点を合わせている。

 ミャンマーでは組合つぶしが広く見られる。インダストリオール加盟組織のミャンマー産業労連(IWFM)は、65の企業レベル組合のうち16組合を組合つぶしで失った。よく使われる戦術は、仕事量が少ない時期に工場を閉鎖して組合を排除し、数週間後に非組合労働者を雇って別の社名で業務を再開するというものである。

 見習工は賃金が安いのでたびたび雇われ、同じ会社の未組織部門に仕事が移されるときもある。組合幹部・組合員は解雇されたり、短期契約が失効したあとに再雇用されなかったりする。

 ミャンマー鉱山労連(MWFM)が組織化している鉱業部門では、いわゆるトラブルメーカーが、組合活動の場所から遠く離れた別の鉱山に飛ばされている。雇われた暴漢が肉体的な暴力で組合幹部を脅し、時には実際に暴行を加えているとの報告もある。

 鉱山はたいてい大都市から遠く離れた場所にあり、組合活動が困難である。小規模鉱業はインフォーマル労働と同様に広く見られる。

 オランダのモンディアールFNV、フィンランドSASKおよびドイツFESの支援によるインダストリオールの組合構築プロジェクトは、訓練や組合オルグへのアクセスによって組合を強化している。

 そして組合つぶしにもかかわらず、労働者は組織化を進めている。2014年以降、IWFMの組合員は6,000人からほぼ1万6,000組合員に増えた。MWFMの組合員数は現在5,500人で、新しいプロジェクト期間が始まった2018年6月から750人増えている。

 組合は、給料や安全衛生に関連する団体交渉の進展についても報告している。あるケースでは、300人の鉱山労働者が5年ぶりに有給休暇取得権を勝ち取った。女性・若年労働者に関する問題への関心が高まっている。

 IWFMはACTの支援を受けて、繊維部門の部門別協約を検討している。現在、ミャンマーから調達している衣料会社のすべてが1日4,800チャット(3米ドル)の最低賃金を支払っているわけではないので、産業別協約の達成は生活賃金を求める闘いにおいて大きな功績になるだろう。

11月14~15日にヤンゴンで開かれたプロジェクト計画会合において、両組合は次の2019年作業計画を確認した。

  • 加盟費徴収の増加
  • 新規組合員勧誘の目標
  • 団体交渉への女性と若者の参画に関する条項の包含
  • 鉱業部門の労働安全衛生に関する調査
  • 部門別CBAに関する作業の継続