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第126号インダストリオール・ウェブサイトニュース(2021年4月28日)

インダストリオール執行委員会、抑圧に断固反対

2021-04-23

【JCM記事要約】

  • 4月22日、インダストリオール執行委員会がオンラインで開催され、数百人の労働組合員が参加した。今回の会合は、パンデミックが原因で1年延期されて、今年9月にオンラインで開催される第3回世界大会前の最後の執行委員会となる。
  • 会合では、大会に向けた勧告に対してオンラインで投票を実施し、大会へ向けた準備を進行させた。また、2人の書記長候補者、アトレ・ホイエ現書記次長(ノルウェー)とケマル・ウズカン現書記次長(トルコ)から話を聞いた。ブラジルのヴァルター・サンチェス現書記長は9月に退任する。
  • また、フィリピン、ベラルーシ、ミャンマーにおける民主主義への攻撃についても触れられた。ミャンマー製造労働者連盟会長による報告が行われ、執行委員会はミャンマーに関する決議を全会一致で採択した。

 

2021年4月23日:オンラインのインダストリオール執行委員会に数百人の労働組合員が集まり、戦略や解決策、連帯をめぐり討議した。今日の会合は、完全にバーチャルで開催される9月の第3回インダストリオール世界大会前の最後の執行委員会である。
                                                      

イェルク・ホフマン・インダストリオール会長(ドイツの組合IGメタルの会長を兼任)が開会の挨拶に立ち、COVIDは健康危機であるのみならず人権危機でもあると述べた。

「すべての人が公平にワクチンを接種できるようにする必要がある。全員が安全になるまで、誰も安全ではない。この危機はすべての人にとって終わるまで終わらない」とイェルク・ホフマンは述べた。

パンデミックが原因でインダストリオール大会は2021年9月に1年延期され、オンライン行事の準備が進行中である。技術プラットフォームによって代議員が直接参加し、投票したり交流したりできるようにする。オブザーバーは別のプラットフォームで大会をフォローし、やりとりすることができる。女性参画40%に関する勧告など、執行委員会は大会へのいくつかの勧告に対して投票を行った。

インダストリオールの2021〜2025年アクション・プランに関する勧告が全員一致で承認された。このプランには、政治決議と4つの戦略目標(労働者の権利促進、より強力な組合の構築、グローバル資本への対抗、持続可能な産業政策の促進)が含まれている。

執行委員会は、2人の書記長候補者、アトレ・ホイエ現書記次長(ノルウェー)とケマル・ウズカン現書記次長(トルコ)から話を聞いた。ブラジルのヴァルター・サンチェス現書記長は9月に退任する。

ヴァルター・サンチェス書記長が、2020年11月に開かれた前回の執行委員会以降の活動について報告した。

 

COVID-19パンデミックのせいで、世界中の労働者が従来とは異なる通信・交流・活動方法を見つけざるを得なくなっており、デジタルソリューションへの依存度が高まっている。インダストリオールは加盟組織のデジタル能力強化に積極的に取り組んでおり、技術的装置や信頼できるインターネット、デジタル会議プラットフォームを提供している。

書記局報告で強調されているように、組合は逆境に直面してもなお勝つことができる。パキスタンでは、在宅労働者が何とか社会的保護給付を獲得し、インドでは、1257人の労働者が8カ月に及ぶ国際組合キャンペーンを経て復職を果たした。スペインの組合はレプソルで雇用保護に成功、カナダのセメント労働者は公正を求めて闘い、勝利を収めた。コロンビアの組合Sintracarbonは使用者と合意し、歴史的なストライキを終えた。英国では、組合協約によってロールスロイスで雇用を守った。

強力な組合の構築は依然、インダストリオールの活動の中核を成している。執行委員会は、ナイジェリア化学・非金属製品上級社員組合(CANMPSSAN)の再加盟と、アルゼンチンの Coordinación Nacional de Trabajadores/as de Industria de la CTA Autónomaの加盟を承認した。

インダストリオール女性委員会は執行委員会への報告の中で、ジェンダーに基づく暴力との継続的な闘いとILO第190号条約の促進について報告した。部門、地域、国家および職場レベルで訓練を行う。

今年はフィリピン、ベラルーシ、ミャンマーで民主主義に対する攻撃が激化している。インダストリオールは、それら各国ならびにハイチと香港で民主主義を求めて闘う加盟組織を支援し続けている。

フィリピンの反テロ法は、社会運動と労働組合員を攻撃するために利用されている。3月にダンディー・ミゲルPamantik-KMU副会長が殺害された。

ベラルーシでは、昨年8月の不正な大統領選挙以降、3万5000人が逮捕されている。労働組合員300人が起訴され、独立組合の事務所が捜索され破壊された。

ミャンマーでは2月に国軍が権力を握ってから、700人以上が殺害されている。

「軍政の下では、未来も権利も自由も繁栄もない。民主主義を取り戻し、国内外で軍事政権を孤立させるために皆さんの支援が必要だ」とカイン・ザー・ミャンマー製造労働者連盟会長は述べた。

執行委員会はミャンマーに関する決議を全会一致で採択、企業に軍との商業関係を断つこと、すべての加盟組織に政府に圧力をかけて経済制裁を発動させること、各国政府に新しいミャンマー国家統一政府を承認することを求めた。

「1年以上にわたって、COVID-19パンデミックで世界が混乱し、世界中の労働者が重大な影響を受けている。インダストリオールは引き続き、労働者の権利を擁護し、侵害と闘い、すべての人が公平にワクチンを接種できるよう要求していく」とヴァルター・サンチェス書記長は述べた。

                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                        

 

 

マレーシア政府に非常事態宣言解除と労働法改革を要請

2021-04-15

【JCM記事要約】

  • マレーシア・国民同盟政権はCOVID-19に乗じてさまざまな活動制限令を導入しており、現在国内労働者の94%が制限的な労働法が原因で団結権・団体交渉権を与えられていない。
  • 労働法改革連合(LLRC)は、反労働者的な条項を、労働法から削除するよう要求し、議会を再招集して2019年に公表された省庁案を可決するよう要請した。
  • しかしながら、人的資源省から積極的な反応がなかったため、LLRCは労働法改革に関するキャンペーンを開始し、全国輸送機器・関連産業労組(NUTEAIW)等の指導者が参加した。インダストリオールは、LLRCによるキャンペーンを全面的に支持している。

 

2021年4月15日:マレーシアの組合は非常事態宣言の解除に向けてキャンペーンを展開しており、政府に対し、COVID-19パンデミック下で労働者の権利を保護するために労働法改革を求めている。
                                                      

2018年の連邦政権交代以降、希望連盟政権は労働法改革に着手した。議会で労使関係法が成立したあと、2020年2月に同政権は崩壊した。

わずかに半数を超える新しい国民同盟政権は、COVID-19に乗じて、さまざまな活動制限令や議席制限を導入した。2021年1月、政府は緊急事態を宣言して議会を停止した。

マレーシアの労働者の94%は、制限的な労働法が原因で団結権・団体交渉権を与えられていない。

労働法改革連合(LLRC)議長でインダストリオール・マレーシア書記を務めるN・ゴパール・クリシュナムは言う。

「自分で選んだ組合の設立・加入に関する労働者の自由、団体交渉権およびスト権を厳しく制限している反労働者的な条項を、労働法から削除するよう要求している」

「議会の停止により、労働組合法の修正と新しい労使関係法の実施が遅れている。私たちは政府に対し、議会を再招集し、2019年に公表された省庁案をすべて可決するよう要請している」

LLRCは、労働法改革を続行し、労働者がパンデミック下で使用者との交渉の場を確保できるようにするために、新政権に関与している。人的資源省から積極的な反応がなかったため、LLRCは公にキャンペーンを展開することを決定した。

インダストリオール加盟組織の全国輸送機器・関連産業労組(NUTEAIW)、電機産業労組(EIWU)、電子産業従業員組合連合(EIEU連合)ならびに紙・紙製品製造従業員組合(PPPMEU)の指導者は4月7日から、LLRCが組織した労働法改革に関する行動週間に参加した。

アニー・アドビエント・インダストリオール東南アジア地域事務所所長は言う。

「ILO基準に沿ったマレーシアの労働法改革を求めるキャンペーンを全面的に支持する。結社の自由は、あらゆる国内労働法の基本原則だ」

 

 

マグナ・シーティング・セルビア、交渉のテーブルに復帰

2021-04-15

【JCM記事要約】

  • カナダの自動車部品メーカー・マグナのセルビア工場にて、1年前、組合支部長が解雇されたため、オーストリアの加盟組織PRO-GEとマグナ欧州従業員代表委員会が介入したものの、会社は復職を拒否した。
  • これを受けて、インダストリオールなども含めたチームが交渉を推進し、信頼関係の破壊を理由に復職は叶わなかったものの、妥協案として解雇手当を保証することなどが含まれた協定を締結した。この協定により、同社は労働法とILO中核的条約に定める労働者の基本的権利の尊重へのコミットメントを再確認したこととなる。
  • インダストリオールは、一貫したチーム活動の成果を称え、このような協約を結んだことのない同社にとっては画期的な出来事だと評価した。

 

2021年4月15日:長期の紛争を経て、世界有数の自動車部品メーカーが、セルビアのインダストリオール加盟組織Industrijski Sindikat Srbije(ISS)との交渉の場に戻った。
                                                      

紛争が始まったのは1年前、セルビア・オジャツィのマグナ・シーティング工場で会社側が組合支部長のダリボル・アンタナシエビッチを解雇したときである。アンタナシエビッチは工場の組織化と支部組合の設立に尽力していた。

マグナはカナダに本社を置く多国籍企業で、数ある製品の中で特に自動車産業に座席を供給している。オーストリアの加盟組織PRO-GEとマグナ欧州従業員代表委員会は、セルビアの紛争を解決するために、マグナ・シーティング・ヨーロッパ経営陣に介入した。

同社がアンタナシエビッチの復職を拒否したため、欧州従業員代表委員会、PRO-GE、インダストリオール・グローバルユニオンおよびインダストリオール・ヨーロッパから成るチームは、ISSとともに交渉を推進しようとした。同社は、使用者と従業員との信頼関係が取り返しのつかないほど壊れてしまったと感じており、アンタナシエビッチの復職を拒否した。妥協案として、ISSは彼を組合オルグとして雇用することに同意し、彼の適正な解雇手当、組合つぶしの中止、会社との交渉の立て直し、公正な労働協約の締結にキャンペーンの軸足を移した。

2021年3月18日に合意に達し、協約が締結された。この協約には、アンタナシエビッチの解雇手当、マグナ・シーティング・オジャツィとISSの協力合意、組合との団体交渉に戻るという約束が盛り込まれている。同労組はオフィススペース、機器、管理支援、組合費チェックオフなどのインフラを取り戻す。2019年12月に中断した団体交渉が再開する。

両当事者は互いに対する訴訟手続きをすべて取り下げることに合意し、マグナはセルビアの労働法とILO中核的条約に定める労働者の基本的権利の尊重へのコミットメントを再確認した。この協約には、インダストリオール・グローバルユニオンとインダストリオール・ヨーロッパ、PRO-GE、従業員代表委員会が連署した。

アンタナシエビッチは国際労働運動に支援を感謝し、「組合は労働者の権利を求めて真摯に闘っている唯一の団体だ」と述べた。

ゲオルク・ロイテルト・インダストリオール部門担当部長は述べた。

「これは厳しい出発点から始まった複雑な交渉だった。1年に及ぶ一貫したチーム活動によって成果を達成した。マグナはこのような協約を結んだことがないので、これは画期的な出来事だと私たちは考えている。同志ダリボルの復職がかなわなかったのは残念だが、私たちは会社と交渉しており、これは将来への希望を与えてくれる」

「私たちは現地経営陣が協約を尊重すると信じており、状況を綿密に監視していく」

リュック・トライアングル・インダストリオール・ヨーロッパ書記長は、この妥協を温かく歓迎した。

「この協約を達成できたのは、ひとえに欧州・世界レベルの労働運動にしっかり統合された強力な工場レベル組合のおかげだ。この協約は、強い組合が交渉力を回復・維持できることを証明している。マグナ・シーティング・ヨーロッパが社会的対話プロセスに戻ったことに満足している」

マグナ欧州従業員代表委員会のトーマス・ストイメイアー副委員長は次のように述べた。

「労働者と労働組合の権利の尊重は、私たち欧州従業員代表委員会にとって特に重要であり、マグナ全体に適用されなければならない。この理由から、セルビア工場における労働組合、従業員および経営陣の協力に関する合意の形成に、常に重点を置いてきた。ついに、それが達成された。今こそ合意の内容を実施する時だ」