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第142号インダストリオール・ウェブサイトニュース(2022年3月8日)

ミャンマーのクーデターから1年

2022-02-01

【JCM記事要約】

  • ミャンマー軍がクーデターを起こし民主政府が倒されてから、2022年2月1日で1年が経過した。ミャンマーでは今もなお民主化闘争が続いており、労働者の権利を保護するため、インダストリオールは労働組合と協力して闘っている。
  • インダストリオールはミャンマーの労働運動を支援しグローバル企業にミャンマーでの事業停止を要求するよう手紙を送付したところ、多くの企業が事業縮小や撤退を行った。また本日、インダストリオール・ヨーロッパ労働組合との連名で欧州委員会へ手紙を送り、EUの武器以外すべての特恵貿易協定の終了を要求した。

 

2022年2月1日:2021年2月1日、軍事クーデターによってミャンマーの民主政府が倒された。クーデターから1年が経っても、民主化闘争が続いている。
                                                      

1年前の今日、軍主導の政党が民主的選挙で敗北を喫したあと、ミャンマー軍がクーデターを起こした。インダストリオール・グローバルユニオンは、その日のうちにクーデターを非難し、民主主義を取り戻せるまで労働者の権利を保護するために、直ちにミャンマーの加盟組合と協力し始めた。

クーデターに対する抵抗は強かった。数十万人の公務員が軍事政権下で働くことを拒否し、労働者はストを行い、市民的不服従運動が始まり、少数民族が結集し、亡命政府が発足した。

ミャンマーの組合とインダストリオールは実業界に対し、クーデター下で労働者の権利確保を求めた。しかし、これは不可能であることがすぐに明らかになった。現地の工場主はクーデターに乗じて組織労働者を解雇し、警察に組合員の詳細を伝えたのである。

組合指導者のカイン・ザー・アウンは言う。

「民主的労働組合は現在、工場レベルで活動することができない」

彼女は現状を「現代の奴隷制」と呼び、所属組合の会長が最近暗殺の脅迫を受けたと説明する。労働者は日雇い労働者として強制的に超過労働をさせられ、賃金を支払われていないことが多い。このような状況では効果的なデューデリジェンスを確保できない、と彼女は考えている。

この状況を受けて、ミャンマーの労働運動はインダストリオールの支援により、ミャンマーに対する包括的経済制裁と、グローバル企業による同国での事業中止を要求した。インダストリオールは各社に手紙を書き、この要求を表明した。結果として、多くの企業が事業を縮小し、トタル、シェブロン、ブリヂストン、C&Aなど数社がミャンマーから完全に撤退した。

民主的に選ばれた政府は亡命政権を作り、主にタイを拠点としている。国民統一政府(NUG)は、国民民主連盟のメンバー、選挙に勝った政党、それに民主的結果を尊重するその他の政党、少数民族を代表しているグループから成る。

NUGは武装組織を結成、軍事政権とゲリラ戦を展開した結果、国軍が民間人に報復し、都市が砲撃されている。約1500人が殺害され、反乱を起こした村に対する20回の空襲で推定3万2000人が避難し、77万6000人が国内難民となった。

画像:ITUC

ミャンマーのほとんどの労働組合は、NUGをミャンマーの合法的な暫定政権と認めている。ITUCとインダストリオールを含む国際労働運動は2021年4月から、全世界でNUGを承認するよう求めている。労働運動は、軍事政権を孤立させるとともに、国連行事(2021年6月のILO(国際労働機関)総会など)でNUGを承認させるための外交努力も先導している。この外交努力は実を結んでおり、フランス議会と欧州議会は2021年10月にNUGを承認した。

労働運動はNUGを承認しているが、その戦術や戦略、優先課題はさまざまである。NUGの国民防衛隊が武装闘争を繰り広げている一方で、労働運動は平和的な市民の不服従に焦点を当て、ストライキやミャンマーに対する包括的経済制裁を求める国際キャンペーンを優先させている。

NUGは制裁要求を公式的に支持しているわけではないが、グローバル企業に対し、軍事政権との協力や税金・料金の支払いを拒否するよう呼びかけている。労働運動はNUGの労働省と毎週会談し、労働者の権利を保護するための取り組みを調整している。

インダストリオールは、軍事政権を外交的・経済的に孤立させる戦略が、ミャンマーに平和的変革をもたらす最も効果的な方法だと考えている。制裁を求めるキャンペーンが強まり、ミャンマーでの活動を続ける企業に対する圧力が高まるだろう。

インダストリオールと姉妹組織インダストリオール・ヨーロッパ労働組合は今日、欧州委員会に手紙を書き、EUの武器以外すべての特恵貿易協定の終了を要求した。

アトレ・ホイエ・インダストリオール書記長は言う。

「グローバルな労働運動と世界中の民主主義支持者は、ミャンマーにおける軍事独裁政権の常態化を決して受け入れない」

「クーデター直後には、多くの企業が、最も責任ある行動はミャンマー国民に持続可能な雇用を提供し続けることだと本気で信じていたかもしれない」

「しかし、独裁政権下ではデューデリジェンスを確保できないことが、ますます明確になっている。これらの企業は、直ちにミャンマーで事業をやめなければならない」

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