広報ニュース

第149号インダストリオール・ウェブサイトニュース(2022年8月22日)

バングラデシュの船舶解撤場で労働者が死亡

2022-06-10

【JCM記事要約】

  • 6月8日、バングラデシュのサガリカ船舶解撤場にて労働者1人が死亡、1人が重傷を負う事故が発生。同現場では適切な安全対策が守られていなかった。バングラデシュでは香港国際条約に基づいて遵守証明書を発行されている安全な現場は少ない上に、発行されている現場でさえも事故が発生しているのが現状である。
  • インダストリオールのウォルトン部門担当部長は、船舶解撤の安全性と持続可能性を確保するためには、香港条約の批准と安全対策の維持に尽力できる組合が必要であり、使用者と政府は事故防止のため緊急に措置を取らなければならない、と主張した。

 

6月8日にバングラデシュ・チッタゴンのサガリカ船舶解撤場で、LNG船のタンク解体中に労働者1人が死亡し、1人が重傷を負った。

2人とも造船所で切断工として働いており、タンクの鋼板を切断していたときに事故が発生した。タンクの一部を切断したあと、労働者たちは外れた鋼板とともに約8メートルの高さから落下した。Sadekul Islam Bulbul(37歳)が死亡し、Mohammed Harun(40歳)が病院に運ばれて治療を受けた。労働者たちは安全ベルトを支給されておらず、適切な安全対策が守られていなかった

A・M・ナジムディン・バングラデシュ金属労働者連盟(BMF)会長は言う。

「シタクンダでの最近の大事故で少なくとも49人が死亡、450人以上が負傷した傷がまだ癒えないうちに、この地区からまた事故の知らせが届いた。今回の事故は船舶解撤場で起こった」

「この地区は死の落し穴になっており、危険な労働条件と、職場安全を維持していない使用者側の犯罪的過失が原因で、移民労働者が命を落としている。私たちは、これらの事故で亡くなったすべての労働者への十分な補償と、負傷した労働者全員の迅速かつ良質な治療を要求している」

インダストリオール・グローバルユニオン加盟組織のBMFとバングラデシュ金属・化学・衣料・縫製労連(BMCGTWF)は、船舶解撤場の危険な労働条件の問題を絶えず提起している。

今年だけで20件を超える事故があり、うち5件で死者が出ている。バングラデシュには約100カ所の船舶解撤場があるが、船舶の安全かつ環境上適正な再生利用のための香港国際条約に基づいて遵守証明書を発行されているのは、PHPシップブレーキング・アンド・リサイクニングの1カ所だけである。だが証明にもかかわらず、PHPの解撤場ではまだ事故が発生しており、効果的な職場安全メカニズムの欠如を示している。

ウォルトン・パントランド・インダストリオール部門担当部長はこう述べた。

「船舶解撤の安全性と持続可能性を確保しなければならない。そのための方法は、香港条約の批准と、安全対策が適切に守られるようにすることができる強力な組合を組み合わせることだ」

「使用者と政府は、さらなる事故を防止するために緊急に処置を取らなければならない。バングラデシュ政府は香港条約を批准しなければならない」

写真:バングラデシュの船舶解撤場

« 前のニュース  次のニュース »