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第154号インダストリオール・ウェブサイトニュース(2023年1月13日)

船舶リサイクル職場で全労働者の安全確保のために緊急行動が必要!

2022-10-20

【JCM記事要約】

  • トルコの船舶リサイクル施設がEUの船舶リサイクル施設リストから削除されたことを受け、インダストリオールとインダストリオール・ヨーロッパ労働組合は世界中の船舶リサイクル施設で労働安全衛生基準を改善する方法を議論している。EUでは労働条件改善・環境基準強化のため、施設リストの他に欧州船舶リサイクル規制を導入しているが、これは香港国際条約の批准促進も目指すものである。
  • インダストリオールの松崎書記次長は、インダストリオールとしてこの産業が高水準の船舶リサイクルならびに質の高い安全な組合雇用を提供するものとなることを期待しているが、そのためには世界的に認められた最低基準と、組合との社会的対話が必要である、と強調した。

 

2022年10月20日:インダストリオール・グローバルユニオンとインダストリオール・ヨーロッパ労働組合は、船舶リサイクル施設における適切な安全衛生対策の導入を確保するために、安全な船舶リサイクルのための効果的な世界レベル・欧州レベルの規制と労働組合の関与を求めている。労働者が無事に帰宅できるかどうか分からないまま出勤するようなことがあってはならない。
                                                      

トルコのシムセクラー船舶リサイクル施設で労働者2人が死亡するという悲劇が起こった結果、この施設がEUの船舶リサイクル施設リストから削除されたことを受けて、インダストリオール・ヨーロッパ労働組合とインダストリオール・グローバルユニオンは、世界中の船舶リサイクル施設で労働安全衛生基準を改善する方法について欧州委員会と議論しており、優れた安全衛生慣行を確保するには強力な労働組合が不可欠だと強調している。

インダストリオール・グローバルユニオンのスペシャル・レポートで強調されているように、船舶リサイクル工程の一部である世界の船舶解撤部門は極めて危険であることで知られ、不安定な労働条件、貧困賃金、訓練不足、安全装置や医療へのアクセスの欠如を特徴としている。残念なことに、この部門では死亡事故が珍しいことではなく、上述したトルコの2件だけでなく、2022年に入ってから大事故が20件以上発生し、6人が死亡したバングラデシュの労働条件も非常に懸念されている。労働組合は、世界中の船舶リサイクル施設における事故防止と労働条件改善のために緊急行動を要求している。

EUは、欧州シップリサイクル規制とEU船舶リサイクル施設リストによって厳しい基準を導入しており、欧州政策当局は、これらの手段を利用して世界中の船舶リサイクル施設で労働条件を改善し、環境基準を強化したがっている。どちらの手段も現在審査中で、インダストリオール・ヨーロッパ労働組合とインダストリオール・グローバルユニオンは、この機会を利用して協議に応じ、欧州委員会と会談して現場の労働者の経験を強調するとともに、結社の自由、強力な労働組合、質の高い社会的対話のすべてが職場における労働者の安全確保に必要だと主張した。労働組合は規制の遵守を徹底的に監視し、組合員の労働慣行を変え、危険な作業に異議を申し立てることができる。

EUシップリサイクル規制の目的は、船舶解撤/リサイクル・プロセスにおいて事故やけが、健康・環境に対するその他の悪影響を防止、軽減および最小化することであり、労働組合はこれを支持している。EUの規制は、インダストリオール・グローバルユニオンが長年にわたって支持している国際海事機構の船舶の安全かつ環境上適正な再生利用のための香港国際条約の批准促進も目指している。

近い将来、船舶リサイクル需要が激増しそうであり、船舶解撤(総トン数)のほぼ90%がインド、パキスタン、バングラデシュで行われているため、世界の現行施設が一定の水準に達するようにするために投資が必要である。そのためには、ソーシャル・パートナーと国家当局が、船舶リサイクル需要の増加に備えるとともに、香港条約とEU規制に定める基準をすべて満たすためのロードマップを策定しなければならない。

松﨑寛インダストリオール・グローバルユニオン書記次長が述べた。

「インダストリオール・グローバルユニオンの優先課題は香港条約の発効だ。来年はそのために重要な年だ。この条約は、安全かつ環境上適正な船舶リサイクルの基本的な国際基準を導入する。EU規制は条約を補完するものであり、再検討の過程で労働者の意見を聞くことが重要だ。私たちが構想しているのは、高水準の船舶リサイクルならびに質の高い安全な組合雇用を提供する繁栄する産業だ。成功の鍵は、世界的に認められた最低基準と、組合との社会的対話だ」

ジュディス・カートン=ダーリング・インダストリオール・ヨーロッパ労働組合書記次長が述べた。

「EU船舶リサイクル施設リストの第10回再検討でトルコの2つの船舶リサイクル施設が削除されたことは、関係パートナー全員にとって失敗だ。緊急にこれらの施設の安全衛生基準を改善し、ヨーロッパ内外でより多くの施設がクリーンかつ安全に船をリサイクルするよう支援する必要がある。サーキュラーエコノミーは船のライフサイクルにおいて重要な役割を果たす。これらの現場で労働者を保護しつつ、この貴重な二次原料をフル活用しなければならない」

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