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第155号インダストリオール・ウェブサイトニュース(2023年2月1日)

マレーシアの組合と市民社会組織、移民労働者の権利保護で協力

2022-11-24

【JCM記事要約】

  • 11月3-5日、インダストリオールは「電子産業の移民労働者」と「組合の組織化戦略と改善メカニズム」をテーマにマレーシアにて会合を開いた。会合ではマレーシアの電子産業における組合の組織化能力の強化や、虐待を可能にしているマレーシアの規制慣行の改革について議論された他、参加者は改善メカニズムについて、市民社会とのギャップを埋めたうえで相互協力に繋げるべきだ、と結論付けた。
  • インダストリオールのアレクサンダーICT電機・電子担当部長は、労働組合は移民労働者の権利を守る上で重要な役割を担っているとし、今後も他の労働組合やNGO、市民社会組織との同盟構築によって加盟組織の支援を継続していく、とした。

 

11月3-5日にマレーシアのペタリンジャヤで、労働組合と移民労働者組織がインダストリオール、イギリスの組合UNISONおよびエレクトロニクス・ウォッチと会合を開き、電子産業の移民労働者・組合の組織化戦略と改善メカニズムについて議論した。

公式データによると、マレーシアでは2019年に198万の移民労働者が雇用されており、その多くがインドネシア(およそ70万人)、ミャンマー(14万人)、フィリピン(5万2000人)の出身だった。

移民労働者は低賃金や劣悪な労働・生活条件のような虐待に苦しんでいることが多い。賃金が少なすぎて生活できず、借金を返済して生き残るために残業している状況で、本国への送金額はリクルーターが約束した金額より少ない。移民労働者は失業や国外追放を恐れて沈黙を保っている。

会合では、バングラデシュ、インドネシア、ネパール、ミャンマー、フィリピン、台湾、マレーシアなど、送り出し国と受け入れ国の労働組合員・活動家25人が、労働者の組織化や、サプライチェーンの不公正に苦しんでいる労働者のための実際的な改善手段の開発を検討した。

会合の第1部では、マレーシアの電子産業における組合の組織化能力の強化や、同国の移民労働者の組織化に特有の課題に焦点を当てた。第2部では、労働者主導の改善原則を考案し、公的バイヤーの支援を受けてそれらの原則を実行できそうな方法を調査した。

より多くの移民労働者を労働組合に組織化し、労働協約の下で保護すべきである。参加者は、使用者に虐待されている労働者との連帯を表明し、彼らの権利を保護するためにステークホルダー間の協力を強化することを約束した。

「労働組合は、移民労働者と公正を得る彼らの権利を守るうえで極めて重要な役割を果たす。マレーシアで移民労働者も含めた労働者を組織化する加盟組織の能力は重要であり、私たちは他の労働組合やNGO、市民社会組織との同盟構築によって今後も彼らを支援していく」とアレクサンダー・イワーノウ・インダストリオールICT電機・電子担当部長が述べた。

参加者はマレーシアの現行改善メカニズムの欠点に検討を加え、虐待を可能にしている規制慣行(特定の使用者に結びつけられた労働許可、包括的な渡航前・到着後訓練の欠如など)の改革を提案した。マレーシアで、虐待があった場合の柔軟な労働許可制度を導入すべきことについても合意した。組合指導者は、結社の自由に対する権利および団体交渉権を認識させるために到着後に移民労働者向けのブリーフィングを行い、産業別組合も参加させるよう政府に要請していることを説明した。

参加者は改善をめぐる議論で、移民労働者組織だけを改善プロセスに関与させるべきではなく、効果的なプロセスによって市民社会とのギャップを埋め、相互協力につなげなければならないという点で意見が一致した。

労働組合は、エレクトロニクス・ウォッチ傘下の公共部門機関に供給しているエレクトロニクス工場で、移民労働者を組織化し代表している。加盟公共機関は、それらの工場から購入しており、公的調達の過程で労働者の基本的権利の尊重を確保しなければならない。したがって、それらの機関が影響力を行使し、違法な労働者搾取や労働組合活動への干渉の根絶を支援することが非常に重要である。

「労働者の権利における公的調達の役割は、あまりにも長い間活用されてこなかった。公的調達機関には全体として十分な購買力があり、多国籍企業に圧力をかけて反組合的慣行をやめさせ、労働権の尊重を奨励することによって、労働協約の数を増やし、すべての労働者の労働条件を改善することができる。そして、エレクトロニクス・ウォッチ・モデルは官民両部門の組合に、部門の垣根を越えて協力し、単独では達成できない大きな成果を上げる重要な機会を提供する」とジェンマ・フリードマンUNISON国際役員は述べた。

                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                       

 

 

 

 

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