広報ニュース

第164号インダストリオール・ウェブサイトニュース

アルセロール・ミッタル労組、会社側に労働者優先を要求

2023-11-30

2023年11月30日:11月16-17日にアルセロール・ミッタル・グローバル・ネットワーク会議が開催され、主要な議題として安全衛生、労働協約の弱体化、投資不足、社会的対話の縮小、不安定で危険な労働条件が取り上げられた。


この会合が開催される直前に、カザフスタンのコステンコ炭鉱で壊滅的な大火災が発生し、46人の労働者が死亡するという恐ろしい事故があった。これは孤立した事故ではなく、アルセロール・ミッタルによる労働安全衛生(OHS)基準の軽視と過小投資という、より範囲の広い傾向を反映している。

組合は、現在これらの死亡事故を調べているカザフスタンの独立調査委員会に参加することの必要性を強調した。

過去10年間に、世界中のアルセロール・ミッタル事業で307人の労働者が命を落としており、最も死亡者数が多いのはカザフスタンとウクライナ、南アフリカである。

同社が労働者の安全衛生よりも財務を優先する場合の多いアプローチを採用していることが強調された。この優先順位は、OHSへの投資や専念の紛れもない欠如と並んで、絶えず労働者を過度のリスクにさらしている。

ウクライナの組合は、アルセロール・ミッタルが労働協約の拡張を拒絶していることに不満を表明し、これは労働協約に対する脅迫の一種だと述べた。

メキシコ、カナダ、ブラジル、チェコ共和国、南アフリカの組合は、同社が社会的対話や組合との協議への意欲を欠いており、それが労使関係に負担をかけていることについて懸念を提起した。ブラジルと南アフリカの組合は、労働者が危険な労働条件と猛暑にさらされていることを強調した。

アルセロール・ミッタルに対し、金銭的目標よりも労働者の安全衛生を優先することを求める声が強い。安全インフラと効果的な社会的対話への相当な投資が緊急に求められている、と組合は述べた。

クリスティン・オリビエ・インダストリオール書記次長は言う。

「このたびの会合で、アルセロール・ミッタルで労働者が直面している厳しい現実と課題が明らかになった。私たちはグローバル・ユニオンとして、即時の大きな変化を求めて団結し、毅然とした態度を取る」

「アルセロール・ミッタルは私たちの要求を真摯に受け止め、安全対策の強化、労働者の福祉への正当な投資、組合との有意義な関わりの要求に積極的に対応しなければならない。同社は、これらの重大な問題を脇に追いやり続けるなら、強力かつ協調的な世界規模の対応に直面する覚悟をしておくべきだ」

「私たちは、すべての労働者の安全と権利が守られるようにするために積極的に行動することをいとわない。今こそ、アルセロール・ミッタルは労働者に本気で関わる姿勢を強め、それを示すべきだ」

インダストリオールは、アルセロール・ミッタル経営陣と会合を開き、安全対策の強化、組合との関与、グローバル安全意識向上キャンペーン案、今後の行動を戦略化して調整するための組合間の継続的対話について議論する予定である。

この会合には、アルゼンチン、ブラジル、ベルギー、フランス、イタリア、スペイン、ポーランド、ウクライナ、カザフスタン、フィジー、カナダ、スリナム、リベリア、ザンビア、南アフリカ、メキシコ、モロッコ、ルクセンブルクといった国々の37組合から80人が参加した。

写真:シャッターストック

 

インダストリオール執行委員会、女性会長を選出

2023-11-30

2023年11月30日:11月28~29日、オンラインで開催されたインダストリオール執行委員会において、ドイツのIGメタルのイェルク・ホフマン氏の退任に伴い、インダストリオール初の女性会長としてスウェーデンの組合IFメタルのマリー・ニルソンを選出した。


「民主主義、平和、気候変動は密接に関連しており、組合は非常に重要な役割を果たしている。組織化は、私たちが自由に使える重要な手段の1つである」。

マリー・ニルソンは、2025年にオーストラリアのシドニーで開催される第4回インダストリオール大会までの会長代行を引き受けるにあたり、上記のとおり述べた。

執行委員会は6月の中間政策会議の声明を採択し、規約改正と新たな行動計画の草案を検討する大会準備委員会の設置を承認した。第4回インダストリオール大会は11月 4 日~9 日、オーストラリアの加盟組織の受け入れで開催される。

重要な動きとして、執行委員会はジェンダーに基づく暴力とハラスメント・女性差別・性差別に関するグローバル方針を採択した。この採択は、ジェンダーに基づく暴力に反対する16日間の活動期間とちょうど重なった。

この方針は、ジェンダーに基づく暴力やハラスメント・女性差別・性差別が、インダストリオールの業務や活動の過程で、あるいはそれに関連し、あるいはそれらに起因して発生する場合に、それを防止し、終わらせるためのインダストリオールのコミットメントを示すものである。

インダストリオールは、GBVH、女性差別、性差別を容認せず、GBVH、女性差別、性差別には弁解の余地がないことを強調する。2024年に開始されるNo Excuse(弁解の余地なし)キャンペーンの旗印の下、インダストリオールはこの方針についての認識を高め、すべての加盟組合に周知する。

キャンペーン戦略の草案について議論し、5大企業をターゲットとした風力エネルギー部門の企業キャンペーンの立ち上げを含め、作業部会がガイドラインと 戦略をさらに発展させることを決定した。

参加者は、パレスチナとイスラエルの紛争に関する決議案について議論した。白熱した議論の末、平和的手段によるイスラエル・パレスチナ紛争の公正かつ永続的な解決を求める決議案が採択された。

2日間にわたるオンライン会議の最後に、イェルク・ホフマンがインダストリオール会長としての7年間を締めくくった。

「執行委員会での皆さんの協力と献身に感謝し、また皆さんにお会いできることを楽しみにしている。」

 

UAW組合員が記録的協約を承認

2023-11-29

2023年11月29日:アメリカの加盟組織UAWは9月、フォード、ゼネラル・モーターズおよびステランティスで賃金・労働条件の改善を求めてスト(スタンドアップ・ストライキ)を開始した。40日以上に及ぶストの結果、同労組は記録的な協約を達成し、このほどUAW組合員に承認された。


ビッグスリー全体で、投票権を持つ組合員の64%が協約に賛成票を投じた。

「長年にわたる削減、数カ月に及ぶスタンドアップ・キャンペーン、数週間のピケを経て、私たちはアメリカの自動車労働者のために流れを変えた」とショーン・フェインUAW会長は言う。「UAWは再び基準を設定する。今度は残りのUAW傘下産業と、生活改善を求めて立ち上がり、闘う態勢を整えた数百万人の非組合労働者に、私たちのストの影響力とファイティングスピリットを広げる」

UAW自動車労働者15万人のための記録的な協約には、大幅な賃上げ、最高賃金率への昇給の迅速化、数千人のEVバッテリー・組立雇用を全国協約の対象に含めるというビッグスリーの同意、すべての現役・退職組合員の退職保障改善が盛り込まれている。

これらの協約はUAW昇給と呼ばれる給付によって、UAW組合員以外の自動車労働者にも利益を与える。UAW協約の発表以降、フォルクスワーゲン、日産、トヨタ、現代、スバル、ホンダをはじめとする労働組合がない自動車会社も後に続き、時間給労働者の賃金を引き上げている。

アトレ・ホイエ・インダストリオール書記長は言う。

「これはUAWにとって重要な勝利であり、同労組の組合員に大きな効果があるが、世界中の組合運動を奮起させる勝利でもある。団結すれば勝てる!」

写真提供:UAW

 

船舶解撤労組、香港条約の発効に備えて計画

2023-11-27

2023年11月27日:南アジアの船舶解撤労組は11月24-25日にネパール・カトマンズで会合を開き、今年終了するFNVモンディアールの支援による3カ年組織化プロジェクトを評価した。船舶解撤産業は香港条約の発効に備えて、非常に大きく変化している。


インド、バングラデシュとパキスタンの組合は、船舶解撤労働者を組織化し、社会的対話のパートナーとしての地位を確立するために尽力している。この活動はインドで最も進んでおり、アラン・ソシヤ船舶再利用一般労組(ASSRGWA)と女性自営労働者連合(SEWA)が、船舶解撤労働者と川下労働者の代表としての地位を確立している。ASSRGWAは、ILOが推進する使用者連盟SRIAとの社会的対話プロセスに関与し、安全衛生に取り組んでいる。

バングラデシュは、SENSRECという国際海事機構(IMO)プロジェクトを通して、香港条約に準拠するように造船所を改良している。インダストリオールはSENSRECの計画段階に関わっており、物理的インフラと同時に社会インフラも改良する必要があると主張している。

パキスタン全国労働組合連盟はバロチスタン州政府と協力して、同国を香港条約に準拠させる法律を起草している。パキスタンは域内の船舶解撤国として唯一、2025年6月発効予定の船舶の安全かつ環境上適正な再生利用のための条約をまだ批准していない。

この産業の安全衛生状況は改善しており、ここ数年、事故件数と死者数が減っている、と会合参加者は報告した。組合の考えによれば、これは香港条約が安全の重要性に対する新たな認識をもたらし、安全訓練が義務づけられているおかげである。しかし、時間を節約するため危険な慣行を要求する現場監督がまだおり、承認されたリサイクル計画に従ってではなく材料に対する市場の需要に従って解体されている船もある。この状況を変革する鍵となるのは、解撤場レベルで組合による安全確保を確立することである。

参加者は、南アジア全域でパンデミック終息以降、解体のために送られる船の数が減っているとの報告を受けた。その原因は、運賃が高く取引高が多いことから、使用すればまだ利益が得られるため、船主が船の保有期間を延ばしていることである。スクラップに対する需要と鉄鋼価格は比較的高いが、船の価格も高い。加えて、域内の一部の国々は米ドルに対する通貨価値が下がっており、船を購入するための資金が不足している。

しかし、船主協会BIMCOは、今後10年間に過去10年間の2倍に相当する約1万5000隻の船を解体する必要があると考えている。現在の不況にもかかわらず、解撤場所有者は好況を見越して多額の投資を行っている。

安全に次いで組合が取り組む予定の主な問題は、不安定雇用と低賃金である。香港条約を受けて、熟練労働者が増加傾向に転じそうであり、訓練要件によって、使用者が自ら投資した労働者を維持する可能性が高まるだろう。組合は、これを利用して条件改善について交渉する。

ウォルトン・パントランド・インダストリオール造船・船舶解撤担当部長が次のように述べた。

「今後18カ月間、香港条約の要件を満たすための移行が急速に進むため、この産業にとって重要な時期になるだろう。この移行が公正なものとなり、条約発効時に組合が労働者を代表して交渉する権利を持つパートナーとして認められるようにしなければならない。船舶リサイクルにおいて、良質なグリーン雇用を創出しなければならない。」

 

労働組合、COP28で公正な移行に関する大胆な行動を要求

2023-11-24

2023年11月24日:世界中の労働組合が、COP28で差し迫った課題に取り組むために重要な期待と要求を明示している。気候危機が拡大しており、組合は、労働者の発言力を高めるだけでなく、労働者の声を地球の未来を形成する決定に不可欠な要素にしようと決意している。


第28回国連気候変動枠組条約締約国会議(COP28)は、11月30日から12月12日までUAEのドバイで開催される。焦点となるのは、パリ協定で概説される目標を達成するために、公正な移行に関する作業計画(JTWP)を実施するという各国政府のコミットメントである。

国際労働組合総連合(ITUC)が主導する労働組合の課題は、公正な移行に関する作業計画(JTWP)の統合・強化の要求である。

「この計画は、これまでのCOPでの議論に基づいている。重点は、気候交渉の中で専用スペースを確保し、公正な移行の労働的側面を主張し、専門家委員会を通して労働組合の積極的な参加を確保することだ。このコミットメントは、労働者の関心事を気候政策の中核に統合しようという断固たる態度を反映している」と松﨑寛インダストリオール書記次長は言う。

組合は、気候政策との関連で労働権・人権を保護するよう主張している。これらの権利を適切に保護・促進しなければ、気候政策の効果が弱まる。これは持続可能で公平な未来を創出し、環境的利益のために労働者の幸福が犠牲にされないようにするという、労働組合のより広いビジョンと一致する。

組合は、気候変動がグローバルサウス諸国に不均衡な影響を与えていることを認識し、適応戦略への社会的保護策の統合を支持している。このアプローチは、グローバルサウスが直面している独特の課題に取り組むことを目指しており、気候行動におけるグローバルな連帯の重要性を強調している。

気候資金をめぐる議論は、新規世界数値目標案についての懸念を中心に行われ、公共財政と「損失と被害」基金の設立に特に重点が置かれた。組合は基金の管理を懸念しており、特に世界銀行の役割と関連融資条件を問題視している。特に南アフリカのような国で、再生可能エネルギー・プロジェクトへの資金配分における透明性と説明責任が明白に要求されている。

COP28の成否は、すべての当事者が関与し、労働組合が交渉で中心的役割を果たす協力的アプローチにかかっている。

ダイアナ・ジュンケラ・キュリエル・インダストリオール公正な移行担当部長は次のように主張する。

「代表が交渉に入る前に国内レベルで決定が下されるので、COPに先立って政府の交渉者に関与することが重要だ。組合員が政府代表団を熟知し、交渉者を探し出し、組合の公正な移行ビジョンと一致する決定を下させることが絶対に必要だ」

組合側のメッセージは明白である――今こそ変革をもたらす大胆な行動を起こすべきときであり、ドバイのCOP28でこれらの要求が満たされなければならない。最新情報はインダストリオールのウェブサイトとソーシャルメディア・プラットフォームで:#Unions4ClimateJustice#UnionsAtCOP28

 

インダストリオール、女性に対する暴力撤廃のために事前予防を要求

2023-11-24

2023年11月24日:11月25日の女性に対する暴力撤廃の国際デーにあたり、インダストリオールは、ジェンダーに基づく暴力とハラスメント(GBVH)に対する事前予防を要求した。


イェルク・ホフマン・インダストリオール会長は2023年6月、労働組合内部の変革の必要性を認めて、家父長制的な権力構造に異議を申し立てる必要があると強調した。

「焦点は、女性を組合に招き入れるだけでなく、女性が政策形成に積極的に貢献する環境も促進することだ」とホフマンは述べた。

近づきつつあるジェンダーに基づく暴力に対する16日間の活動で、労働組合は、仕事の世界のGBVHに対処して防止するために重要な役割を果たさなければならない。ILO第190号条約は、ジェンダーに対応した包括的・統合的なGBVH防止アプローチを採用し、ジェンダー・ステレオタイプや差別、仕事の世界における不平等な力関係といった根本原因に取り組むことの重要性を強調している。

注意義務は主として使用者にあるが、労働組合には果たすべき重要な役割がある。GBVHの防止(GBVH方針とジェンダーに対応したリスク管理の確立を含む)における団体交渉の重要性は、ILO第190号条約と第206号勧告によって強調されている。インダストリオールの研究は各部門で、男女間の不平等な力関係、被害者たたき、職務分離、不安定雇用など、さまざまな危険因子を確認している。

労働文化の変革は、GBVH、性差別および女性蔑視の防止の中核を成す。インダストリオールは、意欲的な措置を講じて労働組合をこのプロセスに積極的に関与させ、性差別的なジョークのような、好ましくない環境を助長する行動を根絶する必要があることを強調している。

集団行動の要求により、組合の男女にGBVH、性差別および女性蔑視に対して団結するよう奨励している。インダストリオールは加盟組織に対し、職場に関与して、GBVHとILO第190号条約に関して組合員(特に男性)を教育するよう促している。

「世界中の人々が11月25日と16日間の活動を記念する中で、インダストリオールは各組合に、GBVH、女性蔑視および性差別に対する行動やキャンペーンを共有するよう勧める。この要求の狙いは、取り組みを強化し、年間を通した防止のために戦略とプログラムの更新版を開発することだ」

「この期間中に全員で努力を強化し、年間を通してGBVH、性差別および女性蔑視を防止するために新たな戦略とプログラムを考案しよう」とクリスティン・オリビエ・インダストリオール書記次長は述べた。

 

OECDで造船部門の労働問題めぐり討議

2023-11-23

2023年11月23日:OECD造船委員会(WP6)は11月21日のパリ本部会合で、造船業の労働問題に関するワークショップを開いた。インダストリオール・グローバルユニオンとインダストリオール・ヨーロッパ労働組合は労働組合の意見を共有し、日本、ノルウェー、韓国、スペインの労働者代表も会合に参加した。


ワークショップでは、造船は不安定な部門であり、劇的な成長段階のあとに深刻な不振に陥っていることが取り上げられた。産業政策はこの循環の緩和に役立つ可能性があるが、組合は、ほとんどの政府と国際機関が適切な政策の策定には至っていないとの考えを示した。

取引高の増加が見込まれ、既存船舶の多くをよりグリーンな船に切り替える必要があるため、造船業は好況期を間近に控えていると広く予想されている。しかし、全世界で熟練労働者が不足している。ワークショップでは、この不足の理由と、それに取り組むために利用できそうな方法について議論した。この産業への技能供給はしばしば不十分であり、使用者は造船業を新規参入者にとって十分魅力的な産業にすることができていない。

会合に先立って、インダストリオール・グローバルユニオンは、最も差し迫った課題について意見を聞くために造船労組の調査を実施した。労働者代表は主な問題として、広範囲な下請契約、不平等な労働条件の移民労働者の利用、それに続く二重構造の労働力の発展などを確認した。使用者は、短期的な解決策として移民と下請業者を利用し、労働力不足に取り組んでいる。しかし多くの場合、十分な訓練を受けた基幹労働者の開発には投資していない。各国が労働者を引き抜き合い、移民をめぐって競争していることについても懸念がある。インダストリオール・ヨーロッパ労働組合はキャンペーンの中で、社会的対話や労働組合の権利、万人の平等な労働条件を考慮に入れた良質な製造業雇用を要求している。

この部門全体で、移民が標準以下の、時には違法な契約で雇用されている例や、韓国のケースでは、組合加入の基幹労働者と入れ替えるために移民が利用されている例が数多くある。しかし、移民労働者が基幹労働者と同じ労働協約で雇用されている例もある。造船会社は、移民労働者を利用するだけでなく、この部門に新たな労働者、特に女性労働者やその他の非伝統的な新規参入者を引きつけることに焦点を当てる必要がある。

イザベル・バルト・インダストリオール・ヨーロッパ労働組合共同書記長代理は次のように述べた。

「世界の造船部門を持続可能でグリーンな船舶への軌道にうまく乗せられるかどうかは、適正な技能を持つ労働者を利用できるか否かにかかっている。したがって使用者は、造船部門に、造船労働者に、そして訓練とリスキリングに、責任を持って投資しなければならない」

「この過程で労働者の意見を聞かなければならない。グリーン化を成功させるには、造船所で十分な対話を行い、すべての変化を一緒に予想しなければならない。私たち抜きに私たちのことを決めるな!」

ウォルトン・パントランド・インダストリオール造船・船舶解撤担当部長は次のように述べた。

「この部門の未来について政府が長期的なシグナルを送る必要があり、使用者は基幹労働者の維持に尽力する必要がある。現在の機会を利用したければ、使用者は労働者の賃金を増やし、より魅力的な機会を提供する必要がある」

写真:オランダ・ロッテルダムのロイヤルIHC工場

 

ウルグアイの金属労組、週労働時間の短縮を獲得

2023-11-23

2023年11月23日:ウルグアイのインダストリオール加盟組織、全国金属・関連労組(UNTMRA)が大勝利を収め、何とか労働時間短縮を獲得した。


UNTMRAは第10回賃金審議会交渉で歴史的な協約を締結した。この政労使団体交渉プロセスは、ウルグアイで、分野や部門ごとに全国賃金その他の労働条件を設定するために利用されている。労働協約には、時短を含めて15項目を超える措置が盛り込まれている。

UNTMRAにとって、労働時間短縮は大勝利である。これは同労組が7月の総会で、賃金審議会交渉に出すことを決定した要求の1つだった。UNTMRAは、9月に他の組合連合団体とともに組織した行進でも時短を要求した。

この協約は、2024年1月1日以降、金属部門の週労働時間を48時間から46時間以下に短縮することを規定している。労働者の賃金を労働時間1時間当たりおよそ8.9%引き上げることも定めている。

これらの労働条件改善から利益を得る労働者には、工場の組立ラインやアルミ窓工場、ボイラー工場、設備保守、金属機械・工具・備品の製造に従事する労働者が含まれる。新協約では、金属労働者の職務記述書も更新される。

 

この協約は、性別や人種、肌の色、性的指向に基づく差別や排除、またはその他の形態の差別なく、平等な機会、待遇および労働条件を提供している。加えて、家庭内暴力の被害者に年間最大10日の有給休暇を与え、精神的な支援のために毎月一定時間分の賃金を支払う。

関連企業は、労働者がキャリアアップを図り、この部門で採用されている新技術に対応できるようにするために、労働者に適切かつ十分な職業訓練を受けさせることについても合意した。

マリーノ・バニ・インダストリオール地域事務所所長は言う。

「ウルグアイの金属労働者を祝福し、加盟組織UNTMRAの指導者を称賛する。これは金属産業にとって大きな躍進であり、我が国の他の部門の手本となる」

「労働者は労働時間短縮を必要としている。時短は求人数を維持し、増やしさえするための手段でもある。ここ数十年間の高水準の工業生産力を考えれば、さらなる時短を求めて闘い続ける必要がある。今回の政労使交渉はウルグアイの労働者階級にとって大勝利であり、我が国の組合と全国協約は域内の他の国々の見本だ。闘いは続く!」

 

ラテンアメリカの労働者、デュー・ディリジェンスの利用による権利擁護に期待

2023-11-17

2023年11月17日:ラテンアメリカ・カリブ海のインダストリオール加盟組織は、11月7日にブラジル・サンパウロで会合を開き、デュー・ディリジェンスを利用してサプライチェーン全体で労働者の権利を擁護する方法について議論した。


ケマル・ウズカン・インダストリオール書記次長が開会の辞を述べ、デュー・ディリジェンスについて発表、労働組合はどうすればデュー・ディリジェンスを利用して企業に労働権を尊重させ、サプライチェーンにおける侵害に責任を負わせることができるか説明した。

「サプライチェーンで侵害が発生した場合は、全員が責任を取らなければならない。すべての企業・政府が責任を分担する新しい法的環境を作る必要がある。デュー・ディリジェンス法のような拘束力のある規制措置によって、説明責任を確保する必要がある」とウズカンは述べた。

続いてOECD労働組合諮問委員会のブレイク・ハーウェルが、OECDは責任ある企業行動のためのデュー・ディリジェンス・ガイダンスを策定していると説明した。この文書は有意義なデュー・ディリジェンスを確保する方法を提示しており、まず侵害の防止・是正を目的に侵害に対する認識を高めている。このガイダンスは団体交渉と労働組合を優先させている、とハーウェルは強調した。

組合は、OECDのナショナル・コンタクト・ポイント(NCP)に苦情を申し立てたり、投資家や株主、検察官に関与して現状を説明したり、勧告を利用して企業によるガイドライン違反を示したりすることもできる、とハーウェルは付け加えた。

グレン・ムプファン・インダストリオール鉱業・労働安全衛生担当部長が、ラテンアメリカで労働組合の力を強化するために、人権デュー・ディリジェンスを理解して利用することの重要性について話した。この地域では大きな進展があり、コロンビア、チリ、ペルーなど数カ国の政府がすでにビジネスと人権に関する国家行動計画を策定しており、アルゼンチン、ホンジュラス、エクアドル、ブラジル、メキシコなども、そのような計画の起草段階にある、と彼は述べた。

IGメタルのアンジェリカ・ヒメネスとIGBCEのハネス・ハウケ・キューンが、ドイツで可決され、今年から適用され始めたデュー・ディリジェンス法について話した。この法律は予防的なアプローチを採用しており、企業が予防メカニズムを改良したり、機能していないプロセスや人権・労働権・環境権を脅かすプロセスを修正したりできるようにする措置を想定している、と彼らは指摘した。

労働組合はデュー・ディリジェンス・システムにおいて不可欠な役割を果たしているので、予防策や是正策について交渉し、職場での実施を支援することを視野に入れて、公認の社会的対話パートナーかつ責任ある団体交渉代表権者としての地位を強化することができている、と2人は強調した。

フリードリヒ・エーベルト財団(FES)代表のワルデリ・メーロが、ブラジルにおけるFESのデュー・ディリジェンス関連活動を取り上げ、FES-ブラジルは人権とビジネスに関する枠組み法の制定に関する法案(PL)572/2022の起草を支援し、貢献したと述べた、この法律は、公共政策の促進と、サプライチェーンにおける多国籍企業、その子会社および官民投資家の説明責任の指針を定めている。また、対話を確立したり、人権を侵害されている人や侵害の危険にさらされている人の利益を擁護したりするうえで、労働組合を合法的な主体として尊重・承認している。

マリーノ・バニ・インダストリオール地域事務所所長が次のように締めくくった。

「デュー・ディリジェンス法に精通し、サプライチェーンに問題があることを知っていれば、企業と話をすることができる。自分たちの権利を知っていれば、力を持ち、それを利用して門戸を開き、対立せずに合意に達することができる」

「企業は利益を増やすために、生産工程をサプライチェーンに分散させる戦略を利用している。労働組合ネットワークを利用して組合の圧力を強め、よりよく職場を組織化し、企業のサプライチェーン全体で労働者の権利を擁護することができる」