ICT電子労組、不確実な時代に打開策を討議
2025-04-17
この部門は、世界の不安定性の増大、技術的混乱、企業合併の増加を特徴とする激動の時代を経験している。インダストリオール・グローバルユニオンが開催したICT電機・電子部門のオンライン運営委員会に30人以上の労働組合代表が出席し、この問題をめぐって議論した。
開会にあたって、神保政史、プリハナニ・ボエナディ両共同部会長とクリスティーナ・オリビエ・インダストリオール書記次長が基調を打ち出した―革新と不平等の岐路に立っている部門の労働者にとって、これまで以上にリスクが高まっている。この会合では、サプライチェーンの変化から労働者の権利、労働安全衛生(労働者のメンタルヘルスを含む)、人工知能の影響に至る火急の主題を取り上げた。
インダストリオール・ヨーロッパ労働組合ICT部門ネットワークのアン=マリー・ショピネ議長が、EUとアメリカの貿易摩擦、規制撤廃、投資の減少など、欧州ICT電機・電子産業の主要な課題を強調。戦略的自主性、アップスキリング、AI規制の強化、労働安全衛生対策の改善の必要性を力説するとともに、労働者保護と産業政策決定における労働組合の極めて重要な役割を再確認した。
討議を通じた主なメッセージは、世界の電子労働者が多方面から圧力をかけられているということだった。企業が記録的利益を上げているにもかかわらず、製造業の中心地の賃金は停滞したままである。アレクサンダー・イワーノウ・インダストリオールICT電機・電子担当部長によると、地政学的緊張と「中国以外ならどこでも」戦略に起因するサプライチェーンの変化を受けて不安定性が高まっており、労働者が保護の低下と組合権尊重の欠如にさらされている。
ILOのキャスパー・エドモンズが、特に部門の製造拠点であるアジアにおけるディーセント・ワーク関連の大きな課題(非標準的な雇用、長時間労働、労働安全衛生問題、権利侵害など)を強調し、グローバル・サプライチェーンで公平性と社会的公正を確保するために、より強力な労働基準と義務的な人権デュー・ディリジェンスが緊急に必要だと力説した。
インダストリオールは、エレクトロニクス製造で女性に最も影響を及ぼしている問題 ― 化学物質の曝露、リプロダクティブ・ヘルス、ジェンダーに基づく暴力 ― に取り組むために、一方の性に特化した労働安全衛生ツールキットを開発している。このツールキットは、特に鉱物とバッテリーの重要なサプライチェーンにおいて、労働安全衛生に関する部門横断的な努力の調和を求める幅広い活動の一環である。
ウォルトン・パントランド・キャンペーン担当部長が、世界中の組合の主な課題としての組織化について話し、勢力図、企業研究、動員戦略をはじめ、サプライチェーンで組合を開発するための手段を示した。
参加者は会合の終わりに、関税の引き上げから気候変動まで世界状況が混乱しているが、産業を基礎から建て直す先例のない機会があることを確認した。
「集団行動を通してのみ、デジタルでグリーンな移行が利益のためだけでなく人々のためにも役立つようにすることができる」とクリスティーナ・オリビエは締めくくった。
写真提供:インドネシア・チカランの電子工場労働者 © ILO/Asrian Mirza
投獄されたベラルーシの組合指導者が労働組合権に関するアーサー・スヴェンソン国際賞を受賞
2025-04-17
投獄中のベラルーシの労働組合指導者アリアクサンドル・ヤラシュク氏が、ベラルーシにおける労働者の権利と民主主義を妥協することなく擁護したとして、2025年の「労働組合の権利に関するアーサー・スヴェンソン国際賞」を受賞した。
ベラルーシ民主労働組合会議(BKDP)会長であり、国際労働組合総連合(ITUC)副会長、国際労働機関(ILO)理事でもあるアリアクサンドル・ヤラシュク氏は、ベラルーシにおける労働者の権利と民主主義を妥協することなく擁護したことが評価された。
賞委員会は、ヤラシュク氏の投獄の不条理さを強調し、ノルウェーの組合Styrkeの会長でスヴェンソン委員会の責任者であるフロデ・アルフヘイム(Frode Alfheim)氏は次のように述べた:
「ILO理事である人物が、労働者の権利のために立ち上がったという理由で投獄されているのは、まったく不合理だ。労働組合主義は犯罪ではない」。
ヤラシュク氏のケースは、ベラルーシが市民社会に対する取り締まりを続ける中、世界中の労働組合員にとって抵抗と希望の象徴となっている。40人以上の労働組合指導者や活動家が投獄され、すべての独立組合が強制解散させられた。ヤラシュク氏に「過激派」のレッテルを貼るなど、ヤラシュク氏を黙らせようとする政権の努力は、表現と結社の自由に対する危険な世界的傾向を反映している。
インダストリオールのアトレ・ホイエ書記長は言う:
「ベラルーシにおける労働組合の権利に対する攻撃は、現代史上最悪のものだ。ヤラシュクは労働組合が掲げるすべてのものの代表であり、彼は最悪の弾圧のもとでそのために闘うことを厭わない」。
アーサー・スヴェンソン賞がベラルーシの労働組合運動に授与されるのは今回が2度目である。2021年にBKDPとその加盟組合が受賞したが、その後、同国の状況はさらに悪化した。
毎年Styrkeが授与し、50万ノルウェークローネ(4万7,000米ドル)の価値があるアーサー・スヴェンソン賞は、2025年6月11日にオスロで授与される。ヤラシュクは、本人の状況に応じて、対面または象徴的に表彰される。
写真クレジット:Salidarnast
命を守って船を解体 ― 船舶リサイクルの人的損失と明るい見通し
2025-04-17
アジアの船舶解撤場の状況はなかなか進展しない。危険な状況、断片化した規制、根深い使用者による統制が長い間、世界の船を解体する産業と(あまりに頻繁に)その作業に取り組んでいる人々を定義してきた。
だが、過去20年間に転換があった。インドと(もっと最近では)バングラデシュの労働者は、国際連帯、持続的な組合組織化、的を絞った労働安全衛生(OHS)訓練を通して、船舶解撤部門を最初から再構築している。
現在、2025年6月26日の船舶の安全かつ環境上適正な再生利用のための香港国際条約(香港条約)発効を控えて、その転換は最大の試練と最大の機会に直面している。
船舶解撤にとって重大な瞬間
2009年に国際海事機構が採択した香港条約は、寿命末期の船の解体方法――安全に、環境を維持しつつ、労働者と環境の両方を保護しながら――の国際基準を設定している。この条約は今年発効し、条約に準拠していない解撤場は操業を禁止される。この措置により、バングラデシュだけで100を超える船舶解撤場が排除されると予想される。
「船舶解撤産業は環境面で不可欠な役割を果たしている」とアトレ・ホイエ・インダストリオール・グローバルユニオン書記長は言う。
「だが、そのために人命を犠牲にしてはならない。香港条約は公正、安全かつ持続可能な基礎に立ってこの産業をリセットする機会であり、組合はそのプロセスに欠かせない」
インドの能力構築
この転換は、世界で最も船舶解撤場が集中するグジャラート州アランで始まった。2000年代初期、この地域の状況は悲惨であり、死亡事故が頻発し、毒物曝露が発生し、正式な訓練も労働者の発言権もまったくなかった。2003年、オランダのFNVメタルとインダストリオールは、その現実を変えるためのプロジェクトを開始した。
2011年までに、最初の労働安全衛生訓練が始まった。この訓練はやがて、さまざまな解撤場で安全知識の波及効果をもたらすための「トレーナー訓練」モデルに発展した。インダストリオール加盟組織SMEFI傘下のアラン・ソシヤ船舶再利用一般労組(ASSRGWA)は主要なパートナーになり、火災予防やPPE利用、危険有害性物質の特定に関するセッションの実施に助力した。
「10年前、アランの組合は合法的な活動主体とみなされていなかった」とウォルトン・パントランド・インダストリオール造船・船舶解撤担当部長は言う。
「今では信頼できる対話者だ。何か問題があれば、組合はそれを上位レベルに上げるだけでなく仲裁する。それは生活を変えるような影響だ」
インドで変化を推進しているもう1つの極めて重要な要因は、政府の施行である。国の規制機関であるグジャラート海事委員会は、解撤場に圧力をかけて香港条約の基準に従わせようと尽力している。インドでは現在、130カ所の船舶解撤場のうち115カ所が香港条約に準拠しており、そのすべてがアランにある。
状況が異なるバングラデシュ
バングラデシュ・チッタゴンの船舶解撤拠点の状況は大いに異なる。ここでは主に民間部門が変革を先導しており、1つの際立った解撤場、PHPが成功事例のモデルとなっている。PHPの所有者は使用者連盟の会長でもあり、香港条約の実施を推進し、政府の圧力が無きに等しい中で安全手順に多額の投資を行った。
「バングラデシュ政府はインドのように先導的な役割を担ってはいない」とアシュトシュ・バッタチャリア・インダストリオール地域事務所所長は言う。
「そして、多くの解撤場所有者は変化に抵抗し、準備ができていないという理由で香港条約実施の延期を働きかけさえしている」
さらに悪いことに、鉄鋼価格の下落、世界貿易の活況、COVID後の不確実性が原因で、この部門は長引く景気低迷に苦しんでいる。解撤場所有者には投資意欲がほとんどない。そして、かつて6万人に上った労働者は今や2万人前後である。香港条約発効後には、その人数は3000〜4000人にまで落ち込む可能性がある。解撤場は6月までに条約を遵守しなければ、解体する船舶の受け入れを許可されず、この産業は深刻な打撃を受けるだろう。
香港条約への準備に向けたバングラデシュの進展が、バングラデシュ政府とノルウェーとの5カ年協力プログラムによって支援されているということを心に留めておくことが重要である。この重要な取り組みがなければ、条約は発効しなかったかもしれず、バングラデシュはほぼ間違いなく準備ができていなかっただろう。
チッタゴンでの訓練――新しい原則の設定
最近の取り組みにより、何が可能かが明らかになった。インダストリオールとFNVは2025年4月、チッタゴンで2回の徹底的な労働安全衛生訓練セッションを実施し、加盟組織のBMFとBMCGTWFから32人が参加した。これらのセッションは4日間にわたって開催され、安全なリフト操作やPPE利用から成人学習方法、訓練設計まで、あらゆる話題を取り上げた。
続いて、5時間のPHP解撤場視察が行われた。
「実に素晴らしかった」とFNV安全専門家のMartijn van de Beurchtは述べた。
「船体から船橋まで、安全手順が実施されていた。この解撤場ではそれが標準だが、他の多くの解撤場ではまだそうではない」
この訓練は、組合主導の安全を拡充する方法について話し合うきっかけにもなった。参加者はプレゼンテーションを行い、他者に知識を伝える方法を説明した。これは「トレーナー訓練」モデルの基礎である。
「これはグローバルな組合連帯のあり方だ」とレナート・フェイエンFNVメタル書記は言う。
「オランダの労働組合員が南アジアの労働者を訓練し、その労働者たちが他の人々を訓練する。権利拡大の生きた連鎖だ」
円卓会議と実際の会話
視察の終わりに、組合、使用者および政府関係者の円卓会議が開かれた。議論の焦点は、職場代表、組合の役割、公正な移行の必要性だった。
1つの大きな成果は、労災補償制度(EIS)、すなわち仕事で障害を負ったり死亡したりした労働者のための社会的保護メカニズムの試行について合意したことだった。使用者側は、さらなる議論とコスト計算に興味を示した。
それでも、重大な構造問題が残っている。1つの全国組合が部門を組織化しているインドとは異なり、バングラデシュの組合状況は分裂しており、組合は解撤場別で雇用水準によって増減する。
「そのため、持続的な強さを構築することはほとんど不可能だ」とバッタチャリアは言う。
さらに悪いことに、使用者が組合に解撤場への立ち入りを認めることはめったになく、既存の組合指導部は自分たちが代表する労働者から切り離されていることが多い。
「バングラデシュでは、組合がまともに受け止められておらず、その一部は社内組合だ」とバッタチャリアは言う。「生産現場から上へのリーダーシップ構築に投資する必要がある」
嵐の到来か、それともチャンスか?
全世界で、船舶解撤産業は潜在的な大波に備えている。長年の景気後退のあと、船会社はいま記録的な数の船を保有しており、その多くの使用年数は典型的な廃棄年数である25年を超えている。
しかし、中国製品に対するトランプ時代の関税と地域の緊張の高まりが不確実性をもたらしている。海運会社は慎重である。だが、ブームが到来すれば(多くの人がそう信じている)、インドは遵守と能力のおかげで、ほとんどの船を受け入れる立場にある。
「あと1万5000隻の船が解体を待っている」とパントランドは説明する。「そして、インドは法的、技術的、制度的に準備ができている。バングラデシュは置いていかれる恐れがある」
一方、パキスタンでは、政府が香港条約を批准したが、現時点で準拠している解撤場は1つもない。これは大幅に改良されるまで船舶解撤産業が実質的に操業を停止せざるを得ないことを意味し、先行きは依然として不透明である。
共通のビジョンの下に結集
香港条約の発効を記念するために、ASSRGWAは6月にアランで組合集会を開き、続いて使用者および政府代表との三者会議を開催する計画を立てている。そのメッセージは明白である――船舶解撤が成功を収めるには、当事者全員が共同して取り組まなければならない。
「安全で強力な組合が必要だ」とアトレ・ホイエは言う。
「この産業が本当に持続可能になれるにはそれしかない」
国境を越えたメンターシップの計画も進行中で、経験豊かなインドの労働組合員であるビジャーダール・ラネーASSRGWA書記長が、バングラデシュを訪れて労働者の力の構築を援助する。この地域連帯はインダストリオールのアプローチの基礎であり、地域能力と世界基準を結びつける。
公正な移行に労働者を含めなければならない
船舶解撤は量においてのみならず質においても変化している。単純な肉体労働は、半熟練の技術職、すなわちガス切断工やクレーン運転士、安全管理者、法令等遵守責任者に取って代わられている。だが、労働者がその未来の形成から排除されれば、この産業はある形態の搾取を別の形態の搾取と交換することになる。
「公正な移行は単なるスローガンではない」とフェイエンは言う。
「それは訓練や組合代表、社会的保護への真の投資を意味する。さもないと、この産業は最悪のミスを繰り返すことになる」
20年前、組合は解撤場への立ち入りを許可されていなかった。現在、組合は命を救っている。
より安全な船舶解撤を求める闘いは、決して終わってはいない。だが、訓練を行うたびに、政策が成果を上げるたびに、労働者が危険な作業に「ノー」と言う権利を与えられるたびに、船舶解撤産業はしかるべき未来に近づいていく。
「目標は遵守だけではない」とパントランドは言う。
「目標は労働者の尊厳、安全および真の発言権だ。それこそ私たちが船舶ごと、解撤場ごとに構築しているものだ」
【その他の写真は下記をクリック】
Bangladesh Chittagong – Shipbreaking April 2025 | Flickr
【原文記事URL】
Lives saved, ships broken: the human cost and promise, of ship recycling | IndustriALL
公正な移行と労働者の権利保護の鍵は組合の組織率
2025-04-23
2025年4月20日、公正な移行に関するアジア太平洋地域会議がクアラルンプールで開催され、地域全体から60人以上の労働運動家が集まり、脱炭素化、エネルギー転換、デジタル・テクノロジーの変革がもたらす課題への共同の取り組みについて議論した。
参加者は、雇用と所得の喪失、社会対話プロセスからの組合の排除、不安定雇用労働者の組織化の難しさなど、いくつかの懸念を明らかにした。これらの問題に取り組み、真に公正な移行を確保するためには、組織率を高め、組合の力を強化することが不可欠であるとの強いコンセンサスが得られた。
特にエネルギー・鉱業部門では、組合の強いプレゼンスがなければ、使用者や政府は政策協議から労働組合を締め出すことが多い。移行政策によって最も直接的な影響を受けるのはこれらの部門の労働者であるにもかかわらず、多くの場合、労働組合の代わりにいわゆる専門家が招かれている。
「組合の組織率が最も重要である。政府や 使用者に無視されることのない、公正な移行を求める強い声を上げるには、労働者と組合の団結が不可欠だ」。
とインダストリオール書記次長の松崎寛は言う。
「例えば、バッテリーのサプライチェーンの要であるニッケル鉱山のいくつかでは、まだ十分に組合が代表できていない。私たちは、交渉のテーブルにつく場所を確保するためにニッケル部門と再生可能エネルギー部門全体で労働者を組織化しなければならない」と述べた。
参加者は、労働組合が正式な政策枠組みの内外で積極的な役割を果たす必要性を強調した。オーストラリアのネット・ゼロ・エコノミー機関、シンガポールの企業訓練委員会、フィリピンの鉱業三者協議会などがその例で、いずれも制度的メカニズムを通じた組合参加の道を提供している。
インドネシアでは、ある組合が組合員に対する効果的な草の根教育を実施した結果、鉱山会社との労働協約に「公正な移行」の文言を盛り込むことに成功した。パキスタンとバングラデシュでは、組合指導者が工業化 に関連する排出の構造的原因に取り組む必要性を強調 し、グローバル・サウス(南半球)の組合を動員して不十分 な政策解決策に異議を唱え、人々の意識を高めるよう呼び かけた。
参加者はまた、排出量を削減し、温暖化を摂氏1.5度に抑えるというパリ協定の下での世界的な約束にもかかわらず、中国、インド、インドネシアで石炭生産が増加し、2024年には合計90億トンを超えることを指摘し、世界的な気候変動対策における矛盾を強調した。
人工知能と自動化をめぐる懸念も提起された。フィリピンの労働組合は、労働協約に「省力化装置」条項を盛り込み、新技術の導入時に労働者が失業しないようにすることを提案した。
公正な移行は、組合と進歩的な 同盟の連帯を築き、労働運動を活性化させるために活用されなければならない、と彼らは主張した。
インドのあるインダストリオール加盟組合は、労働者の再教育と生産性向上のために 企業との交渉に成功し、雇用を維持しながら労働時間の短縮を確保した。他のインドの加盟組織は、過去の産業革命との類似性を引き 出し、今日の課題には統一的かつ戦略的な組合の対応が必要だと強調した。
会議は行動への呼びかけで締めくくられ、労働者主導の「公正な移行」を 形成するための主要戦略が強調された:
- 労働者中心の持続可能な産業政策を提唱する。
- 公正な移行枠組みを策定・実施する。
- 政策・意思決定への組合の参加を確保する。
- 地域的・南-北・南-南の労働組合協力を強化する
- 支援的な政策・投資枠組みを推進する
- 貿易協定に労働権を盛り込む
- 再生可能エネルギー部門で戦略的組織化キャンペーンを開始する
- 公正な移行計画にジェンダーと青年を主流化する
いまなお、あまりにも多くの人々が危険な労働を拒否する権利を否定されている
2025-04-28
報復を恐れずに危険な労働を拒否する権利は、ILO 第 155 号条約に謳われている。しかし、鉱業や船舶解撤など、世界で最も危険な産業の一部では、この権利はまだ現実にはほど遠い。今年4月28日の「労働における安全と健康のための世界デー」に際して、インダストリオールは、労働者の安全と健康を使用者の手に委ねてはならないことを再確認する。労働者は、合同安全衛生委員会を通じて安全を確保し、危険な労働を拒否する権利を行使できるようにしなければならない。
インダストリオールの安全衛生グループは、重要な原材料や船舶解撤のように、 利益のために安全が犠牲にされることがあまりにも多い部門に焦点を当ててい る。これらの産業では、 労働者は毎日命を危険にさらしているが、安全について発言することは生計を 失うことになりかねない。
船舶解撤はしばしば世界で最も危険な仕事と呼ばれる。リスクは極めて高く、訓練が不足しているため、労働者は有毒物質にさらされ、鋼板の落下や死亡事故があまりにも頻繁に起きている。インダストリオールとその加盟組合による長期にわたるキャンペーンを経て、「船舶の安全かつ環境的に健全なリサイクルのための香港条約」が批准され、今年6月に発効する。
同条約の発効により、安全性の向上が期待される。しかし、深刻なギャップが残っている。インドは条約を国内法に移行するための国内法を提案している。同条約は労働者を保護することを意図しているにもかかわらず、危険な労働を拒否する権利に関する言及は法案に含まれていない。
「正しく実施されれば、香港条約は船舶解撤をより 安全な産業に変える力を持つ。しかし、私たちは、船舶解撤を行う国々の当局が使用者の権力に対抗する政治的意志と能力があるか懸念を持っている。組合は重要なパートナーとして認識される必要がある。条約はトップダウンのアプローチである。現場レベルで安全を確保するために、ボトムアップの労働者主導のアプローチと結合させる必要がある」
と、インダストリオールのウォルトン・パントランド造船解撤部門担当部長は言う。
鉱業、特にグリーン転換の原動力となる重要な原料鉱物の採掘でも同じことが当てはまる。コバルト、リチウム、ニッケルなどの需要は急増しているが事故や落盤事故、粉塵や化学物質への慢性的 な曝露も報告されている。公正な移行には、危険な労働を拒否する労働者の権利が含まれる。強力な保護がなければ、その人的損失は壊滅的なものになる危険がある。
インダストリオールの鉱山・労働安全衛生担当部長のグレン・ムプファネは言う:
「危険な労働を拒否する権利は特権ではなく、ILOが認め、国際法に裏付けされた中核的な権利である。インダストリオールとして、私たちはリスク評価と労働安全衛生に対する権利に基づく人間中心のアプローチに焦点を当て、より良い明日のために闘い続ける。」
4月28日は国際労働者追悼日としても知られている。私たちは死者を偲び、生者のために闘い、より安全な職場を求めて闘うことを決意する。今年はまた、新たな脅威に立ち向かうことを意味する。インダストリオールは、デジタル化と人工知能(AI)の時代における労働者の生活と権利を守るための緊急行動を求めるITUCの呼びかけを支持している。
人工知能(AI)の職場への導入が進む中、AIは必ずしも労働者を支援するためではなく、労働者を監視・管理し、搾取するためにさえ使用されている。AIはデータによって作動するかもしれないが、その影響は人間的なものであり、既存の権力不均衡を深める危険性がある。AIの時代に労働者の権利を守ることは、透明性と説明責任を確保し、効率の名の下に安全と尊厳が犠牲にならないようにすることである。
- 職場AIの設計・導入に組合が全面的に関与すること。
- 権利と安全を守る透明で人間中心のテクノロジー
- デジタル経済におけるすべての労働者を保護するための、拘束力のあるプラットフォーム労働に関するILO条約
「人工知能は遠い未来の話ではなく、すでに現在を形成している。問題は、人工知能が自分たちの未来をどのように形成するかについて、労働者が発言権を持つかどうかである。
と、インダストリオール・グローバルユニオンの松﨑寛書記次長は言う。
【原文記事URL】
The right to refuse unsafe work is still denied to too many | IndustriALL
インドネシアの労働組合がOSH警報センターを開設
2025-04-30
国際労働者追悼日(4月28日)に合わせ、インダストリオール・インドネシア協議会はジャカルタで初の労働安全衛生(OSH)警報センターを開設した。
この警報センターは、疾病を患ったインドネシアの製造業労働者の職業性疾病に関する交流プラットフォームとして機能する。このセンターは、産業医や労働弁護士、OSH問題に取り組むNGOの支援を受けている。
インダストリオール・インドネシアの加盟組織は、各組織の労働安全衛生部門を活性化してアラーム・センターと連携し、2025 年に少なくとも 3 件の事例を政府に報告す ることを目指している。
インドネシアで職業性疾病が報告された件数は依然として著しく少なく、 2023 年にはわずか 91 件にとどまった(マレーシアは 8,155 件、シンガポールは 1,229 件)。しかし、組合員はOSH会議の中で、腰痛、肺疾患、腎不全、がんなどについて何度も懸念を表明している。
今後、警報センターは三者協議を開催し、特に職業性疾病に関 して、より良いOSH実践を後押しする。インダストリオール・インドネシア協議会も毎月会合を開き、警報センターの円滑な調整を図る。
インダストリオール・インドネシア協議会のイワン・クスマワン議長は次のように述べた:
「職業性疾病の監督を強化し、職場で疾病に罹患した労働者の権利を擁護することは労働組合の義務である。警報センターの通報ホットラインは、インドネシア協議会がこの問題に非常に真剣に取り組んでいることを示している。職業性疾病が発見された場合には、オープンで透明性のある手続きに従わなければならず、企業や社会保障機関によって迅速な救済措置が提供されなければならない。」
インダストリオール東南アジア地域事務所長のラモン・セルテザ氏は次のように述べた:
「警報センター開設にお祝い申し上げます。インドネシアの製造業における安全衛生基準の後方に向けた画期的な一歩である。これは、労働者の健康・福祉の向上に労働組合が不可欠な役割を果たしていることを示している」
開設式には約70人の組合員が出席し、労働省(ムハンマド・イドハム)、保健省(インネ・ヌトフィリアナ博士)、インドネシア社会保障審議会、全国労働衛生ワーキングチームの代表も加わって、このイニシアティブを支援した。
この活動はユニオン・トゥ・ユニオン(U2U)とスウェーデンのインダストリオール加盟組合の支援を受けている。
【原文記事URL】
Indonesian unions launch OSH alarm centre | IndustriALL
インドの組合、不安定労働との闘い強化を呼びかける
2025-05-05
先週4月28日、インダストリオールのインド協議会で、加盟組合は、増え続ける不安定雇用、間近に迫った反労働者労働法の施行、エネルギー転換に関する全国レベルの議論からの組合の排除など、同国の労働組合運動が直面する課題について議論した。
議論の中心は不安定雇用だった。さまざまな製造業部門の組合指導者が、不安定雇用労働者の権利を保護し、労働条件と賃金の改善を保証するために組織化を急ぐ必要性について懸念を表明した。
不安定雇用労働者にとって、労働安全衛生も依然として大きな課題である。組合幹部によると、新しい労働法はインドの工場における職場の安全性の状況をさらに悪化させるだろう。インドの中央労働組合と部門別連合の合同プラットフォームは、新労働法施行の中止を要求し、5月20日に全国規模のストライキを実施するよう呼びかけた。
インダストリオールのケマル・ウズカン書記次長はオンラインで参加し、次のように述べた:
「我々は世界中で労働者の権利に対する前例のない攻撃を目の当たりにしており、この困難な時代に我々は団結し、善戦を続けなければならない。インダストリオールは、不安定雇用と闘うインドの加盟組合を全面的に支援し、連帯する」。
ケマル・ウズカンは、「組織化で公正な未来を」というスローガンの下、オーストラリアのシドニーで開催されるインダストリオール大会について参加者に伝えた。
南アジア地域事務所長のアシュトシュ・バタチャリヤは、南アジア地域におけるインダストリオールの重要な成果と現在進行中の取り組みを共有した。彼は、この地域における「公正な移行」活動の必要性と重要性を強調した。前日に行われた加盟組合との半日の「公正な移行」セッションではこの活動について幅広く取り上げた。
このセッションで組合幹部は、製造業を取り巻く環境の移行が進む中、労働者が今日直面しているさまざまな課題に焦点を当てた。熱ストレス、気候変動による移住、現場での高度なロボット工学の導入など、気候変動や技術の進歩によって労働の世界がどのような影響を受けているかについて詳細な議論が行われた。労働組合員は、同国の「公正な移行」に向けた要求を詳述した書簡をインド政府に共同で提出し、前進することで合意した。
「私たちは、インドの加盟組合が全国的な道筋を作り、全国の不安定労働者の組織化を強力に進展させ、労働者のための団結した力強い声を構築し、変革的なアジェンダを前進させ、移行においていかなる労働者も取り残されないという約束を堅持していることを称賛する」と述べた。
とアシュトシュ・バタチャリヤは述べた。
会議に出席した青年と女性の代表も、自分たちの要求を会議に提出した。青年組合幹部が提唱している要求の1つに、若年労働者向けの再教育・スキルアップ訓練プログラムがある。
4月27日に開催されたインドの女性委員会は、男女間賃金格差、 技術革新が女性労働者に与える影響、月経・出産・閉経に関連する労働安全 衛生問題など、取り組むべき3つの優先分野を特定した。
【原文記事URL】
Indian unions call for increased fight against precarious work | IndustriALL
労働者の権利を前進させる鍵は統一闘争にある
2025-05-09
バングラデシュの労働者は、貧困賃金や安全でない環境から組合の権利に対する攻撃に至るまで、山積する課題に直面している。インダストリオール指導部は先週の訪問で労働者との連帯を再確認し、団結して生活賃金、安全な職場、団結権を求めて闘うよう組合に呼びかけた。労働改革と国際基準が議論される中、労働者主導による正義の推進がこれまで以上に急務となっている。
メーデーに、インダストリオールはダッカの通りを数千人の労働者と肩を組んで行進し、労働者運動の闘争と勝利を祝った。国際労働デーを記念して、加盟組合はインダストリオールの指導部を温かく歓迎した。アトレ・ホイエ書記長は、大勢の労働者を前に次のように述べた:
「私たちはバングラデシュの労働者と全面的に連帯し、安全・安心な職場とすべての労働者の生活賃金を求める闘いを前進させることを誓う。私たちは団結の自由と団体交渉の権利をすべての人に保障し、維持するために団結して闘わなければならない。全世界のインダストリオール加盟組合は、バングラデシュにおける労働者の権利を前進させるための闘いに、皆さんとともにいる。」
訪問中、インダストリオールの指導部は加盟組合と会談し、ILOロードマップの実施と暫定政府が設置した労働改革委員会の報告書について詳しく話し合った。アトレ・ホイエ書記長とケマ ル・ウズカン書記次長は同委員会の委員長と会談し、報告書の主な問題点について議論し、可能な解決策を探った。
組合幹部が提起した主な懸念事項のひとつは、国内の衣料品労働者の最低賃金があまりにも低いことで、暫定政府が約束したにもかかわらず、いまだに見直されていない。貧困賃金によって労働者は時間外労働を余儀なくされ、職場の健康と安全に影響を及ぼしている。指導者たちはまた、輸出加工区では労働者の結社の自由の権利が依然として攻撃下にあり、労働組合の登録は面倒な事務処理と官僚的なプロセスに妨げられていることを共有した。労働組合活動への参加に対する懲罰の一形態として、使用者は労働者のブラックリスト登録を行い、労働者の組合加入を抑止している。
「加盟組合が団結して活動しなければ、この先の課題には立ち向かえない。分裂は弱点とみなされ、政府や使用者に利用され、保護を必要とする何百万人もの労働者のためにならない。私たちは加盟組合に対し、それぞれの違いを整理し、優先事項や目標を共有することで団結するよう求める」
とケマル・ウズカンは述べた。
今回の訪問で指導部は政府代表にも会い、労働改革委員会の勧告、ILOロードマップの実施、今年6月に発効する予定の安全で持続可能な船舶解撤に関する香港条約の実施に向けたバングラデシュの準備についても話し合った。加盟組合によると、バングラデシュは2025年末までにILO条約155号と187号を批准する可能性が高いという。
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United struggle key to advancing workers’ rights | IndustriALL
労働組合に加入する5つの理由
2025-05-09
労働組合への加入が今ほど重要な時はない。オックスファムによると、世界人口の1%の富裕層が世界の富の45.6%を所有する一方で、最貧困層の50%はわずか0.75%しか所有していない。労働組合は労働者のために闘い、労働者がより公平な利益配分を得られるようにし、それが健全な経済と安定した社会をもたらす。では、労働組合は何を提供するのか?
- より良い賃金と給付
労働組合の組合員である労働者は、非組合員である労働者よりも多くの賃金を得ていることが証明されている。労働組合は、より良い給与、年金、休日、健康保険、傷病手当、時間外労働などを求めて、集団的な力を使って交渉する。労働組合は経営陣と交渉し、従業員にとって可能な限り最良の取引を実現する。
- 個人の保護
労働組合はあなたの背中を押してくれる。あなたの権利を教えてくれるだけでなく、あなたの権利を守ってくれる。使用者があなたを不当に扱った場合、あなたは労働組合の支援と専門家による代理活動を頼ることができる。労働組合の代表は、職場に不満があるときや経営陣の態度が悪いときに頼れる信頼できる人物である。また、自動化・ロボット化によって職場が変容する中、労働組合は、労働者が新しい仕事の世界に移行するための訓練、生涯学習、社会的保護を要求している。
- 平等
労働組合は平等な権利と同一賃金を擁護している。労働組合は人種、性別、性的指向、障害に対する差別と闘っている。労働組合は職場における尊敬と尊厳を育成する。労働組合は、妊産婦の権利、柔軟な働き方、出産手当を促進し、介護責任を分担する。現在、世界最大の労働組合のいくつかは女性が主導しており、組合は女性や若者が組合組織で指導的役割を担うことを積極的に奨励している。労働組合の代表として、あなたは職場をより良くすることができる。
- 安全衛生
組合がある職場はより安全である。それは労働組合が、生産目標達成や会社の経費節減のために労働者の命を危険にさらすことを許さないからだ。リスクを評価する道徳的権限を持つのは、リスクに直面している人々だけである。そして、声を上げる唯一の方法は組合を持つことだ。労働組合の後ろ盾があれば、職を失うことなく危険な仕事にノーと自信を持って言える。労働組合は、より安全な労働条件を求めてたゆまぬキャンペーンを展開しており、職場の安全衛生における進歩の大半は労働組合の努力によるものである。
- 連帯
労働組合は世界に広がる素晴らしいネットワークを持っている。140カ国に600を超える加盟組合を数えるインダストリオールのようなグローバル労働組合は、数百万人の組合員数を利用して、超大企業の注意を引くことができる。 グローバルユニオンは、工場や事業所レベルで無視されている深刻な問題を多国籍企業の経営トップに提起することができる。多くの場合、経営幹部は現地で起きている問題に気づいておらず、グローバル・ユニオンは現地での問題解決に貢献できる。組合に加入すれば、グローバル・ファミリーに加わることになる。
組合は、労働者とその地域社会にとって経済的・社会的に公正かつ公平な、よりクリーンで持続可能な未来への公正な移行を求めて闘っている。
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5 reasons to join a union | IndustriALL