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第192号インダストリオール・ウェブサイトニュース

人権デュー・ディリジェンスはグローバルサウスの重要原材料に不可欠

2025-06-02

再生可能エネルギーシステムへの世界的な移行に伴い、特にグローバルサウスの資源豊かな地域からのリチウムやコバルト、ニッケル、銅のような重要原材料に対する需要が高まっている。5月22日のウェビナーで強調されたように、この需要急増は採掘作業における確固たる人権デュー・ディリジェンス(HRDD)の差し迫った必要性を強調している。


このウェビナーは「重要原材料とHRDD:グローバルサウスの機会」と銘打って開かれ、ラテンアメリカ、東南アジア、サハラ以南アフリカのインダストリオール・グローバルユニオン地域事務所と加盟組合から40人が参加し、インダストリオール・ヨーロッパ労働組合と南アフリカの西ケープ大学からも講演者が出席した。

ウェビナーでは、世界的なエネルギー移行と、鉱物資源の豊富な地域(特にサハラ以南アフリカ)への社会経済影響との相互作用を調べた。議論の中で、人権侵害と環境悪化を軽減するために、責任ある鉱業保証のためのイニシアチブ(IRMA)のような枠組みに代表される責任ある鉱業慣行の必要性が強調された。リサイクルも、新しい採鉱への依存度を下げる部分的な解決策として取り上げられたが、その拡張性は依然として限定的である。

コンゴ民主共和国の人権派弁護士セオドア・カムウィムビが、同国の鉱業部門を厳しく評価し、人権および労働者の権利の侵害と環境悪化に立ち向かうために、責任ある鉱業慣行が緊急に必要とされていると力説した。

進歩的な鉱業法と労働法があるにもかかわらず、実施は大幅に遅れている。カムウィムビは、危険な労働条件や差別、健康リスク、労働組合活動に対する制約、強制労働・児童労働、環境違反、セクシャルハラスメントなど、侵害が広く見られるという証拠を提示。企業の隠蔽と政府による不十分な執行が、これらの問題を悪化させていることを示す報告を引用した。ジンバブエの労働組合は、リチウム採掘部門で国家が中国の多国籍企業と共謀し、結社の自由と組合組織化努力を妨害していると報告した。

インダストリオール・ヨーロッパ労働組合のソフィー・グレネイドが、コンゴ民主共和国、南アフリカ、中国のような国々からの重要原材料への依存をめぐって欧州連合が講じている対策について概説した。EUのグリーンディール産業計画と重要原材料法は、持続可能性を促進しつつサプライチェーンを確保することを目指している。企業持続可能性報告指令や企業持続可能性デュー・ディリジェンス指令といった主要な規制は、2026年から企業にサプライチェーンリスクの報告・対処を義務づけている。しかしグレネイドは、一部の使用者がこれらの規制は競争力を低下させると主張して抵抗しており、その長期的な実施を不透明にしていると警告した。

グレン・ムプファン・インダストリオール鉱業担当部長が、「企業の情報公開の監視とリスクマッピングの実施」によってHRDDを促進するうえでの労働組合の役割を強調。多くのアフリカ諸国に全国行動計画がないことを指摘し、組合に計画の採択・執行を支持するよう促した。

ケマル・ウズカン・インダストリオール書記次長が、「公正貿易と責任ある投資、現地の鉱物選鉱を確保する」ために、グローバルサウスで企業に責任を負わせるために不可欠な拘束力のある国際・国内規制の必要性を強調した。

重要鉱物資源に関する組合戦略をめぐる議論は、インダストリオール・サハラ以南地域事務所が人権デュー・ディリジェンスとアフリカの工業化に関してそれぞれ9月、11月に開催する会議で継続する。

【原文記事URL】
https://www.industriall-union.org/human-rights-due-diligence-an-imperative-for-critical-raw-materials-in-the-global-south

 

ILO、三者協議でリサイクルのディーセント・ワーク基準を設定

2025-06-04

ILOは、長年にわたる労働組合の主張と、5月5日~9日、ジュネーブで行われた集中的な交渉の末、リサイクルにおけるディーセント・ワーク推進のための政策ガイドラインを発表した。政府、使用者、労働組合の代表によって採択されたこの文書は、2025年11月に開催される第355回ILO理事会に提出される予定である。


この成果は、インダストリオール・グローバルユニオンが代表を務める船舶解撤、電子機器、ICT、繊維、化学、プラスチックなどの部門で廃棄物リサイクルに重要な役割を果たしている世界中の数百万人の労働者にとって画期的な出来事である。これらの部門を代表する労働組合は交渉に積極的に参加し、正規・非正規経済双方の労働者の利益を擁護している。

新ガイドラインは、リサイクルを不可欠な経済・環境活動であり、循環型経済の礎石であると規定している。しかし、この部門が自動的に公正で安全なものになるわけではないことも強調している。そのため、この文書では、すべてのリサイクル活動において生産的な雇用、労働者の権利、社会的保護、社会対話を確保するために、政府、使用者、労働組合に対して明確な勧告を行なっている。

最も重要なハイライトのいくつかは以下の通りである:

  • 特に、不安定でインフォーマルな条件で働く数百万人の人々のために、リサイクル労働を正規化すること。
  • 船舶解撤や電子・化学廃棄物の取り扱いといったリスクの高い部門に特に注意を払いながら、労働安全衛生を強化すること。
  • 特にリサイクル工程におけるデジタル化と技術シフトに対応できるよう労働者に技能開発と生涯学習を提供すること。
  • 公正で持続可能なリサイクル・システムの中心的な柱として、結社の自由や団体交渉を含む労働基本権を尊重すること。
  • 労働条件を改善し、社会から疎外された労働者の代表を拡大するための代替手段としての協同組合と社会的・連帯経済の重要な役割

インダストリオールの松﨑寛書記次長は次のように述べた:

「これらのガイドラインは、リサイクルをディーセント・ワークの推進力に変える強力なツールである。私たちの目標は明確だ。労働者がこのガイドラインを利用してより多くの組合員を組織し、循環型経済への移行において誰一人取り残されることのない安全な労働環境を確保することだ」。

ガイドラインには法的拘束力はないが、法律、公共政策、部門別戦略、あらゆるレベルの社会的対話の枠組みを設計する上で不可欠な参考資料となる。このガイドラインは、社会正義を循環型経済の中心に据えるための大きな一歩である。

インダストリオールは、これらの勧告が各国で具体的な行動に移され、労働組合の積極的な参加を得て実施されるよう取り組んでいく。

写真 © Alioune Ndiaye / ILO

【原文記事URL】
ILO sets decent work standards for recycling through tripartite deal | IndustriALL

 

マレーシアにおける未組織労働者の組織化

2025-06-05

2024年9月15日に改正労働組合法が施行されたことを受け、マレーシアのインダストリオール加盟組織は2025年6月5日、全国でより強力で効果的な組合を構築するために協力と連帯を強化する画期的な覚書(MOA)に署名した。


2023 年、マレーシア議会は労働組合法の改正案を可決し、特定産業内の組織化に関する 制限を撤廃した。この改正により、マレーシアの労働組合は、それに応じて規約を改正すれば、組織化の範囲を広げることができる。2つのインダストリオール加盟組織がすでに必要な改正を行っており、さらに多くの加盟組織がこれに続く見込みである。

インダストリオール・マレーシア協議会は、他国で起きているような組合間競争を防止す るために、インダストリオールの3つの黄金律を盛り込んだ覚書を提案した:

  • 未組織労働者を組織化する
  • 強力な民主的機構と、自らの組合費で賄う自立した組合を構築する。
  • 加盟組織間および加盟組織間で競争しない。

数回の討議と若干の修正を経て、加盟組織リーダーは6月1日にペナンで開かれたインダストリオール・マレーシア加盟組織統一会議で覚書に署名した。この覚書では、加盟組織に対し、組合の構築に関する問題で互いに協調し、調停を通じて 紛争を解決することも求めている。共同連帯行動や資源の共有が奨励されている。

インダストリオール・マレーシア評議会事務局長のゴパル・キシュナム・ナデサン氏は次のように述べた:

「ようやくマレーシアの全加盟組織がこの覚書に署名することに合意したことを嬉しく思う。マレーシアの労働者の94%は未組織であり、この分野は非常に広大である。したがって、すでに組織化された工場で互いに競争すべきではない。我々は未組織工場に焦点を当て、マレーシアの組織率を高めるために努力を集中しよう。」

インダストリオール東南アジア地域事所長のラモン・セルテザは次のように述べた:

「労働組合法の改正は、マレーシアにおける労働組合運動のあり方に大きな影響を与えるだろう。労働組合がさまざまな部門でより多くの労働者を組織化し、労働者を組合の仲間に引き入れることができるようになるのは良い機会だ。しかし、私たちは非常に慎重なアプローチを取るべきであり、署名された覚書は良いスタートである。インダストリオール・マレーシア協議会の先見的な動きと覚書の締結を祝福する」。

統一会議の間、インダストリオール・マレーシア加盟組織はペナン繊維衣服労組(PTGWU)と電子産業従業員組合北部地域(EIEUNR)の事務所も訪問し、マレーシア加盟組織間の理解を深めた。

【原文記事URL】
Organize the unorganized in Malaysia | IndustriALL

 

第4回インダストリオール大会で男女平等を戦略的に推進する

2025-06-05

インダストリオール女性委員会は 5 月 26-27 日にオンラインで会合を開き、11 月にシドニーで開催されるインダストリオール女性大会・大会の準備を開始した。これは進捗状況を評価し、制度的課題を評価する機会となった。


クリスティン・オリビエ・インダストリ オール書記次長は冒頭の発言で、来る大会の準備と過去 4 年間の進展評価における女性委員会の役割を強調した。同委員会は、女性の権利の向上、平等の促進、グローバルな連帯の促進に取り組んできたが、指導層における女性比率の低さ、ジェンダーに基づく差別、AIや新型コロナ感染拡大による女性への悪影響など、特定の問題は依然として残っている。参加型ジェンダー監査の実施など、加盟組織を支援し、女性の参加を増やすための努力がなされてきた。

「大会準備において課題はあるものの、私たちは前進に全力を尽くしている。私たちは、あるべきところに到達していないが、以前いたところにいるわけでもない。これからも、平等、正義、変革のために前進し続けるだろう」

とクリスティン・オリビエは語った。

インダストリオールの参加型ジェンダー監査(PGA)の結果と、規約と行動計画の両方におけるジェンダー主流化について議論が行われた。PGAは財務監査とは対照的な社会監査であり、組織環境におけるジェンダー問題に取り組むためのギャップや優れた実践を特定するための効果的なツールである。インダストリオールのジェンダー監査は、ILOのモデルに基づき、130以上の文書、スタッフ・指導者・加盟組織との何十回ものインタビューやワークショップから、インダストリオールの方針、行動、組織全体にジェンダーへの配慮がどれだけ浸透しているかを評価した。

PGAは、インダストリオールがジェンダー平等と女性のエンパワーメントを推進するための明確なビジョンを持っていることを強調した。インダストリオールは、ジェンダーに基づく暴力やハラスメント(GBVH) に関するキャンペーンやメンター・プログラムなど、重要なイニシアティブを実施していることが評価された。しかし、いくつかのギャップも確認された。

成功例と改善が必要な分野の両面から、いくつかの提言がなされた。これらは、今後 4 年間のインダストリオール活動のアクションプラン策定の基礎となる。すべてのジェンダーのニーズに確実に対応するため、より体系的かつ日常的にジェンダーの視点をすべての活動に組み込むことに強い焦点が当てられる。

ジェンダー主流化には二重のアプローチが必要である。具体的で的を絞った行動と、ジェンダーへの配慮をすべての政策・活動に統合することである。インダストリオールは的を絞った努力によって前進を遂げたが、すべてのジェンダーのニーズに確実に対応するために、すべての活動にジェンダーの視点を日常的に組み込むべきである。

「私たちは女性の能力開発を強化し、インダストリオールのすべてのプログラム、キャンペーン、活動、予算に関する計画、実施、監視において、すべての労働者の優先事項、ニーズ、貢献が考慮されるようにする必要がある。」

とインダストリオール・ジェンダー担当部長のアルメル・セビーは述べた。

クリスティン・オリビエとアルメル・セビーは、インダストリオールの規約と今後のアクションプランにジェンダーの視点をより深く組み込むための提案を発表した。昨年のイスタンブールでの執行委員会会議以来、女性や他の組合指導者を交えた交渉の結果、妥協案が提示された。話し合いを主導したクリスティン・オリビエと女性委員会共同議長のイルヴァナ・スマイロヴィッチは、インダストリオールとその加盟組織における女性代表の増加、そして産業における男女平等の進展に向けたこの取り組みにおいて、男性組合指導者が女性と協力することの重要性を強調した。

「私たちの主目的は、大会で団結を示し、インダストリオール指導部内だけでなく、組合の全国・地域機構内でも女性代表の面で前進することだ。今だけでなく、永続的なコミットメントとして連帯と団結を示す必要がある」。

11月にシドニーで開催される大会の前には、2019年以来初となる女性大会が開催される。会議は9月のオンラインセッションとシドニーでの直接セッションの2部構成で行われる。会議では、インダストリオールのジェンダー平等活動の4年間のロードマップが策定される。主なトピックは、女性の仕事の将来、人工知能の影響、女性の権利とジェンダー平等に対する攻撃への対応などである。

グローバル枠組み協定に関するインダストリオールの取り組みにおけるジェンダーの主流化に関する議論では、グローバル・サプライチェーン全体で訓練、保護、平等を確保するための多国籍企業の責任が強調された。インダストリオールのジェンダー平等タスクフォースは書記局とともに、GFAガイドラインとその実施にジェンダーの視点を組み込むようにする勧告を提案した。

労働安全衛生(OHS)におけるジェンダーの主流化に関するセッションで、カレン・メッシング博士は、生物学的差異とジェンダー差異の両方を考慮することの重要性を強調した。彼女は、女性は小さな男性ではなく、たとえ小さな生物学的差異であっても予防には重要であると強調した。化学物質や放射線被曝が男女双方の生殖機能にどのような影響を及ぼすかについては、限られた研究しか存在しない。ジェンダーに基づく職業分離は、垂直的、水平的の両面で、異なるOHSニーズを生み出す。同じ仕事であっても、男女で異なる作業を行うことが多い。メッシング氏は、職場の設計や設備が一般的に男性向けに設計されているため、女性の身体的・生物学的健康のニーズを見落としていることが多いことを示した。また、女性はリスクを報告することをためらい、自分が弱いと見られることを恐れることもある。

ジェーン・ピリンジャー博士は、交差的アプローチを採用し、リスク管理における多様性、ジェンダー、そして包摂について考察した。彼女は、ハラスメント、燃え尽き症候群、差別など、女性や社会から疎外されたグループが直面する心理社会的リスクについて説明し、包摂的でジェンダーや多様性に対応したリスク管理とOSH戦略の必要性を強調した。また、予防と心理社会的リスクに焦点を当てたILO 第190号条約の画期的な成果を強調した。交差性は、なぜある集団がより高い心理社会的リスクにさらされるのかを明らかにするのに役立つ。また、交差性に取り組むには、より微妙なニュアンスを持つ政策や慣行、 さらなる研究が必要である。

「ジェンダー主流化が単なるトークショーではなく、現実的で保護的な対策につながるようにしなければならない。」

と、ジェーン・ピリンジャーは語った。

モーリシャスやインドネシアを含む国々からの参加者の考察は、ILO第190号条約や心理社会的ハザードがどのように国内法に組み込まれているか、あるいは組み込まれていないか、また、世界的な知識の共有がどのように提言活動を促進しているかを浮き彫りにした。

会議の終わりに、女性委員会は、データ、政策、そして実際に経験したことを行動に移すという共通の目的を確認した。

「私たちは進歩のために活動しており、共に前向きな一歩を踏み出していることを示すべきである。私たちの究極の目標は、女性に力を与えることだ」

とイルヴァナ・スマイロヴィッチは語った。

【原文記事URL】
Strategic push for gender equality at IndustriALL’s 4th Congress | IndustriALL

 

正義への歴史的一歩: ILO、ミャンマーに関する第33条決議を採択

2025-06-10

先週ジュネーブで開催されたILO総会は、ミャンマー軍事政権に対しILO憲章第33条を発動するという歴史的な一歩を踏み出した。このきわめて稀な動きは、労働者の権利と人権に対する重大かつ絶え間ない侵害について、同政権の責任を追及するものである。


ILOが、基本的権利の最も深刻な侵害のために用意された、最も強力な強制手段を使用したのは史上3度目であり、ミャンマーの状況の深刻さを浮き彫りにしている。

2021年2月1日に政権を暴力的に掌握して以来、ミャンマー政府は労働組合員、活動家、市民社会に対する残忍な弾圧を開始した。労働者は投獄され、潜伏を余儀なくされ、最も基本的な自由を剥奪されている。

政権はILOの2023年調査委員会の勧告を一貫して履行していない。調査委員会は、組合指導者に対する暴力と拷問の即時停止、拘束されているすべての労働組合員の無条件釈放、刑事告発の取り下げ、軍による強制労働と児童労働の廃止を求めた。

6月5日の決議採択は、ミャンマー国民の正義に向けた重要な一歩だが、闘いはまだ終わっていない。

「第33条の採択は、ミャンマーの軍事政権に強力なメッセージを送っている。世界は、労働者の権利と人権に対する組織的かつ執拗な侵害を前にして、黙ってはいない。」

「今こそ、この決議が現実の結果をもたらすべきである。私たちはすべての政府と使用者に対し、軍事政権との関係を断ち切り、ミャンマーの合法的な民主化勢力を支援し、より良い未来のために危険を冒して組織化しようとする労働者の側に立つよう求める」

とインダストリオール書記長のアトレ・ホイエは言う。

「私たちは第33条の採択に向け、命がけで弾圧反対を訴え、懸命に闘ってきた。この決議は、世界が私たちの声を聞き、私たちとともに立ち上がることを示すものだ。しかし、今必要なのは言葉以上のものだ。軍事政権による権力を断ち切り、労働者を支援するための実際の行動が必要なのだ」。

とインダストリオール加盟組織IWFMのカーン・ザー会長は言う。

第33条は、旧軍政下のミャンマーでは強制労働をめぐって2000年に、ベラルーシでは独立労働組合への弾圧をめぐって2023年に、それぞれ発動されたことがある。

写真クレジット:CTUM

【原文記事URL】
Historic step towards justice: ILO adopts Article 33 resolution on Myanmar | IndustriALL

 

人権デュー・ディリジェンス法を労働組合のために機能させよう

2025-06-10

東南アジア全域の労働組合活動家が、労働者の権利保護における人権デュー・ディリジェンス(HRDD)法制の役割の重要性を認識し、そのプロセスに積極的に参加し、法律を組合のために機能させることを決意した。


権利保持者である労働者は職場の実態を知っており、リスクを特定し、対処し、予防する上で最も有利な立場にある。

企業におけるデュー・ディリジェンス方針の立案・実施に労働者を参加させなければならない。

労働組合は情報収集を行い、すべての違反行為を企業の内部告発ルートに提出し、マルチステークホルダー・イニシアティブに参加し、投資家にブリーフィングを行い、権利保持者を関与させ、政府高官を啓蒙すべきである。

インダストリオールのゲオルグ・ロイタート航空宇宙・自動車部門部長は次のように述べた:

「労働者の権利は企業のリスク分析に不可欠な要素であり、そうでなければならない。しかし、企業は必ずしも我々と同じ論理に従っているわけではない。私たちにとって、結社の自由と団体交渉は、ディーセント・ワーク、適正な賃金、機会均等、児童労働や強制労働の禁止など、あらゆるものの基礎となる。だからこそ、労働組合は企業と協力し、ESGにおける 「社会 」の定義づけを支援しなければならない。」

ロイタートは、6 月 5 日に開催された人権デュー・ディリジェンス(HEDD) に関するインダストリオール東南アジア地域オンライン・セミナーで、 このように発言した。オーストラリア、カンボジア、インドネシア、日本、韓国、マレーシア、ミャンマー、フィリピン、タイから55人の労働組合活動家が参加した。

このセミナーでは、HRDD法はまだ新しく十分に検証されていないことが強調された。労働組合はHRDD法を戦略的に利用して、パワーバランスを変化させ、労働者に有利な前例を作らなければならない。労働組合は自分たちの力がどこにあるのかを理解し、国際的なコミュニケーションを続けなければならない。

インダストリオール・キャンペーン担当部長のウォルトン・パントランドは、サプライチェーンをマッピングし、企業調査を利用して点と点を結びつけ、圧力をかけるポイントや利用すべき最適な国際的手段を特定することの重要性を強調した。その手段には、グローバル金融機関や投資家グループが含まれる。

参加者は、インドネシアのニッケル鉱山における安全衛生問題、タイの自動車産業、韓国の組合員によるミャンマーの民主化回復キャンペーンなど、さまざまなHRDDツールの使用経験を共有した。

インダストリオールのラモン・セルテザ東南アジア地域事務所長は次のように述べた:

「HRDDは、企業にとって新たな点検作業になってはならない。その変革は私たちから始まる。労働組合として、HRDDの複雑な仕組みを理解し、変化をもたらすためにどのように活用するかを理解しなければならない。」

インダストリオールのケマル・ウズカン書記次長は次のように述べた:

「いかなるデュー・ディリジェンス・アプローチも、結社の自由や団体交渉権、安全衛生を守るための労働者や労働組合の全面的な関与なしには、信頼できるものとは言えない。団体協約、グローバル枠組み協定、その他の交渉文書は、労働組合が労働者の権利と利益を促進するという主な目的を達成するための重要な手段である。」

写真 マティアス・ワインバーガー、Flickr

【原文記事URL】
Making human rights due diligence legislation work for unions | IndustriALL

 

ケベックのアルセロール・ミッタル労働者、強力な5年協約を獲得

2025-06-12

北ケベックのアルセロール・ミッタル事業で2500人の従業員を代表している5つの支部組合は先月、組織労働者にとって大きな勝利を達成し、新しい5カ年労働協約を承認した。この協約は鉱山、選鉱場、鉄道、港、ペレット工場および事務所の労働者を対象とし、地域の最近の歴史で最も充実した労働協約の1つとなっており、賃金や年金、労働条件、給付の大きな向上を確保している。


新協約の下で、労働者の賃金は職務分類に応じて5年間で26〜30%上昇する。中間層の労働者の場合、時給が2025年3月付で46ドルから51ドルまで上がり、2029年3月までに59.14ドルに達する。最高給取りの労働者は時給が2025年に53.78ドルから59.60ドルに増え、契約期間の終わりまでに68.09ドルに上がる。この増加は、賃金低下を大幅に修正し、アルセロール・ミッタルの事業を支える熟練労働者を強力に承認するものである。

この協約は夜間勤務の報酬も改善している。夜勤割増賃金は現在1時間当たり1.50ドルだが、2025年に2.00ドル、2029年までにはさらに2.50ドルまで上がる。この増額は時間外労働に伴う課題や犠牲を認めている。

年金も大幅に向上する。退職金の計算に用いられる乗数は、すべての在職期間区分で勤務年数1年につき10ドル上がる。勤務年数15年未満の労働者は、年金が勤務年数1年当たり月69.50ドルから79.50ドルに増加。勤務年数15〜30年の労働者は71ドルから81ドルに、30年を超える労働者は72ドルから82ドルに増加する。その結果、多くの労働者は2029年までに退職年金が1カ月当たり300ドル増える。

労働衛生に対する認識の大きな進展は、鉄鉱石選鉱・粉砕現場で労働者の年次ボーナスが新たに導入されたことである。これらの労働者は結晶シリカにさらされており、防護マスクを着けなければならず、2025年から1000ドルの危険手当を受領する予定で、この手当は2028年までに年間4000ドルに増加する。

この協約は、北ケベックの生活費が高く、孤立していることも認めている。フェルモン在住の労働者の北部手当は、月1200ドルから1300ドルに増える。団体保険制度のいくつかの改善、変動休暇の追加、法定休日の増加と連動して、協約は所得保障とワーク・ライフ・バランスの両方を強化している。

アルセロール・ミッタルの協約コスト総額は5年間で4億1400万ドルと推定される。組合指導者は、これらの増加が実現したのは、すべての現場における労働者の固い連帯と現地指導部の結束のおかげだと強調した。

「この協約は、労働者が強さと連帯によって何を獲得できるかを示している。これは賃金だけでなく、すべての労働者の尊重と安全、より良い未来の問題だ」とパトリック・コレア・インダストリオール素材金属担当部長は述べた。

写真:シャッターストック

【原文記事URL】
https://www.industriall-union.org/arcelormittal-workers-in-quebec-win-strong-five-year-deal

 

第4回インダストリオール大会への機運高まる

2025-06-12

世界的な緊張が高まり、労働者の権利が脅かされ続ける中、インダストリオール執行委員会はジュネーブで会合を開き、連帯を強化し、今後の道筋を描いた。主要議題は、今年11月にシドニーで開催される第4回インダストリオール大会の準備であった。


会議の冒頭、インダストリオールのマリー・ニルソン会長は、団結と回復力、そしてグローバルな連帯への新たなコミットメントを呼びかけた。

「私たちは変革のために立ち上がるのであって、分裂のために立ち上がるのではない。私たちの仕事は人々を団結させ、適正な賃金と安全な労働条件を求めて闘うことだ。すべての職場で組織化すれば、私たちは尊厳を取り戻し、真の変化をもたらすことができる。」

アトレ・ホイエ書記長は、多くの地域で言論や結社の自由、法の支配が尊重されなくなっていると警告した。また、変動する米国の関税の影響を挙げ、経済の不確実性があらゆる場所の労働者に影響を与えることを強調した。

「貿易は労働者と社会に貢献するものでなければならず、発展途上国の雇用を破壊するものであってはならない。」

とアトレ・ホイエは述べた。彼は、強制力のある労働権条項を含む公正な貿易協定を求めるインダストリオールの要求を再確認し、大会に共同決議を提案することを提起した。

その後の討議で、参加者は貿易協定に強力な労働条項を盛り込み、基本的な労働者の権利を尊重する必要性を強調した。

各国のスナップショット

バングラデシュでは、新たに選出された政府が組合と連携し、国際労働基準の遵守を約束している。インダストリオールは地域事務所や加盟組織と協力して、ILOロードマップの完全実施を後押しする。

パキスタンでは10年にわたる取り組みが進展と反発を繰り返してきたが、政府代表が今年中に主要ILO条約を批准し、できれば来年には鉱山における安全衛生に関する第176号条約を批准すると約束したことで、新たな機運が高まっている。

先週、ミャンマーをめぐってILOが第33条を発動したことは、重要な一歩となる。インダストリオールは、軍事政権の経済力解体を支援するため、ブランドに対しミャンマーからの責任ある撤退を求めるキャンペーンを強化する。

ウクライナでは、ロシアからの継続的な攻撃を受ける一方で、組合も労働法制の弱体化や組合事務所の没収によって、その活動範囲が縮小している。

ウクライナの組合リーダー、ミハイロ・ヴォリネツは戦争の残酷な現実をこう語る。

「私たちは毎日人を失っている。組合は人道支援に重点を移している。女性の社会進出が進んでいる。戦争が終われば、彼女たちのためにまともな労働条件を確保しなければならない」。

ミハイロ・ヴォリネッツは、ウクライナの労働法を弱体化させ、組合を無視するEUの資金提供による改革について懸念を示した。

「社会対話のプロセスはもはや存在しないが、私たちは戦争が終わったときにそれを再構築する方法を知っている。」

ガザの人道的状況は耐え難いものであり、アトレ・ホイエは執行委員会への報告の中で、即時停戦と二国間解決の必要性を繰り返した。

パレスチナのサハル・アブドは、インダストリオールが労働者のために提供した支援に感謝した。

フロアから発言した数名の代議員は、多くの国々で労働者の権利に対する攻撃が強まり、その結果、古くからの勝利が覆されつつあることを強調した。

組織化で公正な未来を

組織化を通じて組合の力を構築することは、グローバル資本に立ち向かう最強の手段である。インダストリオールは加盟組織とともに多くのキャンペーンを行っている。クリスティン・オリビエ書記次長は、ミャンマーへの投資引き上げ要請からパキスタンの鉱山の 安全の改善まで、インダストリオールのキャンペーンを紹介した。

グレンコアに関するキャンペーンは2022年に再開され、スイスの鉱山会社に労働者の権利を尊重するよう圧力をかけ続けている。

船舶解撤を改善するキャンペーンは、香港条約が今月末に発効するという大きな節目を迎えた。インダストリオールは、世界で最も死者の多い産業の1つとして、より安全な基準を求め続ける。

執行委員会は、ジェンダーに基づく暴力に関するキャンペーンとILO第C190号条約へのコミットメントを再確認した。

全員参加で平等を

女性委員会共同議長は、5 月の女性委員会の報告を行い、9 月にオンラインで半日、11 月 3 日にシドニーで 1 日を予定している女性大会について報告した。女性大会は、2021年の大会以降の進捗状況をレビューし、影響を評価し、学んだ重要な教訓を特定するとともに、インダストリオール・アクションプランのジェンダー平等目標を実施するための2025~2029年の戦略的ロードマップを作成する重要な機会となる。

代議員は、人工知能に関する 2 回目の戦略的討論を行い、AI が不平等や差別を悪化させるリスクを強調した。しっかりとした社会的対話と積極的な準備の呼びかけがなされた。

グローバル枠組み協定(GFA)ガイドラインが更新され、組合へのアクセス、中立性、 実施・監視の改善に焦点が当てられ、労働者の権利を保護し持続可能性を促進するツールとしての GFAが強化された。

シドニーへ向けて

第4回インダストリオール大会を 5 カ月後に控え、執行委員会の議論は大会の準備に重点が置かれた。インダストリオールを次の時代に導くために大会準備委員会が勧告したアクションプランは、平等と労働者の権利を求める闘い、組合の力の構築、資本への責任賦課、公正な移行を通した未来の形成という 4 つの戦略項目とともに承認された。

「加盟組織と協力し、現場の組合員の課題とニーズを理解することで、私たちは明確で焦点を絞った計画をもって第4回 大会に臨む」

とケマル・ウズカン書記次長は述べた。

大会は、反省、動員、そして運動の全体的目標(公正な貿易、公正な移行、ジェンダーの平等、万人のためのディーセント・ワーク)への再決意を促す強力な場となることを約束する」と述べた。

マリー・ニルソンは言う:

「私たちは、組合員のため、運動のため、そして労働そのものの未来のために、全力を尽くさなければならない。」

【原文記事URL】
Building momentum for IndustriALL’s 4th Congress | IndustriALL

 

国内レベルで勝つためにグローバル化

2025-06-16

アメリカのインダストリオール加盟組織IUE-CWAは、ゼネラル・エレクトリック(GE)の大規模な再編を経てGEエアロスペースが分社化されたあと、同社との全国賃金交渉を開始している。GEエアロスペースがグローバル事業とサプライチェーンを拡大する中で、同労組は、国境を越えた企業戦略に対抗して全世界で労働者の利益を守るために国際連帯の構築が必要であることを認識し、交渉開会式にインダストリオールを招いた。


GEエアロスペースは業界大手で、20カ国以上に約5万3000人の労働者がおり、うち2万8000人がアメリカで働いている。同社は、とりわけフランス系航空宇宙サプライヤーのサフラン(インダストリオールのGFAパートナー)との合弁事業で、重要なエンジンメーカーとして特に知られている。

カール・ケネブリューIUE国際会長は言う。

「同社は世界的な供給ネットワークを利用して、ある工場から別の工場、しばしば労働組合のない施設に仕事を移しており、適切な協議を行わず、労働者への社会的影響を考慮していない」

これが1つの理由で、IUE-CWAは他の組合に接触して国際関係を強化している。

マッテオ・コロンビIUE上級戦略研究員は言う。

「同社がグローバル化するなら、私たちもグローバル化する。私たちは情報の共有によって、米国のみならず世界中の他のすべての場所でもネットワークを作り、労働者の権利と適正な賃金・労働条件を擁護するのに適した立場にある」

IUE交渉チームはアメリカで2000人以上の労働者を代表しており、従来と同じ条件を求めて闘い続けている。すなわち、雇用の保護、新規投資の確保、適切な安全衛生、組合員による適正賃金の稼得の保証、手ごろな価格の良質な医療、信頼できる妥当な年金制度の提供である。

ジェリー・カーニーIUE交渉責任者は言う。

「GEエアロスペースは高収益企業で、労働者は尊厳ある扱いを受けるに値する。そして、それには信頼できる将来の見通しを確保する新製品が含まれる」

インダストリオールの中核活動の1つは、企業別ネットワークを構築・支援し、GEも含めて世界中の労働組合員をまとめることである。

ゲオルク・ロイテルト・インダストリオール航空宇宙担当部長は言う。

「私たちは、もちろんグローバルなGEネットワークを新しい会社組織に適応させ、航空宇宙労働者が今後さらに緊密に一致協力していくようにする。2025年後半に初会合が計画されている」

ローラ・ハーガンIUE-CWA国際書記は言う。

「大手多国籍企業との全国交渉の開会式にインダストリオールを招くという私たちの取り組みは革新的であり、単なる象徴的な行為ではない。これは明確なメッセージを伝えている――国境さえ越えて競争の論理から抜け出し、万人の利益のために連帯を強化しなければならない」

【原文記事URL】
Going global to win locally | IndustriALL