省エネグローバル会議でエネルギー転換における労働を促進
2025-06-18
インダストリオール・グローバルユニオンは6月12-13日、国際エネルギー機関(IEA)が企画した第10回省エネグローバル会議と、同会議中にブリュッセルで開催されたクリーンエネルギー労働協議会に参加した。
会議の開会式で発言者たちは、気候危機への取り組み、エネルギー貧困の削減、エネルギー安全保障の強化、産業競争力の向上のために、エネルギー効率を政策の中心に据えることの緊急性を強調した。
エネルギー効率は他のどのエネルギー源よりも先に検討すべき「最初の燃料」であり、大きな経済的利益をもたらす要素だと強調された。効率に1ユーロ投資するたびに、家庭にとって最大12ユーロの節約になる。ウクライナの戦争に起因するエネルギー危機が、省エネルギー措置も利用して、化石燃料(特にロシア産ガス)への依存度を下げる必要性を加速していることも示された。
リュック・トライアングルITUC書記長とジンギスワ・ロシ南アフリカ労働組合会議(COSATU)議長が共同議長を務めたクリーンエネルギー労働協議会では、エネルギー転換が公正かつ包括的で人間中心のプロセスになるようにすることに重点を置いた。リュック・トライアングルは、良質な雇用と労働権、社会的保護を保証する移行枠組みの必要性を強調し、真の労働組合参加と公正に基づくアプローチがなければ、このプロセスは労働者から必要な支援を得ないと力説した。
アトレ・ホイエ・インダストリオール書記長は介入で次のように述べた。
「この部屋には、労働組合活動を理由に迫害されている人たちがいる。つまり、彼らは移行に関して起ころうとしていることを決定する場に近づくことさえないだろう。各国が、その国の人々を守る仕事をしていることを理由に労働組合員を迫害しようと決めているとしたら、労働者はどうやって協議に参加すればよいのか。この会議では同時にしなければならないことがたくさんあり、失敗している時間はない」
会合では2つの主要な文書が発表され、ブラジルでのG20およびCOP30プロセスを視野に入れて、公正な移行の原則を国家・国際レベルの行動に移すための具体的な勧告を提供した。
- IEAクリーンエネルギー労働協議会のエネルギー転換の労働的側面に関する文書
- 人間中心のクリーンエネルギー転換:公正のための設計に関する世界委員会の公正で包括的なエネルギー転換に関する行動の青写真(2025年6月)
インダストリオールは、グローバルなエネルギー転換が社会的公正と労働者の権利尊重への確固たるコミットメントに基づいて構築されるようにするために、これらのフォーラムで活動している。
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Unions promote labour in energy transition at Global Energy Efficiency Conference | IndustriALL
労働者は拘束力のある企業HRDD法を必要としている
2025-06-26
インダストリオール・グローバルユニオンとインダストリオール・ヨーロッパは、EUの主要な持続可能性法の改正案に反対し、この改正が労働者の重要な保護を損なう恐れがあると警告している。インダストリオール・グローバルユニオンとインダストリオール・ヨーロッパは公開書簡で、企業の人権デュー・ディリジェンス・ルールを弱めようとする圧力に抵抗するよう議員に呼びかけている。
組合組織は、欧州で現在行われているオムニバス指令パッケージIおよびIIに関する議論や声明について深く懸念している。これらは、企業の持続可能性に関する重要な法律、すなわち企業持続可能性報告指令(CSRD)と企業持続可能性デュー・ディリジェンス指令 (CSDDD)を著しく弱める危険性がある。
これらのパッケージは、「競争力」アジェンダの下で策定され、企業の持続可能性と報告義務の主要な要素を修正または後退させることを目的としている。これらの指令は、社会的対話やその他の手段を通じて企業や職場ですでに開始されているプロセスを大幅に阻害するものである。多くの企業がCSDDDとCSRDの価値を認めており、すでに現場で具体化に積極的に取り組んでいる。
これらのツールを弱めることになれば、これらの先行者にとって深刻な後退となる。
「HRDD法の弱体化は、労働者を無防備なまま放置することになる。強力で法的拘束力のあるHRDDは、信頼を再構築し、民主主義を強化し、より公正なグローバル経済において基本的権利が守られるようにするための鍵である。」
インダストリオール・グローバルユニオン書記次長のケマル・ウズカンは言う。
国連ビジネスと人権作業部会は、このパッケージは国連ビジネスと人権指導原則(UNGPs)に合致しておらず、ビジネスと人権のアジェンダにおける重要な前進を損なう危険性があると警告している。
ドイツのビジネス意思決定者1,350人を対象とした調査では、デュー・ディリジェンス規則への強い支持が示され、69%が重要であると評価し、その多くが競争上の利益を報告している。また、その半数以上が、オムニバスの改正案は混乱を招き、投資を遅延させると報告している。
「これは今日のグローバル情勢下において、労働者とビジネスに対する誤ったシグナルである。労働者の権利と企業の説明責任に対する直接的な攻撃であるため、この提案を非難する。そして、労働者に非常に憂慮すべきメッセージを送るものである。」
とインダストリオール・ヨーロッパのジュディス・カートン・ダーリング書記長は言う。
2025年ITUCグローバル権利指数によると、労働者の権利は世界中で悪化しており、ヨーロッパと南北アメリカは過去最悪のスコアを記録した。
インダストリオール・ヨーロッパとインダストリオール・グローバル・ユニオンは、私たちの経済・社会に不可欠な産業で働く何百万人もの製造業、エネルギー産業、鉱山労働者の権利と尊厳のために立ち上がっている。
ヨーロッパの政治家は、CSRDとCSDDDを弱体化させてはならない。これらの法律は、あらゆる場所で労働者と地域社会の保護を確保するために強化されなければならない。
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Workers need binding corporate HRDD laws | IndustriALL
グローバル条約発効で船舶解撤労働者にとって大きな節目
2025-06-26
今日6月26日、船舶の安全かつ環境上適正な再生利用のための香港国際条約(香港条約)が発効し、たびたび世界で最も危険な産業と呼ばれる部門の労働者にとって画期的な一歩となる。
2009年に国際海事機構が採択した香港条約は、使用済み船舶を解体するための国際基準を設定しており、安全性と環境保護、労働者の権利を義務づけている。不適合な解撤場は操業を許可されなくなる。
「これは大勝利だ!香港条約の発効は、インダストリオールと加盟組織による断固とした長期キャンペーンの成果だ。この条約は、安全かつ環境上適正な船舶リサイクルの枠組みを与える。骨子に肉付けして香港条約を生きた文書にし、労働者と環境を保護すると同時に良質な雇用を創出して地域経済に貢献するようにすることが、すべてのステークホルダー――使用者、組合、政府、現金購入者、船主――の手に委ねられている」とウォルトン・パントランド・インダストリオール造船・船舶解撤担当部長は言う。
今日パキスタンのカラチで、条約の発効を記念して円卓会議が開催された。この行事はインダストリオール加盟組織の全国労働組合連盟(NTUF)が主催し、組合と政府当局者、船舶解撤産業代表が集まった。パキスタンは2023年12月に香港条約を批准し、23番目の批准国になった。これですべての主要な船舶リサイクル国が条約を批准した。
香港条約の規則に基づいて、解撤場は解体開始前に詳細なリサイクル計画を提出し、厳しい基準を満たさなければならない。危険物は安全に除去し、火気使用工事証明書の発行を受け、部材は海岸でそのまま切断するのではなく不浸透性の床で切断しなければならない。労働者には適切な訓練と個人用保護具も提供しなければならない。
参加者は、高い税金との野放しの密輸によって、パキスタンでこの部門が衰退していることについて懸念を提起した。ガダニの63カ所の船舶解撤場のうち、現在操業しているのは2カ所か3カ所だけである。約10カ所で改良が進んでいるが、香港条約の基準を満たす解撤場はまだ1つもない。条約に沿った国家政策が緊急に要求された。
インダストリオールと加盟組織は、香港条約の実施を監視し、部門全体で安全性と環境保護の向上を強く要求すると誓約した。
「船舶リサイクルは質の高い雇用と地域開発をもたらす可能性がある。だが、そのためには政府のリーダーシップと使用者の投資、労働組合との協力が必要だ。香港条約は骨格であり、私たちの集団行動はそれに生命を与える」とウォルトン・パントランドは言う。
写真:インドのアラン船舶解撤場
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Milestone for shipbreaking workers as global Convention comes into force | IndustriALL
公正な賃金のための闘い:インダストリオール南アジア活動家訓練
2025-06-30
6月25-26日、インダストリオール・グローバルユニオンはネパールのカトマンズで、南アジアの加盟組織を対象に、今年初めに公表した賃金平等モジュールに焦点を当てた訓練ワークショップを開催した。
組合の賃金交渉チームと女性委員会メンバーが賃金の平等と仕事の価値に関する問題に取り組む能力を強化することを目指したこのイベントには20人以上の組合員が参加した。
ワークショップは、ジェンダーに基づく暴力、女性差別、性差別に関するインダストリオール「弁解の余地なし(NO EXCUSE)」政策の再確認から始まった。参加者はパワー・ウォーク活動を含む対話型セッションに参加し、 交差的なパワー・ダイナミックスを探求した。研修は、同一価値労働同一賃金の促進、男女間賃金格差への取り組み、包摂的団体交渉の促進に焦点を当てた。
ワークショップで取り上げられた主なモジュールは以下の通りである:
- 賃金の透明性と男女間賃金格差の報告: 男女間賃金格差の計算方法は? 何を報告すべきか?男女間賃金格差報告を促進するために組合は何ができるか?
- 性別にとらわれない職務評価: 女性の持つスキルはどのように過小評価され、見過ごされているのか?2つの異なる仕事の価値をどのように比較するか?職務評価・分類の確立におけるジェンダー・バイアスをどう回避するか?
- 生活賃金を求めるキャンペーン: 生活賃金を求め、女性の低賃金に終止符を打つために、どのようにキャンペーンや交渉を行うか?
ワークショップでは、参加者が職場の力関係の構造がどのように女性や多様な性別のグループに影響を与え、賃金の不平等を助長しているかを分析した。賃金の公平性、同一労働同一賃金、同一価値労働同一賃金、男女間賃金格差などの定義や概念が、グループ活動やディスカッションを通じて議論された。南アジアにおける同一賃金に関する国内法についてのプレゼンテーションが行われ、参加者は自国の法的枠組みとギャップについて理解を深めた。体験型活動では、従来の職務評価がいかに女性の役割を過小評価しているか、より公正で偏見のない評価制度を推進する必要性が浮き彫りになった。参加者は、賃金の透明性によって男女間の賃金格差が明らかになると同時に、それに対処する方法について学んだ。
また、特に女性が圧倒的多数を占める部門において、賃金改善を求めるキャンペーンを展開するための戦略についても議論した。参加者は、女性が多い職場でジェンダー賃金格差監査を実施し、それについて報告すること、意思決定プロセスや交渉に女性が参加することを促進すること、職場で公平性に焦点を当てた団体交渉を確保することなど、各部門で賃金の公平性を推進するための行動計画を策定した。
インダストリオール・ジェンダー担当部長のアルメル・セビーは次のように述べた:
「この訓練は、組合や職場で賃金の平等を主張し、交渉の席で真の変革を推進するためのツールや戦略を組合が身につけることを目的としている。これは男女平等を推進し、職場や加盟組織間の包摂性を促進するというインダストリオールのコミットメントの一環である。」
インダストリオール南アジア地域事務所長のアシュトシュ・バタチャリヤは次のように述べた:
「賃金の平等は女性だけの問題ではなく、労働組合の優先課題である。私たちの戦略は、ジェンダーに基づく賃金格差に対する組合の理解を強化し、職場における賃金の公平性を効果的に主張するための実践的なツールを 身につけることを目的としている。加盟組織の具体的な戦略を強化することで行動を起こし、交渉の席で現実的かつ永続的な変化を推進できるようにする。」
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Fighting for fair pay: South Asian unionists trained by IndustriALL | IndustriALL
アランの労働者と業界、全世界の支持者が香港条約のために団結
2025-07-03
2025年6月26日、労働者と政府、業界、グローバル組織が団結を示して集まり、船舶の安全かつ環境上適正な再生利用のための香港国際条約(香港条約)の歴史的な発効を記念した。この画期的な出来事を祝うために、6月29日にインドのアラン(世界最大の船舶リサイクル施設の拠点)で、アラン・ソシヤ船舶再利用一般労組(ASSRGWA)の主導による政労使会合と労働者の集会が開催され、条約の公正かつ効果的な実施への共通のコミットメントを再確認した。
インダストリオールは、国際労働機関(ILO)、インド海運総局長、グジャラート海事委員会(GMB)、船舶リサイクル産業協会(SRIA)といった主要利害関係者とともに参加した。
宮本三知子ILOインド事務所所長の司会によるブレーンストーミング会合では、社会的対話と中核的ILO条約の重要性が強調された。同所長は、香港条約は安全性と労働基準を向上させ、船舶リサイクルにおいてディーセント・ワークを確保する機会を与えると力説した。
シャム・ジャガナサン・インド海運総局局長が条約を歓迎し、この条約はインドが持続可能な船舶リサイクルの分野で国際指導力を強化するチャンスだと述べた。同局長は労働者中心の包括的アプローチの必要性を強調し、この産業への女性の参画拡大を強く促した。
アジス・クマール・スクマラン海運総局局長補佐が技術面・運用面について意見を述べ、インドの条約遵守ロードマップを説明した。タラウィヤGMBチーフエンジニアが、同委員会として香港条約の基準を満たすために構想段階で実際的な支援を提供する用意があることを確認した。
ハレシュ・パーマーSRIA書記が条約を歓迎しながらも、過度の規制にくぎを刺し、労働者と事業実現性の両方を守るバランスの取れた方針を支持した。
パラビ・マンシンILOインド国別コーディネーターも、プロセス全体にわたって労働者の意見やニーズを優先させる組織的な変化を要求した。
ビジャーダール・ラネーASSRGWA書記長が、包括的なアプローチの採用により、労働者が単に受益者としてだけでなく、船舶リサイクルの未来を形作るうえでの対等なパートナーとしても尊重されるようにすることを要求した。
松﨑寛インダストリオール書記次長が発言し、香港条約遵守への移行は公正かつ公平でなければならないことを再確認した。
「労働者を改革の中心に据え、彼らの権利と生活と代表を強調しなければならない」
ウォルトン・パントランド・インダストリオール造船・船舶解撤担当部長が、香港条約は、より多くの適正な熟練雇用に基づき、アランをより安全でクリーンな場所にしなければならないと力説。解撤場レベルの強力な安全委員会、労働協約、下流の労働者の保護が重要だと強調した。
1日の終わりに力強い労働者の集会が開かれ、大勢の女性を含む350人以上の労働者が参加、より安全で公正な船舶リサイクルのために連帯して立ち上がった。
最後に、アランを社会的責任のある安全で環境上適正な船舶リサイクルの世界的モデルにするために、引き続き一丸となって取り組むことを共同で力強く誓約した。
【原文記事URL】
Alang workers, industry and global allies unite for Hong Kong Convention | IndustriALL