広報ニュース

インダストリオール・ウェブサイトニュース第13号(2013年9月2~16日)

スワジランドの組合が統合して団結を強化

2013-09-16

アフリカ南部に位置するスワジランドの10組合が統合に成功し、スワジランド合同労組(ATUSWA)を結成した。この統合により、製造業部門で労働者の団結が強化された。

 インダストリオール加盟組合のスワジランド合同労組(SATU)、スワジランド製造・関連労組(SMAWU)、スワジランド加工・精錬・関連労組(SPRAWU)が統合し、新組合ATUSWAを結成した。この統合プロセスは南アフリカ全国金属労組(NUMSA)とインダストリオール・グローバルユニオンの支援を受けた。ATUSWAは、繊維、衣類、金属、エンジニアリング、鉱業・採石、小売、接客および配膳部門の労働者を代表することになる。

 これにより、統合プロセスを通して加盟組織を28団体から3団体に削減するという新連合団体スワジランド労働組合会議(TUCOSWA)の決議が前進した。結成大会は労働者支配と説明責任を重要な要素とする進歩的な規約を採択した。代議員はATUSWAに対し、職場で重要な要求を推進するとともに、政府も含めた国内の利害関係者を最低賃金と人材斡旋会社の利用禁止の確立に関与させるよう指示した。

 この結成大会は、スワジランドの民主主義を求める年次グローバル・アクション・ウィークと同時に開催された。労働者の経験を聞くために国際労働組合総連合(ITUC)が計画した行事など、予定の行動が政府によって弾圧され、まったく実施できなかったことから、スワジランドにおける労働者の団結と継続的な連帯支援の必要性が浮き彫りになった。

 

 

インドネシアの労働組合が50%の賃上げ要求

2013-09-16

ジャカルタの王宮前で3万人の労働者が新しい大統領規則に反対してデモを行い、2014年について少なくとも50%の賃上げを要求した。バンドンとチマヒ、スバンでも抗議行動が実施された。

50%の賃上げを要求するインドネシア労働者

 95日にジャカルタで開かれた大集会は、インドネシア政府による燃料価格引き上げ後の生活費上昇を受けて開かれた。政府は現行最低賃金の最大20%増額を提案しているが、労働組合は購買力を維持するために少なくとも倍に引き上げるよう要求している。

 インドネシアの賃金はすでにマレーシアやタイなど近隣諸国の平均を下回っており、新規則の導入は低賃金労働制度への逆戻りだという懸念がある。労働組合は、20141月からの強制的な国民皆保険も要求している。政府は2019年までの段階的実施を計画しているが、組合側は実施のペースが遅すぎると非難している。

 インドネシアの労働組合運動は、大規模組織に関する新法と国家安全保障法をめぐる課題にも直面している。この新法は結社の自由に対する権利を制限しているため、今後の集会やデモも制約を受ける。インドネシアの労働組合は、「政府が新しい最低賃金規則を撤回するまで闘い続ける」と誓っている。

 

南アフリカで立て続けにスト

2013-09-12

南アフリカでは金鉱部門と自動車部門のストが終結するも、白熱した交渉シーズンを迎えて自動車労働者は賃上げを求めて再びストに入った。

 賃金交渉の行き詰まりを受けて全国鉱山労組が93日からストを実施し、金鉱労働者8万人を動員すると、金鉱部門の使用者は直ちに提示額を引き上げて交渉の席に着いた。ストは数日で終わり、会社ごとに協約が締結され、910日に鉱山会議所での調印式で正式に承認された。

 金鉱労働者は最低賃金労働者8%、残りの労働者7%の賃上げ妥結に同意し、2014年のインフレ調整賃金についても合意した。通勤手当も1年目に月15ユーロ、2年目にもさらに15ユーロ引き上げられる。

 BMW、トヨタ、VWなどの使用者が賃上げ提示を7%から11.5%に引き上げた結果、南アフリカ全国金属労組(NUMSA)傘下の自動車部門労働者はストを終了した。スト中に提示された10%の賃上げを労働者が拒否し、NUMSAが交渉の席に戻ったため、819日に始まったストは3週間にわたって続いた。

 NUMSAは自動車労働者について2年目と3年目の賃上げ10%、年間100ユーロの通勤手当、月62ユーロの住宅手当、使用者による医療扶助負担割合70%にも同意した。

 NUMSAにとって1つのストが終わると別のストが始まった。今度は、自動車小売業と燃料小売業の使用者団体との交渉が行き詰まり、99日に自動車部門労働者7万人がストに入ったのである。労働者は7%の賃上げ提示を拒否し、2桁の昇給と午後・夜間勤務手当の改善を要求している。

 ストは企業や経済に負担をかけると使用者側は不平を述べているが、南アフリカの労働者・労働組合は、生活費の上昇に直面して賃上げのために闘う必要があると考え、勝利を収めている。

 

アルコアの組合がグローバル・アクション・ウィークの準備

2013-09-11

アルコアの労働組合がグローバルアクションを準備

アルコアのインダストリオール加盟組合は、来週世界中で協調的行動を実施する準備をしている。適正賃金、高い安全衛生基準、労働者の基本的な団結権の尊重を要求する予定だ。

 このグローバル・アクション・ウィークは、アルコアのグローバル組合ネットワークが5月の会合で呼びかけた。このネットワークには、十数カ国で数千人のアルコア従業員を代表するインダストリオール加盟組織が参加している。

アルコアは世界最大の一次アルミニウム・メーカーである。

 グローバル・アクション・ウィークには、世界中のアルコア生産現場の労働者・労働組合がさまざまな方法で参加する。例えば、ステッカーの着用、デモの実施、新聞広告の掲載といった活動だ。全世界で使うために12カ国語のリーフレットが作成された。

 ユルキ・ライナ・インダストリオール書記長は次のように述べた。「アルコアは厳しい市場で活動しているが、基本的価値観を見失ってはならない。この価値観には、適正賃金の支給、労働者の安全性の最優先、労働者の基本的な団結権の尊重が含まれる。世界中の組合が来週、そのメッセージをはっきりとアルコアに伝える」

 

タイのインダストリオール加盟組織が組織統合に向けて大きく前進

2013-09-10

インダストリオール・グローバルユニオン結成以降、タイのインダストリオール加盟組織は組合運動を強化するために共同で一連の議論を開始し、労働運動の統一とすべての形態の不安定雇用との闘いに取り組んできた。

タイのインダストリオール加盟組織の合同会議に参加した各組織代表

 978日にバンコクでインダストリオール加盟国内組織の合同会議が開かれ、タイ電子・電気機器・自動車・金属労働組合総連合会(TEAM)、タイ繊維・被服・皮革労連(TWFT)、タイ発電公社労組(EGAT LU)、PTT労働組合(PTT LU)、化学労組同盟(CWUA)、タイ製紙・印刷労連(PPFT)、タイ石油・化学労連(PCFT)の組合代表が参加し、一致協力への約束を表明した。

 重要戦略は新しいタイ産業労働組合総連合(CILT)結成に向けた作業で、CILTTEAMとタイ自動車労働組合会議(ALCT)、TWFT、それに旧ICEMタイ協議会傘下組合(EGAT LUPTT LUPPFTCWUA)を統合する。

「新しい総連合CILTを結成するために懸命に取り組んでいるところだが、それぞれの創設組織の文化・歴史・社会経済面の違いを考慮に入れなければならないため、焦ってはならないことも理解している。しかし、それぞれのインダストリオール・グローバルユニオン加盟組織が団結を構築し、タイだけでなく国際レベルでも労働者の連帯を強化しようと取り組んでいるので、新しい総連合はうまく結成されることと期待している」とチャリー・ロイソーンTEAM会長は述べた。

 CILTはタイの電子・電気機器、自動車、鉄鋼、化学、ゴム、素材、紙、繊維、衣類、皮革、石油、ガスおよび電力部門で少なくとも153,000人の労働者を代表することになる。これらの産業は、数百万人のタイ人労働者と(特にミャンマー、カンボジア、ラオスからの)移民労働者を雇用している。

 タイは東南アジア第2の経済で、労働力人口は4,000万人である。OECD諸国の主要多国籍企業などから多額の外国投資を受け入れている。その一方で、労働組合権の面では大いに不備があり、多くの場合その結果として、労働組合に加入している労働者がほとんどいない。

 107日の不安定雇用撤廃行動デーに、タイのインダストリオール加盟組織はバンコクの街頭でデモを繰り広げ、ILOの中核的労働権に関する第87号条約および第98号条約の批准を求めて運動する。この日にCILT結成も正式に発表する予定。

 

アップルと同社サプライヤーで変革の約束がすべて反故に

2013-09-06

アップルはサプライチェーンにおける労働権の侵害をなくすという約束を果たしていない。今年7月までに実施されていたはずの変革は残念ながら未達成である。

 アップルと同社サプライヤーは、公正労働協会(FLA)の支援を受けて労働者虐待をやめると今年初めに誓約し、メディアで広く取り上げられた。期限は20137月に設定されたが、結局、空約束に終わった。

 職場における真の労働代表の確立をはじめとする改革が実施されていないだけでなく、虐待も続いている。例えば、不法な超過労働の問題への取り組みが見られず、アップルに部品を供給する中国工場の労働者は今も残業している。

 インダストリオール・グローバルユニオンは改革の未実施を厳しく非難している。

「アップルは、労働者の真の声を実際に伝えるのは誰なのかを認識すべきだ。アップルのサプライヤーにおける労働者虐待を是正する効果的な解決策を見つけるには、民主的に選出された労働者代表と直接対話・議論するしかないだろう」

破られた約束の詳細については経済政策研究所の下記サイトを参照:

http://www.epi.org/blog/broken-promises-continuing-worker-abuses/

 

 

フィアットでFIOM代表が復活

2013-09-04

フィアットで長期にわたって続いていたイタリアのインダストリオール加盟組織FIOM-CGILに対する差別が終わった。

イタリア系自動車メーカーのフィアットは201392日、FIOMに書簡を送り、同社で組合代表を任命するよう勧めた。この決定に至るまで3年近く、FIOMは多数の裁判で闘い続けてきた。

紛争が一気に解決したのは、723日に憲法裁判所が重要な判決を下し、「労働協約締結の拒否を理由に組合を差別してはならない」と宣言したおかげである。憲法裁判所は、イタリアの労働法である「労働者法」第19条見直しの必要性に触れた。

実際に同法第19条には、少数組合が協約の締結によって企業で組合代表を獲得するよう促すことを意図する原文が盛り込まれていた。FIOMの報告によると、フィアットは論議を呼ぶ方法でこの原文を扱い、「組合はたとえ従業員の過半数を代表していても、使用者の提案する労働協約への署名を拒否した場合は、もはや組合代表を獲得できない」と主張していた。

この論理によってフィアットは、FIOMを労働者評議会から締め出し、FIOMに同社施設内での集会や組合活動を許可しないことができた。

組合代表の任命を勧められたあと、FIOMは誇りをもって将来の活動を見据えており、マウリツィオ・ランディーニFIOM-CGIL書記長は次のように述べる。「FIOMは工場の正門まで戻った。今、フィアットはあらゆる形態の差別を撤廃し、問題の本質、すなわちイタリアにおける同グループの将来の生産と雇用に取り組んでいる」

それでもなおフィアットは、組合代表に関する法律を整備してイタリアへの投資を維持すべきだと警告した。

 

ロシアの組合が賃上げ求めて結集

2013-09-04

インダストリオール加盟組織の地域間自動車労組(ITUA)とロシア労働同盟傘下の数組合は、「賃上げ実現!」キャンペーンを開始した。

 831日と91日にロシア12都市の組合が賃上げを求めて結集した。ロシア労働同盟は「賃上げ実現!」キャンペーンを開始した。ITUAはフォード労働者とアントリン労働者をサンクトペテルブルクの集会に動員した。集会参加者は、定期的な賃金調整と、ロシア労働法における賃金の物価スライド制に関する明確なルールを要求した。

9月1日、ロシア・カルガでの賃上げを求めてのITUAデモ

 ITUA91日にカルガのデモでフォルクスワーゲン、ベンテラーその他の工場の労働者を動員した。「明らかに、労働者は自らの利益の擁護、組合の組織化という問題に直面しており、危機を目前にした現在、状況はこれまで以上に深刻だ。労働法の一部廃止などの措置が十分に試行されている時期にあって、難しい選択を迫られている――抵抗か玉砕か」とカルガのITUA活動家ドミトリー・コズネフは述べた。 「賃金調整の問題は極めて重要だ。カルガでは一部工場の賃金がインフレ率に合せて年初めに7%引き上げられたが、物価や光熱費が815%上がったため、地域社会は金融・産業エリートに略奪されるばかりになっている」とコズネフは付け加えた。

 このキャンペーンが実施されている今、95日にG20サンクトペテルブルク・サミットが始まろうとしている。組合は公正な賃金調整、賃金の不変部分と可変部分のバランス改善、正式な労働契約の締結を拒否する使用者に対する制裁強化を要求している。 

 

フィジーの労働者が発言権を獲得

2013-09-03

全国工場・商業労組(NUFCW)は5月の組織化プロジェクト開始以降、組合員数が20%増加した。

 フィジーでは労働組合運動が難題に直面しているにもかかわらず、NUFCWによる草の根レベルの組織化は労働者の人気を集めている。この運動は、これまで無視されていた労働者に職場で発言権を与えている。

  インダストリオールとNUFCWは、今年オーストラリアのシドニーで計画会議を開いたあとプロジェクトを開始した。この会議では、さまざまな産業分野の組合幹部が意見や経験を交換する機会を得た。会議の主な結果として、フィジーの労働者が職場で発言権を必要としており、安全衛生、労働条件、雇用条件といった極めて重要な問題を使用者だけに決定させるべきではないことが確認された。

  この計画会合は、持続可能性やサプライチェーンを通じた連携の構築など、重要な問題に関する戦略を議論・立案する機会も提供した。インダストリオールと国際運輸労連(ITF)の両方が、これを達成するために協力関係を深め、協調して活動している。

 ジョン・マダリアーNUFCW書記長は、「フィジーの組合運動には、できるだけ多くの労働者に発言権を与える責任があり、地域社会の組織化はそのための最善の方法だ」と考えている。フィジーの労働者は意見が一致しているようで、NUFCWの継続的な成長は、この戦略がうまく機能していることを示す一例だ。フィジーにおける組織化は簡単ではなく、多くの使用者が組合の承認を阻止する方法を見つけようとしている。

 女性労働者も組合の成長戦略で重要な役割を果たしており、NUFCW組合員の30%が女性である。女性は組合の主流活動に参加するだけでなく、女性独自のプログラムも確保している。いくつかの産業では女性が労働力の過半数を占めており、組織化活動に不可欠な存在となっている。

 ロブ・ジョンストン・インダストリオール・エグゼクティブ・ディレクターはこう述べる。「職場問題に関して労働者を支持して意見を述べるのは、労働組合の基本的な役割だ。フィジーで重層的なキャンペーンを実施し、組合が活動しなければならない環境を認識してその変革に取り組むと同時に、フィジーの労働者に影響を及ぼす日常的問題に焦点を当てることによって労働者の心にも訴えかけなければならない」

 

CAWとCEPが合併してユニフォーを結成

2013-09-02

カナダのインダストリオール加盟組織CAWCEPが合併し、トロントの創設大会で産業・サービス業労働者30万人を代表するユニフォーを結成した。ジェリー・ディアス会長は組織化と地域社会の重視を誓約した。

ユニフォー(UNIFOR)結成大会

 カナダ自動車労組(CAW)と通信・エネルギー・製紙労組(CEP)の2,500人を超える選出代表が91日、合併と新組合ユニフォーの結成について投票した。この議案はトロントの創設大会で96%の支持を得た。

 ユニフォーは製造業、エネルギー、林業、サービス、通信、輸送など、多様な部門で30万人の組合員を代表する。

 大会はジェリー・ディアス全国会長、ピーター・ケネディー書記長・財政部長、ミシェル・ウイメット・ケベック州ディレクターを選出した。ユニフォー執行委員25人の44%が女性で、組合員に占める女性の割合28%を大きく上回っている。

 

挨拶するディアス委員長

ジェリー・ディアスは1978年にデ・ハビランド・エアクラフト(現ボンバルディア・エアロスペース)で働き始め、その年のうちに職場委員に選出された。支部長を務めたあと、1993年に全国事務所に異動し、航空宇宙部門のコーディネーターとして働いた。ユニフォー会長に選ばれる前はCAW会長を補佐していた。

 「礼儀と敬意をもって安全にすべての人を扱うカナダ、私たちを過小評価して犠牲にするのではなく、富を生み出す労働者を評価するカナダが目標だ」とディアスは基調講演で述べた。

 この大会は革新的な組織化方針を採択した。1つの新しい要素は「地域社会支部」の導入で、まだ承認された交渉単位に所属していない新しい労働者グループも、この支部を通じてユニフォーに加入できる。ユニフォーは毎年収入の10%、すなわち1,000万カナダ・ドルを新規組合員の組織化に投じる。

 ユニフォーは創設組織の社会的労働組合主義の伝統を引き継ぐ。この政治的行動は、地域社会への幅広い関与、テーマ別キャンペーンへの参加、問題を提起して同意する候補を支援するための選挙への関与を意味する。

 大会出席者は、ともに退任したケン・レウェンザCAW会長とデイブ・コールズCEP会長に熱烈な拍手で別れを告げた。

 ユルキ・ライナ・インダストリオール書記長が挨拶に立ち、創設組織が提供したグローバルな連帯の伝統を称賛した。

 「境界なきグローバル化した世界では、これまで以上に一致協力する必要がある。ユニフォーがコロンビア、モザンビークなどで引き続き同志を支援してくれることを私は確信している」