広報ニュース

第22号インダストリオール・ウェブサイトニュース(2014年2月17~26日)

クラウン・ホールディングスによる攻撃に対抗してグローバルな力を構築

2014-02-26

クラウン社の反組合的戦略に対抗するための会合に出席した7カ国の組合代表メンバー(2月25日、スイス)

 アメリカの多国籍パッケージ会社クラウン・ホールディングスの反組合的な戦略に対抗するために、カナダ、フランス、イタリア、スペイン、スイス、トルコ、イギリスの労働組合が225日にスイスで会合を開いた。

  この会合は、加盟組織が5,000万人の労働者を代表するインダストリオールが招集したもので、インダストリオールの姉妹団体、すなわち印刷・パッケージング部門労働者を代表するUNIグローバルユニオンと、クラウン・ホールディングスの主要顧客である大手食品飲料企業で労働者を代表する国際食品関連産業労働組合連合会(IUF)が加わった。

  クラウンは2012年に利益が倍増したにもかかわらず、インダストリオール加盟組織の全米鉄鋼労組(USW)が労働者を代表するトロント工場で、永続的な賃金率引き下げと新採用者の賃金42%カットを要求している。この要求を受けて、労働者は20139月にスト決行を余儀なくされた。北米の労働者は、同社の黒字転換のために10年にわたって犠牲を払ってきた。同時にクラウンは、経営陣に高額の役員報酬と年金パッケージを提供した。

 USWは「手当削減反対」という積極的なキャンペーンを展開しており、ウェブサイト(www.takebacksnomore.ca)を設けている。

  同様にトルコでも、インダストリオール加盟組織のビルレシク・メタル・イスが、イズミット市とオスマニエ市にある2つのクラウン工場で組合承認と労働条件改善を目指して運動している。しかし、労働省がすでにビルレシク・メタル・イスに交渉パートナーになる合法性を与える証明書を発行しているにもかかわらず、クラウン経営陣は承認プロセスを行き詰まらせた。この事件は今も控訴裁判所で係争中であり、クラウンの労働者は基本的権利を享受できない状況にある。

  ジュネーブ会合ではヨーロッパの労働組合が包括的な報告を行い、労働関係の質の大幅な低下と企業透明性の欠如について概説した。ヨーロッパからの参加者は、欧州事業の一部の今後と、工場閉鎖の可能性に関する情報を共有したがらないクラウンの姿勢に関する懸念を共有した。参加者は、クラウンに対抗するキャンペーンを徐々に拡大する行動計画の概略を示した。

  インダストリオールはクラウンCEOのジョン・コンウェイに書簡を送り、現在の問題を議論・解決するために直ちに会談を開くよう申し出ている。

  組合とグローバル・ユニオン・フェデレーションは、今度のクラウン株主総会に合わせて結集し、IUFの支援・連帯を通じて特に食品飲料部門で、世界中のクラウンの主要顧客に接触することも決定した。

  「この会合は、全世界のクラウン事業で真の力を構築するという、我がグローバル・ユニオン・ファミリーの明確かつ強力な決意を示した」とケマル・ウズカン・インダストリオール・グローバルユニオン書記次長は述べた。「私たちの目標は、クラウンをより社会的責任のある企業にすることだ」

 

チャタヌーガで外部からの干渉がVW労働者の自由選択を妨害

2014-02-17

 米国テネシー州チャタヌーガのフォルクスワーゲン(VW)工場で行われた組合代表に関する投票は、共和党の政治家と反組合的なグループによる脅迫と威嚇を受け、626票対712票でインダストリオール加盟組織UAW(全米自動車労組)の敗北に終わった。

 フォルクスワーゲンのチャタヌーガ工場の労働者は、組合代表に反対の投票をした。賛成多数であれば、従業員代表委員会が設置され、フォルクスワーゲンと同社チャタヌーガ工場CEOのフランク・フィッシャーが支持する米国初の労使関係モデルになっていただろう。

  全国労働関係委員会の監督下で行われた3日間の選挙の最終日である214日、フォルクスワーゲン労働者が712票対626票で全米自動車労組(UAW)による代表に反対の投票をしたことが明らかになった。

  労働者の自由選択は、共和党の政治家と反組合的なグループが主導する脅迫・威嚇を伴う攻撃的な反対キャンペーンによって損なわれた。テネシー州の共和党議員は、「労働者が組合代表に対して賛成の投票をすれば、フォルクスワーゲンに税制上の優遇措置を適用しない」と威嚇した。ある共和党上院議員は、労働者が組合に反対の投票をすれば新規投資を「確信」していると断言した。

 この選挙は、インダストリオールと全米自動車労組(UAW)、独IGメタル(ドイツ金属労組)による前例のない協力のもとに、実施された。UAWは選挙までの数週間に、工場に立ち入ることを許可され、業員代表委員会設置の意義と利益を労働者に伝えるために懸命に活動を行った。

 投票の結果を受けて、ボブ・キングUAW(全米自動車労組)会長は、「もちろんこの工場で労働者に勝利を収めてほしかったが、労働者が組合結成に向けて基本的人権を行使できるよう自由で開放的な雰囲気を生み出すために、フォルクスワーゲン・グローバル・グループ従業員代表委員会、フォルクスワーゲン経営陣ならびにIGメタルが最善を尽くしてくれたことに深甚なる敬意を表したい」とコメントした。

 今回のチャタヌーガのフォルクスワーゲン(VW)工場の投票結果を振り返って、米国南部の組織化を担当するゲーリー・キャスティールUAW8地区責任者は、「フォルクスワーゲンがグローバルな人権、労働者の権利に取り組み、自由に決定する雰囲気を作ろうとしたことを称賛する」「残念ながら、政略的な第三者が、この工場の経済的未来と、労働者がテネシーで雇用を創出する有効な経営モデルを生み出す機会を脅かした」と語った。

 今回の投票結果について、インダストリオールのユルキ・ライナ書記長は、「これはインダストリオールのグローバル・ファミリーにとってのみならず、チャタヌーガのVW工場労働者にとっても同様に残念な結果だ。外部からの干渉で労働者の自由選択が損なわれてしまった。テネシーの労働者が真の結社の自由を享受できるようにしなければならない。脅迫と威嚇に抵抗し、集団で自分たちの権利を守るために投票した626人を称賛する」とコメントした。

  同テネシー工場は、グローバルに存在するフォルクスワーゲンの工場施設の中で、世界で唯一、組合代表を実現していない工場である。