広報ニュース

第33号インダストリオール・ウェブサイトニュース(2015年2月)

ILOでスト権支持

2015-02-26

 

2月18日にスト権を守るために行進するインドの組合

労働組合が数カ月にわたって圧力をかけた結果、2月23~25日にジュネーブで開催された重要な政労使会合のあと、国際労働機関(ILO)の使用者グループはスト権を承認した。会合に参加した使用者グループと労働者グループの共同声明は、ILOがスト権を承認することを確認している。 労使の合意により、2012年以降ILOが陥っていた膠着状態を解決する包括提案が策定される。 この提案は、3月のILO理事会に承認を求めて提出される。スト権は何年も前から、政労使によって広く受け入れられている。にもかかわらず使用者グループは、ILO第87号条約に明示されていないとの理由で、スト権に異議を唱えてきた。使用者グループがこの問題について譲歩することを拒否したため、ILOは多くの国々の重大な労働侵害事件に取り組んでいない。声明発表に先立って世界抗議デーが行われ、2月18日に労働組合連合団体がスト権を擁護して60カ国以上で100件を超える行動を実施、インダストリオール・グローバルユニオン加盟組織も参加した。この抗議行動の狙いは、ILOで政府・使用者両グループに圧力を加えることである。

  重要なのは、それまでこの問題に関して意見が分かれていた政府グループが、2月の会合でスト権を強く支持したことである。この会合で同グループは次のように述べた。

 「政府グループは、スト権が、ILOの労働における基本的原則・権利である結社の自由と関連していることを認める。政府グループは、スト権を保護しなければ、結社の自由、特に労働者の利益を促進・保護するために活動を組織する権利を、完全に実現できないことを明確に認識している」

  ユルキ・ライナ・インダストリオール書記長はこう述べた。「使用者によるスト権の承認は非常に積極的な進展だ。これは、この基本的権利を守ろうと懸命に闘った加盟組織の功績である。しかし、闘いは終わっていない。引き続き警戒し、使用者が二度とスト権を人質に取らないようにしなければならない」

 

 

 

【イタリア】ティッセンクルップ、ASTテルニ鉄鋼工場で弱者を犠牲にして削減を強行

2015-02-26

 イタリアの労働組合CGIL、CISLおよびUILは、イタリア・ウンブリア州テルニのティッセンクルップ施設で、会社側が最も弱い立場にある臨時労働者を無視する方針を取り続けた場合に、労働争議を開始する態勢を整えている。

「12月3日の協約締結後に、ティッセンクルップの方針が原因でASTテルニ鉄鋼工場において生じた緊張を緩和する放出弁として、産業労働者を利用することはできない」とウンブリア州テルニで発表されたCGIL、CISLおよびUILの共同声明は述べている。

 この協約は、40日間のストを経て12月初めに政労使が締結したもので、下請労働者に再雇用斡旋と訓練を保証しているが、組合によると、これまでのところただの紙切れにすぎない。組合側の考えでは、この多国籍企業は下請業者を犠牲にしてコストを維持するために、極端な戦略を採用している。下請業者は重要な契約を失うことを恐れて、新しい条件を受け入れ、労働者にすべての負担を転嫁している。すでに影響が表れており、賃金削減、権利縮小、下請労働者の契約変更による失業が発生している。

 この状況に対応して、CGIL、CISLおよびUILは、テルニのティッセンクルップ鉄鋼工場で労働争議を開始する用意がある旨宣言した。約1,500人の労働者が、この争議の影響を受ける可能性がある。組合によると、少なくとも100人の雇用喪失が確認されており、同社が方針を見直さなければ、この数はさらに増えるだろう。組合は経営陣との会談を求めており、労働者の要求が受け入れられなかったときのために動員に備えている。

 

IGメタル、金属産業で3.4%の賃上げを確保

2015-02-24

 

1月末から全国で85万人のIGメタル組合員が参加して賃上げ確保に向け警告ストを実施

ドイツの金属労組IGメタルは、全国85万人以上の労働者による警告ストを経て、使用者との協約で3.4%の賃上げ確保に成功した。

 2月24日未明、インダストリオール・グローバルユニオン加盟組織IGメタルと使用者グループが合意に達した。この協約はドイツの主要工業地帯バーデン・ビュルテンベルクの金属・電子労働者80万人に影響を与え、合計370万人の労働者を対象とする全国各地の協約交渉の基礎となる。

 この賃上げは4月から実施される予定で、IGメタルにとって重要な勝利である。「この成果によってドイツ経済が安定する」とIGメタルのデトレフ・ウェッツェル会長は述べた。

組合幹部と使用者グループが今後12カ月の賃金と給付をめぐって争う中、全国で85万人を超えるIGメタルの労働者が1月末から警告ストを実施した。労働者は旧労働協約失効後、1月から3月までをカバーする150ユーロの一時金も支給される。特に低賃金労働者は、早期退職との関連でさらに利益を得た。今後、使用者は早期退職期間に働く労働者に給与の90%を支払い、労働者が働かなくなっても定年まで支給を続ける。これにより、特に組立ラインや一般生産作業に従事する低所得労働者は、早期退職を利用しやすくなる。さらに、早期退職(労働者の最低4%が利用できるようにしなければならない)に使われなかった企業資金は今後、社員訓練計画に回さなければならない。

  IGメタル会長は、この前進を、経歴開発に対する労働者の権利のモデルを確立するうえで「最初の重要なステップ」と表現した。

 ケマル・ウズカン・インダストリオール書記次長は言う。「この素晴らしい成果に関してIGメタルを祝福する。IGメタルは、またしても力を示し、金属・電子部門労働者のために重要な賃上げを勝ち取った。一連の警告ストで100万人近い労働者から寄せられた大規模な支援は、労働者の連帯の力に対する賛辞だ」

 

IBM労組が雇用削減の中止を要求

2015-02-20

  世界中のIBM労働者を代表する労働組合は、この窮状に陥った多国籍企業のリストラをめぐってマスコミによる憶測が飛び交う中で、雇用削減の緊急停止と有意義な労使対話を求めた。

「大量失業に脅かされている世界中のIBM従業員を怒らせているのは、IBMの財務実績が11四半期連続で低迷してるにもかかわらず、経営幹部が数百万ドルのボーナスを受け取っていることだ」と松崎寛インダストリオール・グローバルユニオンICT・電機・電子担当部長は述べた。

 「全世界のIBM労働者がIBMの成功を望んでいるが、IBM経営幹部は、従業員が事業の成功のための資産であり、負債ではないことを認識する必要がある。IBMにとって、IBM労働者を代表する労働組合とオープンかつ建設的な対話を緊急に行い、現状とその理由を説明することが不可欠だ。労働力との協力を拒否しても解決策にならない」

  ICT産業で300万人の労働者を代表するスイスのUNIグローバルユニオンで情報・コミュニケーション・通信部門の責任者を務めるアラン・テートは、次のように述べた。「世界中のIBM労働者は、メディアを通じて雇用削減に備える方法を学んでいる。現在の不確実な状況は組合員の間で不安をかき立てており、使用者としてのIBMの評判を傷つけている」 「アメリカやカナダなどから、IBM労働者が解約通知を受け取っているという報告が入っている。そのほかにも、雇用削減の拡大を正当化するためにIBM労働者の作業評価(「PBC」)が人為的に引き下げられているとの報告がある。一方、同社のインサイダーの報告によると、労働コストと社会的保護が大幅に低い国々に仕事を移転するために、雇用が打ち切られている」

 アメリカを拠点とするAlliance@IBM米国通信労働組合(CWA)第1701支部によると、アメリカとカナダでの雇用削減の脅威にさらされている労働者は合計5,000人を超えるかもしれない。

  IBM労働者のためのIBMグローバル・ユニオン・アライアンスのメンバーは、会社側に雇用削減計画の停止を要求し、「従業員は生産性と革新にかつてないほど真剣に取り組み、会社の災難を解決しようと努力しており、その従業員を解雇するのは経営上賢明なことではない」と明言している。

 同アライアンスは会社側に対し、従業員および労働組合代表と協約を締結し、士気を高める手段として、従業員の会社への貢献を会社側がどれだけ評価しているかはっきり示すことも要求した。IBMグローバル・ユニオン・アライアンスの主な要求は以下のとおりである。

●雇用削減の全面停止

●労働条件改善、公正な評価制度、IBM社員全員への報酬・ボーナス・非給料関連給付の支給

●社会的対話と交渉、労働協約のパートナーとしての労働組合の全世界における承認

 

 

労働者の基本的権利スト権に干渉するな!世界中の労働者が一連の抗議行動を実施!

2015-02-19

 労働者の基本的なスト権に異議を唱え、できれば取り除こうとしている使用者側に対し、世界中の労働者が一連の抗議行動を実施した。この権利は結社の自由に関するILO第87号条約の不可欠な部分である。

 2月18日、国際労働組合総連合(ITUC)の呼びかけでスト権を守るための世界行動デーが実施され、インダストリオール・グローバルユニオンも支援した。世界中の労働者が、労働者のスト権に対する攻撃をやめさせるために、自国政府に断固たるメッセージを送った。

 このグローバルな呼びかけは、国際労働機関(ILO)で使用者グループがILO第87号条約、すなわち結社の自由および団結権の保護に攻撃を加えている状況への対応である。第87号条約は、すべての労働者がストを実施する基本的権利を保障している。

  ジュネーブで、インダストリオール・グローバルユニオンは姉妹グローバル・ユニオンのBWI、IUF、PSIおよびUNIとともに合計1億人以上の労働者を代表し、労働者のスト権が攻撃されているか、支持されていない国々の在外公館や代表団に書簡を届けた。その1つはトルコで、同国では最近インダストリオール加盟組織ビルレシク・メタル・イスが、「国家安全保障を損なう」という理由で金属産業におけるストを禁止されている。

  合同労働組合代表団は、アンゴラとインドの在外公館も訪問して書簡を手渡し、両国政府に対し、「直ちに全世界でスト権を支持し、ILO理事会で、この問題をめぐる紛争を国際司法裁判所に付託することへの反対を撤回」するよう求めた。

  ケマル・ウズカン・インダストリオール書記次長は、アンゴラ大使館前の集会で演説し、次のように語った。「私たちは決してあきらめず、闘い続ける。スト権がなければ、目標を達成し、すべての人々が平等に暮らせるようにすることができないからだ。スト権に干渉するな!」

  インド政府代表部前でも同様のメッセージが伝えられた。

  このグローバルな行動要請は、チリ、フランス、インド、インドネシア、メキシコ、モロッコ、オランダ、フィリピン、トルコ、スイス、アメリカをはじめ多くの国々で、インダストリオール加盟組織が組織する数多くの行動やデモによって広く支援された。

 行動の写真はインダストリオールのフリッカー・アカウントで閲覧可能:

https://www.flickr.com/photos/industriall_gu/sets/72157648579233394/

https://www.flickr.com/photos/industriall_gu/sets/72157650841241246/

 

非情な組合つぶしと闘うグルジアの鉱山労働者

2015-02-12

 黒海の東岸にあるグルジア・カズレティの鉱山会社RMGカッパーとRMGゴールドの経営陣は、インダストリオール加盟組織のグルジア冶金・鉱山・化学産業労組(TUMMCIWG)との闘いを開始した。組合つぶしの結果、ここ数日で120人の労働者が組合を脱退した。

  先ごろ使用者代表が両社を訪問、組合を辞めるための脱退届の草案をばらまき、「解雇などのトラブルに巻き込まれる」と言って両社の従業員を脅し、組合脱退を強要した。

 その結果、100人を超える組合員が経営側の圧力に屈し、脱退届に署名した。RMGカッパー労組は1月には690人の組合員がいたが、ここ数日間で96人が脱退している。RMGゴールドでは、組合員320人中14人が地方組合を辞めた。

  組合つぶしが始まったのは、組合が経営側に書簡を送り、40日間のストを経て2014年3月23日に締結された協約に基づく義務の不履行を再度指摘したあとのことである。

 - 2014年4~5月に組合が作成し、見直しを求めて使用者に送付した労働協約草案が、まだ見直されていない。

- 会社側は労働者の給料を引き上げる措置を講じていない。

- 欠員が出た場合、会社側は組合が作成した候補者リストを利用するのではなく、労働市場から従業員を雇っている。

- 労働争議委員会は2014年4月に設置しなければならなかったが、2014年8月にようやく初会合が開かれ、これまでに予定の7回のうち3回しか会合が開かれていない。

  ちょうど1年前の2014年2月14日、グルジア企業のRMGカッパーとRMGゴールドで鉱山労働者がストに入った。経営側が2013年11月に締結された協約に定める義務の履行を拒否し、2014年1月に再編成にかこつけて180人を超える従業員を解雇したからである。40日に及ぶストを経て労使が合意し、解雇された労働者80人を復職させるとともに、同社の経済状態が改善したら他の労働者も復職させ、労働協約を締結して給料を上げる旨取り決めた。しかし、長期にわたるストと引き換えに達成された協約は、まだ履行されていない。

「RMG経営陣は、うんざりさせる反組合的戦術から手を引き、これ以上の遅延なく直ちに組合つぶしをやめなければならない」とユルキ・ライナ・インダストリオール書記長は述べた。「同社は協約に従って義務を果たさなければならない。」

 

ロシアのインダストリオール加盟組織ITUWA、短期契約の阻止に成功

2015-02-12

 ロシアのインダストリオール加盟組織ITUWAが、今週、達成した重要な法的勝利は、地域の自動車産業における不安定な臨時契約との闘いの良き先例を示した。

  中央ロシアにあるカルガ地域裁判所は2月9日、ロシア・カルガのPCMAルス自動車工場で短期雇用契約の満了時に解雇された女性従業員2人の復職を決定した。この工場では過去2年間に短期契約が広く採用されてきた。これによって使用者は労働者の権利を不正に扱い、不要な従業員を契約満了時に追加コストなしで解雇できるからである。

 プジョーとシトロエン、三菱の車を組み立てているPCMAルス(プジョー・シトロエン・三菱オートモービルズ・ルス)工場は、2年近く前に常用契約による労働者の雇用をやめた。中核事業の労働者は、3~6カ月の短期契約に基づいてのみ雇用されている。その後、これらの契約はもう1期延長されて従業員を不確実な状況に置き、延長がなければ労働者は短期契約満了時に解雇された。

  ロシアの労働法によると、短期契約を合法的に締結できる理由は限られているため、PCMAルスが短期労働者を雇用するために挙げた表向きの理由は「一時的な生産拡大」である。そのような拡大は労働法で1年までしか認められていないにもかかわらず、過去2年間、この理由が利用されている。その反面、短期従業員の職務は常勤契約労働者の職務とまったく同じだった。

  一時的な拡大を口実に、常用労働者が徐々に臨時労働者に取って代わられている現在、PCMAルス工場従業員の40%近くが短期契約で働いている。

  ITUWAはこの慣行に繰り返し反対してきた。というのも、短期契約は経営側にとって、契約をもう1期延長しないことによって、どんな理由(組合加入を含む)でも労働者を解雇できる強力な手段だからである。これはまさに上記のPCMAルス女性従業員に起こった出来事であり、2人はITUWA地方組合に加入した結果、使用者から短期契約の延長を拒否された。しかしITUWAは裁判所に上訴し、この解雇は不当であると主張した。両女性従業員は判決によって復職し、今では常勤雇用と認められている。

 この判決は、PCMAルス経営陣がしつこく促進し、地方当局が支持した短期契約の慣行を阻止するものであるため、非常に重要である。これに先立って、カルガ検察局とカルガ地方裁判所は、「短期契約満了後」の従業員の解雇を合法的かつ合理的と認め、PCMAルス工場で短期契約を利用できることも確認した。この判断はカルガの企業経営者に間違ったシグナルを送り、多くの会社が短期契約導入計画を立案し始めた。

  ITUWAの組合活動家は、臨時労働との闘いにおけるこの重要な勝利が、PCMAルス工場で短期契約を一斉に常勤契約に切り替える措置の始まりにすぎないことを確信している。企業にとっては非常に都合がよいが、カルガ地域で常用雇用を消滅させることになりかねない臨時雇用の拡大を阻止する必要がある。

 

 

アフリカ・ガーナのクラウン・ホールディングス、インダストリオール組合員をロックアウト

2015-02-11

 インダストリオール・グローバルユニオン加盟組織の産業・商業労組(ICU)は、アフリカ・ガーナのクラウン・ホールディングスにおけるロックアウトに抗議している。

 食品産業向け金属パッケージ製造を専門とするクラウン・キャンズ・ガーナ・リミテッドの労働者は1月27日、同社ゲート前で抗議行動を実施した。経営側は何の予告もなくゲートを閉鎖した。与えられた唯一の情報はゲートに貼られた1枚の文書で、「追って通知があるまで工場を閉鎖する」と書いてあり、下に小さい文字で「経営陣」と署名されていた。

  ICUは3年間、この工場の組織化にあたっていくつかの困難に直面し、経営側からの強硬な抵抗に遭ってきた。最終的に組合が労働者の組織化に成功すると、経営側は報復に最初の組合役員全員を解雇した。その後、クラウン・キャンズはICUとの交渉を拒否し、工場の閉鎖を発表する。ICUはこの事件を国家労働委員会(NLC)に提訴し、その結果、クラウン・キャンズはICU代表と交渉するよう指示された。  結局、経営側は組合側に、交渉開始の準備はできているが、その前に工場から機械設備を撤去しなければならないと伝えた。過去の苦い経験から、当然、ICUは会社側の案を拒絶した。 NLCは、交渉できるように両当事者が仲裁人・調停者を選ぶことを要求した。ICUはこの案に従ったが、クラウン・キャンズ経営陣は拒否し、機械設備を撤去するために工場にクレーンを持ち込むことを決定する。

 労働者の抵抗に遭ったクラウン経営陣は、地元の警察に労働者からの保護を求めた。警察は同社の要請をはねつけ、適正手続きに従うよう忠告した。NLCは現状を考慮して、紛争の解決に向けてクラウン・キャンズ経営陣とICUの緊急会議を要求している。

 ユルキ・ライナ・インダストリオール書記長はクラウン・ホールディングスCEOへの書簡で、ガーナの工場で労働者の権利が侵害されている事実を明らかにするとともに、同社に対し、工場の稼働を再開してICU代表と誠実に交渉するよう促した。

 

レソト・ジョンソン・コントロールズで組合つぶし疑惑

2015-02-10

 アフリカ南部に位置するレソト王国において、レソト・ジョンソン・コントロールズは2015年1月末、50人の労働者を不当解雇した。労働者全員がインダストリオール・グローバルユニオン加盟組織である全国繊維労組(NUTEX)の組合員で、労働組合権・労働権侵害の懸念が持ち上がっている。

 不当解雇の理由は、労働者が試用期間中に基準に達しなかったことである。だがレソトの法律は、労働者との契約締結を義務づけ、試用期間は4カ月を超えてはならないと規定している。解雇された労働者の中にジョンソン・コントロールズと契約を結んでいた者はおらず、4カ月を超えて同社で働いている者もいた。この解雇に先立って、NUTEXは会社側に要求を提出し、賃上げその他の給付だけでなく組合承認も確保するために交渉を開始したいと考えていた。同社の機械工の月給は100米ドル程度にすぎないが、品質管理労働者はその倍以上の賃金を得ている。

「労働者は、2つの労働者区分の賃金にこれほど大きな差を設けるべきではないと感じている」とソロング・セノヘNUTEX書記長は言う。「レソトの機械工は生存賃金にすら届かない賃金しか得ていないが、彼らがいなければ製品は作れない。機械工たちは少なくとも生活賃金には値する」

 ジョンソン・コントロールズはレソトで約600人の労働者を雇用しており、うち約350人が組合員である。セノヘ書記長は、この解雇は組合員の割合を組合承認に必要な51%未満に引き下げようとする画策だったのではないかと懸念している。少なくとも、今回の解雇は残った労働者を威嚇し、要求を取り下げさせようとしているのだろう。

 インダストリオールはレソトの経営陣に書簡を送り、解雇された労働者の即時復職、NUTEXの承認、労働者の要求に対応するための組合との交渉を会社側に強く要求した。ユルキ・ライナ・インダストリオール書記長は次のように警告している。 「グローバル・ユニオン・ファミリーには、世界中の御社事業で労働者を組織化している他のいくつかの組合も加わっています。レソトのジョンソン・コントロールズで問題が解決されなければ、これらの組合にも支援を要請する可能性があります」

 一方、インダストリオール加盟組織である南アフリカ全国金属労組(NUMSA)のイルヴィン・ジム書記長も同社に書簡を送り、ジョンソン・コントロールズから部品を調達している自動車会社数社がインダストリオールとグローバル協定を締結し、サプライヤーと協力して公正な労働慣行を遵守する旨約束していることに注意を促した。「レソトにおけるジョンソン・コントロールズの行為は明らかに、私たちが合意した原則に違反しています。私たちは御社に、協約の実施について議論する今年の国際会議の議題になってほしくありません」とジム書記長は述べている。「この問題が円満に解決されなければ、ジョンソン・コントロールズに対抗する国際キャンペーンを求めざるを得なくなるでしょう。私たちはジョンソン・コントロールズ南アフリカの組合員と御社が部品を供給している各社に、レソトの状況を伝えています」

 

イランの労働者、基本的権利を求める闘いを継続

2015-02-05

 ここ数カ月間、イランの労働者は主要なストや争議行為を何度か実施した。イランの独立労働組合は、鉱業、自動車、輸送その他の産業部門など、いくつかの部門で労働者の闘いを強力に支援している。

 鉱山労働者:今年1月、150人の炭鉱労働者が会社側による鉱山閉鎖計画に抗議してストに入った。サングルース炭鉱の労働者も、8カ月以上にわたって遅配となっている賃金の支払いを求めており、安全衛生問題に関しても経営側に問題を提起している。

 バス運転手:1月6日、テヘラン・バス輸送労組(VAHED)のバス運転手たちが、労働者が不当解雇されたことと、会社側が約束の労働者住宅資金を公正に支給していないことに抗議した。

 教員:イラン教員労組(ITTA)の組合員は、今学年に入って3カ月目の今、50万人近い教員の「超過労働手当」3カ月分の遅配に抗議している。

 金属労働者:イランでは生活費が上昇し続けているが、その一方で賃金は非常に低いままである。2015年1月7日、イラン・ホドロ・インダストリアル・グループIKCO(自動車組立工場)で、労働者が低賃金の増額を求めてハンストを始めた。このストは工場のすべての部署に広がった。

 基本的な人権・労働組合権がほとんど尊重されていないイランは、相変わらずインダストリオール・グローバルユニオンの重点国である。「これらの行動は本当に勇気と刺激を与える」とケマル・ウズカン・インダストリオール書記次長は言う。「イランの同志に対する連帯と支援を続けている」

  その一方で、イラン金属・機械労組(UMMI)は非常に困難な状況下で労働組合権を擁護・促進し続けている。同労組は新しいウェブサイトによって、イランならびに世界中の労働者や労働組合員、労働運動の同志たちとのコミュニケーションを強化したいと考えている。

「このウェブサイトはペルシア語と英語の2カ国語で作成され、イランの独立労働組合の資料や声明の英語版を掲載している。

 「この新しいウェブサイトは、労働運動の団結を目指す労働者の努力の成果であり、すべてのイランの労働組合のものだ」とUMMIは言う。

 UMMIウェブサイト:http://sfelezkar.com

UMMIブログ:http://felezkar.com

UMMIフェイスブック:www.facebook.com/metalworkers

 

インダストリオール全加盟組織に2月18日にスト権を求めて決起促す

2015-02-04

 

2014年2月にジャカルタで行われた集団デモ

インダストリオールは全加盟組織に対し、スト権を守るために2015年2月18日の世界行動デーに参加するよう促している。この世界行動デーは国際労働組合総連合(ITUC)が呼びかけた。

 この行動は、スト権のみならず国際労働機関(ILO)によるスト権の擁護にも前代未聞の攻撃を加えている、使用者・政府に対抗する措置である。

「スト権は結社の自由と団体交渉の不可欠な要素だ。労働組合は、この基本的権利を世界中で使用者・政府の攻撃から守るために、2月18日に立ち上がる」とユルキ・ライナ・インダストリオール書記長は述べた。

  ILOは100年近い歴史の大部分を通じて、政労使メンバーの全面的な支持を得てILO条約・勧告の適用を監督してきた。しかし2012年以降、ILOの使用者グループはスト権に異議を唱えるなどして、この制度を攻撃している。インダストリオールは、この争議を国際司法裁判所に付託して勧告的意見を求めるにあたり、ILOの労働者グループを支援している。しかし使用者グループと一部の政府は、2014年11月のILO理事会でこの付託を阻止した。その代わり、この問題についてさらに議論するために、2015年2月23~25日に政労使会合が設定された。

 この争議が長引いているため、ILO外部にも影響が及んでいる。例えば、先週トルコ政府が金属労働者のストを禁止したが、この措置に対してILOで効果的に異議を申し立てることができない状況にあり、現在も膠着状態が続いている。

 「ILOにおけるこの争議の影響は世界中の職場に及ぶだろう。各国で行動を起こし、引き続きストライキを基本的・包括的な権利として認めるよう求める必要がある」とライナ書記長は述べた。

  組合は2月18日の世界行動デーにさまざまな形で参加できる。

 - 国際司法裁判所への付託を支持していない政府に対するロビー活動(アルジェリア、アンゴラ、バングラデシュ、ボツワナ、カンボジア、チャド、エチオピア、ガーナ、インド、インドネシア、日本、ヨルダン、ケニア、韓国、レソト、マリ、モーリタニア、パキスタン、ロシア、タンザニア、タイ、アメリカ、ジンバブエ)

- 上記各国の政府庁舎前での抗議

- 使用者団体に対する抗議行動

- この争議について組合員に説明する広報活動

- ソーシャルメディア行動

 貴組合が2月18日に起こす行動をpress@industriall-union.orgにお知らせください。

 

 

日産、UAWとの争議めぐり米政府による調停を拒絶

2015-02-03

 日産自動車は、米国における同社の反組合的な慣行をめぐって全米自動車労組(UAW)およびインダストリオール・グローバルユニオンとの間で長期にわたり続いている争議について、米政府による調停案を拒否した。国務省内にあるOECD指針の米国ナショナル・コンタクト・ポイント(NCP)は金曜日、「UAWとインダストリオールが提起した問題は、裏付けのある重大なものであり、さらに検討する価値がある」と述べた。

 UAWとインダストリオールはNCPによる調停の申し出を受け入れ、11月に連邦調停仲裁庁の仲裁人との事前説明会に参加、調停手続きについて学んだ。

 「日産が世界各地において一定の方法で行動していながら、アメリカでは労働者を甚だしく搾取していることは明白だ。同社が状況の厳しさを軽視し続け、これらの虐待をやめることも、労使双方にとって一歩前進となり得る対話に加わることも拒否しているのは、まったくもって不合理である」と、デニス・ウィリアムズUAW会長は述べた。

 日産労働者15万人とルノー労働者の大部分を含めて、全世界で5,000万人の労働者を代表するインダストリオールのユルキ・ライナ書記長は、このニュースに深い失望を表明した。「UAWとインダストリオール加盟組織は、この問題を解決するために北米の日産と会談しようと繰り返し試みてきた。OECDプロセスへの関与に難色を示す日産の態度は、ルノーとダイムラーのパートナーならびに国際投資界にとって非常に気がかりだ」。ライナ書記長は次のように付け加えた。「日産は世界のほかの場所では労働者の権利を尊重しているようだが、アメリカでは労働者と地域社会を威嚇・搾取している証拠が上がっている。これは日産にとって厄介な後退だ」

  米国NCPは、この件に関して日本、フランスおよびオランダのNCPと情報を共有しており、「各NCPはいつでも当事者に援助を提供する態勢を整えている」とも述べた。日産は日系企業だが、フランス系のルノーが日産株の43.4%を所有しており、ルノー・日産同盟はオランダで設立されている。米国NCPの最終声明を受けて、UAWとインダストリオールは現在、争議を解決するために調停に向けた措置を検討している。

  米国政府は、日産がOECD指針の遵守に関して「全社的に労働権の見直しを実施」し、OECD事件で提起された問題を解決するために他の形態の調停を検討するよう勧告している。

 最終声明へのリンク:http://www.state.gov/e/eb/oecd/usncp/links/rl…

 

ドイツの金属労働者16万5,000人が警告スト

2015-02-02

ドイツのアウグスブルクで抗議するIGメタル組合員

IGメタルは交渉中に使用者に圧力をかけるために労働者16万5,000人を動員

 インダストリオール・グローバルユニオン加盟組織IGメタル傘下の金属労働者16万5,000人が、この1週間にドイツ全国の800社近くで警告ストを実施した。このストは、ドイツの労働組合IGメタルが2015年に向けて使用者との産業別労働協約を交渉する過程で実施された。

  IGメタルは先月の2回の交渉を経て、ごくわずかな賃上げと退職権の削減を提案する金属・電機産業の使用者団体による提示を拒絶した。使用者側は、1月と2月を含めずに、3月1日から2015年12月31日までについて2.2%の賃上げを提示している。

  IGメタルは12カ月間で最大5.5%の賃上げを要求している。

 使用者側の案は、部分退職権(従業員が退職前の数年間に労働時間を短縮する権利を有する)の対象を、企業の総従業員数の4%から2%に削減することも狙っている。

 さらに、最も仕事量の多い従業員にしか部分退職の選択権がなく、使用者が、部分退職を選択できる労働者を決定する独占権を有する。

 使用者は、新しい労働協約で訓練や資格取得のために有給休暇を取得できる従業員の範囲を拡大するよう求めるIGメタルの要請も拒否している。

 2月6日にノルトライン・ウェストファーレンで3回目の交渉が始まる。