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第55回協議委員会 - 西原議長挨拶

2012年12月07日

JC共闘の名において全ての産別が連携し
総力あげて2013年闘争推進を

~賃金構造維持分確保をJC共闘における絶対的使命に~

金属労協・JCM第55回協議委員会にご参集の皆さん。大変ご苦労様です。

なお本日はご来賓としてお忙しい中、連合・安永副事務局長にご出席いただきました。後ほど、ご挨拶をいただきますが、全員の拍手で感謝と歓迎の意を表したいと思います。さて本協議委員会は、12月16日投開票に向け4日に公示された衆議院選挙の最中での開催となりました。

金属労協は衆議院解散を受け、民主党への逆風が増す中、組織内候補者をはじめ全国で推薦候補者の必勝に向け懸命な活動を進める構成産別・労組の状況を踏まえ全面的な活動日程の組み換えを行いましたが、本協議委員会については2013年闘争全体の日程配置の観点から本日、予定通りの開催とさせていただき、方針決定と金属労協全体の意思結集を図ることといたしました。ぜひともご理解願います。

衆議院総選挙について

今回の衆議院選挙では第一義的に、09年の政権交代以降の民主党政権への評価が問われます。その意味では民主党が政権交代に託した国民そして組合員の期待を、失望と落胆に転じさせたことは事実です。

しかし長きにわたる自民党政権時代の政官業癒着の硬直的な政策決定が、時代の変化に対応しえないことによってもたらされた社会・経済全体の閉塞感の高まりの中での政権交代は、いわば歴史的必然であったと考えます。

我われは、ねじれ国会をはじめ多くの困難に直面し、幾多の壁にぶつかりながらも懸命に政策実現に努力する多くの民主党議員の奮闘する姿もみてまいりました。

一例をあげれば事業仕分けも含め行政の政策決定の透明化は一定の前進が図られ、雇用法制の規制緩和から強化への方向転換や最低賃金の引き上げ、雇用対策の強化、社会保障制度の子供・子育て分野をはじめとする全世代対応型に向けた改革、中小企業政策をはじめ成長戦略の推進、公共事業削減と硬直的な予算配分の見直しなど多くの分野で、これまでの政策を転換させる成果をあげてきたことも事実です。

特に野田政権の税・社会保障制度一体改革の推進と民自公三党合意は、国家財政が深刻さを増す中で社会保障制度のあるべき方向性を明らかにし、財源的裏付けにより、その持続可能性を高めることで国民生活に関る将来不安を払拭するために、避けて通れない道であると考えます。

今、政治は政争・政局優先により、その機能を果たし得ない状況が続き、そのことが既成政党への国民の不満と政党政治や議会制民主主義そのものへの不信につながっています。

その結果、いわゆる第三極といわれる政党が乱立し、その中で野合的連携が進みましたが、その姿は根っこからの議論の積み重ねによる理念・基本政策よりも、あまりに選挙対策を重視するものであり、その主張にはポピュリズム・大衆迎合的な危うさを強く感じるところです。

いずれにしても我々は、「生活者」「納税者」「消費者」の立場を代表する政党として、理念・基本政策の多くを共有する民主党への支援を強めなければなりません。

民主党は離党者が相次ぐなど深刻な状況の中で衆議院選挙に突入しましたが、組織統治・ガバナンスや政策決定システム等に関る政権与党としての経験・反省・挫折・検証を糧とし、東日本大震災からの復興を着実に進め、国民の命と生活そして国益を守り、活力ある社会・経済を築くための重要な役割と責任を国政において引き続き果たすべきと考えます。

そのために我々も精一杯、努力していこうではありませんか。

特に金属労協として「民間・ものづくり・金属」の政策推進を強化するために、金属労協推薦候補者の古本伸一郎・大畠章宏・平野博文・高木義明の4名の議席を何としても確保しなければなりません。構成産別・労組間の協力体制の強化・徹底を要請します。

2013年闘争とも連動する政策・制度課題について

ここで2013年闘争とも連動する政策・制度について何点か申し上げたいと思います。

円高・デフレからの早期脱却に向けて

現状、歴史的な超円高の継続、電力供給不安と電力料金引き上げによるコスト負担増、FTA・EPA締結の遅れによる国際競争上の過重なハンディに加え、世界経済全体が景気後退・停滞感と先行き不透明感を強める中、特に欧州債務問題に端を発した欧州全体の景気悪化と中国をはじめ途上国経済への波及、加えて日本企業にとり尖閣諸島の領有権を巡る日中関係悪化を契機とした日本製品不買運動と中国経済の減速などが全体として金属産業を苦境に陥れています。

金属産業では輸出が減少し、生産拠点の閉鎖・縮小、海外移転が加速しており、国内産業空洞化、ひいては雇用喪失の危機に直面しています。

金属労協傘下では既に産業・企業によって、事業所閉鎖および重大な雇用問題に対応する産別・企連・労組での懸命な活動が展開されています。

少子高齢化が国内市場の縮小を招き、途上国市場の成長などグローバル市場の構造変化が進む中にあって、ビジネスモデルの革新や新たな付加価値の創出に向けた商品の差別化戦略・技術開発戦略の構築、新成長分野への展開等の産業・企業毎の多様な自助努力が基本ではありますが、現状、金属産業は、職場の懸命かつ献身的な努力を水泡に帰しかねない国際競争力確保の観点からの事業環境上のあまりにも公正さを欠く、不利な状況に追い込まれています。

金属労協は、まずは円高・デフレからの早期脱却を強く求めます。円高とデフレはリンクしています。金属労協は、供給量の少ない通貨がその価値を増すことで通貨高を招き、それによる輸出の減少が国内生産・設備投資の抑制と働く者の雇用喪失・給与の減少を通して消費・需要減を招き、加えて輸入物価の低下がデフレを加速するという悪循環を断ち切る政策の強化を政府・与党・日銀に対し求めてまいりました。

すなわち政府・日銀が、金属ものづくり産業と国内雇用に関する危機感と政策を共有する緊密な連携のもとでの金融政策の遂行を求め、特に大胆かつ迅速な量的金融緩和を主張してまいりました。

その観点から日銀が9月・10月と2か月連続で追加金融緩和を行い、特に10月の日銀金融政策決定会合では、民主党政権の働きかけで「デフレ脱却に向けた取り組みについて」と題する初の政府・日銀連名の共同文書を取りまとめたことに一定の評価を表明したいと思います。

この文書は政府にもデフレ脱却に向けた経済政策運営と構造改革を求めており、我々は引き続き当面1ドル90円台の為替相場とデフレからの完全脱却を図るための成長戦略も含めた経済運営・金融政策を求めます。

なお今回の衆議院選挙に向け自民党・安倍総裁の日銀に対するインフレ目標設定と無制限の金融緩和、マイナス金利、建設国債全額買い取り、そして日銀の独立性にも踏み込む日銀法改正等の主張がなされてきました。当初の主張からは若干、修正されつつありますが、10年間で200兆円ともいわれる「国土強靭化法案」に基づき公共投資を日銀の建設国債買い取りで担保し、さらに金融政策の中身に踏み込んで中央銀行の独立性を侵さんとする言動は危険であり、容認できません。我々は中央銀行に対する安易な政治介入による財政規律の喪失が国家財政の破綻とハイパーインフレにつながること、そして自国通貨の毀損を通じた為替調整を望まないことを明確にしておきたいと思います。

TPP・環太平洋パートナーシップ協定への早期参加を求めて

また金属労協は貿易額に占めるFTA・自由貿易協定の割合が韓国34%、米国39%,欧州連合・EU29%に対し、日本が19%にとどまる状況を踏まえ、TPP・環太平洋パートナーシップ協定への早期参加を求め活動を展開してまいりました。

それはデフレ脱却の観点からも、成長する世界の需要を取り込むとともに対日直接投資を拡大し、特に金属産業の国内立地・良質な雇用を守る上からも不可欠と考えるからです。

正式に交渉入りしたASEANと日中韓、インド、豪州、ニュージーランド16か国による包括的経済連携・RCEP-アールセップおよび日中韓FTAと並行してのTPPへの早期参加をあらためて強く求めます。

2013年闘争に向けた金属労協の基本認識と取り組みの意義

次に本日の主要議題である金属労協2013年闘争については、後ほど若松事務局長より取り組み情勢および具体的方針について提案いたしますが、ここで今次闘争の基本認識および取り組みの意義といった観点から何点か申し上げます。

人材力・現場力を守り高めるために不可欠な「人への投資」

一点は交渉環境において総じて、厳しさと不透明感・不確実性が高まる中での取り組みとなることを認識した上で、産業・企業が直面する危機を乗り越え将来展望を切り拓くための原動力であり、国際競争力の礎ともなる国内事業基盤の維持・強化を根っこから支える人材力・現場力を守り高めるために不可欠な「人への投資」を求めることといたします。

我われは職場の切実な負託に応え、2013年闘争を通じて、雇用確保を前提に、勤労者生活の安心・安定を確保し、職場の懸命な努力と貢献に公正に報いることで前向きな意欲・活力を喚起するための適正な配分としての賃金をはじめ総合的な労働条件改善に全力で取り組んでまいります。

金属産業の位置づけにふさわしい賃金水準をめざすことを基本に

二点目として賃金については、賃金・労働条件と企業の発展が好循環するとの考え方の下、それを支える「人への投資」として、日本を支える基幹産業である金属産業の位置づけにふさわしい賃金水準を目指すことを基本とし、特に賃金水準絶対額を、より重視した取り組みとする必要があります。

その際、基本的労働条件たる月例賃金の水準低下を阻止し組合員の生活を守る観点から賃金構造維持分確保をJC共闘における絶対的使命といたします。

デフレの進行をくいとめるための賃金水準の下支えは連合春季生活闘争において、一定の社会的波及力をもつ金属労協の妥協できない社会的使命でもあります。

なお日銀が10月30日発表の「経済・物価情勢の展望」は、物価見通しについて12年度は7月時点の0・2%上昇から一転してマイナス0・1%への下落、13年度も0・7%上昇から0・4%上昇に下方修正されるなど依然、デフレの進行に歯止めがかかっておりません。

デフレ脱却への経済・金融政策に呼応する民間労使の努力が今こそ求められていることを認識しなければなりません。

加えて中堅・中小をはじめとする産業間・産業内の賃金格差是正、および賃金水準が低下をきたしている組合の水準是正・復元等の課題へ対応して、産別毎の問題認識と賃金実態把握に基づき、改善分確保にも取り組んでもらいたいと考えます。

昨年の闘争では、中堅・中小を中心に1107労組が賃金改善に取り組み、351労組が改善分確保を果たしていることから、各産別には今次闘争でこの流れを止めない努力と改善分要求労組への交渉全体に関るサポート強化を要請します。

JCミニマム運動として取り組む最低賃金の取り組み

三点目は、JCミニマム運動として取り組む最低賃金の取り組みです。賃金水準の下支え、および非正規労働者・未組織労働者の賃金水準底上げの観点から企業内最低賃金協定の締結拡大と水準の引き上げ、併せて特定最低賃金、すなわち産業別最低賃金の取り組みを引き続き積極的に進めていく必要があります。

特に、先の労働者派遣法および労働契約法改正により、派遣労働者と派遣先労働者、有期契約労働者と無期契約労働者との間の労働条件の均等・均衡に配慮することが強く求められることになったことから、その実現の観点からも最低賃金の取り組み強化が重要と考えます。

なお企業内最低賃金については、今回、労働政策委員会を中心に水準の是非も含め、これまで以上に踏み込んだ論議・検討を進めた経過を踏まえ、いまだ4割程度にとどまる締結率の向上と、ばらつきの大きい協定金額についての、全体水準の引き上げに努力してもらいたいと思います。

また特定最低賃金については、全国の8割以上を占める金属産業の役割・責任に基づき、本年度も産別本部・労組・地域の連携の下、160件を超える特定最低賃金の新設・金額改正に取り組み、ほとんどの地域で金額の引き上げを行うことができました。

しかしながら一方で、地域別最低賃金との逆転現象が起きた東京都では昨年に続き今回は3件、神奈川県では2件の特定最低賃金で、使用者側が金額改正の必要性を認めず、「必要性ありに至らず」との結果となりました。

昨年の経過を踏まえ、金属労協の調整の下、産別本部・関係労組・地方組織それぞれが労使の話し合いを重ね、関係者への働きかけを強め、当該産業の使用者が廃止を求めていないことを確認し審議に臨んだにもかかわらず、必要性審議メンバーである使用者側代表が、当該労使の意向を顧みることなく制度廃止ありきで対応したことは、関係労使のイニシアティブ発揮を重視するとの制度の根幹の趣旨を踏みにじる、まさに許されない暴挙であり、断じて容認できません。

したがって金属労協として特定最低賃金の意義・役割の重要性をあらためて認識し、今後も取り組みに全力を尽くしてまいります。

集中回答日などは20日の第1回戦術委員会で決定

以上に加え、ワークライフバランスの実現に向けた取り組み、および先ほども若干触れましたが非正規労働者の雇用・労働条件に関連する法の改正趣旨を踏まえ、法令順守の徹底はもとより、現状からの改善に向けて方針の趣旨に沿った取り組みを実態に即し総合的に進めるとともに、加えて来年4月施行の高年齢者雇用安定法に対応する60歳以降の就労確保に向けた体制整備の強化をお願いいたします。

金属労協として、2013年闘争においても、連合方針に基づき連合金属部門として、その役割と責任をしっかりと果たしていきたいと考えます。

なお集中回答日の設定を含めた具体的な戦術配置については、20日の連合中央委員会および第一回共闘連絡会議全体代表者会議での決定内容を踏まえ、当日夜に開催する金属労協三役会議・第一回戦術委員会で決定することといたします。

新たな組合旗のもと総力をあげてJC共闘の推進を

最後に、ここに新たなロゴマークを入れた金属労協の組合旗を掲げております。本年6月に140カ国5000万名を結集するインダストリオール・グローバルユニオンが結成され、金属労協・IMF-JCも英文組織略称をJCMに改定いたしました。

組織略称変更に伴う新ロゴマーク決定の経緯は後ほど報告いたしますが、この新たな組合旗の下、金属労協としてこれまで同様、「JC共闘」の名において、全ての産別が連携し、総力をあげて「2013年闘争」を推進することをここに確認し、協議委員会冒頭にあたっての挨拶といたします。

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