新着情報(政府に対する取り組み)

府省との政策懇談(2014年7~8月)環境省、経産省、法務省、財務省、日銀、公正取引委員会、内閣府、外務省・防衛省、文科省、国交省

2014年09月09日

 環境省、経産省、法務省、財務省、日銀、公正取引委員会、内閣府、外務省・防衛省、文科省、国交省を訪問し、政策懇談行う

国内ものづくり産業の強化と雇用・労働を取りまく課題等で意見交換

 金属労協は、2014年7月9日に環境省、29日に経産省、30日に法務省、31日に財務省、8月19日に日銀、公正取引委員会、内閣府、外務省・防衛省、26日に文部科学省、27日に国土交通省を訪問し、金属労協「2014-15年政策・制度課題」であげた具体的課題である①ものづくり産業を支えるマクロ環境整備、②ものづくり産業を強化する「攻め」の産業政策、③ものづくり産業における「良質な雇用」の確立、④ものづくり産業の強化に向けたエネルギー・環境政策をはじめとする政策実現をめざして、政策懇談を実施した。各府省等のコメント概要は以下の通り。

①環境省との政策懇談

日  時:2014年7月9日(水)9:50~10:50

環 境 省:田中大臣官房審議官(地球環境局担当)ほか

金属労協:若松事務局長、井上事務局次長・政策企画局長、浅井政策企画局次長、諏訪政策企画局部長

環境省コメント:

環境省との政策懇談

★現状のCO排出量が続けば、平時で気温上昇が4.8℃、海面上昇が82㎝になる。産業革命前と比べ2℃以上気温が上昇すると、世界の総合的な影響、大規模な特異現象が発生するリスクが高くなる。3℃の場合、大規模かつ不可逆的な氷床の喪失で海面上昇のリスクが高くなる。IPCCでは、2100年までに気温上昇を2℃未満に抑えるためには、2050年の温室効果ガス排出量を2010年比で40~70%削減、2100年には、排出そのものをゼロまたはマイナスにする必要があるとしている。2050年には、二酸化炭素をほとんど排出しない再生可能エネルギー、原発、CCS(二酸化炭素の分離・回収、貯留技術)付き火力やバイオマスエネルギーなどの割合を、現状の3倍から4倍近くにすることが必要である。対策が遅れれば、2℃未満を達成するための対応はより困難となり、中期的なコストが増大する。

★日本は、2020年の削減目標として、2005年度比3.8%減(1990年比3.1%増)を登録しているが、原子力発電の再稼働がなければ厳しい数字である。原子力発電の再稼働は、原子力規制委員会にまずは判断いただき、その上で地元の同意を得ることになる。政府が一丸となって取り組まなければならない。

★すべての国が参加する2020年以降の温室効果ガス排出削減の新たな枠組みについて、COP21(2015年秋・パリ)での合意をめざしている。これに向けた温暖化対策目標は、先進国は2015年3月までに出すことになる。日本もエネルギーミックスの姿を描いた上で、目標を示す必要がある。エネルギーミックスについて、早く議論しようと政府は言っているが、原子力の難しさがあり、いつまでにとは言えない。国際的にはゆっくりしていられない。

 

②経済産業省との政策懇談

日  時:2014年7月29日(火)9:50~10:50

経 産 省:平井経済産業政策局審議官(経済社会政策担当)ほか

金属労協:若松事務局長、井上事務局次長・政策企画局長、浅井政策企画局次長、諏訪政策企画局部長

経産省コメント:

経産省との懇談

★アベノミクスの効果で、賃上げが消費に結びつき、投資促進、収益向上の好循環がまわり始めている。有効求人倍率も改善している。非正規労働者の処遇改善や人材育成につながることが大事。

★外国人技能実習制度は国際貢献が目的であり、まずは、制度の適正化が不可欠。建設と造船は特例として、緊急かつ時限的に受け入れ期間を延長している。

★TPPは、モノ、サービス、投資、知的財産等の分野も含め、21世紀型ルールをめざして、野心的交渉をしている。参加国については、高水準の合意ができれば、アジア・太平洋地域に開かれている。

★政府の役割は、事業環境の整備であるが、事業再編をやるかどうか、どのようにやるかは、民間企業の判断である。その促進で経済を活性化していく。

★足下の電力需給は、東西融通がなければ、予備率3%を下回る見通しとなっている。猛暑もあり、予断を許さない状況である。天然ガスコジェネの推進、分散型電源の支援を行っている。電力システム改革は、法案が成立した。国民生活に支障がないように取り組む。

★4月には、エネルギー基本計画を策定した。今後、安全確認された原子力発電は、自治体に事業者から説明することになる。必要があれば、国が前面に立ち、対応する。

★高スキルで安全意識を持った対応のできる原子力人材の確保が課題となっている。廃炉には30~40年かかることからも、中長期の視点で、人材の育成・確保が必要である。技術を維持し、さらに高度化に取り組みたい。廃炉技術の開発支援も行っている。

金属労協コメント:

★企業が短期利益にとらわれると、付加価値の創出にとってむしろマイナスとなり、持続的な発展を損なう可能性がある。企業の判断と言っても、再興戦略などにより誤った誘導がされないようにしていただきたい。

 

③法務省との政策懇談

日  時:2014年7月30日(水)11:00~11:30

法 務 省:東郷入国管理局総務課企画室補佐官ほか

金属労協:井上事務局次長・政策企画局長、浅井政策企画局次長、諏訪政策企画局部長、横田国際局

法務省コメント:

法務省との政策懇談

★外国人労働者の受け入れに関しては、全面的に解禁するということではなく、あくまで建設と造船の2分野に限ったものであり、オリンピック等の建設需要に対し、まずは国内労働者を確保することを優先事項とし、国内で足りない部分を時限的、緊急措置的に外国人労働者で補完することをめざしたものである。

★技能実習制度は見直すべきではないかという指摘があり、「日本再興戦略改訂2014」の中でも、制度を適正化したうえで、拡充を検討していくべきと言及されている。本来の趣旨である人づくりを通して国際貢献することを徹底し、当該制度の適正化を実施していく。そのうえで、優良受け入れ機関にはインセンティブとしての制度の拡充、具体的には実施期間の延長、受け入れ人数の拡大などを認める方向で検討している。

★他の受け入れ機関への実習生の転籍に関しては、全面的に認めることは難しいが、労働法令違反、人権侵害行為など問題がある実習受け入れ機関からは、実習生からの相談を受ける形で機動的な転籍ができるような仕組みの検討を進めている。

金属労協コメント:

★技能実習制度に関しては、2010年の見直しで改善されたが、最近、状況は悪化している。農業などでは、受け入れ人数枠に無理がある。

★海外では強制労働との指摘があるが、制度的に強制労働となっている部分は見直すべきである。受け入れ機関の変更ができるような制度変更をすべきである。

④財務省との政策懇談

日  時:2014年7月31日(水)13:30~14:30

財 務 省:迫田大臣官房総括審議官ほか

金属労協:若松事務局長、井上事務局次長・政策企画局長、浅井政策企画局次長、諏訪政策企画局部長

財務省コメント:

財務省との政策懇談

★賃金については、経済の好循環実現に向けた政労使会議を開催した。ベアも実施され、政府は、自ら関与できる最低賃金で底上げをする。良い循環を息長く続けなければならない。今の経営者は、コストカットしか知らないという声もある。経営者のマインドが変わるかどうかが大事。労働市場がタイトになっている。人件費はコストだからカットするというのではなく、人に投資するという考え方で、人を確保しなければならない。

★(移転価格税制の影響で、円高が是正されても輸出数量が増えないのでは、という声があるが)個別企業の価格設定、企業戦略に、税務当局が口を出すことはありえない。

★2015年度のプライマリーバランスの赤字額は、一定時点から半分にすることがまず目標。頑張れば来年度の目標達成はできる。次に5年後は黒字にしたいが、それはまだ難しい。財政健全化計画をつくるのであれば、実効性がなければならない。法にするかはともかく、趣旨は言われるとおり。

★法人税減税は、経済に良い影響を与える改革をするということを考えなければならない。具体的には年末までに議論する。

★予算編成は予算だけを見るのではなく、実績を見ることも大事。一人ひとり心がけるだけでなく、システム的なものが必要かもしれない。行政レビューシートもそのひとつ。

★租税条約は、国家間の交渉ごとであるため、OECD加盟の先進国では進みやすいが、それ以外の国ではそうはいかないこともある。今の法体系でどう課税するかは、国税当局が説明すべき話。海外展開をスムーズにするには、税制などのインフラがわかりやすく納得いくものでなければならない。

⑤日本銀行との政策懇談

日  時:2014年8月19日(火)10:00~11:00

日本銀行:内田企画局長ほか

金属労協:若松事務局長、井上事務局次長・政策企画局長、浅井政策企画局次長、諏訪政策企画局部長、横田国際局

日本銀行コメント:

★昨年からの動向を見れば、もうデフレではないと感じている。物価上昇率2%については、一時的な達成目標ではなく、毎年2%ぐらいで物価が上がっていく状態が望ましい。

★2%は現時点では達成できると考えている。今のところ、われわれの見通しどおりに推移しており、追加的な措置を行う必要はないと判断している。達成できるかどうかではなく、もし達成できないような状況になれば、達成するまで追加対策を実施するということである。

★思った以上に人手不足感が強い。労働需給はよりタイトになり物価は上がっていくであろう。今年の年末から来年の初頭にかけて、物価目標を達成できるかどうかの勝負どころ。

★物価だけが2%上昇するということになってはならない。並行して景気回復、賃上げが実現できるよう、何卒ご協力をお願いしたい。物価が毎年2%上がっていく環境、仕組みが大事であり、今後の春闘では、2%の物価上昇を前提とした賃金交渉ができるような環境が得られれば理想的。

★物価が上がらない前提の社会を作ってきたことが問題で、企業の設備投資、イノベーションなどを阻害し、日本の活力を削いできた。

★リーマンショック後の5、6年間投資抑制傾向が続いていたので、2014年は設備投資が伸びると考えている。また人手不足の観点でいうと、物価上昇、人口減少の環境下で人手確保が困難になる状況が想定されるのであれば、企業の合理化、省力化投資が増えると考えている。また為替が安定してくると、国内回帰の設備投資が増えてくるだろう。

★現行の為替水準であれば、企業も海外進出を再検討するための余裕ができたのでは。日本は技術があり、また優秀な労働力があるので、人口減社会の到来を見越して、今後日本に何を残すか考える必要がある。

金属労協コメント:

★最近、化学プラント、鉄鋼などの事故が多い。デフレ状況下で設備投資ができていないことが問題で、日本経済の活性化が必要。

★人手不足を利用して景気回復、成長を図るという方向性は一致しており、安堵した。

★ようやく企業が構造改革、設備投資に取り組める土台ができてきたが、経営者のマインドが変わっていない。デフレを前提にした経営をしていてはダメだという意識づくりが必要だと思う。

⑥公正取引委員会との政策懇談

日  時:2014年8月19日(火)13:00~14:00

公 取 委:山田経済取引局取引部取引企画課課長補佐(総括担当)、藤井経済取引局取引部取引企画課課長補佐(企画調査担当)ほか

金属労協:井上事務局次長・政策企画局長、浅井政策企画局次長、諏訪政策企画局部長、横田国際局、宮本JAM産業・業種グループ長

公正取引委員会コメント:

公正取引委員会との政策懇談

★消費税転嫁対策としては、違反に該当した場合に当該事業者に対する指導、より重大な場合は勧告(企業名の公開)といった措置を実施している。被害者側から言い出せないケースがあるので、調査票を送付して情報の吸い上げを実施しており、転嫁を拒否されないような体制づくりをしている。

★消費税転嫁対策に関する違反に対する措置として、指導は約1,000件、勧告が7件であった。消費税転嫁対策特別措置法を施行したため、指導、勧告の件数は前回の引き上げ時より増えている。

★下請法の罰則については、買いたたき、減額等の下請法第4条違反行為を行った場合については、「勧告・指導」の対象にはなるが、罰金の対象にはならない。

金属労協、JAMコメント:

★ 優越的濫用があった事実を公取委に申告した場合、一部品一社のように取引相手が限定されているため、申告したことが納入先に発覚し、納入先から報復措置を受け、今後の取引に支障をきたす可能性があるため、言い出すことができない環境がある。

★ 消費税の価格転嫁についても、JAMで調査を実施したが、多くで転嫁できているものの、一部は転嫁できていない。消費税率引き上げ前に値下げを余儀なくされた事例もある。業界としては過当競争であり、値上げを受け入れてもらえないだろうという潜在的な意識もある。この言い出せない環境をなんとか改善したい。

★ ものづくり産業間の取引では申告が困難なため、優越的地位の濫用に関しては、公取委としては申告後の対応ではなく、労働基準監督署が実施しているような定期的な査察等を実施し、問題を未然に防ぐようにして欲しい。

★ 下請法については、書類の不備のような形式的な違反だけでなく、買い叩き、減額のような違反行為そのものに罰則を設けてほしい。

★ 金属労協としては、円高是正・デフレ脱却ということで取り組んできた。消費税アップにより物価が上昇しているが、サプライチェーンで見れば、下請けからメーカーに価格転嫁ができているかどうかという問題があると考えている。

⑦内閣府との政策懇談

日  時:2014年8月19日(火)15:00~16:00

内 閣 府:前川政策統括官(経済財政運営担当)ほか

金属労協:若松事務局長、浅井政策企画局次長、諏訪政策企画局部長

内閣府コメント:

★「経済財政運営と改革の基本方針2014」では、50年後に1億人程度の安定した人口構造を保持することをめざしている。少子・高齢化、人口激減社会ではなく、性別・年齢にかかわらず、誰もが活躍できる社会、制度を構築する。そのためには、働き方の多様性が大事である。

★4つの課題に対応をとっていく。ひとつは、消費税率引き上げに伴う駆け込み需要の反動減への対応。2つめは、好循環の拡大、成長戦略の強化・深化、生産性向上には、イノベーションとコーポレート・ガバナンスが大事である。法人税改革も目玉のひとつである。ローカルアベノミクスの推進で、東京の一極集中を何とかしたい。3つめは、日本の未来像に向けた制度・システム改革の実施。少子・高齢化を止めるための対策をとる。また、行政サービスを含めて、地域の集約・活性化を進める。「まち・ひと・しごと創生本部」を設置し、地方の魅力や特色を活かし、若者が働くことのできる場、子育てを自然の中で行うことができる場を作り上げる。4つめは、経済再生と財政健全化の好循環。金利が低く抑えられているのは、財政規律を信頼しているからである。財政健全化は経済再生の条件であり、好循環につながる。2015年までに赤字対GDP比半減は達成できると考えているが、2020年度までに黒字化はむずかしい。

★年末に向け、経済の好循環を実現していかなければならない。労働組合の皆さんとも連絡を密にして取り組んでいきたい。

金属労協コメント:

★女性の参画は、労働運動では3割が当たり前になっている。政府が力を入れていただいてありがたい。

★賃上げを1年で終わらせてはいけない。実質賃金が低下となると景気にも影響が出る恐れがある。経営側には、まだデフレ脱却の認識がないのではないか。物価上昇分は賃金を上げるのが当たり前という社会にしなければならない。

⑧外務省・防衛省との政策懇談

日  時:2014年8月19日(火)15:00~16:00

外 務 省:田島経済局政策課長ほか

防 衛 省:石垣毅防衛政策局調査課防衛事務官

金属労協:井上事務局次長・政策企画局長、上口組織総務局主任、横田国際局

外務省・防衛省コメント:

外務省との政策懇談

★外務省では日本企業支援室を立ち上げ、日本企業が海外展開していく上での支援ができる体制を強化している。また、全ての在外公館に日本企業支援窓口を設置し、相談、支援の受付を行っている。

★TPP・EPA・FTA交渉については、8つの交渉を同時進行で進めており、できるだけ早期の締結をめざしている。インド、ASEANについては個別に経済協定を結んでいるが、これらの地域に中国、韓国を含めた東アジア地域包括的経済連携協定、あるいは日中韓の協定についても前進をめざしている。ブラジルについては、南米一体で地域協定(メルコスール)を結んでおり、個別で経済協定を締結するのは難しい。将来的にはアフリカも視野に入れているが、まず手始めに租税条約、投資協定の締結をニーズに合わせて検討したい。

★在外邦人の教育の充実については、できるだけ日本国内と同じ環境が作れるよう支援を行っている。文科省では教員派遣、外務省では現地のニーズに合わせ現地採用教員の給与補填、校舎の賃料補填、学校施設の修繕補助などを実施しており、毎年支援を強化している。ただし国内の教育現場から見ると、海外派遣することによって、現場の人員を減らすことになるので、なかなか前に進まない、現在、退職したシニア世代の教員の派遣などを検討しているところ。

★海外邦人の安全確保の面では、昨年のアルジェリアでのテロを受け、アフリカの7カ国(アルジェリア・エチオピア・ケニア・ジブチ・ナイジェリア・南アフリカ・モロッコ)に新規に駐在官の派遣を決定、39大使館、2政府代表部、合計58名の防衛駐在官を配置している。

防衛省との政策懇談

★防衛駐在官は駐在国で滞在している他国の武官団などとの交流を通して、軍や政府間でしか知り得ない軍事情報を入手する重要な役割を担っている。駐在官の拡充・強化を図るため、外務省と連携しながら進めているが、政府全体としては大きな政府から小さな政府へという流れがあるなかで、防衛駐在官だけを増員するというのは難しいものがある。しかしながら人の命にかかわることであるので、今後も増員の方向性で進めていきたい。

★在外邦人の身の安全を図るため、在留届提出の徹底の周知、また新しい施策として、「たびレジ」というシステムを本年7月より導入した。このシステムに登録することによって短期滞在者向けに、滞在期間中の各国の安全に関わる情報をメールで受信できる仕組み。旅券センターにPRカードを配布するなど、広報活動を実施し、周知していく。

★外国人技能実習制度については、強制労働ではないかという指摘があり、2015年中の制度改正に向けて、政府として抜本的な見直しを検討中。

★ 外国人労働者の受入れについては、東京オリンピック関連施設建設等の需要が高まっている背景から、元技能実習生を活用した建設・造船部門で運用開始することが決定している。ただし、この運用は、あくまでも時限的なもの。

金属労協コメント:

★在外邦人の教育については、現地の学校から日本人の教員が足りないので、学校機能が維持できないという話があったという背景がある。

★金属労協として、日系企業における健全な労使関係構築のためのワークショップを海外で定期的に開催しているので、外務省の日本企業支援窓口をとおして、何らかの形でサポートいただくことを検討していただきたい。

 

⑨文部科学省との政策懇談

日  時:2014年8月26日(火)13:00~14:00

文 科 省:德久治彦大臣官房総括審議官ほか

金属労協:若松事務局長、井上事務局次長・政策企画局長、浅井政策企画局次長、諏訪政策企画局部長、横田国際局

文部科学省コメント:

文部科学省との政策懇談

★海外勤務者の子女教育については、金属産業の国際的な事業展開の増加を背景に、海外在住の子女も増加傾向にある。文科省では海外の日本人学校に対して、国内の教員を海外に派遣しており、今後も在外教育施設の充実を図っていく。

★将来的にものづくりにつながるような、子供たちが自ら創意工夫して課題を解決していく教育が必要と考えており、今後も中学生の職場体験、キャリア教育等を推進していく。また教員については実践的な指導力が重要と考えており、様々なプログラムを通じて指導力の強化を図っている。

★工業高校教育については、工業高校の魅力についての情報発信、技能教育の強化など、それぞれの提言について異論はない。3年就職率がよいのは承知している。東海地区などで発表している事例がある。実習助手の処遇は、各都道府県で決めている。

★余裕教室の活用については、余裕教室の活用事例に関するパンフレットを作成し、地方公共団体に配布している。また本年、有識者会議を設置し、学校施設の管理運営について検討を開始したところであり、今後も関係府省と連携しながら取り組みを実施していく。

金属労協コメント:

★ 在外邦人の教育については、一人あたりにかける公的資金が国内と比べると少ないので、充実を図っていただきたい。

★日本人学校の教員数については、文科省より海外派遣された教員数より、現地採用の教員数のほうが多い学校もあり、現地採用の教員の人件費を外務省と現地の日本人が賄っていることを鑑みれば、現地採用教員の人件費も文科省が支援することが本筋ではないかと考える。

★ものづくりの現場は創意工夫が全てであり、総合的な学習だけでなく、あらゆる教科、あらゆる行事において、創意工夫を大事にする教育、ものづくりを通して、キャリア教育が実施できるような環境を整えていただければと思う。

★工業高校の3年離職率は、ぜひ全国で発表して欲しい。

★工業高校でものづくり教育を担っている実習助手については、地域によって担当業務の現実に見合った呼称を使用している。実習助手の名称と処遇が、仕事の実態に即していない証左なので、見直しを検討していただきたい。実習助手が教員免許を取得するための認定講習についても、都道府県に任せるだけでなく、どこにいても受けられるよう、文科省が配置して欲しい。

★余裕教室を保育所に転換するための現場の作業が煩雑であり、文科省と厚労省で作業の標準化が、まず必要ではないか。

⑩国土交通省との政策懇談

日  時:2014年8月27日(火)14:30~15:00

国 交 省:山本大臣官房技術調査課調整官、小山総合政策局政策課政策調査専門官、勘場総合政策局政策企画専門官、宮島総合政策局技術政策課運輸技術等基準企画調整室長、谷口自動車局技術政策課専門官ほか

金属労協:井上事務局次長・政策企画局長、浅井政策企画局次長、諏訪政策企画局部長、木村大畠事務 所秘書

国土交通省コメント:

国土交通省との政策懇談

★LRT(次世代型路面電車システム)は、学識経験者、行政等で検討委員会を持ち、公共交通を活用した街づくりを検討している。

★小型モビリティは、街づくりやEV、健康づくりなどの幅広い観点で取り組んでいる。補正予算以降、導入促進のため、車両導入に対して半額補助している。成功事例をつくることで、課題・問題点をクリアしていきたい。

★ITS(高度道路交通システム)については、2011年からITSスポットサービスを実施し、道路に設置された「ITSスポット」とクルマ側の「ITSスポット対応カーナビ」との間で広範囲の渋滞データで賢くルート選択するダイナミックルートガイダンスや、ドライブ中のヒヤリを減らすため事前に注意喚起する安全運転支援、ETC等のサービスを実施している。ビッグデータの活用も進めていく。

★社会資本の老朽化に対しては、新技術の活用で費用を抑制するように、維持管理や更新、現場の活用を強化している。構造物にセンサーをつけ、モニタリングすることも検討している。

★老朽化対策は、点検・診断→補修計画の立案→修繕・更新→データの蓄積、というメンテナンスサイクルをしっかりしていくことが大切。施設の規模、設置環境、利用状況等、さまざまな要因が複雑に絡み、対応は千差万別となる。市町村は予算が厳しいので、技術面、財政面の支援をしている。

★オリンピック開催に向けた一時的な建設需要の増大への緊急かつ時限的措置として、外国人技能実習修了者について、建設業務に従事できることとした。日本人と同等の賃金を確保するため、これからガイドラインを作るが、認定の段階で賃金水準を提示させることを考えている。造船業についても、同様の措置を行う。

金属労協コメント:

★ 自治体職員の組合や建設業界の組合が共通して指摘するのは、市町村では社会資本の点検をする技術も人もない、ということである。千差万別というのは理解できるが、それでも、国土交通省が市町村の作業を標準化してあげることが、市町村にとって必要なのではないか。

★外国人労働者については、オリンピックまでの特需なので、時限的に受け入れるのは現実的な対応であろう。従来は、最賃さえ守ればよいということだったが、今回はそれを上回る対応が図られるものと期待している。われわれの懸念は、なし崩し的に短期就労制度につながるのではないかということである。その議論は尽くされていないので、あくまでも時限的な対応とすべき。

★外国人技能実習生も含め、受け入れ機関の変更をできるようにしてほしい。転職の自由が確保されないと強制労働との批判を受ける。