2003〜04年度運動方針

取組の5つの柱 (パワーポイント110kb)

≪目    次≫
運動推進にあたっての基本的考え方
1.時代の変化に即応した、金属運動のさらなる強化と発展の追求
2.日本経済・社会の本格的再生とものづくり産業の発展基盤強化に向けた運動の展開
3.勤労者に安心・安定をもたらす雇用をはじめとする生活基盤の確立
4.国際労働運動のさらなる強化・発展をめざした対応
5.金属労協本部機能の強化と財政基盤の確立

T.金属労働運動の強化・発展と「重点運動課題」の取り組み
1.労使合意による金属産業の発展基盤確立をはじめとする社会的合意形成の取り組み展開
2.連合の部門別運営強化に向けた金属労協機能の一層の強化
3.JC共闘機能の強化と新たな共闘軸の構築
4.アジアを重点地区とした国際労働運動の追求とJCの主体的な役割の遂行

U.向こう2年間の具体的な運動展開
1.労使合意による金属産業の発展基盤確立をはじめとする社会的合意形成の取り組み展開
1)金属産業・ものづくり産業の発展基盤の構築への対応
2)社会的セーフティーネット構築に向けた取り組み
3)雇用をはじめとする生活基盤の確立に向けた取り組み
4)社会的合意形成を支える新たな労使フレームワークの構築
2.日本経済の本格的再生と産業・企業の発展基盤確立に向けた政策・制度、産業政策課題の取り組み
1)重点的な政策・制度課題
2)産業政策の取り組み
3)政策・制度要求の実現のための具体的な取り組み
3.勤労者に安心・安定をもたらす生活基盤の確立
1)JC共闘の強化と新たな共闘軸の構築
2)「賃金・労働政策」の見直し・補強
3)新たな働き方の構築とワークルールの整備
4.国際労働運動のさらなる強化・発展をめざした取り組み
1)IMFを中心とした国際連帯活動のさらなる強化
2)アジアを中心としたIMF−JCのイニシアティブ強化
3)国際労働情勢などに関する情報収集と発信
V.金属運動の基盤を支える活動の展開
1.組織強化の取り組み
1)組織体制の維持と強化に向けた取り組み
2)次代を担う組合役員の育成・リーダーシップコースの内容充実
3)情報ツールの活用による広報活動の充実強化
2.連合の部門別運営強化に向けた金属労協機能の強化
1)連合「金属部門連絡会」の強化に向けた組織体制の整備
2)地方連合・金属部門連絡会議における具体的な運動推進の対応
3.金属労協本部機能の強化と財政基盤の確立
1)会議・委員会の効率的な配置
2)JC事務局機能の強化
3)活動を支える財政基盤の確立
4.創立40周年記念行事に向けた対応

運動推進にあたっての基本的考え方
−経済・社会の変化に適応した運動基盤の確立と、
安心・信頼の雇用と生活の実現をめざす−


2000年10月以降、わが国経済はバブル崩壊後の長期不況のなかで、もっとも厳しい局面に追い込まれました。名目GDP成長率は2001年度には△2.5%、実質GDP成長率も△1.3%となり、まさにデフレスパイラルの深淵に立たされています。2001年秋から実施された大規模な量的金融緩和等により、懸念されていた2002年の3月金融危機を何とか回避し、経済は小康状態を保っているものの、なお予断を許さない状況にあります。
経済のグローバル化・市場経済化が進展するなか、わが国経済の本格的な再生と新たな発展のためには、経済・社会の構造課題の克服、日本型システムの改編が不可欠です。しかしながら、こうした変化は、一方で勤労者の雇用と生活への圧迫要因にもなっており、労働組合として的確に対応していかなければなりません。
また、経済のグローバル化に伴い、中核的労働基準を世界であまねく確立することがますます重要となっています。海外における日系企業をめぐる労使紛争も漸増しており、IMF(国際金属労連)を軸とした国際労働運動の一層の強化が不可欠となっています。
2003〜04年度(2年間)の運動推進にあたっては、こうした情勢を踏まえ、次に掲げる基本的考え方を運動推進の5本柱として、具体的な運動の展開を図り、大産別としての金属労協(IMF-JC)運動の発展をめざします。

1.時代の変化に即応した、金属運動のさらなる強化と発展の追求

グローバル化・市場経済化の進展と、それに対応したわが国経済・社会の構造改革という、時代の大きな転換期にあたり、金属労協も新しい観点に立った運動の強化が求められています。
下記の取り組みを中心として、金属労働運動のさらなる強化と発展を追求していきます。
@労使合意による社会的合意形成のための運動展開
A連合の部門別運営強化に向けた金属労協機能の一層の強化(地方組織含む)
B金属労協の新たな運動展開を支える組織強化の対応


2.日本経済・社会の本格的再生とものづくり産業の基盤強化に向けた運動の展開

わが国はバブル崩壊後の10年間、経済の低迷を続け、とりわけ2000年以降は、まさにデフレスパイラルの危機に瀕しています。早急に経済の本格的再生への道を見出すことが最大の課題となっていますが、その実現にはものづくり産業基盤の維持・強化を図るとともに、今後の社会変化を見据えた政策・制度課題の解決が重要であり、一層の取り組みの強化を図っていきます。
@デフレスパイラルの危機からの早期脱却と安定成長の実現
A構造的諸課題の克服など政策・制度課題の解決に向けた取り組みの実践
B新産業政策の実践と金属産業・ものづくり産業の発展基盤の確立
CCOC(海外事業展開に際しての労働・雇用に関する企業行動規範)締結の取り組みの再強化


3.勤労者に安心・安定をもたらす雇用をはじめとする生活基盤の確立

安心・安定を求める勤労者ニーズに応えるとともに、新たな働き方やライフスタイル確立といった中長期観点を含め、新たなJC共闘軸のもと雇用をはじめとする生活基盤確立の取り組みを進めます。
@JC共闘の強化と新たな共闘軸の構築
A新たな働き方に対応したワークルールの確立
B雇用保険、年金・医療・介護などのセーフティーネットの整備・強化


4.国際労働運動のさらなる強化・発展をめざした対応

グローバル化・市場経済化の進展は、熾烈な国際競争を呼び起こし、中国をはじめとする生産拠点の海外移転の増大、国境の枠を越えた企業再編をもたらしています。これまでの運動を踏まえつつ、新たな時代の変化に対応し、アジアをはじめとする国際労働運動の一層の強化・発展をめざしていきます。
@IMF運動への積極的な参画とJCの主体的な運動の推進による役割と責任の遂行
A時代の変化に対応した国際労働運動展開にあたっての基本的な考え方の再整理

(産別ごとに国際運動展開の方向性・必要性について検証を行い、考え方を整理し、JC運動の強化につなげていく)

5.金属労協本部機能の強化と財政基盤の確立

運動推進とあわせ本部機能の強化を行うとともに、全体の運動を支える財政基盤の確立を図ります。
@各種会議・委員会の効果的配置と各産別との一層の連携による内容の充実強化
AJC事務局機能の強化と運動を支える財政基盤の確立


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T.金属労働運動の強化・発展と「重点運動課題」の取り組み

 「運動推進にあたっての基本的考え方」を踏まえ、2003〜04年度の重点運動課題を明確化し、その実現によって金属産業の勤労者が安心・安定して働き、生活できる社会基盤の確立を図るとともに、金属労働運動のさらなる強化と発展をめざし、金属労協・各産別の一体的な取り組みを推進します。
 そして、この運動を連合運動につなげ、中長期的な労働運動の新たな発展基盤を築くべく、運動課題のまとめと具体的な実現に向けての検討をさらに深めていくこととします。しかし、いずれの課題も労働運動の新たな展開につながる大きな課題であるだけに、金属労協各産別の理解と合意のうえに取り組みを推進していくとともに、各種会議・委員会ならびにJC事務局相互の連携を一層強化していきます。

1.労使合意による金属産業の発展基盤確立をはじめとする社会的合意形成の取り組み展開

金属労協は、2001年9月の第40回定期大会において、「労使合意による社会的合意形成に向けた運動展開」の必要性について確認して以降、運動の考え方に基づいて広く社会的な投げかけを行ってきました。また、2001年10月に連合・日経連が「雇用に関する社会合意推進宣言」を行い、2002年3月には「ワークシェアリングに関する政労使合意」に至っています。
しかし、一方で日本経済が長期的に低迷しデフレスパイラルの危機に瀕するなかで、金属産業は雇用問題を含めて産業として極めて大きな影響を受けてます。しかしながら、金属産業は、今後ともわが国の基幹産業であるとともに、雇用吸収力の高い産業として、その発展基盤の確立は国民生活にとっても不可欠なものであるといえます。金属労協は、こうした問題意識のもと、産業政策の実現や新たな働き方の確立、社会保障分野等の課題を含めて具体的な検討を深め、金属産業労使による合意を実現するとともに、金属産業・ものづくり産業の将来にわたる発展基盤を確立すべく、重点的に運動を推進していきます。

2.連合の部門別運営強化に向けた金属労協機能の一層の強化

金属労協は、前期2年間においてこれまでの検討経緯を踏まえ、金属労協本部事務局機能の強化の観点から局体制の再編・整備を図ると共に、地方連絡会(地連)の活動を県単位活動に移行し、連合本部のみならず各地方連合に対しても理解を求めつつ、地方連合内に「金属部門連絡会」の設置をめざし、強力に取り組みを推進しています。
一方、連合もこうした金属労協の意向を踏まえ、この1年間をかけて組織運営基盤そのものの検討を行うことにしています。金属労協としてもこの動向に的確に対応し、引き続き地方を含め組織体制整備を行うと共に、金属労協機能の一層の強化に向けて取り組みを推進していきます。

3.JC共闘機能の強化と新たな共闘軸の構築
 
金属労協は、これまでも総合生活改善闘争の中心的な役割を担う共闘組織として、JC共闘の一体的な闘争の推進を図りつつ、適宜かつ的確な闘争の改革を遂行してきました。95年闘争からは賃金決定方式として「個別銘柄別賃金決定」に本格的に着手し、2000年闘争からは要求根拠にトレンドとしての付加価値生産性を加えました。また、2001年の闘争方針では、取り組み環境の構造的な変化のもとで「従来通りの春闘の単なる継続は困難である」との課題を提起し、産業部門別共闘の確立の必要性を主張すると同時に、要求の考え方をマクロ経済準拠から産業・企業動向主軸に切り替えてきたところです。しかし、今また闘争をとりまく環境は、時代的に大きな転換点を迎えているものと考えざるを得ません。
 2002年闘争は、その一大契機をわれわれに示しました。輸出型産業としての金属産業は、「世界の工場」と呼ばれるに至った中国の追い上げによって、国内外における競争が激化しており、金属産業は共通の構造的課題を抱えています。また、こうした産業を取りまく環境の厳しさから、経営側の姿勢も変化してきています。
これまでの総合生活改善闘争の取り組みは、賃金・労働条件の相場波及によって上位平準化をめざしてきましたが、今後はミニマム運動の展開など新たな枠組みが必要となっています。われわれは、今後こうした課題を詳細に分析しつつ、JC共闘機能の強化によって共闘体制を堅持し、総合生活改善闘争の再構築をめざしていきます。

4.アジアを重点地区とした国際労働運動の追求とJCの主体的な役割の遂行
 
グローバル化・市場経済化の進展は、日本の金属産業にも大きな影響を与えています。世界的規模での産業・企業再編の動きが企業統合など現実の動きとなって現れており、熾烈を極める企業間競争のもとで各企業は、生き残りをかけてコスト削減のための施策を展開すると同時に、中国や東南アジアを中心に海外事業展開を急速に推し進めています。
 しかしながら、中国をはじめとするアジア諸国は、年々拡大する経済成長のもとで急速に産業水準を高度化し、競争相手として脅威になりつつあるものの、経済・社会基盤は未だ脆弱なままであり、労使関係も未成熟な段階に止まっています。日系企業における労使紛争も年毎に増加をしてきており、主要先進国の労働組合の支援を必要としている実態にあります。今後、経済的にもまた、労働運動の側面からも関係強化は必然の流れにあるだけに、連帯運動の視点に止まらず、より積極的な協力をしていかなければなりません。
 金属労協は、これまでの運動実績を踏まえ、時代の変化に対応した国際労働運動の基本的な考え方を再構築すると共に、アジアを中心に主体的な役割を果たしつつ、国際労働運動の一層の発展を追求していきます。

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U.向こう2年間の具体的な運動展開

1.労使合意による金属産業の発展基盤確立をはじめとする社会的合意形成の取り組み展開

本定期大会で確認した「労使合意による社会的合意形成」の本報告に基づき、下記の課題についてさらに検討を深め、金属産業労使のコンセンサスを求めながら取り組みを推進していきます。 

1)金属産業・ものづくり産業の発展基盤の構築への対応

金属産業が国際競争のなかで今後とも引き続き比較優位の地位を保持し続けるために、金属産業の新たな発展基盤を構築する基本政策の確立が不可欠な状況にあります。そのためには、民間活力が最大限発揮できるよう、各種規制の整理・撤廃や技術革新と環境問題への積極的対応が可能となる新しい政策・制度の検討が必要であると同時に、エネルギー、輸送、通信など日本の産業インフラの高コスト構造の是正や、高度な技術・技能の継承・育成など、労使の共通課題に取り組んでいかなければなりません。
具体的な重要課題としては、次の項目があります。
@金属産業・ものづくり産業における技術・技能の継承・育成
A研究開発投資と技術開発力の強化
Bエネルギー、輸送、通信など産業インフラの高コスト是正
C競争ルールの確立と公正取引の実現
D新産業分野・新規事業・新商品の開発の観点に立った地球環境問題への対応や循環型経済・社会構造構築の取り組み


2)社会的セーフティーネット構築に向けた取り組み

予想を越えて進む超高齢化のなかで、年金・医療・介護など現在の社会保障システムの持続可能性に対して、国民の不信感が高まり、それが経済の混迷の一因ともなるとともに、将来的な企業負担の増大が、国際競争力に甚大な打撃を与えることが懸念されます。ミニマムな生活保障、安心・安定の確保の観点に立った信頼できる給付を確立すると同時に、今後の負担増を可能な限り圧縮すべく、公正・公平・効率的で納得のできる社会保障制度への改革を断行することは、労使共通の課題となっています。
また、いわゆる雇用の流動化が進展するなかで、失業率2%時代の、従来の雇用保険制度では対応できないことは明らかであり、そのあり方について、労使で真摯に検討していかなければなりません。


3)雇用をはじめとする生活基盤の確立に向けた取り組み

経済成長率は、名目・実質ともにマイナス成長に陥っており、消費者物価上昇率も3年連続でマイナス、2001年度には△1.0%となるなどデフレが深刻化しています。雇用情勢をみても完全失業率が依然として5%を超えるなど、厳しい状況が継続しています。また雇用流動化、国際競争力確保に向けた人件費コスト削減もますます激しいものとなっています。
こうした状況のもとで、勤労者は将来生活への大きな不安を抱えており、雇用をはじめとする生活基盤の社会的な確立は喫緊の労使共通課題となっています。具体的には、下記の課題を中心に、労使の合意形成を図っていくこととします。

@労働時間短縮と雇用の維持・確保のための取り組み展開
雇用の維持・確保にとって労働時間短縮は密接不可分です。具体的な労使の合意形成に向けて、その実践のあり方など、さらに検討を深めていきます。

A短期・中長期のワークシェアリングの継続検討と実践
「政労使ワークシェアリング検討会議」のその後の検討経緯を見据え、中長期のワークシェリングを中心に、金属産業にとって望ましい方策を探りつつ、実践につなげていきます。

B新たな働き方の構築とワークルールの整備
非典型雇用労働者の増加など雇用形態の多様化や、働き方のニーズの多様化などの現状を踏まえ、「ヒューマンな長期安定雇用」を基本とする考え方を堅持しながら、新たな働き方やそれに応じた処遇、社会的なワークルールのあり方について検討します。

4)社会的合意形成を支える新たな労使フレームワークの構築

社会的な合意形成を図るためには、そうした運動を支える基盤となる「労使関係」の構築が不可欠であり、労使で合意を形成するための場づくりなどの取り組みが極めて重要となります。
金属労協はこれまで、旧・日経連、旧・経団連との懇談の場を通じて、経営側との協議体制を強化し、共同行動をも展開してきました。引き続き、新しい「日本経団連」との定期協議を行うとともに、協議内容の充実を図っていきます。
また、当該金属産業労使の協議の場として、「金属産業労使会議(産別代表者とその出身企業の労担役員で構成)」を1994年に設置し、金属産業共通の課題について話し合いを深めています。直近においては、労使会議の機能強化を図る観点から、産業別書記長・事務局長と7企業の労務担当を中心としたワーキング・チームを設置し、金属産業をはじめとするものづくり産業の産業基盤の整備・強化のために、ビジネス・インフラ問題を中心課題として、課題の掘り下げのための検討をすすめています。一方で、各産別を通じて、産業別経営者団体とのコンセンサスづくりを進めていく必要もあります。こうした取り組みの積み重ねによって、金属産業を代表する労使会議の構築に向けて、さらに働きかけを強めていきます。

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2.日本経済の本格的再生と産業・企業の発展基盤確立に向けた政策・制度、産業政策課題の取り組み

デフレが依然として進行するなか、経済は一応の小康状態を保っていますが、今後の政策展開の如何によっては、再び危機的状況に陥り、労働・雇用情勢は一段と厳しい段階に入り、勤労者の生活不安・社会不安がこれまで以上に高まることが十分予測されます。こうしたデフレスパイラルの危機から早期に脱却し、安定成長を実現すべく、緊急的な課題に取り組むとともに、わが国経済の本格的再生に向けた構造改革課題に取り組んでいきます。
また、グローバル化・市場経済化が進展し、国際競争が激化、生産拠点の海外展開が急速に進むなかで、国内における金属産業・ものづくり産業の基盤確立を図ります。

1)重点的な政策・制度課題

@労働・雇用政策
失業率が5%を超えるきわめて厳しい雇用情勢のなかで、これ以上の非自発的失業者を出さないよう、経済の本格的再生を図り、新産業分野・新規事業・新商品の開発を促すなど、多面的な対応が必要となっていますが、当面、従来より掲げている三大政策を強力に推進していきます。
a.求職者給付基本手当の給付日数を最長2年間に延長するなど雇用保険の抜本的拡充
b.CSC(コミュニティ・スキルアップ・カレッジ)の全国展開
c.美しい日本再生事業団(仮称)の創設


A構造改革に向けたさらなる提言
政府が進めている構造改革は、郵便事業への民間参入への対応に端的に見られるように、その具体的内容も進捗状態も、当初の目標と対比すると不十分と判断せざるをえません。金属労協として、構造改革のさらなる推進と実現に向けた取り組みを強化し、引き続き的確な提言を行っていきます。具体的には、下記の重点項目を中心とします。

a.税制改革への提言
税制の抜本的改革に向けて、経済財政諮問会議、政府税制調査会における検討が進んでいます。その論点は、自由な経済活動を妨げない、課税の適正化・簡素化、安定的な歳入構造、地方分権(政府税制調査会)などとなっていますが、活力あるいは簡素の名のもとに、勤労者に対してのみ過重な負担を新たに負わせることにならないよう、金属労協として、引き続き取り組みを強化していかなければなりません。

b.社会保障制度に対する提言
年金・医療・介護などの社会保障制度に関しては、予想を越えて進む超少子高齢化社会のなかで、国民の不信を解消し、負担増を可能な限り圧縮し、持続可能な制度としていくために、大きな見直しの時期をむかえています。ミニマムの生活保障としての社会的セーフティーネット確立や負担と給付のバランス重視及び持続可能な制度設計の観点から、各制度に対して積極的な政策提言を行っていきます。

c.行政改革及び財政構造改革に対する提言
行政改革については、2001年1月より省庁再編が行われましたが、今後も「民間にできる分野は民間に委ね、効率的な政府と地方分権を実現する」を基本的な理念として徹底的な業務の見直しを推進すべきであり、特に特殊法人・認可法人については「特殊法人等整理合理化計画」に基づき着実な実施を求めていきます。また、財政構造改革に関しては国の財政赤字や債務残高の水準が危機的状況に近づいていることを直視すれば、現状を放置することはできません。歳出削減を基本政策とし、国債依存からの脱却や中期目標としてのプライマリーバランスの黒字化に向けた着実な改善が図られ、さらにその後の財政構造改革の道筋を提示することを求めていきます。

2)産業政策の取り組み

@金属労協の新産業政策の実践と強化
グローバル化・市場経済化のなかで、わが国金属産業・ものづくり産業の国際競争力が低下するとともに、中国などへ生産拠点の海外展開が加速しています。一方、国内においては、ものづくり産業における技術・技能の継承・育成、産業インフラの高コスト構造是正、さらには技術革新への対応など、重要課題が山積しており、早急な対応が不可欠となっています。日本経済の安定的な成長と国民の生活の安定のためには、基幹産業たる金属産業の発展基盤確立が不可欠であることから、金属労協は2002年9月に確立した「新産業政策」の実現に向け、最大限の努力を傾注していきます。

A第2次環境政策の実践と強化
金属労協は、1999年に総合的な環境政策を確立、2001年には「地球温暖化防止に関する金属労協の考え方」をとりまとめ、2002年9月には、状況変化に対応し、「第2次環境政策」を策定しました。国民的な環境意識の向上、地球温暖化防止対策、循環型社会形成、大気・土壌・水質汚染防止を柱としていますが、とりわけ、京都議定書の削減目標達成に向けて、国民・産業界・政府が一体となった取り組みを展開していかなければなりません。第2次環境政策を実現すべく、広く国民的な合意形成を図りつつ、政府・経済団体への働きかけを強化していくとともに、地球環境への対応は国際的な協力が不可欠なことから、他のIMF加盟組織との連携を図っていきます。
また、金属産業は環境分野と密接な関わりがあることから、環境にやさしい新技術・新商品開発に積極的に取り組んでおり、こうした動きをより促進する環境整備を提言していくとともに、環境税の検討やサマータイム制の導入について継続的な検討を行っていきます。

BCOCの取り組み強化(第2次締結推進活動の展開)
2001年のIMF世界大会を最初の目標として取り組んだCOC(海外事業展開に際しての労働・雇用に関する企業行動規範)を労使で締結する取り組みは、残念ながら具体的成果をあげるまでにはいたっておらず、依然として労使の隔たりが大きい現状にあります。
一方、IMF全体としては、ドイツ、スウェーデン、イタリアなどにおいて、企業行動規範の労使締結に向けた前進が見られ、金属労協としても、こうした成果を参考にこれまでの取り組みを総括し、さらなる運動の強化に向け、第2次締結推進活動を展開していきます。

3)政策・制度要求の実現のための具体的な取り組み

政策・制度要求実現の取り組み強化に向けて、前年度には新たに政治顧問秘書との定期的協議や「金属労協政策レポート」の発刊などを実現しました。引き続き、以下のような政府、政党、経営者団体、連合などへの働きかけを強化し、政策レポートの内容充実に努めていきます。とりわけ、地方における政策・制度課題の解決に向け、本部と地方金属部門との連携強化を図っています。
@政府、政党、関係組織への要請行動
A経営者団体への理解促進活動、労使の社会的合意形成の取り組み
B連合および他産別組織との政策協議・理解促進
C政治顧問との連携強化、政治顧問秘書との定期的協議の充実
D「金属労協政策レポート」の充実


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3.勤労者に安心・安定をもたらす生活基盤の確立

1)JC共闘の強化と新たな共闘軸の構築

2002年闘争において金属労協は、取りまく環境の時代的変化と春闘の役割という観点ならびに各産別の事情の違いを踏まえ、共闘を展開しました。経営側は、産業・企業基盤の確立を最優先課題として、極めて厳しい対応で臨んできましたが、この闘争経過から多くの成果と教訓を得ることとなりました。
金属労協の各産別は、いずれも国内外の競争激化に起因する課題を抱えており、それは金属産業全体で共有できるものです。われわれは、JC共闘を闘争の母体として、今後ともあらゆる課題克服にむけて果敢に取り組みを推進していきます。

@生活改善闘争における新たな共闘軸構築
現在の日本経済は、デフレ、マイナス成長、激化する国際競争といった背景のもとにあり、春季総合生活改善闘争における、賃金・労働条件決定の枠組みと成果配分の考え方が大きな課題となっています。
われわれは、JC共闘強化の観点から、賃金・一時金などを含めた主要な労働条件を視野に入れた新たな共闘軸の構築を図り、運動の発展をめざしていきます。

A個別銘柄別の絶対額賃金水準の形成による金属産業の賃金水準回復
賃金構造基本統計調査によれば、金属産業の賃金水準は全産業平均の95%程度となっています。金属産業の発展には、技術・技能の継承・育成による高付加価値化によって国際競争力の強化が必要であり、そのためには、高付加価値化を支える勤労者にふさわしい賃金・労働条件を実現することが不可欠な取り組みです。
総合生活改善闘争にあたっては、JC共闘として個別銘柄別の絶対額賃金水準の形成をすることによって、低位にある金属産業の賃金水準の回復を図ることを基本に取り組みを進めます。

B大括りの職種別賃金決定に向けた取り組みの推進
雇用移動の増加など労働市場の変化を視野に入れ、「ヒューマンな長期安定雇用」(雇用の移動が勤労者にとって不利にならない長期安定雇用システム)実現の観点から、中長期的な課題として、大括りの職種別賃金の形成に向け、取り組むこととします。

C格差是正の取り組み
国内外の競争激化を反映し、近年、賃金・労働条件の格差が拡大する傾向にあり、従来の上位平準化による相場波及をベースとした取り組みのみでは格差是正の限界にきているといえます。標準労働者の最低到達目標水準の設定や最低賃金協定の締結促進、法定産業別最低賃金の取り組みなど、ミニマム運動を強化していくとともに、格差要因の分析などによって、さらに取り組みを強化します。

D最低賃金協定締結の取り組み強化
賃金において能力・成果を反映する比重が高まっていること等に対応し、賃金における最低規制の必要性が高まっています。このため、年齢別最低賃金、企業内最低賃金協定の締結に向けた取り組みを強化することとします。さらに、雇用形態の多様化に対応し、全従業員を対象とした最低賃金協定の締結を促進します。

E法定産業別最低賃金の取り組み強化
法定産業別最低賃金を取りまく環境は、経営者団体等から産業別最低賃金の廃止が主張されるなど、厳しさを増しています。しかし、産業ごとの賃金の最低規制である産業別最低賃金の役割は、グローバル経済化による国内外の競争激化や、非典型労働者の増加など労働市場の変化によって、ますます重要性を増しています。
金属労協においても、賃金決定におけるミニマム運動の観点からも、産業別最低賃金の取り組みを更に強化していかなければなりません。金属最賃会議の取り組みを受けて「最賃センター」を設置し、連合、地方組織との連携を強化しながら、産業別最低賃金の拡大・発展をめざした運動の展開を図ります。

  【最賃センター】
事務局長のもとに「最賃センター」を設置し、法定産業別最低賃金の創設と金額改正など、拡大・発展に向けた取り組みを推進します。
(1) 具体的な活動
@最低賃金審議会に意見反映を行うべく、対応方針を確認します。
A法定産業別最低賃金の金額改正・新設に向けて、取り組み方針の確認、取り組み状況の把握と情報提供を行います。
(2) 運営機関
@運営委員会
中央最低賃金審議会委員と事務局で構成し、最低賃金審議会に意見反映を行うべく、対応方針の確認を行います。
A最低賃金対策委員会
各産別の最低賃金担当者で構成し、法定産業別最低賃金の取り組み方針の論議・確認を行います。
(3) 事務局
労働政策局内に設置します。

2)「賃金・労働政策」の見直し・補強

われわれは、ヒューマンな長期安定雇用を基本とし、多様な人材が持ち味を活かして、独創性や独自の技術・技能を発揮できる専門性を重視する制度、すなわち、専門的能力を重視した複線型処遇制度を中心とした「賃金・労働政策」を97年9月に確認しました。しかし、それ以降、成果主義賃金の導入など処遇制度の見直しが顕在化していることや、定昇制度見直しの主張が強まってくるなど、賃金・労働条件決定を取りまく環境は変化してきています。
こうした状況を踏まえ、「賃金・労働政策」の補強を含めて見直しを進め、賃金・処遇制度の再検証を行い、賃金・労働条件決定の枠組みなどについて、金属労協としての考え方を取りまとめることとします。

3)新たな働き方の構築とワークルールの整備

非典型雇用労働者が増加している現状を踏まえ、「ヒューマンな長期安定雇用」を基本とする考え方を堅持しながら、新たな働き方やそれに応じた処遇のあり方、社会的なワークルールの整備について検討し、賃金・労働条件の整備を進めていきます。

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4.国際労働運動のさらなる強化・発展をめざした取り組み

1)IMFを中心とした国際連帯活動のさらなる強化

グローバル化の進展により、労働組合の国際的な連帯がこれまで以上に強く求められています。IMF−JC(金属労協)はIMF(国際金属労連)の中核的組織として、またアジア地域を代表する執行委員を擁立する組織として、IMF諸活動へ積極的に参画・寄与するとともに、IMFアクション・プログラムの国内活動への展開を図ります。

@IMF諸会議への積極参加と意見反映
IMFが開催するIMF世界協議会・各作業部会・国際連帯諮問グループなどの諸会議やセミナーへ、加盟産別の協力のもと積極的に参加します。また、女性代表が参加できる環境づくりに努めます。
アジア太平洋地域を代表する執行委員を擁する組織として、日本のみならずアジア地域の意見をIMF運動へ反映させていきます。世界のIMF組織の仲間と共にIMF諸活動へ積極的に参画し役割を果たしていきます。

AIMFアクション・プログラムの国内活動への展開
2001年11月のIMF世界大会で採択されたIMFの運動方針である「IMFアクション・プログラム2002―2005」の実現に向けて具体的な活動を検討し、国内活動へ展開します。加盟産別と連携してIMFが行う国際連帯キャンペーンなどの活動に積極的に協力します。
IMFの刊行物やウェブサイトなどの日本語版を作成するとともに、IMF−JCの教育・広報活動の一環として国際活動の啓蒙に努めます。

Bアジア地域労組のネットワークづくりと東アジアサブリージョンへの主体的参画
IMFを中心としたアジア地域の金属労組との連携とネットワーク構築に努めます。アジア地域におけるIMF会議や定期協議・交流について調整を行い、効率化をめざした活動を模索します。
歴史ある東アジア地域事務所が2002年6月に閉所されました。これからはIMF本部と連携して東アジアサブリージョンの運営に主体的な役割を果たし、各IMF加盟組織との連帯を更に深めます。

2)アジアを中心としたIMF−JCのイニシアティブ強化

経済のグローバル化により世界規模の企業再編や生産拠点の移転が進み、日本の金属産業もアジア諸国において大きな変化を余儀なくされている中で、各国における労働基本権をはじめとする国際労働基準の確立が強く求められています。その実現のためには、IMFの国際連帯活動の積極的な推進が重要であり、アジアにおけるIMF−JCの果たすべき役割は特に大きなものがあります。国際的なニーズに応えるため、IMF−JCに求められる国際活動を再構築し、IMF−JCのイニシアティブをさらに強化します。

@国際労働運動展開にあたっての基本的な考え方の確立
これまでの運動の実績を踏まえ、グローバル化の進展による状況の変化に対応した国際運動の展開を図るため、加盟産別の国際活動の方向性と重点課題を把握しながら、IMF−JCに求められる役割の整理と、国際労働運動展開にあたっての基本的な考え方を確立します。
また、IMFの国際連帯活動に対してはIMF−JCとしての対応方針を明確にした上で、積極的に支援・協力していきます。
加盟産別の国際協議・交流・連帯活動については、相互理解と連携を深め、IMF−JCとしてサポートするとともに、活動の調整を図ります。

Aアジアの金属労組との連携強化と社会的セーフティーネット整備への対応
アジアの金属労組との連携を強化し、アジア地域を中心とした組織化、労組幹部養成、中核的労働基準遵守、安全衛生などの支援活動を積極的に行います。
アジア諸国において、社会的セーフティーネットの制度における不備が多く指摘されています。IMF−JCとして各国の基本的な共通課題(安全衛生、健康、失業、職業訓練など)について状況の把握に努めます。また、日本や欧米諸国の制度の概要や問題点と課題ならびに労働組合の対応について、アジア各国の組織の理解促進を図ります。
さらに、アジア各国の労働者に大きな影響を及ぼすような制度変革が計画もしくは導入された場合には、国際的な社会政策という観点から、IMF本部をはじめ各国のIMF加盟組織と連携をとりながら、対応していきます。

Bアジア地域の金属労組幹部への教育・研修活動
東南アジア各国の組織を対象としたIMF−JC主催アジア金属連帯セミナーの更なる充実に努めます。
研修生については、これまで通り韓国、中華民国ならびに東南アジア諸国から受け入れます。自費による研修団の受け入れ要請についても、国際委員会の判断にもとづき各種支援も含めて対応します。
また、国際労働財団(JILAF)が主催するセミナーのうち、金属産業に関連する分野について積極的に協力していきます。

C中核的労働基準の確保のための取り組み
ILO(国際労働機関)の中核的労働基準(団結権・団体交渉権の保証、強制労働・児童労働の禁止、差別の撤廃)は、加盟国のみならず、世界中の国々で遵守されるべき規範です。特にアジア地域において、中核的労働基準を侵害している現地の法制度、労使慣行などに対し、IMF本部・地域事務所ならびに加盟組織と連携して積極的に改善への取り組みを行っていきます。

D日系海外進出企業に関する取り組みの充実
日系企業の海外事業所において、労使紛争の発生が漸増しています。労使紛争が発生した場合は状況の把握に努め、加盟産別・関係単組の協力により、平和的な解決のための調整活動を迅速に行います。また、海外の当該労組へ日本の対応について理解を求めるとともに、IMF本部およびIMF地域事務所とも連携し、平和的な解決に向けた協力を要請します。
海外での労使紛争の発生を未然に防ぐため、日系海外進出企業の組織化状況や労使関係を含めて、加盟単産を通じて該当する単組への情報提供に努めます。また、経営側に対しては、国際労働情勢の動向について理解を求めるとともに、現地の労働組合と日常的に充分な協議と情報交換を行うなど、具体的対応も含め、取り組みを展開していきます。

3)国際労働情勢などに関する情報収集と発信

グローバル化の進展により、各国の経済のみならず労働運動においても大きな変化が生じています。私たち金属労協の国内運動の展開ためにも、国際労働情勢に関する情報のデータベース化が求められています。特に世界の注目の集まる中国をはじめとする東南アジアに関する情報は重要です。そのためにも、効率的な二国間協議や交流の実施ならびに調査団の派遣によるデータ収集が必要です。また、国際労働運動の展開に際して、関係諸団体との情報交換と連携を図ります。

@IMF加盟組織を中心とした各国情勢や労組情報の収集・整理と発信
各国のIMF加盟組織や労働組織に関する状況の把握、さらに国内労働運動における政策・制度や労働政策などの主要な課題に関連した海外情報の収集と調査活動を行います。また、協議・交流、セミナー、ならびに調査団などで得られた情報を併せて分析・蓄積し、必要な情報を提供できるようデータベースの整備を行います。
IMF−JCの主要な活動や日本の労働運動について英文の情報を整え、ホームページなどに掲載し、IMF本部・海外組織ならびに調査で訪問した組織などへ情報を提供していきます。

A定期協議・定期交流の実施
二国間定期協議についてはこれまでの実績を踏まえ、さらなる充実を図ります。また、定期交流については、将来、定期的な協議の場としていくことを含め、あり方について検討していきます。
なお、二国間投資協定ならびに自由貿易協定の分野については、連合を通じて対応します。

B調査団の派遣
政策・制度課題や労働政策など国内運動の重要な課題について、調査テーマと訪問先を選定し、IMF本部及びIMF加盟組織やJC加盟産別の協力を得て各種調査団を派遣します。

C国際労働セミナーの開催
国際労働セミナーは、国際感覚を養う場としてタイムリーな国際労働課題をテーマに開催してきました。引き続き、国内労働運動の重要な取り組みなど時宜に適した課題ならびに各国に関する調査テーマの中から、更に理解を深めるべき分野と課題を選定し、該当するIMF加盟組織や研究機関から講師を招聘して開催します。

D連合、国際労働団体ならびに国際関係諸機関との連携
連合の国際活動には、大産業別組織として連合運動の強化発展のためにも、加盟産別と協力し、国際委員会や多国籍労組委員会活動に積極的に対応していきます。
連合を通じてICFTU(国際自由労連)やICFTU−APRO(国際自由労連アジア・太平洋地域組織)などと友好・協力関係の構築に努めます。GUF(Global Union Federation国際産業別組織ITSの新呼称)加盟組織ならびにそのアジア地域や日本の協議会組織および事務所と積極的な情報交換を行います。
IMF本部を通じて、社会条項の確保など、労働側の意見を反映させるためにILO、OECD(経済協力開発機構)、WTO(世界貿易機関)などの国際関係諸機関に働きかけを行います。

E中国などIMFが組織化していない地域・国の金属産業労働組合への対応
中華人民共和国については、IMF方針を基本として、中華全国総工会傘下の金属産業の組織である機械冶金建材工会および国防郵電工会と交流します。研修団の受け入れ、ならびに訪中団の派遣を行うとともに、世界から注目されている中国について積極的に情報を収集・分析します。
ベトナムについては、IMF東南アジア地域事務所と連携し、ベトナム労働総同盟傘下のベトナム建設・産業労組との交流を模索していきます。

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V.金属運動の基盤を支える活動の展開

1.組織強化の取り組み

1)組織体制の維持と強化に向けた取り組み

グローバル化の進展等による産業構造の大きな変化は組合員の大幅な減少を招き、労働運動の根幹をゆるがす状況になっています。このような状況下で、労働組合の本来の運動目的である、組合員の雇用と生活を守ることが喫緊の課題であるといえます。金属労協としては、金属運動の基盤を支えるための組織体制の維持・強化に向け、各産別との連携を強化しつつ、具体的な運動展開を行っていきます。

@雇用確保に向けた金属労協全体での組織展開の検討
金属各企業における生産の海外移転に拍車がかかり、予想以上のスピードで国内の空洞化は深刻化してきています。特に、2001年から2002年にかけての失業率は戦後最悪の事態となり、われわれ金属産業で働く仲間の雇用維持こそが喫緊の課題であると言えます。しかし、従来どおりの単組、産別主導の雇用対策だけでは対応できる状況を超えてきており、新たな雇用確保に向けた運動展開が求められています。
企業、産別の枠を越えた金属労協全体での雇用確保に向けた取り組みの早急な検討を開始します。

A多様な雇用形態に対応した組織構築のあり方の検討と実効ある運動展開の実践
急速に広がる多様な雇用形態のもとで、どのように組織構築を行っていくかがこれからの重要なテーマであり、同じ金属産業で働く仲間として、非典型雇用者を含めた運動展開を早急に検討していかなければなりません。そして、労働組合の機能強化に向けた組織の役割を再確認し、実効ある運動展開をしていかなければなりません。

B政治顧問との連携強化による政策制度要求実現と政治活動の取り組み強化
政策制度要求実現に向け、政治顧問との連携を強化します。具体的には、政治顧問との定期的な情報交換などにより、要求実現に向けた取り組みを強化します。
また、金属労協としての政治活動について再整理し、特に、各産別から推薦された国政選挙の候補者については、金属労協全体で支援を行っていきます。

2)次代を担う組合役員の育成・リーダーシップコースの内容充実

金属労協は従来から、年2回の労働リーダーシップコースを実施し、産別、単組の枠を越えた、金属の仲間としてのネットワーク作りと、これからの時代を担っていける組合役員の養成を行ってきました。そして、前期から従来の東日本コースを上級コースに衣替えし、西日本コースは統合した基礎コースとしての位置付けを明確にし、産別、単組のニーズに応えるべく、内容の充実強化を図ってきました。今後も2つのコースの特色を活かし、次代を担う組合役員の養成に向け、内容の充実を図っていきます。
具体的には、教育広報担当者会議や運営委員を務めていただいている学識者の意見・アドバイスを基に、更なる内容充実を図ります。

3)情報ツールの活用による広報活動の充実強化

「金属労協の広報のあり方」に基づいて、あらゆる情報ツールを効果的に活用し、情報提供を行っていきます。具体的には、インターネット媒体では、@公開ホームページの内容改善(見やすさと使いやすさ)、A会員用ホームページ(JCネット)の充実を図ります。紙媒体では、機関誌の内容充実を図ります。
また、将来的な金属としての情報の一元化をめざし、金属労協と各産別との広報ネットワークの構築に向けた検討を開始します。

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2.連合の部門別運営強化に向けた金属労協機能の強化

連合は、本部ならびに地方連合の運営方法を従来の産別運営から部門別運営にシフトするための検討を行っています。そして、2002年春季生活闘争の取り組みから、「連合の統一要求基準は『賃金カーブ維持分プラスα』とし、プラスαは産業別部門連絡会との調整のうえ各産別で決定する」との産業別部門重視の方針に切り替え、取り組みました。
こういった連合の部門運営強化の方向性を受けて、金属労協は連合運動の強化発展に向け、連合金属部門としての役割と位置付けを金属労協内で確立し、先行的な対応を行っていくこととします。具体的には金属労協本部に連合金属部門の事務局機能を持たせ、連合、各産別との連携強化を図りつつ活動を推進します。
また、金属部門の全国展開に向け、各県の金属部門連絡会の立ち上げを本部および地方連絡会(地連解散後はJC地方ブロック)と協力して重点的に支援します。

1)連合「金属部門連絡会」の強化に向けた組織体制の整備

@金属労協本部機能(金属部門事務局)の強化と連合本部との連携強化
金属部門中央の事務局機能を金属労協本部で行うための具体的な展開について連合本部との調整を行い、連合全体の部門運営強化に向け、先行的な役割を担っていきます。

A地方連合・金属部門連絡会議の全県設置と組織体制整備の対応
金属産業のある都道府県全てに、連合金属部門の設置を行うべく、従来の地連ならびに地方連合との調整を行っていくとともに、連合本部からの積極的なアプローチを要請していきます。・BR>
B金属労協地方ブロックの設置
金属労協は、地方連絡会(地連)を中心とした地方組織の運営主体を、県単位の連合金属部門連絡会に移行し、各県連合における金属の役割と責任を果たしていくための基盤整備を進めてきました・BR> しかし、地域による運動の温度差は大きく、すぐには金属のある全県に部門連絡会を構築することは難しい状況です。また、推進の中心的役割を担ってきた地連も、9月以降順次解散していきます・BR> このような状況下で、部門連絡会の設置を継続的に推進するために、立ち上げ拠点として地方ブロック(本部直轄組織)を設置します・BR>
2)地方連合・金属部門連絡会議における具体的な運動推進の対応

@政策・制度課題解決に向けた取り組みの強化
行政の地方分権が進む中で、地域における政策制度要求活動は従来以上に重要な取り組みになってきます。そこで、地方連合内における金属部門の役割を政策制度部分で十分に発揮できる組織体制の構築に向けサポートします。具体的には、本部主催の政策勉強会の開催を地方ブロック単位で実施していきます。

A最低賃金の維持・発展に向けた枠組み強化の取り組み展開
経営者側の産業別最賃廃止論が強まる中で、より全国組織が一体となった活動展開を行えるように、最賃センターを中心とした組織体制の構築を行っていきます。

B各種研修会の開催による教育・実践活動の強化
春季生活闘争の推進に向けた地方ブロックや県単位の研修会とともに、産業政策や最低賃金の取り組みなどに関わる研修会の開催などについても、積極的に各県、あるいは地方ブロックの金属部門連絡会と調整を行いながら推進していきます。

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3.金属労協本部機能の強化と財政基盤の確立

運動の基盤となる金属労協本部の機能強化を図っていきます。また、運動を支える財政状況が厳しくなる傾向の中で、より効果的な財政配置を行っていきます。

1)会議・委員会の効率的な配置

運動推進の機軸になる機関会議の配置や、運動決定プロセスを担う各種委員会の配置を効率的に行っていきます。
@大会、協議委員会等の運営の効率化による費用対効果のアップを図ります。
A三役会議については連合の三役会議に対応できる配置を基本とし、連合運動と連携しつつ、内容の充実を図ります。
B各種委員会については、効率的な会議配置によりタイムリーな機関開催をめざします。
C産別運動との連携を十分に行うための会議、委員会配置を行っていきます。


現在の局体制は維持することとし、専門委員会・担当者会議を以下のように配置します。



2)JC事務局機能の強化

金属労協本部、事務局機能のアップを図るための専門局間の連携強化と、本部内のより一層のレベルアップを行います。
@4局間の連携を従来以上に強化し、一体的な取り組みをめざします。具体的には事務局会議の持ち方を改善し、情報の一元化と活動の相互協力を実施します。
A新たにスタートした職員の賃金人事制度の運用を進めながら、内容充実を図っていきます。


3)活動を支える財政基盤の確立

財政については活動の質を落とさずにコスト削減を行う部分と、活動の重点化による財政の充当部分、スクラップ部分を明確にし、管理運営を行い、実効性のある活動に結びつけます。

4.創立40周年記念行事に向けた対応

金属労協は、2004年5月に結成40周年を迎えます。そこで、昨年7月の第12回常任幹事会で確認した内容に基づき、40周年にふさわしい記念行事等についての検討を開始します。