来賓挨拶
連合運動の牽引力としてJCの役割に期待
古賀 伸明
連合事務局長
古賀 伸明

 皆さん、おはようございます。ご紹介をいただきました連合本部の古賀でございます。ここに来ますと金属の仲間の皆さんのお顔を見て、ほっとする感じがするわけですけれども、早いもので2005年の定期大会で連合のほうに出まして、2年が経過しようとしております。
日ごろIMF−JCの皆さん方、加藤議長をはじめ、本部の皆さんは言うに及ばず、各構成組織の皆さんには、全国で連合運動に対しますご支援、ご指導をいただいておりますことに、改めて、心から厚く御礼を申し上げます。
 本来、木会長が来てごあいさつを申し上げるところでございますけれども、先ほど議長のごあいさつの中にもありましたけれども、昨年、ICFTUとWCLが統合しITUCが結成され、ちょうど、今、アジア地域の新しい組織の結成大会に参加のため海外出張をしておりますので、私がお邪魔をさせていただきました。何卒ご理解をよろしくお願いいたします。

緊張感ある二大政党体制確立に大きな一歩
 議長団のごあいさつ、加藤議長のごあいさつでございましたように、7月末に行われました参議院議員選挙、皆さん方の大変なご尽力に心から敬意を評しますとともに、私どもが過去からずっと追い求めてきた緊張感ある二大政党的体制の確立に向けて、日本の政治も大きく一歩踏み出したのではないかという感がするわけでございます。ただ、政党と労働組合というのは異なる組織であるということはきちっとけじめをつけておく必要がありますし、政策面でも、これからさまざまな政策がおそらく国会の論戦の中で、すべてがすべて私たちと同等の政策なのかということの支持、そして、それに対する連合、労働組合の対応も問われることになる、そんな場面が多く来るのではないかと思っています。そういう意味では、我々の政策を政策としてきちっとブレずに掲げて、それを実現させるためにどうあるべきかという行動をとらなければならないでしょうし、そこには政党と労働組合を同一化しない、きちっとしたけじめと、お互いの役割、責任というものを明確にしておかなければならないと思っているところです。
 さはさりながら、9月10日から始まる臨時国会、そして、自民党を中心とする自公与党政権、農水大臣の辞任という極めて異例な展開になっておりますので、事ここに来て、我々はやはり次につながる衆議院選挙に勝利し、まさに政権を交代させていくことを1つの大きな目標として掲げ、日ごろの活動、運動に、そのことを頭に入れながらやっていかなければならないのではないかということを申し添え、IMF−JCの皆さん方の参議院議員選挙でのご尽力に心から敬意を評するとともに、今後ともそれらの活動、運動に対する積極的な参画をぜひよろしくお願いをする次第です。
 参議院議員選挙直後に2年に1回連合が開いておりますトップセミナーを開催しましたが、最後のセッションのリレートークで、私はマックス・ヴェバーのこんな言葉を引用いたしました。マックス・ヴェバーの名著『職業としての政治』というのがよく引用されますけれども、「政治とは、情念と判断力の2つを駆使して、固い板に力を込めて、徐々に徐々にくり抜く作業である」とあります。まさに情熱を持ち、繰り返し、繰り返し、不可能を可能にする、アタックする姿勢を説いたものだと思います。これは、政治家とか政治のみならず、難しい時代に労働運動に携わる私たち自身の行動のあり方を示したものではないかと思っているわけです。
 さて、先ほど議長のごあいさつの中で、連合に対するご注文、あるいは連合に対する運動の質的な変化、変革等々についてもご提起がございました。我々も真摯に受けとめながら、そのことを運動に反映していきたいと考えているところです。

連合の新運動方針の5つの柱
 本年10月11〜12日に連合の定期大会を開きますが、それに向けて、今、運動方針の議論をスタートさせ、9月の中央執行委員会では、あらかた最終の議論をしようということで内部議論も含めて、今行っております。私たちが今立っている情勢、そして、さまざまな課題等々は、おそらく皆さん方と共通認識であろうと思います。したがって、主な運動として5つの視点から運動方針の中にうたおうということで、今、論議をしているところです。
@働く者全体のネットワークの構築
 1つは、組織拡大、組織強化とともに雇用形態に関係なく働く者全体のネットワークの構築ができないかということです。具体的には、仮称ですが、非正規、非典型の労働者を対象にしたセンターを創設し、1,700万とも1,800万人とも言われる非正規、非典型雇用に焦点を当てた運動の展開ができないか、あるいは地域活動の強化ということで、地協強化をこの2年間やってきました。このさらなる推進、地域でもう一度労働運動を展開することによって運動全体、地域が活性化できないか等々のことを推進していきたいと思っています。
Aワークライフバランス、ディーセント・ワークの推進を強化
 2つ目は、労働条件の向上とともに、ワークライフバランス、あるいはILOが唱えるディセント・ワークの確立に向けて、我々は運動としてこの推進を強化していかなければならない。もちろん、その底辺は、現在の格差がある社会の底上げにどれだけ力を入れていくか、まさに働く者のための生活者としてのワークルールをどう整えていくかということになります。最低賃金の問題、時間外割増率の問題、均等処遇の問題等々、もちろん分配構造をどうしていくかということもその中に含まれています。
B雇用政策と社会保障を連動した社会的セーフティーネットの構築
 3つ目は、雇用政策と社会保障を連動した社会的セーフティーネットを構築していこうということです。これは一言で言えば、連合の政策部隊が加藤政策委員長のもとでさまざまな論議を重ねながら、2008年、2009年の要求と提言にまとめたものですけれども、社会保障の問題しかり、医療、介護、年金の問題、あるいは雇用政策と生活、あるいは職業、就労というものを一体化したパッケージで、いま一度組みかえる必要があるのではないか。あるいは所得再分配機能の強化や公正、透明である税制の確立は言うまでもないことです。
C国際労働運動との連携強化
 4点目は、国際労働運動との連携です。先ほど、全体の中でのJCの役割についても議長のごあいさつの中で触れられました。まさにグローバリゼーションの激化は、日本単独の運動では限界がある。そういう意味では、ITUCあるいはILO、多くの産業別国際組織とも連携をとりながら、グローバル化の負の側面を国際労働運動としてどう押し返していくのか。どう負の側面を新しいものにつくり変えていくのかということが問われているのだろうと思います。
 その根底には、やはり人間を中心としながらの働くこと、労働というのがキーワードになるでしょうし、そのために連合としても、その役割と責任を果たしていかなければならない。
 また、ご存じのとおり、来年2008年にはサミットが日本で開催されます。当然のことながら、レーバーサミットと称して、サミット開催国では労働運動、労働組合のサミットも開かれることになります。この場で連合として、あるいは日本として国際的にどういう議論をし、そして、どういう発信をするのか。この2年間ではこのことも非常に重要な取り組みになってくることもご報告をしておきたいと思います。
D政治の課題
 最後の5つ目の課題は政治の課題です。これはもう冒頭申し上げました。今、まさに戦後ずっと続いてきた政治体制をどう新しいものにつくりかえていくのか。まさに我々の働き方、暮らし方、生き方に直結すべく政策・制度の課題がたくさんある中で、このことにタッチをしないと、我々の働く、暮らす、生きるということの質は向上しない。
もう一度皆さん方とこんなことを共有化しながら、5本の柱を中心に、今、議論を詰めているところです。

最後に
 IMF−JCの皆さん方の変わらぬ連合運動に対しますご支援、ご指導を心からお願いを申し上げるところです。
 また、今年、連合は役選を控えております。IMF−JCの構成組織の皆さんに、今、連合運動にぜひ人材を輩出、派遣してほしいということでお願いをさせていただいております。前向きなご検討もお願いしておきたいと思いますし、資料にございますように、小出さん、中野さんがこの大会をもってご退任されるということでございます。両人とも、私自身も非常にお世話になりました。新しい立場でのご活躍をお祈りしますとともに、今日までのご労苦に心から感謝を申し上げながら、IMF−JCが連合運動の1つの大きな大きな固まりとなって連合運動を引っ張っていただくことを心からお願い申し上げ、大変粗雑でございますけれども、連合を代表してのごあいさつにかえさせていただきたいと思います。  今後とも、どうかよろしくお願いいたします。ありがとうございました。(拍手)