第47回定期大会
木剛
  来賓挨拶
  格差社会の解消に全力を

     連合会長 木剛

◆格差社会の最大原因は非正規の急増
格差社会が津々浦々で問題視されている。その最大の原因は非正規雇用の急増だと考える。全労働者の3割がパートタイム、派遣、請負、等の非正規雇用で、その殆どが極めて短期の契約で雇用されている。高報酬を得ている者も中にはいるが、処遇はおしなべて非常に悪く、いまやワーキングプアが1千万人以上に上る原因となっている。こうした雇用形態の格差が所得格差を生み出し、教育や生活、家族のあり方にまで影響を及ぼしている。例えば、低所得者の離婚率が高い傾向にあるが、経済状況を理由にした離婚であると考えられる。その問題を放置していれば、日本社会は瓦解しかねない。

◆働き方をめぐる諸問題の解決へ全力を
働き方をめぐる諸問題について、あらゆるレベルで危機感を共有していかなければならない。そうした機運はできつつある。今日、労働者派遣法の改正が注目されているが、次期国会でも大きなテーマになると思われる。また、最低賃金の引き上げにも尽力したい。
最低賃金が低い県(秋田県、沖縄県)では需要も低く、当然経済も活性化しない。地方の疲弊化、経済の悪循環の根っこには最低賃金の問題がある。

◆不安定労働に対する行動を力を合わせて展開
働き方の問題は日本だけでなく、あらゆる国に共通する。最近、クリントン前米大統領の元側近ライス氏による「暴走する資本主義(Super Capitalism)」が盛んに読まれている。この本にある指摘の多くは米国だけでなく、日本や欧州にも共通する。最も大きな共通点は、投資家と消費者の利益を最優先させる経営形態だ。そうした企業は、社員、従業員、地域社会との関わりを最小限に止めようとする。そして「労組は株主の敵」いう考えから労組と距離を置くようになる。米国ではこうした傾向が民主主義をも脅かしている。「国民のための政治」ではなく、「ロビイスト、株主(とその利益を代弁する企業)のための政治」が幅を利かせるようになっている。
その中で、本日、IMF−JCには不安定労働に反対する決議案を作成していただいた。ITUCとしても10月7日を「2008年不安定労働に対抗する世界行動デー」、もしくはワークライフバランスまたは「ディーセントワーク(decent work)」の日にしようという考えだ。日本では連合が世界の労働者と連帯してIMF−JCとも連携して10月9日を日本における不安定労働に対する労組活動を集約するような日にしたい。

◆生活を守る賃金の底上げをJCに期待
物価高の中、低、中所得者からは悲鳴が上がっている。総合物価指数は3%、基礎的な生活物資は6%も上昇している。その対策として、政府・与党は「安心安全実現のための総合政策」を先日取りまとめたが、肝心の福田首相は昨晩辞任した。政治空白の中、私たちとしては、税制、社会保険、等、様々な問題について引き続き建設的な提言をしていきたい。物価高・スタグフレーションの中、どう労働者の生活を守るか。物価上昇による賃金の目減り部分を補填すると同時に、さらなる賃金の底上げを図らなければならない。そのような活動をIMF−JCに期待したい。
福田総理が昨晩突如政権を投げ出すといった状況の中で、衆院解散総選挙を求める国民の声はますます高まっていくと思う。今年内の解散総選挙がいよいよ現実味を帯びてきた。政権交代は連合の悲願である。それに向けて労組の結束を高めていきたい。
加藤議長には連合運動にも大いに貢献していただいたことを心から感謝したい。最後に、労組活動の「扇の要」ともいえるJCに対する、国民の期待がますます大きくなっていることを述べ、話の締めくくりとさせていただきたい。