IMFニュースブリーフ

AMWUとジェームズ・ハーディーとの闘争が全世界に拡大

IMFは加盟組織に対し、このアスベスト・メーカーから、アスベスト関連の疾患に現在すでに苦しんでいる労働者や、これからそのような病気にかかって命を落とすであろう数千人の労働者への補償を得ようとする闘いにおいて、AMWUを支援するよう求めている。

 

オーストラリア:国際金属労連(IMF)は、労働者からアスベスト関連の疾患・死亡に対する補償を奪おうとしているジェームズ・ハーディー社による国際的な企業不正を阻止するための闘いにおいて、加盟組織のオーストラリア製造労組(AMWU)を支援して緊急対策を講じている。
 AMWUによれば、オーストラリアで半世紀にわたってアスベストおよびアスベスト製品の主要メーカーとして活動し、鉱物も輸出している同社は、この物質が健康に致命的な影響を及ぼすことを数十年前から認識していながら、その事実を隠蔽し、労働者や一般大衆を保護するための措置を何ら講じなかった。
 アスベスト関連疾患にかかった従業員(多数のAMWU組合員を含む)からの幅広い労働者災害補償請求や、同社製品を使ったためにやはり病気になった建設業者などからの賠償請求を受けて、ジェームズ・ハーディーは2001年に医療補償基金を再編・確立し、将来の請求に応じるに十分な資金を確保したと宣言した。AMWUが「この基金で十分な資金を確保できないことは明白だ」と指摘すると、同社は本社をオーストラリアからオランダに移し、自社の資産とアメリカ事業から得られる多額の利益・収入とが把握されないようにした。
 同労組とアスベスト犠牲者によるキャンペーンの結果、オーストラリアのニューサウスウェールズ州首相が、この再編成をめぐる状況に対する司法調査を実施した。これによって、不正行為があったこと、同社が意図的に負債額を偽装しようと試みたことを示す明白な証拠が明らかになった。
 IMFはオランダの加盟組織FNV合同労連に対し、オランダ政府に陳情し、オランダが負傷した労働者に対する義務を回避しようとする不正企業の避難所になるのを防ぐために措置を講じるよう強く催促することを求めた。オランダ政府はオーストラリアと民事責任条約を締結し、ジェームズ・ハーディーに対するオーストラリアの判決を実施できるよう努めるべきである。すでにオーストラリアはイギリスをはじめとする欧州諸国と、そのような条約を締結している。
 IMFはアメリカの加盟組織にも接触し、ジェームズ・ハーディーが利益の大半を得ているアメリカでの抗議行動を求めるAMWUの要請を後押しした。また、やはり同社が登録しているデラウェア州がニューサウスウェールズ州政府との協定を取り決め、負傷した労働者に対するジェームズ・ハーディーの義務を果たさせるためにアメリカで同社を訴えることのできるプロセスを援助するよう要求している。
 マルチェロ・マレンタッキ書記長はIMFを代表して発言し、「ジェームズ・ハーディーが労働者の健康や生命よりも、そのような利益欲を優先しているというのは大変なスキャンダルであり、ショッキングな事実だ。犠牲者が同社を訴え、この会社が法的・道徳的責任を回避するのを防止できるようにすべきである」と述べた。
 オーストラリアでは、今後20年間に約4万件のアスベスト関連請求が申し立てられると予想される。
 2004年1月1日以降、オーストラリアではアスベストの生産・輸出入が全面的に禁止されている。
[2004年7月20]