IMFニュースブリーフ

ジェームズ・ハーディーが態度を一変

かつてオーストラリア最大のアスベスト含有製品メーカーだったジェームズ・ハーディーは先週、アスベスト関連損害賠償のために十分な資金を供給していないことに対する圧力の高まりを受けて従来の方針を撤回した。


オーストラリア:
労働組合による提訴の危機に瀕して、ジェームズ・ハーディー・インダストリーズは8月24日、顧客宛に送付した書簡を取り消した。この書簡は、アスベスト製品の製造における自社の役割と、犠牲者による損害賠償請求に対する自らの責任とを軽視する内容だった。
 この撤回に先立って、アスベスト関連請求への資金供給が明らかに不十分だったことについて、ジェームズ・ハーディーの新任女性会長が謝罪し、同社は態度を一変させていた。この謝罪は、オーストラリアの司法調査で、同社がリストラの際に医療補償基金を設立して本社を海外に移し、自社の責任を制限しようと意図的に試みたことを示す証拠が審理されたあとに行われた。
 同社に対する圧力が強まっており、顧客によるボイコット、オーストラリア国内における同社製品の産業利用の禁止、同社が労働者からアスベスト関連疾患・死亡への補償を奪うのを阻止しようとする国際労働組合協力などが実施されている。
 ジェームズ・ハーディーは今回、法定補償制度への資金供給を提案しているが、この制度は国際金属労連(IMF)加盟組織のオーストラリア製造労組(AMWU)をはじめとする組合から非難を浴びている。組合側は、この制度によって、補償を受ける犠牲者の法的権利が削減され、同社のアスベスト関連債務の一部が納税者に転嫁されることを懸念している。
 同社は9月15日にオーストラリアで開かれる会合で、この案を株主に示す予定である。親会社は現在、オーストラリアで下された法的決定の実施に関する条約を締結していない国であるオランダを拠点としており、9月17日にアムステルダムで年次株主総会を開く。
 ニューサウスウェールズ州の司法調査当局は、ジェームズ・ハーディーが設立した補償基金が抱える最高14億ドル(20億オーストラリア・ドル)に上る不足額を詳しく調べており、9月21日に結果を報告すると予想される。
[2004年8月30日]