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船舶解撤労働者を脅かす有毒船舶

有毒物質を含むフランスの退役空母が、アラン船舶解撤場での解体処分のためにインドへ向かう中で、IMFは「船舶解撤産業の危険作業は擁護できるものではなく、中止しなければならない」と主張している。


インド:
長期に及ぶ法廷闘争を経て、2005年12月31日、フランスの退役航空母艦クレマンソーがトゥーロン軍事基地を出発し、インド・グジャラート州のアラン船舶解撤場へ向かった。
1991年の湾岸戦争にも参加した問題の空母には、有毒危険廃棄物が大量に残存している。環境保護団体によると、300〜500トンのアスベストが含まれている可能性があるという。しかしフランス政府は、「すでにアスベストの大部分を除去しており、実際には40〜100トンだ」と主張している。
アランの船舶解撤場では、労働者は有害廃棄物を取り扱うための保護具を与えられていないが、その仕事を必要としており、貧困ゆえに解撤作業に従事し続けている。
「労働者は生存のために働く必要があるが、そうすることで生命を危険にさらさなければならない、という状況は支持できない」と、ロブ・ジョンストンIMF安全衛生担当部長は述べた。
「私たちには、これらの労働者の雇用を保護する義務があるが、危険な労働条件を無視してでも雇用を守るべきだと考える人がいるとしたら、その人は心得違いをしている。大型船を再利用できるようになるたびに論争が起こり、実態がますます広く知れわたるようになっている。労働者の安全衛生を最優先しない解撤場は長続きしない」と同部長は語った。
このメッセージは、船舶解撤に関する産業ガイドラインについて議論するために先月開かれた国際労働機関(ILO)/国際海事機関(IMO)/バーゼル条約合同ワーキング・グループでも、労働者代表によって力強く主張された。
IMFは、この合同ワーキング・グループに参加し、現状を改善して労働者が直面するリスクを抑える数多くの措置を明らかにした。例えば、合同ワーキング・グループ活動を迅速化すること、現地の組合が労働者とのつながりを深め、安全衛生問題について労働者を教育できるようにすることなどである。

[2006年1月16日]