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WTO交渉が決裂

国際労働組合代表団は、現在のドーハ・ラウンドで雇用、開発見通し、労働者の諸権利に重大な影響が及ぶリスクを抑えるため、貿易交渉担当者に働きかけている。


ジュネーブ:
IMFは、先週(6月29日〜7月1日)ジュネーブを訪問した労働組合代表団に加わり、貿易交渉担当者に働きかけた。代表団メンバーは、アフリカ諸国とラテンアメリカ諸国の金属・繊維・食品・教育各部門のナショナルセンターや組合から参加した。労働組合代表団は他の社会運動と協力して、ドーハ・ラウンドの現行案が雇用や開発見通し、労働者の諸権利に重大な影響を及ぼしかねないことを強調した。
 交渉決裂後の労働組合代表団によるコメントについて、国際自由労連(ICFTU)が7月3日に発表した下記の声明を参照のこと。

国際自由労連 ICFTUオンライン……111/030706
WTO交渉が決裂――政府は開発と雇用の確保を
ブリュッセル、2006年7月3日(ICFTUオンライン):土曜日の世界貿易機関(WTO) 貿易交渉決裂を受けて、このプロセスにおける次の段階では、開発・雇用面で期待に添う結果をもたらすことに焦点を移さなければならない。
 交渉決裂の主な原因は、工業国が発展途上国の工業製品市場への幅広いアクセスをあくまでも要求する一方で、農業貿易の不平等に取り組もうとしていないことである。
 「今や誰の目にも明らかなように、合意へ向けて多少なりとも前進するには、開発ニーズにはっきりと応えなければならず、発展途上国に対し、農業分野での仮想的利益と引き換えに工業製品市場へのアクセスを引き渡すよう要求してはならない」と、ガイ・ライダーICFTU書記長は述べた。
 非農産品市場アクセス(NAMA)交渉での大幅な関税削減は、発展途上国の大量失業と多額の調整費用につながるだろう。また発展途上国は、将来、経済を発展させ国民のニーズを満たすために貿易政策を実施することができなくなるだろう。
 「交渉担当者がドーハで付与された開発マンデートを考えれば、これは容認できない結果だ」とガイ・ライダー書記長は付け加えた。  「持続可能な解決策は、ただでさえ失業者・不完全就業者のためにディーセントな雇用を創出するという大きな課題に直面している国々で、貧困や失業を悪化させるものであってはならない。また、ILO憲章に明記されるように、『一部の貧困は、全体の繁栄にとって危険である』――言い換えれば、『発展途上国の開発を損なう協定は、工業国の勤労者を取り巻く状況をも損なう』という考えは、今なお100%正しい」
 容認できる方法は、バランスを欠いた強制的な解決策を避けるものでなければならない。もっと正確に言えば、包括的な協議に基づくボトムアップ・プロセスを実施すべきであり、それが最終的にバランスの取れた開発重視の協定につながるはずである。
 したがってICFTUは、以下のことが不可欠であると考える。
●WTOは、各加盟国の立場がまだ大きく異なっている現時点で、非現実的な期限を設定することによって発展途上国に圧力を加えてはならない。
●ドーハ・ラウンドが開発面に及ぼす効果を弱める名目上の妥協を拒否しなければならない。幅広いオープンな協議・討議によってのみ合意に達することができる。
●加盟国は、現在交渉されているようなNAMAパッケージを採択あるいは促進してはならない。現行パッケージは、発展途上国に配慮した「相互主義の軽減」の原則を尊重しておらず、発展途上国の開発見通しに悪影響を与えるだろう。発展途上国は、相互主義の軽減に関する合意原則に従って、自国の開発段階に応じた関税削減率を適用できなければならない(したがって係数は、現在アメリカやEUが提案している数字よりも、はるかに高くする必要がある)。
●EUとアメリカは農業に関して真の譲歩をしなければならない。
●GATSについては、不可欠な公共サービス(教育、医療、水など)を交渉で取り上げてはならない。いかなるサービス協定も、政府が貧しい労働者のアクセスを改善するために必要な措置・規則を実施できることを明記しなければならない。

 NAMAが発展途上国の雇用に破壊的な影響を与える可能性があることは、ICFTUレポート「発展途上国の労働集約的部門に関するNAMAシミュレーション」(http://www.icftu.org/www/PDF/ICFTUNAMAtariffsimulations.pdfを参照)で実証されている。

[2006年7月3日]