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IMF加盟組織が貿易・雇用・開発について議論

中核的労働基準を貿易協定に盛り込むことが重要だが、これは十分に考慮されていない。国際労働組合運動は、ネオリベラリズムに代わる明確なプロジェクトも提示しなければならない。


カナダ:
2006年10月11〜14日にカナダのCAW教育センターでIMFセミナーが開かれ、貿易・雇用・開発に関する金属労組戦略の立案を中心に議論した。
このセミナーには、南北アメリカのIMF加盟組織とともにアフリカ、ヨーロッパ、アジアの金属労働者が参加し、貿易自由化に関する2国間・多国間交渉の現状に検討を加えた。
参加者は、新たな貿易自由化が融通の利かない一般化された方法で実施されれば、発展途上国に深刻な損害を与え、途上国が独自の産業政策を確立する能力を低下させるおそれがあることについて懸念を表明した。
関税削減案の採用により、多くの産業雇用が失われ、雇用条件の全体的な不安定化が進み、労働者が常用雇用から、まったくと言っていいほど保護措置のない拡大している「インフォーマル」労働市場に移動する可能性があることについても、懸念が示された。
参加者は、労働者を保護するための仕組みを貿易協定に組み込むことの重要性について、全面的に合意した。しかし、中核的労働基準は十分に盛り込まれておらず、国際労働組合運動は(代替的グローバル化のためのIMF戦略に表明されるような)ネオリベラリズムに代わる明確なプロジェクトを提示する必要もある、との考えが示された(http://www.imfmetal.org/main/files/IMFalternativeStrategies_english.pdf)。
セミナーの結語・勧告とプレゼンテーションの要約は、IMFウェブサイトに英語、ポルトガル語、スペイン語で公表されている。

IMF貿易に関する作業部会
このセミナーと同時に、IMF貿易に関する作業部会が開かれた。社会経済情勢の異なる国々に自由貿易協定(FTA)が与える影響を分析し、さまざまな労働組合の見解や戦略について議論した。
作業部会メンバーは、IMF活動の焦点を以下に合わせるよう勧告した。
●重要なFTA(例えばCAFTA)が雇用や労働者の諸権利に与える現実的な影響を監視・分析する。
●G20政府と貿易・社会政策をめぐる対話を構築する。
●FTAに関する自動車産業の役割を調べる。
●さまざまな地域の加盟組織間で意見や経験の共有を調整・促進する。
●ICFTUとGUF、それに社会運動も関与させ、労働者の諸権利やグローバル・ガバナンスに関する国際労働組合戦略の有効性を見直す。
●2007年ナイロビ世界社会フォーラム(WSF)でのIMFイニシアティブの焦点を、貿易自由化が雇用と開発に及ぼしうる影響に合わせる。
このカナダでのセミナーに先立って、IMFは2006年に一連の活動を実施し、共通戦略の立案と、政府・使用者その他の機関とともに貿易・雇用・開発政策に取り組む組合の能力の強化を目指した。同様のセミナーが2回、4月にアスンシオンでサザンコーン地域を対象に、6月にダーバンで南部・東部アフリカを対象に開催された。


[2006年11月10日]