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「ノキアはもはや社会的な企業ではない」

……欧州金属労連の労働組合調整会合に集まった労働組合活動家は、ノキアのドイツ・ボーフム工場閉鎖発表を受けて、このように結論づけた。


ドイツ:ノキアはもはや社会的責任のある企業ではない――これは、ノキアが活動している8カ国(ハンガリーとルーマニアを含む)の組合の代表を集め、欧州金属労連(EMF)が1月30日にブリュッセルで開催した組合調整会合の結論の1つである。

この会合に先立って、フィンランドのノキア・グループ経営陣はドイツ・ボーフム工場の閉鎖計画を発表した。携帯電話を作っているボーフム工場は、ノルトライン・ウェストファーレン州政府から財政援助を受けて建設された。

労働者代表とその所属組合IGメタルにとって、工場を閉鎖するという意向の発表は寝耳に水だった。というのも、この工場は赤字を出しているどころか、実態はその逆だからである。ブリュッセルで労働組合の会合が開かれた日に、ドイツの新聞は「社内の報告書によると、この工場は2007年に1億5,100万ユーロの利益を上げ、これは労働者1人当たり約9万ユーロに相当する」と報道した。

工場の競争力を維持するために、労働者代表は現地経営陣と緊密に協力してきた。「工場の生産性、納入条件、品質、全体的収益性が改善している。労働者は労働時間に関して柔軟な姿勢を示している。ノキアの決定に財政的な根拠はない」と関連組合はEMF記者声明で述べた。

IGメタルは、この競争力のある黒字工場をノキアが思惑どおりに閉鎖すれば、どんな工場の未来も安泰ではないという新たな状況に陥る、と明言した。安泰どころか、たとえ増益が可能な状況にあっても、労働者は他工場への生産移転の危険にさらされることになる。

ユーロ・フォーラムと呼ばれるEMFとノキア欧州従業員代表委員会は、ノキアの閉鎖計画発表が、情報・協議の実施を義務づける欧州従業員代表委員会に関する欧州連合指令に違反しているかどうかについて、法的調査の開始を決定した。このために2人の法律専門家を雇用した。

また、以下の共同声明についても合意した。

●労働組合は、発表されたボーフム工場閉鎖決定に強く反対する。
●労働組合は、この手続きの取り方にも同意しない。
●EMFは経営陣に対し、労働組合・労働者代表と建設的な協議を行うよう要求する。

ユーロ・フォーラムは、今月中に経営陣との会談を要求する。2月28日にドイツ・ノキア監視委員会の会合が招集されており、ノキア代表が優位を占める監視委員会は、おそらくボーフム工場の閉鎖を決定するだろう。
会合に参加した組合は、ノキアが要求に応じず、監視委員会で自らの意向を押し通そうとした場合は、さらなる行動について議論することで合意した。

[2008年2月1日]