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工業製品に関する新たなWTO案は依然アンバランス

IMFと国際労働組合運動はWTOのNAMA交渉における新たな提案に関して深く懸念しており、ITUCは貿易大臣宛のモデル書簡を回覧した。


全世界:IMFは国際労働組合運動および国際労働組合総連合(ITUC)とともに、世界貿易機関(WTO)での鉱工業品をめぐるNAMA交渉における新たな提案について、懸念を表明している。

WTOでの鉱工業品をめぐる非農産品市場アクセス(NAMA)交渉における新たな提案は、来週ジュネーブで開かれる重要な閣僚会合においてドーハ合意に近づくために立案されたもので、ごく小さな改善を盛り込んでいるにすぎず、まだ著しくアンバランスである。

「発展途上国の関税削減幅の軽減に向けて本格的に舵を切らない限り、NAMA交渉は発展途上国の労働者にとって成果を上げないだろう」とガイ・ライダーITUC書記長は述べた。「ドーハ開発ラウンドは建前上、発展途上国の工業開発を促進し、発展途上国がディーセント・ワークを増やして経済を多角化できるようにすることになっている。だが、このままでは、NAMA交渉は雇用削減をもたらし、将来政府がディーセント・ワークと生産的雇用を提供するうえでも大きな障害になるだろう」

これらの提案は、発展途上国の関税削減にやや幅を持たせているが、相変わらず選択肢が限られている。はるかに高い「係数」を利用できるように見えるが、実際には、この違いは関税削減に関してはほとんど重要ではなく、削減幅は多くの発展途上国にとって依然として非常に大きい。この原文は、確かに関税削減から製品を保護するためにある程度の柔軟性を提供しているが、それらの措置はやはり限定的であり、多くの労働集約的産業を十分に保護することにはならない。

労働組合運動は、NAMAと農業はいずれも開発にとって極めて重要であるため、両者の間でトレードオフがあってはならない、と主張し続けている。残念ながら、一連の交渉はこれらの開発の現実を考慮に入れていないようである。

ITUCは、貿易大臣に働きかけるうえで支援するために、加盟組織にモデル書簡を送った。この書簡は下記サイトで入手可能:
http://www.ituc-csi.org/IMG/pdf/Model_letter_NAMA_July_2008.pdf

[2008年7月17日]