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旧態依然:世界銀行によると社会的保護制度の強化は企業に不利


報告書『ビジネス環境の現状2010』は、社会的セーフティーネットの改善を繰り返し支持してきた世界銀行の姿勢と矛盾し、雇用喪失に対する労働者の保護を阻み続けている。


全世界:2009年4月29日、IMFは次のように書いた。「数年にわたって労働組合から激しい批判を浴びた末、世界銀行はようやく、労働者保護水準が最も低い国々に何年も高い格付けを与えてきた年次報告書『ビジネス環境の現状』の労働指標の利用中止を決定した」

IMFの判断は間違っていた! そうではなかったのである。ここでもう一度、これまでの経緯を振り返ってみれば、私たちがいかに判断を誤っていたか、いかに認識が甘かったかが分かるだろう。

今年の1月に世界銀行・国際通貨基金の指導者がハイレベル・グローバル・ユニオン代表団に対し、「自分たちに責任のない危機の代償を払わされている労働組合員の怒りは十分に理解している」と述べたとき、私たちはその言葉を信じた。

4月に世銀が社会的弱者を保護して労働者の権利を擁護する社会的セーフティーネットを勧告したとき、世銀は本気だと私たちは考えたが、それは間違っていた(http://www.doingbusiness.org/documents/EWI_revisions.pdf)。そうではなかった! 何も変わっていなかったのである!

発表されたばかりの『ビジネス環境の現状2010』は、各国に社会的保護制度の採択を思いとどまらせ、そのような制度を採択する政府を反企業的と呼んでいる。処方箋はいつもどおりだ――解雇された労働者の離職手当の減額、雇用削減の予告に関する要件の緩和または撤廃、余剰労働者の再訓練措置の廃止である。それゆえ、ポルトガルは解雇通知期間を2週間延ばしたから悪く、ベラルーシは雇用を削減しやすくしたから立派である! ホンジュラスは経済危機に対応して離職手当と事前通知要件を改善したので悪いが、ルワンダは雇用削減をめぐる従業員代表との事前協議や労働監督官への通知に関する要件を廃止したので実に立派である!

おめでとう、ゼーリック総裁! だが、あなたは4月に、労働市場の柔軟性に関する『ビジネス環境の現状』指標は労働者の保護の削減を奨励しており、「政策的助言の基礎として、あるいは国別プログラム文書において利用してはならない」と発表したのではなかったか? 世銀が正確にいつ、社会的保護や労働者保護の撤廃の促進をやめるつもりなのか教えてほしい。

[2009年9月9日――アニタ・ガードナー]