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労働組合、将来の自動車産業振興における発言権強化を要求

世界経済・雇用危機がアジア太平洋の自動車産業に及ぼす影響について、政労使が議論した。


日本:12月7〜9日に東京で自動車産業に関するアジア地域ワークショップが開かれ、日本、韓国、インド、タイ、インドネシア、マレーシア、オーストラリア、フィリピンから集まったハイレベル政労使代表50人が、自動車産業の雇用関係と労働における権利に検討を加えた。

ワークショップのために作成された背景報告書によると、「1990年代前半の不況から回復して以来、自動車産業の雇用は臨時契約労働が中心になっており、人材会社を通して労働者が採用されている」。8カ国からの報告によって興味深い共通点だけでなく相違点も明らかになったが、すべての国々で、自動車産業は工業生産・雇用の礎石となっている。しかし労使関係は、8カ国すべてでそれぞれ異なることが判明した。

「このワークショップは自動車産業に関する行動計画の一環であり、世界経済危機が発生する前から計画されていたが、よりよく危機に対応できるように調整した」と、ワークショップを主催したジョージ・ドラグニッチILO社会対話局長は述べた。

西原IMF-JC議長・自動車総連会長が組合側の選出スポークスパーソンを務め、次のように述べた。「この産業で働く多くの労働者にとって、今年は構造変化に起因する不確実性に満ちた厳しい1年だった。私たちは、しばしば組合員の雇用条件を犠牲にして工場閉鎖回避措置を取り決め、可能な限り労働者に対する影響を抑えることができた」

「労働者が戦略的意思決定に関与することが、従業員・使用者双方にとって望ましい責任ある手法だと私たちは確信している。組合の関与は、従業員が企業の成功に長期的利害を持つステークホルダーとして認められるよう保証するだけでなく、生産性・収益性を高める変革を従業員とともに推進するうえでも役立つ」と西原氏は述べた。

続いて自動車産業における社会的対話の必要性について議論が行われ、使用者グループが「社会的対話によって経営者の経営能力が低下するようなことがあってはならない」との考えを概説した。例として、合併や買収、乗っ取りといった問題に関する情報を共有することの難しさが挙げられた。

しかし労働組合側は、「どちらかと言えば、現下の危機によって、当事者全員が持続可能な未来の構築に向けて一致協力する必要のあることが明らかになった」と異論を唱えた。さらに、「組合には、企業の長期生存能力に影響を及ぼす可能性のある重大な決断にあたって発言する正当な権利がある」との考えを示した。組合は衰退を食い止める役割を果たすだけでなく、意思決定プロセスにおいて対等のパートナーも務めるべきである。この会合の正式報告は間もなくILOから発表される。

[2009年12月15日――アレックス・イワーノウ]