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景気回復には質の高い雇用の回復が不可欠

2010年4月20〜21日にワシントンで開かれるG20雇用労働大臣会合に先立って、グローバルな労働組合運動が声明「雇用危機に打ち勝つ」を発表した。

全世界国際労働組合総連合(ITUC)とOECD労働組合諮問委員会(TUAC)が発表した声明の中で、国際労働組合運動は各国政府に対し、より力強い成長、雇用創出を促進する成長を確保するために、積極的な基本方針を採用するよう要求している。

労働組合の主張によれば、持続可能な景気回復を達成するには、雇用、特に質が高く給料のいい雇用の回復が必要である。

労働者とその家族は相変わらず、自分たちに何の責任もない経済危機の矢面に立たされている。危機が勃発した2007年以降、3,400万人以上の男女労働者が失業した。

「質の高い雇用」を回復の中核に据え、この危機を脱したあとに新たな雇用市場を生み出さなければならない。多くの国々で、労働者の団結権・団体交渉権が事実上制限され、危機の影響が悪化している。同時に、労働市場規制緩和の結果、不安定労働が激増した。不十分な賃金、不安定な雇用、脆弱性および将来への不安が、世界中の何百万人もの労働者、特に女性労働者の勤労生活の大きな特徴となっている。

このような状況を踏まえて労働組合は、G20各国政府に以下のとおり要求している。

●財政刺激策を維持し、雇用創出に焦点を合わせる。
●社会的保護を強化する。
●ミレニアム開発目標(MDG)を支援する。
●低炭素経済に向けた公正な移行を支援する。
●持続可能な労働市場モデルの構築を援助する。
●世界の労働者を再教育し、能力を高める。
●グローバルな政策の実施に効果的な社会的側面を持たせる。
●国内・国際レベルの社会的対話を改善する。
●持続可能な経済活動のための憲章をさらに練り上げる。

ワシントンでのG20雇用労働大臣会合には2つの責任がある。第1に、雇用を創出するための積極的な行動について合意し、G20首脳がその合意を実行に移すよう確保しなければならない。第2に、この危機を脱したあとに労働市場を確立し、質が高く給料のいい雇用を提供するよう確保しなければならない。この責任には、G20諸国にとどまらず各国で急増している不安定雇用労働者が、組合に加入して最終的・実質的な使用者と団体交渉を行う完全な権利を得られるようにすることも含まれる。

ITUCとTUACの書記長は、労働組合が行動を起こし、「雇用危機に打ち勝つ」に示された案をG20会合に先立って労働大臣に提出するよう要求している。この声明(英語、スペイン語、フランス語)は下記ウェブリンクからアクセスでき、IMFウェブサイトにも掲載されている。

Beating the Jobs Crisis:
http://www.tuac.org/en/public/e-docs/00/00/06/AD/telecharger.phtml?cle_doc_attach=2203
Combattre la crise de l'emploi:
http://www.tuac.org/en/public/e-docs/00/00/06/AD/telecharger.phtml?cle_doc_attach=2204
Superar la crisis del empleo:
http://www.tuac.org/en/public/e-docs/00/00/06/AD/telecharger.phtml?cle_doc_attach=2205
[2010年3月25日――アニタ・ガードナー]