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キルギスタンの政情不安

CIS諸国担当のIMF地域代表が、キルギスタンで発生した集団抗議行動の目撃証言の中で4月7〜8日の出来事について報告し、政情不安が続く同国の状況の大要を説明した。

キルギスタンキルギスタンでは、不満を抱いた国民が野党指導者の主導で集団抗議行動を実施した結果、2010年4月7日に政権交代が実現したあと、政情不安が続いている。

過酷な貧困から逃れるために人口の20%が外国で働いている国で、最近の電気料金高騰が引き金となって暴力的な抗議運動が起こり、少なくとも80人が死亡、腹を立てた群衆が腐敗したバキエフ一族による政権を打倒した。

この騒動とともに略奪や強盗が発生し、中小企業が大きな税収入源となって商業・サービス業で多くの雇用を保証している国で、中小企業インフラが崩壊した。

人道援助が差し伸べられているが、新しい暫定政権が外国からの財政援助なしで生き残れる見込みはほとんどない。だが、この国は依然として内戦の瀬戸際にあり、そのような援助を得ることはほぼ不可能である。ロシアとアメリカの地政学的利益を考えれば、状況はさらに複雑である。キルギスタンはアフガニスタンに近く、米軍基地を受け入れている。

CIS諸国担当のバディム・ボリソフIMF地域代表は偶然、キルギスタンが混乱に陥った2010年4月7日に同国に到着した。

ボリソフはIMFウェブサイトに発表された目撃証言・背景報告で、発砲事件、死傷者の発生、キルギスタンの政治情勢、より広い視野から見た政治的・地政学的状況に触れている。

「さまざまな事情が重なって、私が4月7日早朝にキルギスタンへ来たときにビシュケクで集団抗議行動が始まり、最終的に政権が打倒された。同じ飛行機に反体制活動家のテミル・サリエフが乗っていた。彼は空港で逮捕された」とボリソフは報告している。

「今まで聞いたことのない音が耳に飛び込んできた――驚愕、危険、それに死の音だ。混乱に陥ったビシュケクで1日を過ごした今、とどろきわたる車の爆発音、狙撃兵によるライフルの銃声、催涙ガス・カートリッジが風を切る音を聞き分けることができるようになった」とボリソフは書いている。
IMFウェブサイトで英語とロシア語の報告書全文を読むことができる。

[2010年4月21日――アニタ・ガードナー]