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公益を脅かすカナダ−EU自由貿易交渉

カナダ−EU自由貿易交渉の極秘の詳細が公表され、政府調達政策と公益のために規制する権利とが危機にさらされていることが明らかになった。

カナダ/EU第3回カナダ−欧州連合自由貿易交渉が始まる中で、国際公務労連とその欧州機構である欧州公務労連が4月19日、カナダ貿易公正ネットワークの加盟組合および公共サービス組織とともに、包括的経済・貿易協定(CETA)案のリークされた詳細を共同で公表した。

この新情報は、社会政策、環境維持、公共サービス、文化、知的財産権、食糧主権など、ヨーロッパとカナダの市民にとって極めて重要な関心分野に対する自由貿易協定の影響について、重大な問題を提起している。

ピーター・ワルドルフPSI書記長は言う。「自由貿易は期待が持てるように思えるかもしれないが、そのような協定で主に得をするのは、公共サービス(医療、教育、治安など)を私的利益獲得の次なる分野と考えている巨大多国籍企業だ。この協約の草案文面は、民営化、規制緩和、国内の機構改革に焦点を絞った基本政策について概説している。政府調達政策と公益のために規制する権利が脅威にさらされている」

草案文面の条項により、地方自治体は地方レベルの倫理的な調達戦略を適用できなくなるだろう。論議を呼ぶ紛争処理メカニズムも提案されている。これは北米自由貿易協定で利用されるメカニズムに似ており、これによって大手多国籍企業は、企業利益を制限する公共保健・環境政策に関する補償を求めて政府を訴えることができる。

PSIとEPSUはともに、「自由貿易交渉の担当者は、規制緩和の危険性を証明している現下の金融・経済危機からの教訓を無視するつもりだ」と懸念を表明、「すべての協定にカナダとEUの金融規制強化を盛り込まなければならない」と述べ、金融取引税を支持している。

旅行制限があるため、カナダ貿易公正ネットワークはオタワ、モントリオール、トロントの3都市にヨーロッパから3人の後援者を招き、今週、ヨーロッパの国際貿易政策を説明するとともにカナダの自由貿易・投資協定について問題を提起してもらう計画を立てている。

CETA原文、行事予定の詳細、分析報告書については下記サイトを参照:
http://www.tradejustice.ca/tiki-index.php(英語)
http://www.commercejuste.ca/tiki-index.php(フランス語)

[2010年4月20日――アニタ・ガードナー]