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電子組合、組織化が鍵と主張

「組織化、労働組合権および持続可能性」に関するIMF会議で、ICT・電機・電子産業の労働者を代表する加盟組織は、労働者の権利を保護する最善の手段として組織化を最優先課題に挙げた。

シンガポールシンガポールで開かれたICT・電機・電子産業に関するIMF会議に15カ国の組合が集まり、労働組合にとっての主要な課題について討議した。電子産業は自動車産業とともに、最近の経済危機で最も大きな被害を受けている。組合は雇用喪失や賃金凍結、短縮労働に加えて、企業が危機を口実に構造改革を強行し、不安定労働を増やしている実態について報告した。多国籍企業は相変わらず、生産事業を高賃金国から低賃金国に委託・移転する方針を採用しており、賃金・労働条件に下方圧力を加えるとともに不安定労働を増やしている。

代議員は、女性、若年者、事務技術職労働者、不安定労働者など、さまざまな労働者グループを組織化するために、組合が引き続き個別の戦略を策定していく必要があることを確認した。さらに、電子労働者の組織化への取り組みを再確認し、「電子産業の組合組織率が低水準にとどまっている中で、賃金・労働条件を改善して増え続ける不安定労働を制限するために、今後も組織化を最優先していかなければならない」と宣言した。

持続可能性の問題に関する特別セッションでは、安全衛生、気候変動、電子廃棄物の処理をめぐる新たな課題について発表があった。この産業で働く労働者の安全衛生に対する脅威は依然として数多く存在し、例えばストレスや反復運動損傷、騒音、毒性化学品への曝露が挙げられる。インドでは何万人もの労働者が手作業でコンピューターを解体しており、適切な保護具も与えられず、機械に含まれる毒素にさらされている。より肯定的な面としては、欧州金属労連が発表したように、電子産業は炭素排出の削減にあたって他の産業を支援できる設備の開発によって、気候変動に取り組むうえで重要な役割を果たしている。セッションの終わりに代議員は、労働者が白血病で死亡した事件で会社に責任を取らせようとする三星労働者の闘いへの支援を求められた。

CAFODが導入したセッションでは、サプライチェーンの労働条件に対する多国籍企業の責任について議論した。CAFODはイギリスの非政府組織で、エレクトロニクス生産における労働者虐待を世間に知らせるうえで重要な役割を果たしている。代議員は、組合とNGOが情報を共有したり、戦略を調整したり、特に結社の自由を承認することの必要性に関して企業に統一的立場を示したりすることによって一致協力する方法をめぐり議論した。

この会議では、中華全国総工会(ACFTU)のエレクトロニクス部門組合会長の話を聞く特別な機会があった。ACFTU代表がIMF部門別会合に出席したのは今回が初めてである。トン・シュウビンは代議員に、「中国の組合は、多国籍企業に労働規制の承認を促し、多国籍企業で労働者を組織化し、中国の労働基準を厳格に実施することを自らの任務と考えている」と語った。現在、エレクトロニクス生産の大多数が中国で実施されている。

会合で行われたプレゼンテーションの資料と背景報告書は、IMFウェブサイトに掲載されている。

[2010年4月19日――ジェニー・ホールドクロフト]