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IMF、国連特別代表に不安定労働が人権を損なっている実態を強調

IMFは、使用者が労働者による労働組合加入や団体交渉の阻止を明確な目的として、さまざまな形態の不安定雇用を利用している実態を伝えるために、ビジネスと人権に関する国連事務総長特別代表ジョン・ラギーに文書を提出した。

ジュネーブIMFは、ビジネスと人権に関する国連特別代表への提出物を利用して、不安定労働と人権の効果的な実現との関係を、優先問題として調査・勧告に十分に盛り込むよう促した。

ジョン・ラギーのマンデートは、各国が多国籍企業による侵害や多国籍企業関連の侵害から、すべての人権をよりよく保護できる方法について勧告するとともに、企業行動によって人権を侵害されている人々が効果的な救済手段を利用しやすくすることである。不安定雇用が、多国籍企業による労働者の人権の否認を可能にする主要なメカニズムの1つとなっていることが、ますます明白になっている。

現在、世界中の何百万人もの労働者とあらゆる区分の雇用が、ILO条約第87号および第98号や、その他多くの雇用権(社会保障・年金受給権、出産・家族休暇、超過労働手当、休暇・休日、労働安全衛生など)の対象範囲から実質的に除外されている。

不安定労働は金属産業全体で横行しており、現在、電子産業と自動車産業が最も大きな影響を受けている。不安定労働は、若年労働者、移民労働者、女性労働者に不釣り合いに大きな影響を与え、性別による賃金格差を広げる大きな要因となっている。

ユルキ・ライナIMF書記長は次のように述べた。「不安定労働者が状況を改善するために行動を起こせる唯一の方法は組合設立だ。だが、世界中の不安定労働者が結社の自由を組織的に否認されている。」

提出物の中でIMFは、「不安定労働は安定雇用や団体交渉の存続そのものを脅かしているが、団体交渉は依然、労働者が自分たちの労働条件に関して真の発言権を得ることができる唯一のメカニズムだ」という見解を述べた。不安定労働者を団体交渉に参加させなければ、人権を否認するだけでなく、雇用条件を改善する唯一の絶好のチャンスを奪うことにもなる。

最後にIMFは、世界中の組合が団体交渉を利用して侵害を制限したり、そのような侵害の犠牲者に救済手段を提供したりしていること、また、国際レベルでも国際枠組み協約が締結されており、企業に自社およびサプライヤーの事業全体で結社の自由と団体交渉権の尊重を確保させていることを説明した。

関連リンク:
IMF submission to the Ruggie Report (pdf)


[2010年5月31日――ジェニー・ホールドクロフト]